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2011年11月の11件の記事

2011年11月19日 (土)

ヌーブルジェとファジル・サイがどうこうしたという・・・

最近の海外情報で、ヌーブルジェがファジル・サイにどうのこうの、とあって、英語を即座に思い出せなかったので、何だ!と思ってしまいました。

ジャズのセッションができてしまう2人ですから、何かあったのかと。

真相は何てことありませんでした。

バルセロナでファジル・サイが出演予定だったコンサートに体調不良で出られなくなり、その代役で、急遽ヌーブルジェがモーツァルトの23番のコンチェルトを弾くことになった、というニュースでした。

ヌーブルジェ、噂によると、来年のシーズン、つまり2012年9月~に来日するかもしれないとのことです。

サントリーホールの予定では、2012年12月までは名前がありませんでしたので、サントリーでやるとしたら、2013年1月以降になってしまうのでしょうか。

その前に、5月のラ・フォル・ジュルネには来日してくれるのでしょうか。

2011年11月15日 (火)

ピアニストは内田光子やブーニンだけではない、アンドレイ・ピサレフ@大阪

芸術の秋真っ盛り、著名な海外ピアニストが続々と来日し、政治や経済状況がまったく冴えない日本の状況の中、クラシック・ピアノファンは至福の時を過ごせています。

先日の内田光子さんはじめ、昨年のショパンコンクール優勝者のユリアンナ・アブデーエワも来ましたし、おなじみのスタニスラフ・ブーニン、久々のマレイ・ペライアもありました。
アシュケナージは息子さんとデュオをしました。
今週には昨年のジュネーブ優勝の萩原麻未さんが登場しますし、奇才ヴァレリー・アファナシエフの、おどろおどろプログラムもあります。
韓国の若手、チョ・ソンジン君もあれば、フランスのベテラン、ミシェル・ベロフもある。

オケでは、先月エッシェンバッハウィーン・フィルが来て、ラン・ランと共演しましたし、今月は、サイモン・ラトルベルリン・フィル。ここのところは、サンクトペテルブルク・フィルが演奏していましたっけ。

チェロのヨーヨーマも来ていることを知りました。

さて、上に書いたアーティストたちは、そこそこメジャー路線の方たちばかりです。
しかし、しかし、世の中には、ひっそり目立たないけれど、実はたいへんな実力の持ち主で、聴く者のハートを捕らえて離さない演奏ができる、素晴らしいピアニストがたくさんいるのです。

イリーナ・メジューエワしかり、クシシュトフ・ヤブゥオンスキ(

あのブレハッチの兄弟子です)しかり。

そして、12月に大阪でリサイタルを行う、アンドレイ・ピサレフ

Photo_3

類い希な技術の確かさ、七色の音色を使い分ける魔術師。
モスクワ音楽院の名教授セルゲイ・ドレンスキーの愛弟子で、現在音楽院教授です。

まさにそういった隠れた逸材です。

まだまだチケットに余裕があるそうなので、関西圏近辺の方に、ぜひお薦めしたいリサイタルです。
プログラムもすばらしいです。
しかも、3,500円と、たいへんリーズナブル。

===============================
日時:2011年12月18日(日) 14:00開演(13:30開場)
会場:ザ・フェニックスホール (大阪市)

【プログラム】

ショパン:軍隊ポロネーズ
     24の前奏曲 op.28

リスト :巡礼の年 第2年イタリアより「婚礼」
     巡礼の年 第3年より「エステ荘の噴水」
     詩的で宗教的な調べより「孤独の中の神の祝福」
     メフィストワルツ第1番

===============================
【料金 (税込、全席指定)】
S席:¥3,500
Y席(学生席、小学生?大学生) :¥1,500
 (当日座席指定、クラス・ムージカのみ取り扱い)
===============================

【お問い合わせ】
株式会社クラス・ムージカ (tel : 03-5318-9066)
http://www.classmuzica.co.jp/andreypisarev201112.html

