最近のトラックバック

カテゴリー「書籍・雑誌」の39件の記事

2012年7月10日 (火)

【ブックレビュー】『静けさの中から ~ピアニストの四季』

『静けさの中から ~ピアニストの四季』 (スーザン・トムズ著、小川典子訳:春秋社)
 「OUT OF SILENCE ~ A PIANIST'S YEARBOOK」

Outofsilence_2

http://amzn.to/N9Waij

日本人のピアニストには、中村紘子さんや、青柳いづみこさんのように、演奏と文筆活動を両立させている方がいます。海外のピアニストで、音楽評論ではなくエッセイが紹介されるケースというのは、珍しい気がします。

著者はイギリス人女性で室内楽を主として演奏活動を行っている現役のピアニスト。男性しか入れなかったケンブリッジ大学キングス・カレッジに女性として初めて学んだということです。

副題にあるように、章立ては1月から12月までに分かれています。
演奏活動で各地を旅をしつつ、季節がうつりかわるなか、ピアノのこと、音楽のこと、芸術のことを中心に、随想をつづっていきます。

知的でプロフェッショナルな視点と、わかりやすく具体的な話、そして流れるような文章。
へえ、なるほどと感心したり、そうそうその通りと共感したり、えっ、本当?とびっくりしたり。
プロ演奏家の本音、というふれこみですが、読んでいて著者の誠実さが伝わってきて、これはマーケティングではなく、本音だということが納得いきます。

著者はきっと抜群の才能に恵まれていたに違いないのに、自身の芸術家としての立ち位置に必ずしも確信を持っておらず、常に迷い、思索し、答えを探しているようです。
このあたりに、同じような悩みを抱える、人間としての共感を覚えます。

かといって、暗い悩みに苛まれているわけではなく、当然プロ演奏家として切磋琢磨するし、音楽を深く愛し追求しています。

具体的な内容にふれだすときりがないですが、彼女が“音楽”に深いこだわりと愛情を抱いている例として、今の日本でもファンの間でまさに取りざたされているような事柄に関するエッセイもたくさんあります。

昨今の大きくて艶のある音ばかりが要求されるコンサートのあり方や、若い演奏家にありがちなメカニック先行の音楽的とは言いにくい演奏などへの危惧、現代におけるライヴ演奏の負担、大衆に受け入れられないクラシックの現状、文化と商売との兼ね合い等々・・・

興味が尽きません。

クラシック音楽、特にピアノの愛好家にとっては、ぜひお薦めの、極上の一冊と言えるでしょう。

読みやすい文章は、もちろん訳者であるピアニストの小川典子さんの力量と、春秋社の編集者の貢献の賜でしょう。

なお、この本は著者スーザン・トムズさんのブログが元ネタということで、探してみたところ、ずばり、ありました。
こういう内容の文章なら、ぜひとも読みたいので、苦手の英語を読むための良い教材となりそうです。

http://www.susantomes.com/

※もし、来日したらぜひともピアノ・トリオを聴いてみたいです。

※昨日、Eテレで取り上げられたイギリスのプロムス音楽祭もちょっと登場します。

※まったく偶然でしょうが、今旬の話題のヒッグス粒子の話題もあります。

2012年2月29日 (水)

『ピアニストの脳を科学する』(古屋晋一:春秋社)(新刊)

Photo_2

http://amzn.to/wUxAQi

ピアニストの超絶技巧は、どのような脳や神経や筋肉のメカニズムから生まれるのでしょうか。
ピアニストの指の筋肉は、一般人に比べて決して強いわけではないらしい。
では、どうして?

また、ピアノを練習する際にうるさく言われる「脱力」とはいったいどういう物理現象をいうのか。
わがジャン=フレデリック・ヌーブルジェのような「硬質な音」と、つい先日、強烈な感銘を受けたラリッサ・デードワのような「柔和な音」との違いは、どういうタッチの違いから生じるのか?
ピアノの「音色」ということがよく言われるけれども、本当にそんなものがあるのか?
音楽の感動とは、どのような演奏によって引き起こされるのか?

