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2012年2月29日 (水)

『ピアニストの脳を科学する』(古屋晋一:春秋社)(新刊)

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ピアニストの超絶技巧は、どのような脳や神経や筋肉のメカニズムから生まれるのでしょうか。
ピアニストの指の筋肉は、一般人に比べて決して強いわけではないらしい。
では、どうして?

また、ピアノを練習する際にうるさく言われる「脱力」とはいったいどういう物理現象をいうのか。
わがジャン=フレデリック・ヌーブルジェのような「硬質な音」と、つい先日、強烈な感銘を受けたラリッサ・デードワのような「柔和な音」との違いは、どういうタッチの違いから生じるのか?
ピアノの「音色」ということがよく言われるけれども、本当にそんなものがあるのか?
音楽の感動とは、どのような演奏によって引き起こされるのか?

こういう疑問は、ある程度経験的にわかるものもあるし、ピアノの師匠からもそれなりの理屈を教わったりもします。
しかし、それらは科学的な知見に裏付けられたものとは、必ずしもかぎりません。
ピアノの技術は、伝統的に師匠から弟子へと伝承されてきた、秘技のようなものです。

このような疑問を本気で科学的に解明してみたいというところから出発して、「音楽演奏科学者」という肩書きを持つにいたったのがまさに本書の著者です。
古屋氏は3歳からピアノを始め、大学生の時、練習で手を痛めてしまってから、ピアノを弾く身体の働きに対する興味が増していき、とうとう、工学・医学の道に進んだということです。

述べられていることは、経験に基づく教えや実感を裏付ける内容といえましょう。
実は、脳の働きが重要、ということは、本格的な師匠についてから、私自身もなんども教えてもらいました。
練習は筋力を鍛えるものではなく、脳と指の筋肉とを結ぶ神経回路をきっちり結びつけるためのものであるということ。
そのために行うべき練習は、決して闇雲にハノンを弾くことではない

ある種の練習を5分行うだけで、今まで弾けなかったパッセージが突然弾けるようになる。
まさにそれは筋力の問題ではなく、脳の問題であることの証左にほかなりません。
こんなことを何度も経験しています。

もちろん、幼少の時に、ある程度の量の練習を積むことは、脳の発達という意味において、大きな意味があることは、本書においても悲しくなるくらい、科学的なデータに基づき、述べられています。

かといって、大人になってからの練習がまったく無駄かというと、そういうことではなく、それなりに、脳をきちんと刺激する練習が積めれば、上達も夢ではないようです。

幼少期のピアノ教育をどう考えるか、プロやプロを目指す人のピアノの練習過多による身体の怪我をどう防ぐか、大人になってからの趣味のピアノの練習をどう効率的に行うか、など、いろいろな立場のピアノ弾きにとって、本書は多くの示唆を与えるものであることでしょう。

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