【プレイガイド】
ザ・フェニックスホールチケットセンター(06-6363-7999 9/20より発売開始) イープラス(eplus.jp/)
カンフェティチケットセンター(0120-240-540, http://confetti-web.com/)
チケットオンライン(カンフェティへの登録が必要です。)

2011年11月14日 (月)

【映画】グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独

2009年のカナダの映画。2年遅れで日本で封切りです。
東京圏では、当初、銀座と渋谷のみ。しかも、銀座はレイトショーのみということで、観たいファンは四の五の言わずに足を運びなさい、といった様相です。(上演館はこれから少し増えるようです。)

そのレイトショーを観てきました。

《公式サイト↓》
http://www.uplink.co.jp/gould/

冷静に考えれば、グールドファン以外行きっこない映画ですから、しかたのないところです。

全篇、グールドのエクスタシーあふれる演奏と、関係者の証言で濃密に埋め尽くされています。ほとんど役者も使わず、余計な演出の少ないドキュメンタリー映画です。

エピソードの多くは、どこかで観たり聞いたり読んだりしたものが多く、格別目新しさはありません。
使用されているグールドの映像も、観たことがあるものが多いように感じました。

ただ、グールドの子供の頃からの友人や、かつて恋人だった女性3人、グールドに「弟になってくれ」とまで言われた、レコード製作に密に関わったミキサーなどの証言は、グールドのプライベートな面を生々しく伝え、なかなか興味深かったです。

映画後半の、グールドの葬儀の場面だけは、さすがにちょっと泣かせる演出をしてまして、ほろりとさせるものがありました。

使われた楽曲は数多くありました。
しびれるとしか言いようがない、リスト編曲のベートーヴェン田園交響曲から始まり、最後は、なぜかグールド作曲の4人の歌手によるあの風変わりなフーガでした。

よく聴き知ったもの、あまり知らないもの、といろいろながら、シアターの音響システムで聴く音はまた良いです。
いくつか目を見張るような演奏にも遭遇しましたが、それは観てのお楽しみです。

とにかく、グールドファン必見の映画であることは間違いありません。

※グールドのあの天才ぶりと、鋭い眼光、雄弁な弁舌、偏執狂とでもいうべきこだわりを見ていると、つい先日読んで知った、apple のスティーブ・ジョブズの奇才ぶりとあまりに見事にかぶるのでびっくりしました。
天才にはきっと共通する“特別の何か”があるのでしょう。

2011年11月13日 (日)

イリーナ・メジューエワ レクチャーコンサート@新宿朝日カルチャーセンター

毎度参加しているメジューエワさんのレクチャーコンサート。
今回は「リスト名曲集 Vol.2」ということで、リストの晩年中心の作品のレクチャーと演奏を楽しみました。
解説は音楽評論家の真嶋雄大氏。

【オールリストプログラム】
忘れられたロマンス
ピアノ・ソナタ ロ短調
暗い雲
悲しみのゴンドラ 第2番
エステ荘の噴水

会議室で小さなピアノでの演奏なので、相変わらず音がデッドで乾いた響きしかしません。
その分、どんな風なタッチでどんな音が弾かれているかが、露わに見えることになります。ある意味まったくごまかしがきかない環境です。

メジューエワさんは、いつものとおり、音の質にとても気を配った演奏。
高音部のスッとキレのよい輝きや、中音部の痛々しいまでの血のような響きや、低音部のズンと心を揺らす迫力など、密度の濃い表現を披露してくれました。