こういう疑問は、ある程度経験的にわかるものもあるし、ピアノの師匠からもそれなりの理屈を教わったりもします。
しかし、それらは科学的な知見に裏付けられたものとは、必ずしもかぎりません。
ピアノの技術は、伝統的に師匠から弟子へと伝承されてきた、秘技のようなものです。

このような疑問を本気で科学的に解明してみたいというところから出発して、「音楽演奏科学者」という肩書きを持つにいたったのがまさに本書の著者です。
古屋氏は3歳からピアノを始め、大学生の時、練習で手を痛めてしまってから、ピアノを弾く身体の働きに対する興味が増していき、とうとう、工学・医学の道に進んだということです。

述べられていることは、経験に基づく教えや実感を裏付ける内容といえましょう。
実は、脳の働きが重要、ということは、本格的な師匠についてから、私自身もなんども教えてもらいました。
練習は筋力を鍛えるものではなく、脳と指の筋肉とを結ぶ神経回路をきっちり結びつけるためのものであるということ。
そのために行うべき練習は、決して闇雲にハノンを弾くことではない

ある種の練習を5分行うだけで、今まで弾けなかったパッセージが突然弾けるようになる。
まさにそれは筋力の問題ではなく、脳の問題であることの証左にほかなりません。
こんなことを何度も経験しています。

もちろん、幼少の時に、ある程度の量の練習を積むことは、脳の発達という意味において、大きな意味があることは、本書においても悲しくなるくらい、科学的なデータに基づき、述べられています。

かといって、大人になってからの練習がまったく無駄かというと、そういうことではなく、それなりに、脳をきちんと刺激する練習が積めれば、上達も夢ではないようです。

幼少期のピアノ教育をどう考えるか、プロやプロを目指す人のピアノの練習過多による身体の怪我をどう防ぐか、大人になってからの趣味のピアノの練習をどう効率的に行うか、など、いろいろな立場のピアノ弾きにとって、本書は多くの示唆を与えるものであることでしょう。

2011年8月23日 (火)

『世界最高のピアニスト』(許光俊著:光文社新書)

こういう本が出ると、とりあえずは手にとってしまいます。

世界最高のピアニスト (光文社新書) Book 世界最高のピアニスト (光文社新書)

著者:許光俊
販売元:光文社
発売日:2011/08/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本書は一般的に「世界最高」と言われているピアニストを取り上げているのではなく、あくまで、著者の好みを押し通しているところに特色があります。
また、故人と現役はごちゃまぜです。

一般的には「世界最高」あるいは「有名」だけれど、著者の好みからするとそれほどでもない、というピアニストは、おまけ編で少し記されています。

本編の方は、その並べ順からして、「普通でない」ことを相当に意識しています。
書かれている順に抜き出すと、
1.ヴァレリー・アファナシエフ
2.イーヴォ・ポゴレリッチ
3.ヴィルヘルム・ケンプ
4.ヴラディーミル・ホロヴィッツ
5.フリードリヒ・グルダ
6.マウリツィオ・ポリーニ
7.マリア・ジョアン・ピリス
8.クリスチャン・ツィメルマン
9.マレイ・ペライア
10.グレン・グールド
11.ファジル・サイ
12.ラン・ラン
13.フー・ツォン
14.その他

という具合です。
ピアノを聴きこんでいる方なら、これがどれだけ普通でないかは、すぐわかることでしょう。

著者自身も自覚して少し書いていらっしゃいますが、どうもこの本、ピアノとピアニストに対する愛というか、リスペクトというか、そういうものをあまり感ずることができません。

特に、その他で触れられている名ピアニストたちは、基本、ケチョンケチョンにけなされています。

なので、ピアノ好きの方が読むと、後味はあまりよろしくないかもしれませんね。

2011年7月31日 (日)

『二十世紀の10大ピアニスト』(中川右介著、幻冬舎新書)

