最近のトラックバック

カテゴリー「クラシック関連映画」の9件の記事

2011年11月14日 (月)

【映画】グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独

2009年のカナダの映画。2年遅れで日本で封切りです。
東京圏では、当初、銀座と渋谷のみ。しかも、銀座はレイトショーのみということで、観たいファンは四の五の言わずに足を運びなさい、といった様相です。(上演館はこれから少し増えるようです。)

そのレイトショーを観てきました。

《公式サイト↓》
http://www.uplink.co.jp/gould/

冷静に考えれば、グールドファン以外行きっこない映画ですから、しかたのないところです。

全篇、グールドのエクスタシーあふれる演奏と、関係者の証言で濃密に埋め尽くされています。ほとんど役者も使わず、余計な演出の少ないドキュメンタリー映画です。

エピソードの多くは、どこかで観たり聞いたり読んだりしたものが多く、格別目新しさはありません。
使用されているグールドの映像も、観たことがあるものが多いように感じました。

ただ、グールドの子供の頃からの友人や、かつて恋人だった女性3人、グールドに「弟になってくれ」とまで言われた、レコード製作に密に関わったミキサーなどの証言は、グールドのプライベートな面を生々しく伝え、なかなか興味深かったです。

映画後半の、グールドの葬儀の場面だけは、さすがにちょっと泣かせる演出をしてまして、ほろりとさせるものがありました。

使われた楽曲は数多くありました。
しびれるとしか言いようがない、リスト編曲のベートーヴェン田園交響曲から始まり、最後は、なぜかグールド作曲の4人の歌手によるあの風変わりなフーガでした。

よく聴き知ったもの、あまり知らないもの、といろいろながら、シアターの音響システムで聴く音はまた良いです。
いくつか目を見張るような演奏にも遭遇しましたが、それは観てのお楽しみです。

とにかく、グールドファン必見の映画であることは間違いありません。

※グールドのあの天才ぶりと、鋭い眼光、雄弁な弁舌、偏執狂とでもいうべきこだわりを見ていると、つい先日読んで知った、apple のスティーブ・ジョブズの奇才ぶりとあまりに見事にかぶるのでびっくりしました。
天才にはきっと共通する“特別の何か”があるのでしょう。

2011年5月29日 (日)

【映画】オーケストラ

iTunes storeでレンタルしてiPad2で鑑賞。

秀作です。

原題は『Le Concert』
ラストのコンサートに焦点をあてるか、オーケストラ団員の人間模様に焦点をあてるか、というところで、邦題となったのでしょうか。

http://orchestra.gaga.ne.jp/#/main

露出しているストーリーで、寄せ集めオーケストラを作ってどうなるか、というところまでわかってしまうわけで、結末はうまくいくと想像がついてしまいます。
つまり、オチであっと言わせる映画ではなく、そこに至るプロセスを見せる映画です。

最初から犯人がわかっている刑事コロンボの謎解きを楽しむ、といったところです。

どうやって本物のオケを出し抜くのか、団員集めをどうやるのか、チャイコンやるのに、ソリストはどう確保するのか、練習はどうするのか、資金はどうするのか、ビザは、楽器は、服は、移動は、と、パリでのコンサートに至るまでには、高いハードルが幾重にも待ち構えている。
そのクリアの方法にひとつひとつに工夫とアイデアがこめられていて楽しい。
指揮棒が降りる瞬間まで、アクシデントが待ち受けている。
ロシア人団員の呑気さもまたハードルとなっていて、こちらはユーモアたっぷりに描かれる。

これらのステップに主人公であるフィリポフと、ヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケの人間関係の謎をからめて、ラストのコンサートで氷解と昇華が行われる。

全編にわたり、クラッシック音楽の名曲が散りばめられているのも、ファンにはたまらない。
モーツァルトの21番のコンチェルトから始まり、最後はチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト

アンヌ=マリー・ジャケに団員が聴かせ、マリーが思わず目を丸くするるシューベルトのアルペジオーネ・ソナタパガニーニの24のカプリース、マリーが出演を思い直すときに聴くマーラーの巨人などがとても印象深かった。

ラストシーンのチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトは、第1楽章をたっぷりと聴かせ、奇跡が起こる瞬間と過程をに見事に描写する。
第3楽章、オケと完全に一体となったマリーの演奏。
感動的なフィナーレ。