ご自身、「リストの晩年の曲が好きです」と語るように、『悲しみのゴンドラ』などは、彼女に“どはまり”の、悲痛ともいうような音楽でした。

メインのロ短調ソナタは実に真摯なアプローチで、リストの天国と地獄を行き交うようなドラマティックな世界を見事に描ききっていました。

ただし、リストとメジューエワさんによる壮大かつ劇的な音楽を受け止めるには、カルチャーセンターの小さなグランドピアノでは荷が重すぎたように感じます。

是非とも、フルコンサートピアノで、響きの豊かなホールで聴いてみたいものです。

レクチャーの最後に、メジューエワさんがなぜ楽譜を見て演奏をするのかについて、ご自身の説明がありました。

ざっと要約してみました。

『私は作曲家ではありません。 楽譜が最も重要なのです。 作曲家と聴衆の橋渡しをするのが役目。 黒子なのです。 だから、その橋渡しのために一番重要な演奏の時こそ、作曲家の細かい指示を間違わないよう、一番大切な楽譜を見て、確認しながら演奏するのです。  暗譜で演奏をすると、作曲家の意図から離れ、演奏家自身のひとりよがりの解釈にぶれていく可能性があります。リヒテルからも、そのように注意されました。』

2011年11月11日 (金)

リスト ピアノ・ソナタ ロ短調

今年はリストの生誕200年だけに、特に好きでなかったリストを、相当聴くことになりました。

ライヴに通いだしてからというもの、必然的に自分の好み以外のプログラムを聴く機会が増え、慣れ親しむうちに愛着も湧いてくるものです。

リストの曲の中では、ピアノ・ソナタ ロ短調は、例外的に昔から聴き親しんできました。ホロヴィッツにはまっていたころ、新譜が出て聴いてみて、ひっくり返ったのが最初でした。すばらしい装丁のLPジャケットでした。

若い頃は感受性が豊かですから、その頃衝撃を受けた曲はずっと心にきざまれています。

ヌーブルジェを発見してから、彼が日本デビューリサイタルでリストのロ短調ソナタを弾いたことを知りました。
『ライヴ・アット・サントリーホール』
ホロヴィッツでひっくり返った以来の衝撃でした。

《amazonのサイト↓》
http://www.amazon.co.jp/Jean-Frederic-Neuburger-Live-SUNTORY-HALL/dp/B001E1TGNQ

先日聴いた、ソン・ヨルムの演奏は、ヴィルトゥオジティにあふれ、かなり刺激的でした。

また、6月に聴いた、ニコライ・デミジェンコの演奏は、ソン・ヨルムとはまた対極にあるような、メカニックの存在を忘れさせるような、音楽そのものを聴かせる演奏でした。

明日は、イリーナ・メジューエワの演奏をまた間近で聴けます。

今年どれだけ聴くことになるのだろうと、ひろいだしたら、

1.エフゲニー・ザラフィアンツ(来月)
2.ミッシェル・ベロフ(今月)
3.イリーナ・メジューエワ(明日)

4.ソン・ヨルム
5.佐藤彦大
6.ニコライ・デミジェンコ
7.広瀬悦子
8.長富彩
9.エレーヌ・グリモー

(10.デジュー・ラーンキ 去年の暮れ)

もっと聴いたような気もしますが、こんなものでした。

でも、1年でこんなに聴くことは、もうないでしょうね(^^;)

2011年11月 8日 (火)

内田光子 ピアノリサイタル@サントリーホール

2011年11月7日(月)

二度と聴けるとは思えない、あり得ないプログラム。

シューベルト:ピアノ・ソナタ ハ短調 D958
シューベルト:ピアノ・ソナタ イ長調 D959
シューベルト:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 D960

考え、磨き抜かれた、最高レベルの演奏でありました。

ただ・・・・・

私は最初から最後まで集中して聴くことができませんでした。

ホールの環境が邪魔をしたことがひとつ。
あまりにもうるさかった。

演奏自体が私の思い描いていた理想像と少しずれていたことがひとつ。
あまりにも軽やかに美しすぎた。

どんなにすばらしい演奏だって、自分の感覚と合わないこともあります。
シューベルトの後期のソナタには、特別の思い入れがあります。
21番のソナタの後は、深く沈潜して、しばし拍手もしたくない、という演奏であってほしい。

また、内田光子さんだって、調子の悪いことはあるでしょう。
もしかしたら、内田さんも集中をそがれたのかもしれない。

だからといって、私の中で内田光子さんの価値が減るわけでもなんでもありません。
(シューマンとブラームスのクインテットは、こころから感激できました)

