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2011年6月 6日 (月)

イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル@杜のホールはしもとホール2

【前の記事からの続き】
後半のリストは、まずシューベルト歌曲のトランスクリプション。
歌曲だけにメロディーラインがしっかりと強調されてわかりやすい。
リストらしい技巧のアピールはそこそこに、音楽を深く掘り下げていっている。
このあたりからメジューエワさんのいつものグッと音楽に深く没入していくような集中が高まってきたように感じます。

エステ荘の噴水。
これもいたずらに技巧を前面に出さずに、ゆったりとしたテンポで、全ての音を見せようかというようです。
響きと煌めきに温度があって、眩しい。
疎かにされる音がひとつもない。
一流のアーティストに共通する美に対する鋭い感覚を感じます。

続く小品からコンソレーションにかけては、音楽としては地味で内省的になり、しかし、ここでメジューエワさんは、完全にリストの音楽的世界に浸り始めたように感じました。
ノクターンや、コンソレーション3番の息を詰めるような美しさといったら、この世のものとは思えません。
昨日のデミジェンコに続いて、またまた苦手なリストに感動してしまいました。

ラストのラ・カンパネラ。
昨年も聴いていて、スローテンポに驚いたものです。
今回ももちろん同じアプローチで、ここまでの演奏と同様、表面的な技巧の華々しさを敢えて抑制し、一音一音がそこに書かれている意味を、それぞれに深くえぐりだしているようです。
音質はピュアで、音色は艶やか。そこに深い読譜と集中による凄みが加わり、驚異的な音楽が展開しました。
こんなに深いラ・カンパネラは初めてです。
昨日に続いてまた泣いてしまいました。

技巧的な曲の技巧を抑えて弾くというのは、もしかしたらすごく難しいことなのかもしれません。
でも技巧は本来音楽の下僕であることでしょう。

メジューエワさん、ベートーヴェンもショパンも素晴らしいですが、もしかして、リストがツボにはまるのではないかと、ふと感じました。
リストの暗い色調の曲を弾いてもらったらどうなるのだろうか、などと。

アンコールは前日に引き続いて、またまたショパンのノクターン嬰ハ短調遺作。
ラ・カンパネラでの集中がまだ続き、ぐっと音楽に引きずりこまれます。
幾分早めのテンポ、マズルカ部分はテンポ指定どおりにスロー。
モレンドはまさに死んでしまいそうな消え方。
ラストのスケールのデリカシーといったら心臓がドキドキしてしまいました。

またひとつ素晴らしいコンサート体験をすることができました。

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