いやあ、今さらなんですが、チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトって、良いですねえ~♪。
若い時は聴きましたが、最近はああいう耽溺するような音楽からは距離を置いていたものですから、新鮮に聴けました。

※iPadでのHD画質での鑑賞は快適。

メラニー・ロランが非常に美しい。

※ガブリーロフ、サーシャ、アンドレイ、イリーナなど、親しみのある名前が出てくるのが嬉しい。

2010年11月15日 (月)

ナンネル・モーツァルトの映画

昨日のサントリーホールで、毎度のことながらコンサートのチラシをどっさりもらってしまいました。

来年春頃までの主だったコンサートで、新たにチェックしておくものはもうなかったのですが、1枚だけ興味をひいたのが、

「ナンネル・モーツァルト~悲しみの旅路」

というフランス映画のチラシ。
来春ロードショーだそうです。

モーツァルトの姉、ナンネルが主人公という、ややマニアックそうな映画です。
ヴェルサイユ宮殿での撮影もあるそうで、18世紀後半の宮廷の模様が音楽シーンとしてたっぷり期待できそうです。

ルネ・フェレ監督。
主役はマリー・フェレという女優さん。
チラシに使われているカットを見ると、メジューエワそっくりでびっくりしてしまいました。

渋谷のル・シネマで封切りされます。

2010年6月20日 (日)

のだめカンタービレ最終楽章 後編【映画】

【ネタバレ注意】
終わる頃になってやっと見ることができました。

一流の音楽大学を卒業しても、プロとして演奏活動だけで食べていけるのはごくわずか。
才能に恵まれ、運もあり、一生音楽と真剣に向かい合う覚悟のある者だけが、プロになることができる。

ちゃらけているような「のだめカンタービレ」ですが、実は筋の通ったテーマが一貫しています。

のだめシリーズのこの完結編においても、のだめと千秋のすれ違いの恋をからめながら、のだめが「覚悟」を決めるまでのプロセスを描いていると言えるでしょう。

のだめの最後の台詞「負けません」がその覚悟をよく表していました。

ピアノ演奏が少なかった前編にくらべ、今回はピアノが大活躍。
ピアノ好きにはたまらない演出の数々でした。

協奏曲では、ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調とショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調
ソロでは、ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調とベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調、同じく8番ハ短調「悲愴」第2楽章
デュオでモーツァルト:2台のピアノのためのソナタニ長調

演奏はいずれもラン・ラン

ラン・ランの演奏は相当ユニークです。
のだめ役としては合っているといえるのかもしれません。

テレビドラマで、悲愴の第2楽章とモーツァルトの2台のためのソナタが演奏されていますが、その時と全く演奏が違うのがよくわかりました。

ショパンの協奏曲は、原作では、リハーサルの時は早く弾き、本番では超スローテンポで弾いたので、ミルヒーもオケのメンバーもびっくりします。
ミルヒーはそれでものだめによく合わせ、演奏後に「死ぬかと思った」と言うわけです。
映画ではそこのところは省略で、ミルヒーは「いきなりあんなプレイで、死ぬかと思った」
その後に続く「でも生きてて良かった」は、けだし名言。

ちなみに、「遅い」とされる「のだめ」を含め、ショパンのピアノ協奏曲第1楽章のピアノの入りばかりを集めたオタク動画があります。

2010年5月 9日 (日)

映画「ドン・ジョヴァンニ」

ラ・フォル・ジュルネで、ショパンの『「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲』を聴き、「ドン・ジョヴァンニ」が気になっていたところ、タイミングよく、映画が上映されていたので観てみました。

モーツァルトのオペラの台本を3本書いたイタリアの詩人・台本作家のロレンツォ・ダ・ポンテが主人公。
主演はイタリアの若手俳優ロレンツォ・バルドゥッチ。
かなりのイケメンです。

オペラの主人公ドン・ジョヴァンニを、ダ・ポンテ自身と重ねあわせ、実際のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の劇中劇を絡めて映画化したものでした。

モーツァルトと妻コンスタンツェ、ウィーンの宮廷音楽家のサリエリ、啓蒙君主のヨーゼフ2世など、映画「アマデウス」でおなじみの面々が登場。また、イタリアの伝説のプレイボーイ・カサノヴァが重要な役割を演じています。