二十世紀の10大ピアニスト<br>ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン<br>アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書 な 1-8) 二十世紀の10大ピアニスト<br>ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン<br>アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド (幻冬舎新書 な 1-8)

著者:中川 右介
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

長い副題は
~ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン/アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド~

20世紀に活躍したこれら10人の大ピアニストたちの生涯のエピソードを、編年体で、つまり、時間軸に沿って、歴史上の社会・政治のエピソードにからめて紹介していきます。

特定のピアニストの伝記に比べて、複数のピアニストたちの活躍の場は世界各地で行われているため、ワールドワイドなダイナミックさをもったドラマに仕上がっています。

また各ピアニストたち同士の関係が、いろいろな局面で絡み合って、エピソードが重層的になって非常に面白い。

20世紀の激動の世界史に翻弄されつつも、その芸術的才能のおかげで、逞しくも生き抜いた天才たちの様々な人生。

それぞれに波瀾万丈の人生の中でも、派手なエピソードの数々に彩られているルービンシュタインやホロヴィッツに対して、その知名度のわりにはエピソードの類が少ないバックハウスやアラウ
なんだか、演奏にも人生が現れていると思えます。

読んでいると、改めてこれらの巨匠たちの演奏を聴き直してみたくなること請け合いです。

すでに、多くの録音がCD化されていますし、もう彼らの録音は、50年という著作隣接権の期限が切れて、今年でいえば、1961年の演奏が解禁となるわけで、次から次へと新録音が現れてくる可能性があるので、楽しみです。

また、今ではYou Tubeという強烈なソーシャルメディアがありますので、わざわざCDを探し求めなくても、ある程度の演奏の様子は、即入手できますね。

良い時代になったものです。

※面白かったエピソード一部紹介

・ホロヴィッツのアメリカデビューでのチャイコフスキーのコンチェルトの演奏は、オケと指揮者を置き去りにした、それはハチャメチャなものであった。なぜなら・・・

・親しく付き合っていたホロヴィッツとルービンシュタインは、ある時をさかいに、ぴったり交流がなくなってしまう。その理由は実に些細なことだった。何かというと・・・

・ラフマニノフは友人であり、ライバルであったスクリャービンの葬儀の後、チャリティーでスクリャービンの作品の連続演奏会を開いた。しかし・・・

・ルービンシュタインが戦後来日して武道館でリサイタルを行った1週間後、同じ武道館でコンサートを行ったのは何と・・・

・ホロヴィッツが亡くなった5日後に起こった世界史的大事件が・・・

2011年7月24日 (日)

私の好きなショパン~「音楽の友8月号」

昨年のラ・フォル・ジュルネの時にもこんな企画がありました。
なぜリストイヤーの今年、音友がアンケートをとったのかわかりませんが、ちょっと分析してみました。

読者アンケートの集計結果は出ていて、応募897名で、1位5点~5位1点と点をつけた順位です。
16位以下は省略。

1 ピアノ協奏曲第1番    1524
2 舟歌                1166
3 幻想即興曲         1046
4 別れの曲           926
5 英雄ポロネーズ       897

6 バラード第1番        687
7 ノクターン第2番       478
8 バラード第4番        358
9 ピアノ・ソナタ第3番     353
10 雨だれのプレリュード   328
11 ノクターン20番       299
12 ピアノ・ソナタ第2番    295
13 幻想ポロネーズ      269
14 ノクターン第13番     266
15 革命のエチュード     265

わかりやすい通俗的な曲と、マニア好みの名曲が入り乱れていて、けっこう節奏のない結果になっています。音友も書いてますが、案外読者層が幅広いようです。

これに対してプロのピアニスト32人へのアンケート結果は集計されていなかったので、チョチョイと集計してみました。点数の付け方は読者アンケートと同じ。ただし横山幸雄さんは好き嫌いは保留していたので除きました。
8点以下で支持2人以下も省略。

