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2011年12月の6件の記事

2011年12月31日 (土)

2011年 ベスト・ピアノ・コンサート

本格的なライヴ通いを始めて4~5年経ちました。
今年もたくさんのピアニストに出会いました。
聴いたことがないピアニストを優先で通っている、ということもあります。
そして、才能あふれる若いピアニストをみつけるのがとても楽しみになっています。

今年は残念ならヌーブルジェの来日はありませんでした。
しかし、いくつもの素晴らしい演奏を体験することができました。

1月
アリス=沙羅・オット
エレーヌ・グリモー
エフゲニー・スドビン
ユリアンナ・アブデーエワ
ダニール・トリフォノフ
インゴルフ・ヴンダー
ルーカス・ゲニューシャス

2月
中野翔太
長富彩
アンドラーシュ・シフ
デニス・コジュヒン

3月
パヴィエル・ペリアネス
ユジャ・ワン
イリーナ・メジューエワ
エフゲニー・ザラフィアンツ

4月
河村尚子
マーティン・ヘルムヘン

5月
シャニ・ディリュカ
北村朋幹
広瀬悦子
相沢吏江子
フランク・ブラレイ
フローラン・ボファール
アンドレイ・コロベイニコフ
ルイス・フェルナンド・ペレス
パーヴェル・ネルセシアン
リーズ・ド・ラサール
ビョートル・アンデルシェフスキ

6月
ニコライ・デミジェンコ
イリーナ・メジューエワ
フランチェスコ・トリスターノ
アレクサンダー・ガブリリュク

7月
藤原由紀乃
佐藤彦大
サー・チェン

8月
イリーナ・メジューエワ
パーヴェル・ネルセシアン
アンドレイ・ピサレフ
ピーター・ゼルキン

9月
ダニール・トリフォノフ
鷲見加寿子
浜尾夕美
レイフ・オヴェ・アンスネス
ブルーノ・レオナルド・ゲルバー

10月
ケマル・ゲキチ
ハオ・チェン・チャン
シプリアン・カツァリス
河村尚子
内田光子
北村朋幹

11月
金子三勇士
奥村友美
アレクサンダー・ムトゥッキン
ソン・ヨルム
クシシュトフ・ヤブウォンスキ
内田光子
イリーナ・メジューエワ
ダヴィッド・フレイ
ミシェル・ベロフ

12月
ミハエル・ヴォスクレンスキー
アレクセイ・リュビモフ
エフゲニー・ザラフィアンツ
アンドレイ・ピサレフ
セルゲイ・シェプキン

これだけ聴いて、ベストを決めるのは普通大変だと思いますが、今年はすんなりです。

なんといっても、12月に聴いたアレクセイ・リュビモフです。
シューベルト即興曲全曲。
泣きました。とにかく、ボロボロ泣きました。
この「ロシア・ピアニズムの継承者たち」シリーズは今後も非常に注目です。

あと印象的なのを思い出すと・・・

皆、印象的だ!
これ以上選べません。

なんだか最近、演奏の受容の幅が広がったというか、いろいろな個性を楽しめるようになってきた気がします。

しかたないので、感動のタイプ別に分けてみました。

1.泣かされる
まずは、リュビモフ。即興曲D899-3でボロボロ。
スドビン、スカルラッティL118でやられました。
シャニ・ディリュカ、ブラームスOp.118-2でキュン。
ニコライ・デミジェンコ、リストソナタでこんなに泣かされるなんて。

2.技巧に酔いしれる
泣く子もだまるユジャ・王。おみそれしました。
強烈ガブリリュク。怪我をしたとは思えない。
顔色ひとつ変えないピサレフ。音楽性も抜群。
若さはつらつ、ハオ・チェン・チャン。
韓流スネーク、ソン・ヨルム。繊細さもあり。

3.美しい
シフのシューベルト、ベーゼンドルファーの繊細な響き。
ルイス・フェルナンド・ペレス、電気的なありえない響き。
シェプキンのゴールドベルク、究極の美意識。

4.とにかく上手い
シフのバッハ平均律、神。
内田光子のシューマン、ブラームスクインテット、神。
ヤブウォンスキのベートーヴェン、神。

5.奇才
グリモー、ホールが壊れそうでした。
トリフォノフ、美しいけど逝ってます。
トリスターノ、内部奏法の嵐。
ゲキチ、リストが憑依。

6.ほのぼの
コジュヒン、厚く温かい。
奥村友美、優しく心地良い。

7.オシャレ
河村尚子、飛んだり跳ねたりチャーミング。
ブラレイ、仏流デリカシー。
カツァリス、茶目っ気もあり。

8.繊細
ネルセシアンの四季。
フレイのバッハ。

来年も、また様々な個性に出会えることを祈って今年最後の記事とします。

2011年12月20日 (火)

