ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012(その3)
【その2からの続き】
【室内楽】
数年前に映画『譜めくりの女』の劇中音楽として、ショスタコーヴィッチのピアノ三重奏曲第2番が使われました。それを聴いてからというもの、ショスタコの室内楽に興味が湧き、以来、たまに弦楽四重奏や、ピアノからみの室内楽を聴くようになりました。
そういうわけで、今回もいくつか聴いてきました。
本当ならヌーブルジェの演奏で聴けたかもしれないのにね(=_=)
(ナントではヌーブルジェがクインテットと協奏曲を弾いています)
モディリアーニ・クァルテットで、弦楽四重奏曲の1番とピアノ五重奏曲(ピアノはラルーム)を聴きました。
モディリニアーニは若くて元気のよい楽団。やや音響に恵まれないところはありましたが、すっきりとシャープで明るめの演奏でした。ラルームもまたそういう音ですから、よく溶け合っていたと思います。
ピアノ三重奏曲第2番は、庄司沙矢香(vl)、タチアナ・ヴァシリエヴァ(vc)、プラメナ・マンゴーヴァ(pf)という、豪華3人娘によるものでした。
3人とも技術が抜群なうえに、アンサンブルもよく合っていて、オッと思うちょっとしたアゴーギクなども、ぴったり合わせているのには感心しました。
そして、何と言っても、ひさびさに聴くマンゴーヴァは、実に堂々としていて(体格のことではなく)低音から高音まで、轟強音から微弱音まで、多彩でレガートで美しくよく響く音楽で、他の2人を通奏低音楽器のごとく、しっかりと支えていたのが印象的でした。
チャイコフスキーから1曲、名曲『偉大な芸術家の思い出に』を、トリオ・ヴァンダラーの演奏で聴きました。3人娘を聴いた後だったからか、迫力満点のスリリングな演奏ではあったものの、ピアノの音が大きすぎ、かなり大味に聞こえてしまったのは、いたしかたのないところでしょうか。
【その他】
アンドレイ・コロベイニコフは今回ソロがなかったのが残念でした。
来日自体がなかったヌーブルジェよりは、ずっとましですけど(;_;)。
ホールAで、ドビュッシーのプロメテウス交響曲でコロベイはピアノ担当したものの、さすがに、あの大音量オケの前では自己主張は難しかったようです。
照明による演出、音楽と相まって、すごい効果でした。
ホールAといえば、アニメ付きの『ピーターと狼』は、そのアニメがたいへん秀逸でした。アニメといってもクレイアニメのような感じ(クレイかどうかはわかりませんけど)で異様に凝っていました。生オケ付きのトーキーを観ているといった趣でした。
アダム・ラルームがラフマニノフのピアノ協奏曲1番を弾いたときのオケは、シンフォニア・ヴァルソビア。指揮はジャン=ジャック・カントロフ。
このオケ~ポーランドのオケ~がとても上手で、オケ感受性音痴の私でも、弦の気品のある響きと、管の肺活量があるふくよかで安定した音にはうっとりしました。カントロフの指揮もとても上品。あの終止のしかただけでも、とろけてしまいそうでした。
疲れたものの、とても楽しめた3日間でした。
来年は、どうやら、フランス・スペイン音楽ということです。
またまた日本人にはなじみが薄いジャンルかもしれません。
運営的にもぼちぼち曲がり角にきているようですが、なんとか継続させるべく、知恵を絞っていただきたいと思います。
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