1 舟歌              53
2 バラード第4番       42
3 ピアノ・ソナタ第3番         37
4 幻想ポロネーズ             36
5  24の前奏曲                   27
6 ピアノ協奏曲第2番         27
7 ピアノ協奏曲第1番        24

(ここまでが8人以上が支持)

8 バラード第1番              11
9 スケルツォ第4番          11
10 前奏曲25番                  9
11 ピアノ・ソナタ第2番        9
12 幻想曲                        9
13 子守歌                        8
14 マズルカOp.59              8

やはりプロは本格的な曲を選びます。
主に後期の曲が中心。
マズルカも入っています。
ピアノ協奏曲はなんと第2番が勝ちました。
ノクターン、エチュード、ワルツはこの中にはありません。

選んだ人数とかからすると、独奏曲では上位5曲がやはり名曲中の名曲ということになりましょう。
どの曲も、何度聴いても飽きない曲ばかりです。

自分としては、
1 バラード第4番
は間違いないですが、あとは順位のつけようがありません。

2011年5月 3日 (火)

『iPadバカ』(美崎栄一郎)

【送料無料】iPadバカ 【送料無料】iPadバカ

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

著者:美崎栄一郎

出版:アスコム

私のためにあるような本。

タイトルを見た瞬間、買ってしまいました。
すばらしいマーケティングです。

1000冊の本を自炊し(実際は1冊100円で業者に委託)、800本のアプリを実際に使ってみたというiPadを愛する強者。

著者のふるいにかけられたアプリは、結局一般的に評価されているものが多く、私も実際に使っているものともかぶります。

私の場合は、iPadの使い方の可能性についての考察が相当煮詰まってきているところながら、日常に忙殺されて、まだその可能性のすべてを試す機会がなく、ややフラストレーションがたまっていました。

自分でやりたくてできないことを著者は試してレビューしてくれているため、今後の活用法の大いなる参考になりました。

もしかすると、iPadをまだ体験していない方、使い始めたばかりの方には、案外、この「iPadバカ」の世界がイメージしにくいかもしれません。

なにか自分にとって有用な「キラーアプリ」、「キラー使用法」がひとつみつかったとき、あなたも立派な「iPadバカ」の一員になれることでしょう。

ちなみに、美崎氏が直接触れていないことで、私にとっての「キラー使用法」があります。

それは

「楽譜ライブラリーを常時持ち歩く」

ということです。

自分の手持ちの楽譜をスキャンして読み込ませておくもよし、IMSLPからパブリックドメインの無料楽譜PDFファイルをダウンロードしておくもよし、それをGOODREADERで呼び出せば、いつでもどこでも楽譜を開け、練習もできるし、音楽を聴きながらなぞることもできます。

今現在、弾きたい曲から順に30曲くらいが、どの楽譜も「3秒で見られる」状態になっています。

また、感動的なのが譜めくり。 
指先でさっとはじくだけで、次のページが出てきますから、弾く手を休めることがほとんどないし、楽譜がくしゃくしゃになったり、ちぎれたり、汚れたりするのを心配することもありません。

ピアノ人生が変わります。

《IMSLPのサイト》

http://imslp.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8

次の版では、ぜひこういう使い方も紹介していただけたらと思います。

マニアックすぎますかね(^^;)

※以前、iPadで楽譜を見るのは無理でしょう、とご批判いただいたこともありますが、まったくそんなことはありません。
最近は、ミニ楽譜なんてのもありますから、それに比べたら十分大きい。
パブリックドメインの楽譜の一部で、ごちゃごちゃ詰まって印刷されているものはさすがに見にくいこともありますが、概ね大丈夫です。

※欠点としては、書き込みが簡単にできない点でしょうか。
自分なりの運指とか。
先生の注意とか。
それも、PDFの読み込みアプリをいろいろ試せば、解決するかもしれません。

2011年4月21日 (木)