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今回ぜひとも言いたいのは、高額なチケット代を取るコンサートは、少なくとも最高の環境で聴かせてほしいということです。

内田さんの奏でる消え入りそうな美しい最弱音など、ほとんどかき消されてしまうような雑音が蔓延する中での、シューベルトの鑑賞は、終始、たいへんな苦痛でした。

人気のあるアーティストほど、聴衆層は幅広いわけで、となれば、聴く方のレベルは放っておけば低下するのはあたりまえです。
それをふまえて、そういう条件下でも良いコンサートを行うには、主催者側の創意工夫が必要となるのではないでしょうか。

例えば、雑音の最も大きな原因の一つである、大量のチラシをいれたビニール袋。
あれなど、判で押したように開場の時入り口で配らなければいけないなどということは、まったくないと思います。

関係者の方には、どうかご一考をお願いしたいです。

2011年11月 6日 (日)

ソン・ヨルム ピアノ・リサイタル@オペラシティコンサートホール

一昨日、横浜のイベントコンサートで彼女を聴いて、これは本格的リサイタルも聴きたいと思い、当日券で聴いてきました。
今晩はあちこちで良いコンサート目白押しだったせいか、かなり席に余裕がありました。

【前半】
バッハ/ペトリ: カンタータ BWV.208「羊は安らかに草を食み」
ドビュッシー: ベルガマスク組曲
シチェドリン: チャイコフスキーエチュード
ショパン: アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22

【後半】
カプースチン: 変奏曲 op.41
リスト: ピアノソナタ ロ短調 S.178

【アンコール】
リスト: 「スペイン狂詩曲」より
カプースチン: ソナチネ
チャイコフスキー: ノクターン op.10-1

一昨日はヤマハのCFXでしたが今日はスタンウェイ。最初のバッハは同じ曲だったので、違いがとてもよくわかりました。ヨルムさんにはスタンウェイのクリスタルな響きがお似合いです。
完全に脱力された、優しく繊細な音で静かにドラマの幕が開きます。

ドビュッシーは前曲に引き続き彼女の弱音の美しさを堪能できました。
ガラスがきらめくような、羽ばたくような軽いタッチ。官能的とも言える響きがホールを満たします。素敵なアートは感覚に訴える力を持っています。

シチェドリンは今年のチャイコフスキーコンクールの課題だった新曲。ヨルムさんが賞を取っています。現代曲らしい響きと、超絶技巧。「四季」が見え隠れする楽しい曲でもあります。いよいよ本領を発揮しだします。

前半最後はショパン。良い選曲だと思いました。彼女の特徴を最大限発揮できそう。思ったとおり、アンダンテスピアナートは弱音の美しさ、繊細さ、しっとりとした叙情を十分に表現し、一転、ポロネーズでは抜群の運動能力でダイナミックな演出。とかく冗長になりやすいこのポロネーズ、リズムやディナーミクに様々な工夫を凝らして飽きる隙を与えません。
途中から、どうも高音域の弦の調律が狂ってしまったのが非常に残念でした。彼女も弾きにくそうでした。

後半、リストの大曲の前に、カプースチン。何という意欲的なプログラムでしょうか。チャイコフスキーコンクールで審査員を驚かせた、ほとんどJAZZと言える曲。たまには新鮮です。強拍を手前に引き込むような独特のタッチ、これは後の曲でも使われました。

今日のメインのロ短調ソナタ、いったい今年何回目でしょう。もの凄い集中から最初の音は気持ち長めのスタカートで始まります。主題は乾きめに。
そして空間に大きく放たれる和音。
少々外れようがどうだろうが、200%というくらいの圧力で、腰を浮かせ、全体重を鍵盤に掛ける。
あそこまでやると、普通だったら音は割れ、きたなさが出るところでしょうが、確かに荒さは出るものの、不思議とさほどきたなさを感じません。
叩きつけているようで、実は相当音の響きに気を使っていることでしょう。ピアニシモをあれだけ美しく響かすのですから。
弱音で歌う部分はデミジェンコ級に美しく、左右に駆け巡るスケールは、ゾクゾクするほどの魅力。大音量の和音の嵐では、いよいよホールが音で充満し、オーケストラのトゥッティの大音量を聴いているような錯覚に陥りました。
究極の激しさと、壊れそうな優しさの同居。地獄と天国の対比とでもいうのでしょうか。
今年聴いた中でも圧巻というべき演奏でした。