ダ・ポンテの恋人役のソプラノ歌手で「ドン・ジョヴァンニ」でドンナ・エルヴィーラ役を務めたケテワン・ケモクリーゼは、本当のオペラ歌手だというから驚きです。

「ドン・ジョヴァンニ」自体が放蕩三昧のプレイボーイの話ですので、映画の方もそれは惚れたの腫れたの嫉妬しただのというお話満載。
イタリア語がまた甘ったるい言葉に実にあっている。

映画後半はかなりオペラのシーンにさかれており、「ドン・ジョヴァンニ」の有名なシーンが頻出。
騎士長との決闘の場面、恋人のカタログの歌、そして聴きたかった「お手をどうぞ」の場面、エルヴィーラのアリア、そして最後の地獄落ちの場面。

「お手をどうぞ」は口説きの歌だったのですね。
かなり官能的な演出でした。

オペラはまだ「魔笛」しか観たことがなく、ピアノの練習を進めるうえで、もっと知りたいと最近思っています。
アリアの二重唱などを聴くと、今弾いているK332のソナタにも、台詞の掛け合いのような部分が多数あるのがよくわかります。

オペラ初心者には取っつくきっかけになる映画でした。

(以下、つっこみ)
※主演のバルドゥッチは、今年聴いて感銘を受けたピアニストのフランチェスコ・トリスターノ・シュリメに似ていたのでびっくり。
映画の公式サイト 
http://www.don-giovanni.jp/
シュリメの画像 http://www.barks.jp/news/?id=1000058005

※ダ・ポンテが「ドン・ジョヴァンニ」を書いたころは40歳近く。モーツァルトより7歳年上ですが、主役はどう見ても20代にしか見えませんでした。

※モーツァルトのキャラは、かなり「アマデウス」から影響を受けていたようです。というか、やや二番煎じ的。

※ダ・ポンテが恋に落ちたアンネッタ役のエミリア・ヴェルジネッリは、宝石のように透き通ったブルーの瞳がとても魅惑的でした。

※同じ音楽を題材にしながらも、こういうヨーロッパの猥雑な映画に比べると「のだめカンタービレ」などが、いかに健康的かがよくわかります。

※エルヴィーラ役のケモクリーゼはオペラで表情たっぷりの熱演。

2010年4月13日 (火)

映画『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』再び

4月17日からいよいよ『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』が封切られます。

それに先立ち、復習ということで「前編」が今上映されており、しかも、たったの1,000円で見られます。
何でも「後編」の前売り券を持っていると500円でみられるようです。

ということで、また観に行ってしまいました。

以前の鑑賞記はすでにアップしてあります。
http://mykumasan.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-b3d2.html

クラシック好きだから、ということを割り引いたとしても、やはり良い映画だと改めて思います。クラシックにあまり縁のない人でも、結構感激するのではだいだろうか。それくらい音楽に力があり、それを見事に映像で増幅していると思います。

前回の記事に書ききれていない感想を。

・個々の楽器の紹介が見事

マルレオケのオーディションで、バソン(ファゴット)や黒木のオーボエが活躍します。
モーツァルトのオーボエ協奏曲はテレビドラマでも取り上げられて、一躍メジャーな感じになりました。
今回も同じ曲で、オーボエの実に伸びやかな音を堪能できました。

ファゴットの曲などは、作曲者も知らず、自分からは絶対聴きそうもないものです。
それが結構良かったりする。

千明がボレロの一節を弾く場面なども、ヴァイオリン・ソロの魅力たっぷり。

そして、もちろんピアノも、のだめが弾くモーツァルトのトルコ行進曲なども、ごまかしのないブリリアントな音で素晴らしい。

・ほろりとさせるストーリー

オーボエ奏者の娘が父親をかばう場面。これは前振りの部分も含めて原作どおりで、原作以上に感動的な場面となっていると思います。

マルレの団員たちが時間外で練習している場面。
台詞なしの映像だけながら、それが心をうつ。

・指揮が上達した千明

指揮のことをよく知っているわけではありませんが、最近、だいぶオーケストラを聴くようになって、指揮者の合図が音楽のリズムより一呼吸早くなされることにようやく慣れてきました。

千明の指揮ぶりは、テレビドラマではまだ素人っぽくて、リズムにぴったり合った指揮ぶりでした。
映画では、少しプロっぽい振り方ができるようになってきました。

というように、感心することしきりでした。

2010年1月 1日 (金)

