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2011年11月 5日 (土)

クシシュトフ・ヤブゥオンスキ ピアノ・リサイタル@東京文化会館小ホール

2011年11月4日(金)

1985年、ブーニンが優勝したショパンコンクールの時3位だったヤブゥオンスキ。コンクールのドキュメンタリーがテレビ放映され、それに出ていたのを覚えています。
最近日本で格安のコンサートをしばしば開いているのは知っていましたが、安過ぎて敬遠していた面がありました。
大失敗でした。もっと早く聴いておけば良かったです。

【前半】
ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 Op.20
ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39
ショパン:スケルツォ 第4番 嬰ハ短調 Op.54

【後半】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」

【アンコール】
ラフマニノフ 楽興の時 第3番
スクリャービン エチュード op.2-1
ショパン エチュード op.10-12 「革命」

ステージに登場したヤブゥオンスキは、190cmはあろうかという大柄な紳士で、恰幅も相当よろしい。
さぞや大音量を奏でるのだろうと、スケルツォ第1番の出だしのフォルテシモの和音「ターーーン」を待ちます。
ところがそのふくよかで大きそうな手が鳴らした音は意外にもおとなしい。
 
 きつさのない、流れるような演奏です。力を半分しかいれていないようにも見えます。フォルテシシモであっても、大音量とせず、ショパンを叩いてはいけません、と教えてくれているようです。

 音質はクリアで明るく、細部まで明瞭な音が聞こえます。ピアニシモはソフトでデリケート。ペダル控えめながらレガートのタッチが絶妙。
 どの曲も中間部でぐっとテンポを落とし、ソフトに、ほのかな詩情を奏で、一抹の寂しさも醸し出ており素敵です。

 極めてオーソドックスで奇をてらわず、びっくりさせるようなことはありません。しかし、説得力は抜群。
 最後の普通なら突き放してしまうような一音も、えっ!というくらい大事に、控えめに終わる。スマートです。

 後半のベートーヴェンは明らかにタッチを変えてきます。音に太さがあり、響きも朗々としてきます。ショパンの時より、音の透明感は抑えてきました。力の入れ具合はベートーヴェンでも80%くらいの感じです。

 テンペストは早めのインテンポで小気味良い。第2楽章はまたソフトでしっぽり。第3楽章は再び早め、ソフトなレガート、音域により音色の使い分けで旋律が語り合うようです。最後だいぶ興がのってきたのか、幾分アップテンポにぐいぐい押していきました。

 熱情ソナタは、厚みのある豊かな音量、抱かれるような大きさです。第1楽章がこんなに心地良かったことは初めて。
 第2楽章は、早くもなく、遅くもない絶妙のテンポ。インテンポを守り、実に美しい落ち着いた響きでうっとりします。
 慌てない第3楽章。すべての音が明晰に聞こえます。安定感のあるテンポ、豊かな響き、テンペストでも感じた、音域による音色の使い分け。
 コーダも暴走しすぎず、しかし十分速く、こんな音だったんだ、というくらい、まったくごまかしがなく弾ききる。ブラボー。

 アンコールのラフマニノフ楽興の時第3番。いよいよ音が分厚く、渋く。なぜこんなに弾き分けられるのでしょう。深く沈潜し、泣かせられました。
 スクリャービンになると、またまたタッチをクリアに変えてきます。控えめな叙情がこれまた素晴らしい。
 おねだりに応えて革命のエチュード。これはもうサービスでしたね。乾きめのペダリングで猛スピードで駆け抜け。

ポーランド人で、かのヤシンスキのお弟子ですから、ショパンな人かと思っていましたが、ベートーヴェンやラフマニノフがこんなに良いとは思いませんでした。

今後もぜひ聴き続けたいです。

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コメント

みるてさま:

コメントありがとうございましたm(_ _)m

ライヴ通いが多くなってまだ数年しかたちませんので、
まだまだあまり知られない才能が世界にはたくさんいるのだろう
と、最近つくづく思います。

ヤブウォンスキ、ブラームス良さそうですね。
来年もぜひ足を運びたいと思います。

お邪魔します、みるてです。
ヤブウォンスキはとてもいいピアニストなのに日本ではほぼ知名度がなくて悲しい思いをしております。
気に入っていただきましてありがとうございます!
彼のラフマニノフのコンチェルトもすばらしいのですよ。
ドイツ物はブラームスも似合うし、ロシア物はとても素敵な雰囲気になります。
来年の来日も決定しています。ぜひ来年もどうぞごひいきに。
ヤブウォンスキの私設回し者みるてでした。

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