アンコール最初は、スペイン狂詩曲の後半の部分。この曲、ヨルムさんのためにあるようだと思いました。
繰り返しになりますが、スケールの上手さといったら、天下一品。
彼女は自分をよく知っています。
再びカプースチンのJAZZ風の小曲でなごみ、最後はチャイコフスキーで優しくクールダウンして終了。おや、逆回しのような構成、洒落た演出でした。

ソン・ヨルムさん、新たなスターの誕生です。

※チャイコフスキーコンクールの配信では、ここまでの音の美しさや、凄みがわかりませんでした。今後、安易に配信だけ聴いてわかった気になってはいけないと、深く反省しています。

※トリフォノフがよく勝てたと思いました。メカニックでは彼女に安定感と凄みがあるように思います。どう転んでもおかしくない、ハイレベルなコンクールだったのですね。


2011年11月 5日 (土)

クシシュトフ・ヤブゥオンスキ ピアノ・リサイタル@東京文化会館小ホール

2011年11月4日(金)

1985年、ブーニンが優勝したショパンコンクールの時3位だったヤブゥオンスキ。コンクールのドキュメンタリーがテレビ放映され、それに出ていたのを覚えています。
最近日本で格安のコンサートをしばしば開いているのは知っていましたが、安過ぎて敬遠していた面がありました。
大失敗でした。もっと早く聴いておけば良かったです。

【前半】
ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 Op.20
ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39
ショパン:スケルツォ 第4番 嬰ハ短調 Op.54

【後半】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」

【アンコール】
ラフマニノフ 楽興の時 第3番
スクリャービン エチュード op.2-1
ショパン エチュード op.10-12 「革命」

ステージに登場したヤブゥオンスキは、190cmはあろうかという大柄な紳士で、恰幅も相当よろしい。
さぞや大音量を奏でるのだろうと、スケルツォ第1番の出だしのフォルテシモの和音「ターーーン」を待ちます。
ところがそのふくよかで大きそうな手が鳴らした音は意外にもおとなしい。
 
 きつさのない、流れるような演奏です。力を半分しかいれていないようにも見えます。フォルテシシモであっても、大音量とせず、ショパンを叩いてはいけません、と教えてくれているようです。

 音質はクリアで明るく、細部まで明瞭な音が聞こえます。ピアニシモはソフトでデリケート。ペダル控えめながらレガートのタッチが絶妙。
 どの曲も中間部でぐっとテンポを落とし、ソフトに、ほのかな詩情を奏で、一抹の寂しさも醸し出ており素敵です。

 極めてオーソドックスで奇をてらわず、びっくりさせるようなことはありません。しかし、説得力は抜群。
 最後の普通なら突き放してしまうような一音も、えっ!というくらい大事に、控えめに終わる。スマートです。

 後半のベートーヴェンは明らかにタッチを変えてきます。音に太さがあり、響きも朗々としてきます。ショパンの時より、音の透明感は抑えてきました。力の入れ具合はベートーヴェンでも80%くらいの感じです。

 テンペストは早めのインテンポで小気味良い。第2楽章はまたソフトでしっぽり。第3楽章は再び早め、ソフトなレガート、音域により音色の使い分けで旋律が語り合うようです。最後だいぶ興がのってきたのか、幾分アップテンポにぐいぐい押していきました。