いま聴きたい若き俊英たち@レコ-ド芸術5月号


「レコード芸術5月号」の特集記事です。
20代~30代の注目すべき若きアーティストを紹介しています。

ここ数年で私が聴いた若いピアニストたちもたくさん紹介されていたので、
嬉しくなってまとめてみます。

記事トップは
ユジャ・ワン(87年)。
グラヴィア&インタヴュー付き。
今シーズンは、ブラームスの1番、ベートーヴェンの5番のコンチェルトを演奏するとのこと。楽しみです。

以下、年齢順に。

アレクサンドル・ギンディン(77年、ロシア)
未聴。99年エリザベート2位。
ハビエル・ペリアネス(78年、スペイン)
11年に聴いた。沈潜した曲が良かった。
セヴェリーン・フォン・エッカルトシュタイン(78年、ドイツ)
未聴。03年エリザベート1位。
ヴァシリ-・プリマコフ(79年、ロシア)
未聴。
キリル・ゲルシテイン(79年、ロシア)
未聴。ジャズから転身。10年ギルモア賞。
エフゲニー・ズドビン(80年、ロシア)
11年に聴く。技巧、音楽、集中力一流
プラメナ・マンゴーヴァ(80年、ブルガリア)
09年に聴いた。流麗、華麗。
エドゥアルド・クンツ(80年、ロシア)
13のコンクールで1位。
河村尚子(81年、日本)
09年に聴いた。チャーミングな曲が素敵。
ユホ・ポーヨネン(81年、フィンランド)
たぶんTVで観ている。シフにスカラシップを受ける。
ベルトラン・シャマユ(81年、フランス)
10年のLFJで聴いた。超絶技巧と厚い音楽。
マリヤ・キム(81年、ウクライナ)
未聴。パデレフスキー、スクリャービン1位。
マルティン・ヘルムヘン(82年、ドイツ)
未聴。今月末聴ける。
ラン・ラン(82年、中国)
未聴。エンタテナー。
小菅優(83年、日本)
09年にLFJで聴いた。まだよくわからない。
フランチェスコ・ピエモンテジ(83年、スイス)
未聴。ハスキル2位。エリザベート3位。
アレクサンダー・ガブリリュク(84年、ウクライナ)
09年に聴いた。技巧派。
イリア・ラシュコフスキー(84年、ロシア)
未聴。ロン・ティボー2位。
ラファウ・ブレハッチ(85年、ポーランド)
10年聴いた。繊細系。
ダヴィッド・カドゥシュ(85年、フランス)
10年LFJで聴いた。結構クネクネ系。
ユリアンナ・アヴデーエワ(85年、ロシア)
11年に聴いた。ショパンコンクールと印象が違い、よくわからない。
インゴルフ・ヴンダー(85年、オーストリア)
11年に聴いた。サービス精神旺盛。
フランソワ・デュモン85年、フランス)
11年に聴いた。成熟した大人の演奏。
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(86年、フランス)
08年に出会う。確かな技巧と深い精神性。
ルカース・ヴォンドラーチェク(86年、チェコ)
未聴。ヒルトンヘッド1位。
アダム・ラルム(87年、イスラエル)
10年にLHJで聴いた。Gだったのでまだよくわからない。
カティア・ブニアティシヴィリ(87年、グルジア)
未聴。動画観るかぎり激しく、官能的。アルゲリッチの弟子。
リーズ・ド・ラサール(88年、フランス)
未聴。天才少女。
アレクセイ・ゴルラッチ(88年、キエフ)
09年に聴いた。安定した技術。
ルーカス・ゲニューシャス(90年、ロシア)
11年に聴いた。透明な音色。
ダニール・トリフォノフ(91年、ロシア)
11年に聴いた。個性的な美の表現。
北村朋幹(91年、日本)
未聴。06年浜松4位。
ベンジャミン・グロウヴナー(92年、イギリス)
未聴。EMIからショパン

いやいや、大勢いるものです。
ピアニストを追いかけるだけでも大変です。

2011年4月20日 (水)