アンドレイ・ピサレフ ピアノ・リサイタル@ザ・フェニックスホール

2011年12月18日(日) ザ・フェニックスホール@大阪

ピサレフせんせも生身の人間でしたf^_^;)
でもやはり凄い。

【前半】
ショパン:
 ポロネーズ 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
 24の前奏曲 Op.28

【後半】
リスト:
 「詩的で宗教的な調べ」S.173から 第3番「孤独の中の神の祝福」
 コンソレーション 第3番
 「巡礼の年第3年」S.163から 第4番「エステ荘の噴水」
 メフィスト・ワルツ 第1番 S.514

【アンコール】
リスト:「愛の夢」3つのノクターン S.541から 第3番 変イ長調
リスト:「パガニーニによる超絶技巧練習曲集」から第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」

チャイコフスキー:「四季」Op.37から「12月:クリスマス」

最近、まとまった文章を書くことが辛くなってきているので、ごく断片的に。

・英雄ポロネーズ
遅れてくる人のために、あえて24の前奏曲の前に入れたとのこと。
指ならしとしては、ちょっと難しい選曲でしたでしょうか。
前日に来日したばかりで、体調もまだ万全でないようでした。
でも、ああいう、前へ前へという推進力を持つ演奏は、好きです。

・24の前奏曲
とても深くてしっかりしたタッチ。
男性的で絢爛豪華なショパンでした。
まだ調子が今ひとつでした。

・孤独の中の神の祝福
曲想のせいもありましょうが、ようやく落ち着かれたようでした。
指が鍵盤に吸い付くようで、柔和で優しく、そして敬虔でした。
胸が詰まりました。

・コンソレーション 第3番
さらに繊細さが増します。
微動だにしない上半身、鉄仮面のような表情、インテンポで端正な表現から、なんという美しい叙情が醸し出されるのでしょうか。

・エステ荘の噴水
コンソレーションからアタッカで始まり、うって変わって明確なタッチ。
まぶしい。目眩く。色が溢れかえる。
ピサレフの美意識の世界に完全に取り込まれてしまいました。

・メフィスト・ワルツ
前半の不調からはかなり立ち直り、超絶技巧を披露してくれました。
圧倒的なディナーミクの変化、色彩感の表出の見事さといったら筆舌に尽くせません。

・愛の夢 3番
早めのテンポで、ベタベタしない爽快な愛の夢でした。

・ラ・カンパネラ
何なのですか、あの音色は!
ピアノの音がほとんど鐘の音に変じきっていました。

・四季 12月
一転、脱力して、軽やかかつナチュラル。
ほのぼのとした詩情。
うっとりしました。

というわけで、機械のように完全無欠だった8月のカワイパウゼでのハーフリサイタルとは違い、技術的にはやや不調だったようですが、後半はだいぶ立ち直っていただき、感動的なリストを聴くことができました。

ずっとリストは苦手で、聴かずぎらい、ということもありました。
今年、アニバーサリーということでたくさん聴くことになり、最後にこんな素晴らしい演奏に接することができ、ようやく、親しくなれたような気がします。

※フェニックス・ホールは小さなホールなので、非常にダイレクトな大音量に包まれます。ややデッドで乾き目の音でした。

※ピサレフの演奏姿勢はまことに美しい。上半身は安定して身じろぎもしない。指は鍵盤に吸い付くようで、全く無駄がありません。弾く姿、指の運動を見ているだけで、その美しさに魅了されてしまいます。

2011年12月10日 (土)

【webラジオ】リスト・ピアノ協奏曲第1番&第2番byヌーブルジェ

ツィッターで教えていただいた情報です。
2011年12月8日に行われたコンサートのライブの模様。

今のところアーカイヴで聴く事ができます。

http://www.rtbf.be/radio/player/musiq3?id=1465623

ハァ~~

ヌーブルジェの音です。
間違いない。

いつになったら生で聴けることやら。

指揮者はアントニ・ヴィット。ショパンコンクールで振った方です。

【配信内容】
Program this Thursday, December 8, 2011 8:00 p.m.

