最近のトラックバック

« ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール1 | トップページ | ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール3 »

2011年6月 5日 (日)

ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール2

デミジェンコのプログラムはインターバルをはさんで、後半はリスト。
私にとって鬼門のリスト。
今年はアニバーサリーなのでたくさん聴いてはいるものの、なかなか音楽が心の中まではいってこない。特にリストオリジナル曲がだめです。
トランスクリプションは、そこそこ楽しめるようになってきた気がします。

最初の曲は「伝説」の1番。「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」というやけに絵画的情景が浮かぶ標題の曲。
ヌーブルジェが最近演奏しているとあって、少しネットなどでチェックはしていましたが、真剣に聴くのは初めてです。

すると、舞台から、小鳥のさえずりが聞こえ出しました。
えっ、えっ、です。
これはピアノの音ではない。小鳥のさえずりそのものです。
なんという絶妙なタッチとセンス。
そして、説教のほうも、音楽にのり、語り口調が優しく慈愛に満ちている。
説教といっても、説いて教える宗教的な説教ですからね。
単なるメカニックを超えた音楽がきちんと曲を支配していました。
感動的。

ほとんど間髪をおかずに、ロ短調ソナタ。
威勢の良い演奏を何度が聴きました。
デミジェンコより、オクターブの連打を上手に弾く若手はいくらでもいることでしょう。
しかし、デミジェンコ以上に音楽的感動を表出できる演奏家は、そうそうおりますまい。

まず、出だしで圧倒されました。
地獄に落ちていくような、深い深いタッチ。
本当に消え落ちてしまいそうなピアニシモ。
地の底から、一気に主題が盛り上がる。

そして、何がすごいといって、メロディアスな部分になったときの、ゆったり流麗に、ときにうら悲しく奏でられる美しい旋律のかずかず。
あー、リストって、こんなに美しい旋律を書けていたのではないかと、発見の連続。”音楽”自体に心が揺れて、あふれ出てくるものを抑えることができない。

若手のメカニカルな演奏だと、メカニカルな部分がきっちり弾けるかどうかに気を奪われ、メロディーの部分で一息、そして、またメカニックを聴く、という感じになりやすいのが、デミジェンコの場合は逆。

緩徐部分で集中してうっとりして、オクターブやらでガンガンいくところで一息、また弱音に戻ってきて集中。

なので、終結部はまた聞かせどころで、美しさを保ちつつ、だんだんと墜ちていく、その集中力、胆力がすごい。聞いているほうも息ができないほど演奏者に同化してしまう感じで最後の一音を迎えました。

ぶらぼーーーーーー。

泣きました。リストで初めて。
リスト、好きになりそうです。良い曲です。伝説も、ソナタも。

今まで聴いたリストが、いかにメカニック中心の演奏が多かった、ということを痛感しました。リストだって、きちんと音楽があるんではないか。

長年のリスト苦手意識がここで払拭できたかもしれません。

【さらに続く】

« ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール1 | トップページ | ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール3 »

他のピアニストの記事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1169149/40267754

この記事へのトラックバック一覧です: ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール2:

« ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール1 | トップページ | ニコライ・デミジェンコ ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール3 »

twitter

2016年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