吉田秀和翁のユジャ・ワン評@レコード芸術5月号

音楽評論家、吉田秀和氏、齢97歳。
未だに現役で評論活動を続けておられるとは、脅威です。
たまに、コンサート会場などでもお見かけしますが、とても100歳になろうかというご老人とは思えないほど、元気に歩いていらっしゃいます。

目立つので結構気がつくのですが、3月のユジャ・ワンのリサイタルにいらしているのは、気がつきませんでした。

「レコード芸術5月号」の「之を楽しむ者に如かず」で、このユジャ・ワンのリサイタルのレヴューが掲載されました。

実は、何ヶ月か前の同じコーナーで、ユジャ・ワンのCDを取り上げ「中国雑伎団のようだ」という感想を述べていたのが記憶に新しいところです。

翁の1世紀近くに及ぶ音楽体験の中で、ユジャ・ワンは果たしてどう映ったのでしょうか。

氏の主な印象を要約してみます。

演奏は力強く、存在感がある。
スポーツに近い印象を与える。
音が濁らず、澄んだ水の流れのような響きの音楽である。
美しく、精神的内容がある。
技術が鮮やかすぎて、音楽の他の要素が足りない懸念がある。
どの曲もほとんど同じ印象だった。
アンコールは極上のデザートのようだったが、思い出せない。
あと何曲きいても同じだろう。
若い時のアルゲリッチみたいなアウラをもっている

どうやら、吉田氏は一定の驚きをお持ちにはなられたが、最終的には「何曲きいても同じ」と感じられたようです。

確かに、あの日のプログラム、特に後半は、いかにもといった超絶技巧がオンパレードの曲の見本市でした。
技巧が優れていることに驚愕するためにコンサートに通っているわけではないので、いささか食傷してしまったことは否めません。

しかし、曲によっては、技巧の高さが芸術的高みに直結していると思えたし、甘美な曲になったときの、ため息が出るような官能的な表現は、何曲でも聴いてみたいと思わせるのに、私は十分でした。
スクリャービン、ラフマニノフ、グルック・・・

吉田氏は、2009年にヌーブルジェのハンマークラヴィーアの新譜を取り上げて、素晴らしいと言ってくださり、その精神の若さに驚いていました。

ユジャ・ワンに関しては、決して全否定しているわけでもないとは思われるものの、「もう一度聴きたいピアニスト」には現状ならなかったのかなぁ、と感じました。

でも、あれだけ紙面を割いて感想を書いているということは、書くべき事がたくさんあった、ということですから、それさせるだけのインパクトがユジャ・ワンの演奏にはあったことは確かでしょう。

2011年4月 6日 (水)

音友「クラシック音楽ベストテン」

地震のせいなどもあって放置してあった「音楽の友4月号」をやっと少し読みました。

「クラシック音楽ベストテン」という5年に1度の特集があり、好きな演奏家やら楽曲をアンケートをとって集計したものです。

やはりなあ、という結果もあれば、意外だと思う結果もありました。

ピアニストについては

1.マルタ・アルゲリッチ
2.マウリツィオ・ポリーニ
3.クリスティアン・ツィメルマン

うーん。
ツィメルマンは別として、上の2人はここ30年、ほぼずっと同じ。
これだけ趣味が多様化してきた時代でも、やはりか、という感じです。

若手でベスト20に入ったのが、

9.ユンディ・リ
15.ラン・ラン
16.辻井伸行
20.ラファウ・ブレハッチ

もちろん、ヌーブルジェもいなければ、ユジャ・ワンもいなければ、メジューエワもスドビンもいません。
私の中では、もう相当なメジャーになってきているのですが、世評というのを改めて思い知りました。

「音楽の友」など読んでいる人たちは結構なマニアばかりかと思いがちでしたが、あながちそういうものでもないのですね。

よくわからなかったのが、好きなピアノ曲。

1.悲愴ソナタ
2.舟歌
3.月光ソナタ
4.熱情ソナタ
5.ベートーヴェン:ソナタ31番
6.ベートーヴェン:ソナタ30番
7.シューベルト:ソナタ21番

「悲愴ソナタ」というのは、まあ、なんとも不思議な1番です。
いや、名曲だとは思いますが、ここ最近で、何か目立つことがあったのでしょうか?
あっ、「のだめ」か!