Live from Liege the OPRL led by Antoni Wit - Jean-Frederic Neuburger, piano

Mieczyslaw Karlowicz - Stanislaw and Anna Oswiecimowie op. 12 .
Franz Liszt - Piano Concerto No. 1 .

Intermission: Ludwig Thuille - Excerpt from Sextet in B flat major. op.6 . Together Quartz. Quartziade.

Franz Liszt - Piano Concerto No. 2 .
Franz Liszt - Tasso, Lamento e trionfo, symphonic poem .

2011年12月 9日 (金)

アレクセイ・リュビモフ ピアノリサイタル@すみだトリフォニーホール(速報)

2011年12月9日(木)

本来今年の4月に行われるはずだったリサイタルでしたが、さすがに震災直後で、延期されていたものでした。

よくぞ「中止」でなく、「延期」として来日してくださいました。
リュビモフさま。
1944年生まれの67歳。かのゲンリヒ・ネイガウスの最後の弟子の一人。

今年最高というべき演奏を聴かせていただきました。
ありがとうございましたm(_ _)m

まずは全体的な感想を。

【前半】
シューベルト:
 即興曲集 D899
  第1曲 ハ短調、第2曲 変ホ長調、第3曲 変ト長調、第4曲 変イ長調

 さすらい人幻想曲 ハ長調 D760

【後半】
シューベルト
 即興曲集 D935
  第1曲 へ短調、第2曲 変イ長調、第3曲 変ロ長調、第4曲 へ短調

【アンコール】
モーツァルト:ピアノソナタ ハ長調 K.545 第1楽章
ドビュッシー:「ピアノのために」第1曲
スクリャービン:「2つの詩曲」から嬰ヘ長調
ドビュッシー:前奏曲集第1巻から「沈める寺」

シューベルト。
これが、シューベルトです。
儚く、切なくも美しい。

常に“死”と隣合わせで、寂しく微笑んでいる。

あふれる涙を止めることができませんでした。

純化した美。
その美は官能的というようなそれではなく、精神がぎりぎりに研ぎ澄まされ、到達したところの美。

できることなら、アンコールではもう一度899-3を聴きたかったです。

だって、ほとんど泣きっぱなしで、冷静に聴けてなかったものですから。

でも、雰囲気もタッチも変わったアンコールもまた素晴らしく、一晩で毛色の違ったコンサートを2つ体験してしまった気分です。
ドビュッシーなどは、どうも表面的な音楽の美しさしか感じず、苦手だったのですが、そうではない、心に届くものなのだ、ということがわかりました。

アレクセイ・リュビモフ。
今後来日の際には、絶対に追いかけて聴きたいです。

2011年12月 7日 (水)

ミハイル・ヴォスクレンスキー ピアノリサイタル@東京文化会館小ホール

モスクワ音楽院教授で、去年のショパンコンクールで話題となったニコライ・ホジャイノフの師匠でもある、ヴォスクレンスキーを初めて聴いてきました。
1935年生まれの76歳、大ベテラン。
ベートーヴェン後期三大ソナタという、奥深いプログラム。

のはずでした。

【前半】
ベートーヴェン:
 ピアノソナタ第30番 ホ長調 op.109
 ピアノソナタ第31番 変イ長調 op.110

【後半】
ベートーヴェン 
 ピアノソナタ第32番 ハ短調 op.111

【アンコール】
シューマン:「森の情景」から第7曲「予言の鳥」
リスト:ハンガリー狂詩曲第11番

ベートーヴェンはとても骨太な音と音楽でした。

後期のソナタ、特にホ長調や変イ長調などは、ベートヴェン的な英雄性や外面的華々しさが蔭をひそめ、内省的かつロマン性をおびてきていますから、そういう面を重視する慈しむように弾くスタイルが多い気がします。

ヴォスクレンスキーは、いや、ベートーヴェンはベートーヴェンなのですよ、とでも言うように、タッチは深く芯があり、響きは朗々として分厚く、スケールの大きさを感じさせる表現をとっています。

そのアプローチはホ長調の変奏曲の盛り上がり部分や、変イ長調のコーダの部分などで、すばらしい効果をあげていました。

また、ハ短調ソナタの第1楽章の音の厚みのある迫力は、なかなか他のピアニストでは体験できない世界でした。
これぞベートーヴェンとでもいうべき、男性的な魅力にあふれていました。
第2楽章は非常にゆっくりとした主題の提示から、徐々に音楽は高揚し、昇天トリルで天の世界へと導いてくれました。

