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2011年10月 5日 (水)

ケマル・ゲキチ ピアノリサイタル@東京文化会館 小ホール

2011年10月4日(火)19:00~

スタニスラフ・ブーニンが優勝した年のショパン・コンクールに出場していて、ファイナルにすすめなかったけれども、その個性的な演奏は聴衆には支持されていてその後コンクールのライブCDがかなり売れたという逸話をもつゲキチ

CDで少し聴き知っていましたが、今回初めてライブを聴いてみて、噂にたがわぬ強烈な個性の持ち主ということがわかりました。

オールリストプログラム

【前半】
ダンテを読んで~ソナタ風幻想曲
アヴェ・マリア(シューベルト/リスト編)
マゼッパ
ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調

【後半】
バラード第2番 ロ短調
メフィスト・ワルツ第1番
「ウィリアム・テル」序曲(ロッシーニ/リスト編)
ラ・カンパネラ(パガニーニ/リスト編)

【アンコール】
半音階的ギャロップ
ハンガリー狂詩曲第10番
ハンガリー狂詩曲第11番
セレナーデ(シューベルト/リスト編)

リストのポピュラーな曲ばかりを集めたリスト入門編とでもいうべき選曲。
ずっとリストが苦手で食わずぎらいだったのが、今年は生誕200年祭ということで、かなりの回数リスト・プログラムを聴く事になりました。

まだ曲を分析的に聴くまで覚えきっていないので、雑駁な感想です。

「ダンテ」「バラード」「メフィスト」などは、曲想が非常にデモーニッシュです。特に「ダンテ」は最近阿刀田高さんの「やさしいダンテ神曲」を読んで、そのおどろおどろしい世界の一端を垣間見たので、だいぶ雰囲気がつかめるようになった気がします。

ゲキチの演奏はまさにそのデモーニッシュな感じを、極端に強調したものでした。深く強烈で暗いタッチ。突き放すようなスタッカート、ペダルをはずし乾いたようなパッセージの多用、滑らかかつ猛烈で気味の悪いオクターブのスケール。脱力した高音部のキラキラの美音になるはずの部分は、ガラス細工が壊れてしまうような儚い音で、強音との対比をはかる。

解釈と演出効果との両方を狙った、ユニークな演奏でした。

「マゼッパ」「カンパネラ」「半音階的ギャロップ」の技巧系になると、超スピードでありったけの超絶技巧を駆使し、しかし、音楽が平板にならないよう、飛んだり跳ねたりいろいろと工夫を凝らして飽きさせないように作っていたと思いました。

「ハンガリー狂詩曲」や「ウィリアム・テル」になると、リストのサービス精神に、ゲキチのサービス精神が重なって、たぶん、失神者も出たというリストの演奏会ではこんな風に弾かれていたのではないかな、と思わせるような演出ぶりでした。

長いマントのようなコートに身をつつんだ奇抜な衣装といい、終止の音をペダルで伸ばしたまま立ち上がり、手を大きく振り上げて挨拶をし、いかにもフライング拍手を誘うようなしぐさといい、ゲキチはリストになりきっているようにも見えました。

数少ないおとなしい曲だった、「アヴェ・マリア」と「セレナーデ」
ゲキチは決して、小綺麗には弾きません。
テンポをぐっと落とし、中低音域の音をかなり深めに際立たせ、高音域のピアニシモは、それこそ消え入るよう。
そこにはもはや、クラシカルなシューベルトはおらず、完全にロマン派リストの音楽になりきっていたと思います。

刺激的で楽しい演奏会でした。
当分、リストはもういいです、というくらい、お腹いっぱいになりました

ただ、「ウィリアム・テル」くらいからは、もう耳が疲れてきて「優しい音楽を聴かせて!」と言いたい感はあったので、最後は「セレナーデ」で気分が静まったのは救いでした。

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コメント

こっこさま:

実は私も翌日体調を崩しました(^^;)

萩さま:

髪を後ろで束ねてましたね。

ゲキチ、一度は機会があったらコンサート聴きたいです。
でも、北陸ではなかなか機会が(涙)。

ゲキチ、今はどんな髪型なんでしょ?
確かに風貌もリストとなんとなく被ってしまいますね。
演奏会でお腹いっぱいはチョット…ですが
失神するほどの衝撃を味わってみたいですネ。
あ、セレナーデが生で聴けたのだけは超羨ましいです!

以上、どーでもいいコメントでした(爆)。

確かにお腹一杯になって、翌日は体調いまいちでした(笑)
しかしリストでもいろんな演奏があるのだな、と今回のことで強く思いました。
この方の演奏は、またいつか聴いてみたいと思うので、不思議です。

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