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2011年12月 7日 (水)

ミハイル・ヴォスクレンスキー ピアノリサイタル@東京文化会館小ホール

モスクワ音楽院教授で、去年のショパンコンクールで話題となったニコライ・ホジャイノフの師匠でもある、ヴォスクレンスキーを初めて聴いてきました。
1935年生まれの76歳、大ベテラン。
ベートーヴェン後期三大ソナタという、奥深いプログラム。

のはずでした。

【前半】
ベートーヴェン:
 ピアノソナタ第30番 ホ長調 op.109
 ピアノソナタ第31番 変イ長調 op.110

【後半】
ベートーヴェン 
 ピアノソナタ第32番 ハ短調 op.111

【アンコール】
シューマン:「森の情景」から第7曲「予言の鳥」
リスト:ハンガリー狂詩曲第11番

ベートーヴェンはとても骨太な音と音楽でした。

後期のソナタ、特にホ長調や変イ長調などは、ベートヴェン的な英雄性や外面的華々しさが蔭をひそめ、内省的かつロマン性をおびてきていますから、そういう面を重視する慈しむように弾くスタイルが多い気がします。

ヴォスクレンスキーは、いや、ベートーヴェンはベートーヴェンなのですよ、とでも言うように、タッチは深く芯があり、響きは朗々として分厚く、スケールの大きさを感じさせる表現をとっています。

そのアプローチはホ長調の変奏曲の盛り上がり部分や、変イ長調のコーダの部分などで、すばらしい効果をあげていました。

また、ハ短調ソナタの第1楽章の音の厚みのある迫力は、なかなか他のピアニストでは体験できない世界でした。
これぞベートーヴェンとでもいうべき、男性的な魅力にあふれていました。
第2楽章は非常にゆっくりとした主題の提示から、徐々に音楽は高揚し、昇天トリルで天の世界へと導いてくれました。

お弟子のホジャイノフもそうですが、少しリズム感がモッサリしたところがあるものの、停滞感を感ずるほどではありません。
また、メカニック的にはお歳がお歳だけに、だいぶ瑕疵はあったと思います。
しかし、それを補ってあまりある音楽性にあふれていました。

と、ここで終わればとても素晴らしいコンサートだったのですが・・・

お歳であるし、ベートーヴェンの後期三大ソナタをやったら、まずアンコールはないだろう、という予想に反し、あっさりアンコールが始まりました。

まずはシューマンの予言の鳥
これは、とても力が抜けていて、音は本編以上と思えるくらいに美しく、曲想も穏やかでしたので、まあ、ベートーヴェンのデザートとして許容できました。

そして、最後がいけませんでした。
なんと、喝采に応えて、リストのラプソディーが始まってしまいました。
別に、リストの曲自体が悪いとはいいません。
しかし、リストのこの手の曲はどちらかというと、芸術性より、エンタテイメントの要素が強い曲。しかも、メロディーは、楽しいけれど、正直お世辞にもスマートとはいえない代物。
酒でも飲んでほろ酔いの状況で、やいのやいのと、聴きたいような曲です。

半年前からチケットを用意し、年末にベートーヴェン後期ソナタという“ハレの日”を想定し、心の準備をする。
そして、仕事の予定を調整し、時間とお金をかけ上野まで足を運ぶ。
心を落ちつけ、最初の一音を待つ。
最後、あー、良かったと満足して大きな拍手を送る。

と余韻に浸っているところに、

「なーーーーんちゃって!!!!!!!」

すべてが台無し、興ざめの一夜となってしまいました。

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コメント

よこよこさま:

コメントありがとうございましたm(_ _)m
アンコール、難しいですね。
プログラムがコンセプチュアルであると余計ですね。

聴衆のおねだりもどうかと思います。
5曲も6曲も弾かせるのは(弾くのは)ちょっとどうかと思ってしまいます。

プログラムの余韻を邪魔しない程度の小曲を、1曲くらいでさっと
きりあげてもらえるのがスマートだと、最近思います。

まいくまさん
鋭い演奏批評に共感出来ることも多く、
いつも楽しく読ませていただいています。
アンコールに関しては、難しいものがありますね。
いつまでも「おねだり」し続ける聴衆に、
演奏者側の残念なことも…。
私は、本プログラムが終わったら、このアンコール時間帯
苦痛なことが多いので、なるべく席を立つようにします。
予約時に列の端っこの席を取り、迅速に(笑)行動出来るよう…
なんでそこまでしなきゃならんのか、と思いつつ。
でも、ホントに、
「プログラム(=演奏者)生かすも殺すもアンコール」
ですね。標語みたいですが。

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