 熱情ソナタは、厚みのある豊かな音量、抱かれるような大きさです。第1楽章がこんなに心地良かったことは初めて。
 第2楽章は、早くもなく、遅くもない絶妙のテンポ。インテンポを守り、実に美しい落ち着いた響きでうっとりします。
 慌てない第3楽章。すべての音が明晰に聞こえます。安定感のあるテンポ、豊かな響き、テンペストでも感じた、音域による音色の使い分け。
 コーダも暴走しすぎず、しかし十分速く、こんな音だったんだ、というくらい、まったくごまかしがなく弾ききる。ブラボー。

 アンコールのラフマニノフ楽興の時第3番。いよいよ音が分厚く、渋く。なぜこんなに弾き分けられるのでしょう。深く沈潜し、泣かせられました。
 スクリャービンになると、またまたタッチをクリアに変えてきます。控えめな叙情がこれまた素晴らしい。
 おねだりに応えて革命のエチュード。これはもうサービスでしたね。乾きめのペダリングで猛スピードで駆け抜け。

ポーランド人で、かのヤシンスキのお弟子ですから、ショパンな人かと思っていましたが、ベートーヴェンやラフマニノフがこんなに良いとは思いませんでした。

今後もぜひ聴き続けたいです。

2011年11月 4日 (金)

金子三勇士、ソン・ヨルム、奥村友美、A・ムトゥツキン@横浜みなとみらいホール(小)

2011年11月3日(木)

第30回横浜市招待国際ピアノ演奏会、2人づつ、2回のコンサートでした。
通しで4500円という廉価でありながら、新進気鋭の若手演奏家による、意欲的なプログラムの数々。楽しかったです。

【第1部】
■金子三勇士
 バルトーク:ミクロコスモス 第6巻 146. オスティナート
 バルトーク:6つのルーマニア民族舞曲
 リスト:<巡礼の年>より‘オーベルマンの谷’
 リスト:愛の夢 3つの夜想曲 変イ長調
 リスト:ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調
■ソン・ヨルム
 J.S.バッハ(ペトリ編曲):カンタータ 第208番 「羊は安らかに草を食み」 変ロ長調 BWV.208/9
 プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調

★~第30回記念企画~ コラボレーション曲
 ブラームス:ハンガリー舞曲 第6番、5番(連弾)

【第2部】
■奥村友美
 グバイドゥーリナ:シャコンヌ
 スカルラッティ:3つのソナタ ハ長調 K.406/嬰ハ短調 K.247/ト長調 K.427
 フランク:前奏曲・コラールとフーガ
■アレクサンダー・ムトゥツキン
 シューマン:幻想曲 ハ長調 作品17
 ラヴェル:ラ・ヴァルス
★~第30回記念企画~ コラボレーション曲
 ルトスワフスキー:パガニーニの主題による変奏曲(デュオ)

ラ・フォル・ジュルネやル・ジュルナル・ド・ショパンで、複数のピアニストが、1つのコンサートに出演する楽しさを知ってしまいました。

金子三勇士さんは、いきなり強靱なタッチでびっくりしました。とても男性的な、猛々しい、しかしきっちりとした音楽を作ります。
中音域から低音域にかけての左手中心の音がとても魅力的でした。
技巧も完璧で、ハンガリー狂詩曲のどんなに早いパッセージであっても、まったく濁ることなく、乱れも生じません。

中高音域の特にフォルテの出し方とか、音色の変化などをもう少し磨いたら、さらに魅力的なピアニストに成長すると思います。

礼儀正しく、演奏姿勢が美しいのが嬉しかったです。

ソン・ヨルムさんは、つい先だってのチャイコフスキーコンクールで、ダニイル・トリフォノフに次いで2位になったばかり。
ヴァン・クライバーンコンクールの頃から、ネットやテレビでだけ聴いてきて、今回初めてライヴを聴きました。

実は正直言うと、ネットでの印象は、やや苦手なタイプでした。
荒っぽく、鍵盤を叩いているのではないか、と。

最初のバッハの音を聴いて、その柔和な音にびっくりしました。
金子さんが音にまだ若干荒っぽさが残っているのと違い、実に完成度の高い繊細さを持ち合わせていることがわかりました。

