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2011年11月 6日 (日)

ソン・ヨルム ピアノ・リサイタル@オペラシティコンサートホール

一昨日、横浜のイベントコンサートで彼女を聴いて、これは本格的リサイタルも聴きたいと思い、当日券で聴いてきました。
今晩はあちこちで良いコンサート目白押しだったせいか、かなり席に余裕がありました。

【前半】
バッハ/ペトリ: カンタータ BWV.208「羊は安らかに草を食み」
ドビュッシー: ベルガマスク組曲
シチェドリン: チャイコフスキーエチュード
ショパン: アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22

【後半】
カプースチン: 変奏曲 op.41
リスト: ピアノソナタ ロ短調 S.178

【アンコール】
リスト: 「スペイン狂詩曲」より
カプースチン: ソナチネ
チャイコフスキー: ノクターン op.10-1

一昨日はヤマハのCFXでしたが今日はスタンウェイ。最初のバッハは同じ曲だったので、違いがとてもよくわかりました。ヨルムさんにはスタンウェイのクリスタルな響きがお似合いです。
完全に脱力された、優しく繊細な音で静かにドラマの幕が開きます。

ドビュッシーは前曲に引き続き彼女の弱音の美しさを堪能できました。
ガラスがきらめくような、羽ばたくような軽いタッチ。官能的とも言える響きがホールを満たします。素敵なアートは感覚に訴える力を持っています。

シチェドリンは今年のチャイコフスキーコンクールの課題だった新曲。ヨルムさんが賞を取っています。現代曲らしい響きと、超絶技巧。「四季」が見え隠れする楽しい曲でもあります。いよいよ本領を発揮しだします。

前半最後はショパン。良い選曲だと思いました。彼女の特徴を最大限発揮できそう。思ったとおり、アンダンテスピアナートは弱音の美しさ、繊細さ、しっとりとした叙情を十分に表現し、一転、ポロネーズでは抜群の運動能力でダイナミックな演出。とかく冗長になりやすいこのポロネーズ、リズムやディナーミクに様々な工夫を凝らして飽きる隙を与えません。
途中から、どうも高音域の弦の調律が狂ってしまったのが非常に残念でした。彼女も弾きにくそうでした。

後半、リストの大曲の前に、カプースチン。何という意欲的なプログラムでしょうか。チャイコフスキーコンクールで審査員を驚かせた、ほとんどJAZZと言える曲。たまには新鮮です。強拍を手前に引き込むような独特のタッチ、これは後の曲でも使われました。

今日のメインのロ短調ソナタ、いったい今年何回目でしょう。もの凄い集中から最初の音は気持ち長めのスタカートで始まります。主題は乾きめに。
そして空間に大きく放たれる和音。
少々外れようがどうだろうが、200%というくらいの圧力で、腰を浮かせ、全体重を鍵盤に掛ける。
あそこまでやると、普通だったら音は割れ、きたなさが出るところでしょうが、確かに荒さは出るものの、不思議とさほどきたなさを感じません。
叩きつけているようで、実は相当音の響きに気を使っていることでしょう。ピアニシモをあれだけ美しく響かすのですから。
弱音で歌う部分はデミジェンコ級に美しく、左右に駆け巡るスケールは、ゾクゾクするほどの魅力。大音量の和音の嵐では、いよいよホールが音で充満し、オーケストラのトゥッティの大音量を聴いているような錯覚に陥りました。
究極の激しさと、壊れそうな優しさの同居。地獄と天国の対比とでもいうのでしょうか。
今年聴いた中でも圧巻というべき演奏でした。

アンコール最初は、スペイン狂詩曲の後半の部分。この曲、ヨルムさんのためにあるようだと思いました。
繰り返しになりますが、スケールの上手さといったら、天下一品。
彼女は自分をよく知っています。
再びカプースチンのJAZZ風の小曲でなごみ、最後はチャイコフスキーで優しくクールダウンして終了。おや、逆回しのような構成、洒落た演出でした。

ソン・ヨルムさん、新たなスターの誕生です。

※チャイコフスキーコンクールの配信では、ここまでの音の美しさや、凄みがわかりませんでした。今後、安易に配信だけ聴いてわかった気になってはいけないと、深く反省しています。

※トリフォノフがよく勝てたと思いました。メカニックでは彼女に安定感と凄みがあるように思います。どう転んでもおかしくない、ハイレベルなコンクールだったのですね。


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コメント

こっこさん:

さすがに疲れました(^^;)
内田光子さんでイライラしてしまったのは、そのせいもあるかもしれません。

あーオペラだったんですね。てっきり上野かと思ってました。
連チャンの体力、恐れ入ります。

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