「舟歌」は去年のショパン・イヤーの影響でしょう。
「舟歌」がショパンで1番というのが、名曲度は妥当ながら、人気度としてはなんとも意外です。「英雄ポロネーズ」に勝っている。

シューベルトの地味なソナタが上位にいるかと思えば、ショパンの幻想即興曲やリストのラ・カンパネラも20位までに入っている。

バッハはゴールドベルクと平均律。
ゴールドベルクはともかく、平均律って、そんなに皆好きなのでしょうか。
イタリア協奏曲とか組曲系はなし。

ブラームスにいたってはひとつもない。

モーツァルトもトルコ行進曲のソナタのみ。

回答者のいろいろな思惑が、集計に現れているように思えます。

ちなみに、このアンケート、1問につき、5つ回答を書いたらしいです。
好きなピアノ曲5曲を選ぶというのは、実際難しいです。

ここ3年間でiPodの再生回数が多かった曲

1.バッハ:フランス組曲第2番
2.バッハ:パルティータ第2番
3.バッハ:パルティータ第1番
4.バッハ:平均律クラヴィーア 第2巻 第1番
5.バッハ:フランス組曲第6番
6.バッハ:イギリス組曲第2番
7.ショパン:ノクターン 第19番
8.バッハ:平均律クラヴィーア 第2巻 第2番
9.ショパン:ノクターン第21番
10.バッハ:平均律クラヴィーア 第2巻 第6番

好きな曲、というより、はまったアルバム、というところでしょうか。
要はグールドとヌーブルジェだったと。

最近はiPodで聴く機会が減って、You Tubeで聴く機会が増えています。
もちろん集計不能。

私が最近聴くメディア。

You Tube>iPod>コンサート>>>>>>Webラジオ>>>>>TV>>>>CD

音友アンケートでは

CD>コンサート>DVD>TV>FM>iPod>You Tube>インターネット

あー、全くずれてます。

自分が変人だとわかりました(-_-;)

2010年11月 7日 (日)

『言葉にして伝える技術』(田崎真也:祥伝社新書)

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214) Book 言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

著者:田崎真也
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ソムリエがワインについて語るときの表現は、決してその場の思いつきで言っているのではない。
ワインの香りを表現するためには、いくつかの具体的な単語が、ソムリエ間の共通語として決まっている。

例えば、白ワインの香りだとライム、レモン、などの果実の香り、ライラック、ゆりなどの花の香り、ミント、レモンバームなどハーブの香り、などです。

あらかじめ、過去に嗅いだ匂いを、言語化して整理して記憶しておく。
そして、新しいワインの香りを嗅ぐときは、その言語化したデータベースの中から、その香りにあてはまる言葉を選び出して表現する。

だから、ソムリエは、香りの判断するのに、左脳をフル回転させているらしい。実際に田崎氏が頭に電極をつけて脳の活動状態を調べたという。

「言語化を積み重ねていくことで、感覚も養われていく」という記述には勇気をもらいました。

つまり、これ音楽の受容のしかたも全く同じだと思ったのです。ぼーっと聴いて右脳だけで感じていてもなかなか記憶に定着しない。
ところが、クリスタルガラスを鳴らしたような音、だとか、太陽が水面に反射してキラキラしているような感じとかギリシア彫刻のような造形美とか、受け止める印象をその都度言語化していると、音の感覚が言語によって、つまり左脳によって記憶されるのかと。

以前、岡田暁雄氏の「音楽の聴き方」に言語化のことは述べてありましたが、あの本はやや難しかった。この田崎さんの本はとても易しいのでよく頭にはいりました。

もう少し意識的に音楽を言葉で表現することを訓練してみようかという気持ちになりました。

より以前の記事一覧

twitter

2016年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