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2011年6月12日 (日)

アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノ・リサイタル@オペラシティコンサートホール

2011年6月11日(土)19時~

昼間聴いたイリーナ・メジューエワとは対照的なヴィルトゥオジティにあふれた演奏。
メカニックに関しては間違いなく世界最高峰。
そして、メカだけではすまさない緻密な繊細さも持ち合わせています。

【前半】
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第14番「月光」 Op.27-2
ショパン:幻想即興曲Op.66
                2つのノクターンOp.48
                   スケルツォ第1番Op.20
【後半】
ラフマニノフ:楽興の時Op.16
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」Op.83

【アンコール】

スクリャービン:エチュード嬰ハ短調 Op.2-1
フィリペンコ:トッカータ
ショパン:エチュード 変ホ短調 Op.10-6
リスト/ホロヴィッツ ラコッツィー行進曲
ラフマニノフ/コチシュ:ヴォカリーズ

月光ソナタの第1楽章。テンポをぐっと落として、神経が張り詰めるような、極めて内省的な表現。音は尖っておらず、優しいふくよかさがある。
第2楽章はやや早めで、しかし、相変わらず精細さを保ち、第3楽章は、史上最高とも思えるスピード。
あれだけのスピードで弾きながらも、粒立ちははっきりし、フォルテシモになっても音が濁ったり割れたりしない。そして、ピアノの部分の繊細さも手抜きがない。
コーダはかなりアッチェランド気味で、やや知性のたがをはずして、感興にまかせる。
でも、ぎりぎり下品には陥っていない。

のっけから、もの凄い月光を聴いてしまいました。
第1楽章と第3楽章のスピードの差がこれだけある演奏は他にないのではないでしょうか。調べてみたいものです。

ショパンの幻想即興曲は、このくらいの人になると、目をつぶっても弾けるような曲なのでしょうね。最高音を強調しないでうねるようにレガートで入ってくる感じが上手でした。

ノクターン48-1、インテンポなのだけれど、装飾などで少しアレンジをいれていました。主題が変奏で戻ってきたところからラストにかけては、テンポアップして少々猛爆気味で、ショパンとしてはちょっとやり過ぎの感はあったかもしれません。

48-2のようなしっとりした曲は、抑制を効かせてとても美しいです。

後半のラフマニノフ
ラフマニノフ本人の演奏は、ヴィルトゥオジティをもって弾くところと、旋律を歌い上げるところの対比をかなりつけていたといいます。今残っている録音などを聴いても、その感じはわかります。
ガブリリュクも、ラフマニノフが乗り移ったごとく、猛烈なメカニックを駆使するとともに、叙情的な部分は繊細な美音で歌い上げます。
大きな分厚い和音の響きが印象的でした。

プロコフィエフも猛烈でした。
機関銃のような打音。太い音。スピード。
やはりスピード競争やったら1,2を争いそうです。
アルゲリッチか、ポリーニか。
第3楽章のラストがまた猛烈なアッチェランドで、スピード違反で捕まってしまいそうな勢いでした。

アンコールは大サービスで5曲。

フィリペンコのトッカータとリスト/ホロヴィッツのラコッツィー行進曲は、メカニックの限界というべき演奏でした。
ピアノが壊れてしまいそう。

フィリペンコの後弾かれたショパンのエチュードが、やや音が濁って聞こえてしまっていたので、もしかして、あそこで調律が狂ってしまったのかもしれません。

最後まで集中をきらさず、ヴォカリーズでうっとり締めくくってくれました。

メカニックの切れ味は、ユジャ・ワンやヌーブルジェのようなキラキラ、キレキレというのとちょっと違い、ナタでバッサリというタイプです。
重量感がある。
弱音は透明感というより、少し色のある、優しい感じの美しさで素晴らしい。

彼はきっとサービス精神もあるのでしょう、120%の燃え上がり、限界ぎりぎりのパーフォーマンスをめざしているようです。

私は、少々歳も取りましたから、彼くらい上手であれば、90%くらいの力で弾いてもらっても十分楽しめそうな気はします。

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コメント

wolverines さま:

ごぶさたです(^o^)

>空いた口が塞がりませんでした。
>とにかくどえらいピアノ弾きですね。

剛柔兼ね備えた逸材ですね。
あんまりサービスしなくて良いから、もっともっと音楽を深めていってほしいです。

>最近は観客のマナーが気になって演奏会に出かけるのを控えていたのですが

はずれるとえらい目にあいますね。
クラシックももっと人気出てほしいですけど、そうなるとマナーなどは自ずと低下してしまいます。悩ましいところです。

>追伸:この日の入りはなぜか1/4とガラガラ。

オペラシティも5~6分くらいでしたか。
1000人以上のホールを満員にできるのは、一握りのメジャーだけなのですよね。
良いピアニストはたくさんいるのに。

まいくまさん
ご無沙汰しております。
僕も先週の大阪公演にでかけました。
前半の月光と幻想即興曲を聞き終えて体と心が何かに激しく揺すられるいるような感覚に
陥り、「シンフォニーホールのスタンウェイってほんとうはこんな音が出るんや」と空いた口が塞がりませんでした。
とにかくどえらいピアノ弾きですね。
最近は観客のマナーが気になって演奏会に出かけるのを控えていたのですがこういう演奏を聴かされるとやっぱりいいものですね。

追伸:この日の入りはなぜか1/4とガラガラ。そんななかガブリリュクは手を抜くことなくステージマナーも立派で観客の熱狂はいつも以上でした。(アンコールは3曲でしたが・・笑)

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