お弟子のホジャイノフもそうですが、少しリズム感がモッサリしたところがあるものの、停滞感を感ずるほどではありません。
また、メカニック的にはお歳がお歳だけに、だいぶ瑕疵はあったと思います。
しかし、それを補ってあまりある音楽性にあふれていました。

と、ここで終わればとても素晴らしいコンサートだったのですが・・・

お歳であるし、ベートーヴェンの後期三大ソナタをやったら、まずアンコールはないだろう、という予想に反し、あっさりアンコールが始まりました。

まずはシューマンの予言の鳥
これは、とても力が抜けていて、音は本編以上と思えるくらいに美しく、曲想も穏やかでしたので、まあ、ベートーヴェンのデザートとして許容できました。

そして、最後がいけませんでした。
なんと、喝采に応えて、リストのラプソディーが始まってしまいました。
別に、リストの曲自体が悪いとはいいません。
しかし、リストのこの手の曲はどちらかというと、芸術性より、エンタテイメントの要素が強い曲。しかも、メロディーは、楽しいけれど、正直お世辞にもスマートとはいえない代物。
酒でも飲んでほろ酔いの状況で、やいのやいのと、聴きたいような曲です。

半年前からチケットを用意し、年末にベートーヴェン後期ソナタという“ハレの日”を想定し、心の準備をする。
そして、仕事の予定を調整し、時間とお金をかけ上野まで足を運ぶ。
心を落ちつけ、最初の一音を待つ。
最後、あー、良かったと満足して大きな拍手を送る。

と余韻に浸っているところに、

「なーーーーんちゃって!!!!!!!」

すべてが台無し、興ざめの一夜となってしまいました。

2011年12月 6日 (火)

ダヴィッド・フレイ ピアノリサイタル@さいたま芸術劇場

2011年11月26日(土)

さいたま芸術劇場の名企画、ピアノ・エトワールシリーズのVol.16は、1981年フランス生まれのピアニスト、ダヴィッド・フレイの日本初ツァーでした。

【前半】
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 ニ長調 KV 311
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番 ニ長調 作品28 「田園」

【後半】
モーツァルト:幻想曲 ハ短調 KV 475
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 作品53「ヴァルトシュタイン」

【アンコール】
シューマン:《子供の情景》より〈眠っている子供〉、〈詩人のお話〉
バッハ:《パルティータ第6番》より〈アルマンド〉
シューマン:《子供の情景》より〈見知らぬ国〉

フレイは、背もたれつきの椅子が好きのようで、最初は背もたれにもたれかかりやや後傾の姿勢で弾き始め、曲が進むにつれ、徐々に身体を起こしていきます。
演奏姿勢が少しグールドを彷彿とさせるところがあるものの、表現はまったく違います。グールドの再来というのはちょっと当たらないと思います。

グールドとの比較で言えば、グールドは古典派の曲は非常に明晰にさっぱり明るく活発に弾きますが、フレイは全く逆。暗いわけではないものの、テンポは落とし、一音一音確かめるように、内に籠もった弾き方をします。
あまり聴衆を意識しないような、作曲家と孤独に対話をしているようです。

音質は非常に繊細で美しい。

本来ギャラントなモーツアルトの311のソナタが、渋く内省的な曲として表現され、それは続くベートーヴェンの田園ソナタでも同様でした。
どちらも地味目のソナタであるのが、フレイの個性にぴったりはまっていた気がします。
変わっていましたが、とても良かったです。

後半のメジャーな曲になると、フレイもだいぶヴィルトゥオジティを意識した弾き方となり、時としてピアノが揺れるような大爆発もありました。

でも、どうも私はフレイは無理をしているような気がしてなりませんでした。
特にワルトシュタインのような華々しい曲が、果たして彼に合っているのかどうか疑問です。
ベートーヴェンだったら、きっと後期のソナタはとても上手なのではないかな、と感じたものでした。

アンコールは非常に感銘を受けました。
美しく、切なく、心にしみる。
シューマン、バッハとも、フレイの真骨頂はここにある、と得心しました。
特にバッハは、ペダルを多用し響きを重視した現代的な表現ですが、天にも昇るような心地よさでした。

またまた若くて才能のあるピアニストをひとり知ることになりました。
次もぜひ聴きたいリストに追加です。

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