映画『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』鑑賞記

2010年の初記事はヌーブルジェではなく「のだめ」になりました。

【以下、少しネタバレ注意】

前編は千秋編といったところです。
ピアノ独奏の場面がやや少なかったのが、ピアノファンとしては残念。

前半は例によって、だいぶオチャラケた感じでしたが、後半はたっぷり音楽を聴かせてもらえました。

いきなり、ウィーン楽友教会の大ホールでのベト7演奏というのはすごかった。自宅にもどったら、NHK教育テレビでそのまさに楽友教会大ホールでのウィーンウィルによるニューイヤーコンサートを放映していたので、二度びっくり。

2時間の枠でおさめなければならないので、いろいろ原作に手を加えなければいけないのは、しかたのないところです。
ですが、部分部分で「原作どおり!」というところも多く、また、筋の流れはずれていないので、そう違和感はありません。

原作を読んでいないと、実はこの映画の機微の部分はわからないのではないかなあ、などと思いながら見ていました。

チャイコフスキーの序曲「1812年」(原作にはない)が映画のハイライトで、実際のコンサートより大迫力で、手抜きなしで、時間もたっぷり。
普段、オーケストラをあまり聴かない私でも堪能しました。

あと、バッハの弾き振りコンチェルト1番も良かった。
これはさっそく求めてじっくり聴いてみようと思います。
グールドの動画があるようです。

ラン・ランが弾いたという「のだめ」のモーツァルト・トルコ行進曲
どれだけはじけているかと、怖いもの見たさでしたが、想像していたはねかたとちょっと違いました。
奇しくも、ラン・ランの演奏は昨日NHKで放映されました。(2009年1月の日本公演の模様)
あの「英雄ポロネーズ」のようなハチャメチャぶりまではいっていなかったようです。

4月に封切られる『後編』では「のだめ」のショパンのピアノ協奏曲第1番がおそらくハイライトになるのでしょう。
予告編で少し聴いてしまいました。
また演奏場面は手抜きなしで作ってくれるでょうから、期待したいです。

クラッシック好きでも、やはり聴き慣れない曲にはなかなか入っていけないものです。
知らない曲などは、こういうものから入っていくのも良いなあと思いました。

ロケたっぷり、ホールは一流、演奏場面も手抜き無し、原作の物語のテーマもしっかりはいっている。
脇役たちが、とってつけたようにちょい出演だったのはしかたないところですが、まあ良い映画だったと思います。楽しめました。

※前にも書きましたが、ヌーブルジェの演奏でブラームスの第2ソナタを知った方には、ぜひ、去年封切られた映画『クララ・シューマン』を見ることをお勧めします。
ますます第2ソナタを身近に感じることができるようになること請け合いです。

2009年11月10日 (火)

のだめカンタービレ最終楽章(映画)

「のだめ」がいよいよ映画化されます。
12/19に前編が封切りです。
今回は、千秋がパリのマルレオケの常任指揮者となるあたりからのようです。
テレビドラマ「パリ編」の続編という形ですね。

よくドラマが映画化されると、別ストーリーになったりしますが、そのあたりは結構連携とっているようで、嬉しいです。
キャストも同じなので、違和感がありません。
予告を見るかぎり、映画も原作に比較的忠実な感じです。

昨今、テレビ局の低予算化などもあって、ろくな番組がありません。
「のだめ」は、一部ご愛敬でくだらない演出もあるものの(原作コミックを再現しようとしているともいえます)、音楽は手抜きしておらず、鑑賞に堪えます。
というか、原作に出てくる曲など、半分くらいは知らないので、結構マニアックです。

ましてや、私の場合、ピアノばかり聴くので、正直「ベト7」だの「ブラ1」だのの有名どころでさえ、まともに聴いたことがなかったのが、「のだめ」のおかげで親しむことができ、大変感謝しております。

ピアノ曲にしても、シューベルトの16番ソナタも「のだめ」までは聴いたことがなかったし、ドビュッシーの「喜びの島」や、ラベルの「鏡」なども「のだめ」で経験したようなものです。

明らかに「のだめ」以後、趣味の範囲は広がりました。

もちろん、ラフマニノフやショパンのコンチェルト、モーツァルトのきらきら星、ベートーヴェン悲愴ソナタの第2楽章、モーツァルトの18番ソナタ、リストの超絶技巧練習曲、ベートーヴェンの31番ソナタなど、よく知っている曲が出てくるのも、このうえない愉しみです。

