キーシンは未だにバブっているらしいけど、地方公演の実態は・・・
今日は横浜の上大岡というところ(横浜から京浜急行で約10分南下)の港南区民センター「ひまわりの郷」で、河村尚子さんのリサイタルが開かれました。
演奏はたいそう素晴らしいもので、一流と言えるものでした。
チケットは5,000円。
そのプログラムがこの写真です。
ちょっと上質のコピー用紙というところで、印字は印刷に出したというより、自前でプリンタ出力したような感じです。可哀想に、河村さんの写真など、ぼやけたモノクロです。
なんでも、今晩行われたキーシンのリサイタルは、プログラムだけで1,000円だったといいます。
上大岡のコンサートは、企画のプロデューサーから、悲痛ともいえるメッセージを記した用紙が一枚配られました。
やや長くなりますが、市民としての広報も兼ねて引用します。
本日は、「ひまわりの郷コンサート・シリーズにご来場いただきありがとうございます。今回は、まずお願いから。このコンサート・シリーズは、税金(市の補助金)を使うことなく、ということは独立採算で運営されています。
クラシック音楽の世界では、近年、一般的な社会的現象としての一極集中を遙かに凌ぐ勢いで集中化現象が進んでいます。といいますか、地方ではコンサートの開催ができない! ところが、昨今の地方財政の悪化は、一般にはまず文化予算を直撃し、予算の減少→回数の減少・質の低下→聴衆の減少といったことになるわけです。
というわけで、このコンサート・シリーズは、質を落とすことなくコンサートの数を維持した上で、総体として赤字を出さなければ、コンサートを続けることができるのではないか! という取り組みなのです。
380席しかない「ひまわりの郷」でもほとんど宣伝せずに満席になってくれれば一定の黒字となるのですが・・・ とはいってもそう簡単にはいかないのが現実です。もちろん、「いつもよい演奏なので、毎回優先予約で。」となっていただけるよう、努力はしているのですが・・・
当面の課題としては、限られた予算で、いかに有効な広報・宣伝を行うか、なのです。今回、その有効性を確認する目的で、多少予算を増やしていつもより幅広い広報活動をしてみました。実際は「広く、薄く」ですが。
ちなみに、今日のリサイタルは、空席が舞台裏の15席ほどで、ほぼ満席でした。
主催者の努力が実ったということですね。
河村さんは、すでに売れっ子の様相を呈してきていますが、日本人の若手や、海外の若手の中には、実力はあるけれど、それほど売れていないアーティストがたくさんいることでしょう。
やりようによっては、聴衆もアーティストも、幸せな関係を築ける可能性はいくらでもある気がします。
主催側の眼力や企画力が問われる時代となったのだと思います。
ファンの側も、Twitterなどネットを使った便利な情報ツールが利用できる時代になったわけですから、メジャーでなくても良い企画はお互いに紹介しあいたいものだと感じたしだいです。
※今日は2階最後列の端で聴きましたが、大変音響が良く、以前、河村さんを紀尾井ホールや東京文化会館小ホールで聴いた時よりも、感動が大きかったです。
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