金子さんも相当のメカニックと思いましたが、ヨルムさんは、超絶技巧にさらに余裕が感じられます。
そして、その叙情的な表現力は、凄まじい求心力を持っています。
目が離せません。
ややオーバーアクション気味の部分はあるものの、音楽表現と不可分の自然さがあるので、それほど気になりませんでした。

プロコフィエフの8番の戦争ソナタ、感服いたしました。

やはり、ライヴを聴いてみないとわからないものだと思いました。

2人によるブラームスの連弾、金子さんが低音、ヨルムさんが高音で良いバランス。息もピッタリでたいへん楽しかったです。

第2部最初の奥村友美さんは2度目のライヴ。
前に聴いたときもヤマハのCFXで、たいへん感心したものです。
昨日も、やはり最初の印象が間違っていなかったことを裏付けた、素晴らしい演奏でした。

ヤマハCFXの美点は、奥村さんが一番引き出していたと思います。
実に明るく華やかで、柔らかく美しい音でした。
スカルラッティの繊細さ、フランクの華麗さ、淀みのない音楽の流れ、安定した技巧、お見事でした。

最後のムトゥツキンさんは、ロシア/アメリカという国籍です。
やや線の細いクリア系の音質で、どうも、今日のヤマハとは相性が良かったとは思えませんでした。
スタンウェイの方が合っている感じです。
音に違和感を感じてしまったので、最初から最後まで、集中して聴く事ができませんでした。

奥村さんとムトゥツキンさんとでは、ルトスワフスキーのデュオ、初めて聴く曲でした。技巧的な華々しい曲。
奥村さんが優しく雰囲気のある音、ムトゥキンさんが鋭くきつめの音で、音質が全く違うので、スリルはあったものの、溶け合う感じは乏しかった気がします。

同じヤマハのCFXを、同じホールの、同じ位置で聴きながら、何と皆異なる音、異なる雰囲気であったことでしょう。
ピアノは奥が深い、と改めて感じたしだいです。

※ムトゥツキンさんの演奏中に震度2くらいの地震があり、会場が一瞬どよめきました。演奏は何事もないかのごとく続けられ、聴衆もすぐ落ち着きました。

2011年11月 3日 (木)

内田光子&ハーゲン・クァルテット 第2夜@サントリーホール

2011年10月29日(土)

すばらしすぎて、やはり言葉にするのが空しいです。

【プログラム】
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第14番嬰ハ短調 Op.131
ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調 Op.34

ハーゲン・クァルテットは、とにかく第1ヴァイオリンが目立ちます。
伴奏付きのヴァイオリン、という感じでした。
RBという席のせいもあったのでしょうか。

ブラームスはシューマンに続いて申し分なし。
ピアノが上手すぎて、8割方ピアノを聴いてしまう自分にハッとしてしまいます。
いや、上手いとか、美しいとか、そんな次元ではありませんでした。
もうそこにはただ音楽があるのみでした。

(最後の最後でアンサンブルが乱れてしまったのが、実に、実に惜しかったです。)

北村朋幹 ピアノリサイタル@かつしかシンフォニーヒルズ “アイリスホール”

2011年10月29日(土)

やはり時間がとれないので覚えです。

【プログラム】
トロヤーン:夜想曲「春の夕暮れはもう此処に!」
(12の前奏曲より第1曲)
ハイドン:ソナタ第42番 ニ長調 Hob.ⅩⅥ.42
ベートーヴェン:ソナタ第16番 ト長調 Op.31-1
ドビュッシー:12の前奏曲第2巻より
  ヒースの荒野(第5曲)
  枯葉(第2曲)
ブラームス:6つの小品 Op.118
リスト:孤独の中の紙の祝福(「詩的で宗教的な調べ」第3曲)

【アンコール】
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」

とにかく彼はユニークであろうとしています。
大胆なディナーミクと、猛烈なテンポ。
日本人も、こういう風に主張するようになったか、と頼もしく思いました。

まだ若干弱冠20歳。完成度と美意識をもっと磨けば、さらにすばらしいピアニストに成長する才能だと感じました。

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