映画は、贅沢に海外ロケを行い、随分手間暇かけて作っているようなので、是非鑑賞したいと思っています

ところで、ヌーブルジェに出会ってからも、趣味の範囲が広がりました。
ショパンのマイナーな曲をヌーブルジェで知りましたし、フランスものも聴かねばと思うようになったし、
ブラームスのソナタなどもほとんど知らなかったのが、相当いれこんで勉強しました。

海外でのコンサートの状況などを見ても、ヌーブルジェなかなか普通のプログラム組んでくれそうにないでこれからも追いかけるのはちと大変そうです・・・

シュトックハウゼンやらメシアンやら、ディテュイーなどは、フランスでならともかく、ヌーブルジェの演奏機会自体が少ない日本ではできれば勘弁願いたいところです。
他に聴きたい曲は山ほどありますので。

2009年8月 2日 (日)

映画『クララ・シューマン』にブラームスソナタ第2番登場

ヌーブルジェでブラームスのソナタが好きになった人(そんなにいないか)は、必見の映画です。

ブラームスの血縁にあたるヘルマ・サンダース=ブラームスが脚本、監督の『クララ・シューマン~愛の協奏曲』見ました。
シューマン夫妻とブラームスが出会う時から、シューマンが亡くなる時までの、3人の芸術家の物語を映画化したも
のです。
(多少ネタバラシなのでご注意を)

全編、シューマンとブラームスの音楽にあふれ、クラッシック音楽ファンにはたまらない仕上がりです。
登場する音楽は以下のとおり。

1.ロベルト・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54〜第1楽章
2.ヨハネス・ブラームス:ピアノ・トリオ第1番 ロ長調Op.8〜第2楽章
3.ロベルト・シューマン:交響曲第3番 変ロ短調「ライン」Op.97〜第1楽章、第2楽章
4.ヨハネス・ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番 嬰へ短調Op.2〜第1楽章
5.ロベルト・シューマン:色とりどりの小品Op.99〜第4曲「音楽帖第1番」
6. ヨハネス・ブラームス:子守歌Op.49-4
7.ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰へ短調Op.11〜第1楽章
8.ヨハネス・ブラームス:ハンガリー舞曲集〜第5番 嬰へ短調
9.ロベルト・シューマン:幻想小曲集 Op.12〜第1曲「夕べに」
10.クララ・シューマン: ロマンス・ヴァリエ(ピアノのためのロマンスと変奏)Op.3
11.ロベルト・シューマン:クララ・ヴィークのロマンスによる即興曲
 (クララ・ヴィークの主題による10の即興曲)Op.5
12.ヨハネス・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調Op.15〜第1楽章

(公式サイト:http://clara-movie.com/pc/

なんと、先般ヌーブルジェがサントリーホールで弾いた、ブラームスの「ピアノ・ソナタ第2番」が、かなり重要な意味を持って登場します。
このソナタは、ブラームスの実質的に一番最初のソナタ。
若きブラームスのパッションあふれた作品であることが、ヌーブルジェの演奏を聴いてとてもよくわかったと、以前
書きました。
若書きで未熟、とか一般的に言われているそうですが、私はヌーブルジェの演奏を聴いて以来この曲の大ファンにな
ってしまいました。
ですから、今日はこの曲を聴けてたいへん嬉しかった。

この曲はクララ・シューマンに献呈されています。
おそらく、クララとの出会いの時に捧げられたのではないかと想像していましたが、映画の演出がまさにそのように
なされており、この曲に対する思い入れがますます深まってしまいました。

映画での演奏は、ヌーブルジェほどの切れ味はないものの、情熱にあふれた堂々としたものでした。
クララ・シューマン役のマルティナ・ケデックのピアノ演奏演技もなかなかのもの。

映画そのものについては、まあそれほど深い内容でもないかなというところ。
終わり方もやや唐突というか、中途半端な感じでした。

ブラームスの縁者が作ったせいでしょうか、ブラームスがずいぶん格好良く描かれていたように思います。
ブラームスって、もっと地味ーで、感情をあまり表せない鬱屈した人というイメージがありますが、この映画では結
構はつらつとした若者に描かれていました。

シューマンのピアノ協奏曲で始まり、ブラームスのピアノ協奏曲第1番で終わる演出は粋なもの。

最近シューマンのコンチェルトは聴いていなかったので、久しぶりに聴きたくなりました。

twitter

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