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2011年5月の26件の記事

2011年5月29日 (日)

【映画】オーケストラ

iTunes storeでレンタルしてiPad2で鑑賞。

秀作です。

原題は『Le Concert』
ラストのコンサートに焦点をあてるか、オーケストラ団員の人間模様に焦点をあてるか、というところで、邦題となったのでしょうか。

http://orchestra.gaga.ne.jp/#/main

露出しているストーリーで、寄せ集めオーケストラを作ってどうなるか、というところまでわかってしまうわけで、結末はうまくいくと想像がついてしまいます。
つまり、オチであっと言わせる映画ではなく、そこに至るプロセスを見せる映画です。

最初から犯人がわかっている刑事コロンボの謎解きを楽しむ、といったところです。

どうやって本物のオケを出し抜くのか、団員集めをどうやるのか、チャイコンやるのに、ソリストはどう確保するのか、練習はどうするのか、資金はどうするのか、ビザは、楽器は、服は、移動は、と、パリでのコンサートに至るまでには、高いハードルが幾重にも待ち構えている。
そのクリアの方法にひとつひとつに工夫とアイデアがこめられていて楽しい。
指揮棒が降りる瞬間まで、アクシデントが待ち受けている。
ロシア人団員の呑気さもまたハードルとなっていて、こちらはユーモアたっぷりに描かれる。

これらのステップに主人公であるフィリポフと、ヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケの人間関係の謎をからめて、ラストのコンサートで氷解と昇華が行われる。

全編にわたり、クラッシック音楽の名曲が散りばめられているのも、ファンにはたまらない。
モーツァルトの21番のコンチェルトから始まり、最後はチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト

アンヌ=マリー・ジャケに団員が聴かせ、マリーが思わず目を丸くするるシューベルトのアルペジオーネ・ソナタパガニーニの24のカプリース、マリーが出演を思い直すときに聴くマーラーの巨人などがとても印象深かった。

ラストシーンのチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトは、第1楽章をたっぷりと聴かせ、奇跡が起こる瞬間と過程をに見事に描写する。
第3楽章、オケと完全に一体となったマリーの演奏。
感動的なフィナーレ。

いやあ、今さらなんですが、チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトって、良いですねえ~♪。
若い時は聴きましたが、最近はああいう耽溺するような音楽からは距離を置いていたものですから、新鮮に聴けました。

※iPadでのHD画質での鑑賞は快適。

メラニー・ロランが非常に美しい。

※ガブリーロフ、サーシャ、アンドレイ、イリーナなど、親しみのある名前が出てくるのが嬉しい。

【ヌーブルジェ動画】ブラームス:ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34

J. Brahms - Piano Quintet in F minor, Op. 34

ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ
Jean-Frederic Neuburger

モディリニアーニ弦楽四重奏団
Modigliani Quartet

2011年2月 ラ・フォル・ジュルネ@ナントでの演奏の模様。
高画質、高音質。

圧巻。
凄すぎる。

素晴らしいピアニストはたくさんいて、それなりに満足なピアノ・ライフを送っているつもりになっていましたが、たまに、こうしてヌーブルジェの演奏に接すると、ダイレクトに魂を揺さぶられる演奏というのは、そうそうないものだと思い至ります。

もう、最初の1小節から、フィナーレにいたるまで、全身、釘付けにされてしまいます。
鳥肌が立ちます。
なんなのでしょうか、この訴求力というのは。

超一流の者だけが持つオーラを、いよいよヌーブルジェも身につけつつあるとしか言いようがありません。

とにかく、早いとこ次の来日の予定を組んで欲しいものですm(_ _)m>カジモトさま。

2011年5月26日 (木)

ヌーブルジェ久々のコンサート情報

ここのところパッタリと情報がなくなってしまったヌーブルジェ。

久しぶりに海外の新しいコンサートの情報をみつけました。

6月19日パリ

バッハ:トッカータ ホ短調 BWV914

ミカエル・レヴィナス 3つの練習曲

シューマン:クライスレリアーナ

トッカータは2009年のラ・フォル・ジュルネで聴きました。

ヌーブルジェらしく集中を強いる演奏だった記憶があります。

2年経って私の方も随分聴き方が変化したので、もう一度あの場へ帰って聴きかえしたいものです。

レヴィナスはフランスの現代作曲家のようですが、どうしてもヌーブルジェの路線にはついてまわるようです。

クライスレリアーナはここのところよく弾いていますね。

音源では聴きましたが、ぜひ生で聴きたい。

それにしても、17ユーロというのは、どういうことなのでしょう。

しかも、12歳以下は無料。

ヌーブルジェは演奏活動より、教育活動に興味があるのでしょうか?

2011年5月22日 (日)

ピョートル・アンデルシェフスキ リサイタル@サントリーホール

2011年5月21日(土)
ここのところ評価急上昇のアンデルシェフスキを久々のサントリーホールで聴いてきました。

【前半】
J.S.バッハ: フランス組曲第5番 ト長調 BWV816
シューマン(アンデルシェフスキ編): ペダル・ピアノのための練習曲(6つのカノン風小品)op.56

【後半】
ショパン: 3つのマズルカ op.59
J.S.バッハ: イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

【アンコール】
シューマン: 「森の情景」 から
「孤独な花」「宿にて」「予言の鳥」「別れ」

最近文章をまとめることが苦痛になってきているので、コマ切れ感想を羅列します。

・舞台上でソファにすわり聴衆を待ち受けるパーフォーマンス。自宅にゲストを招き、じゃ、弾くよ、という感じで弾き出しました。ずっと客席を睥睨(へいげい)していたので、かえって会場が静かになったかも。

・1曲が目がイギリス組曲5番からフランス組曲5番に変更になっており、最初はまずは軽妙に明るくスタート。
音が細く、繊細で、まるでピリオド楽器でも弾いているよう。

・ペダルが多く、どうも響きすぎる。バッハなのに音の解像度が甘く、線がはっきりしない。お団子の響きになってしまっていた。そして響きが音が前にでてこず、ややフラストレーションがたまった。
1階前方中央の屋根の前だったのに、である。
まだ響きをコントロールしきっていなかったのだろうか。
それともやはり、サントリーはRBやLBの方が、ピアノを聴くのには良いのだろうか。

・音の多い舞曲は輪郭がぼけてしまったのだが、テンポを落としたサラバンドは寂としてとてもすばらしかった。ピアニシモをとても大切にしていることがよくわかる。

・ジーグは超快速テンポ。意図はわかるが、この曲に関しては成功していたとは思えない。響きすぎも影響していた。
もう少しゆくっりでも十分躍動感はでるはず。

・シューマンは予習していかなかったので、やや集中が落ちてしまいました。
練習曲というものの、シンプルな曲。美しかったことは確か。

・火曜日に、この日と正反対のガサツな音楽を聴いてしまったので、まずは、美しい音を聴けて一安心。

・ショパンのマズルカは相当期待していました。
繊細だし、変化があって楽しめた演奏でありました。平板に陥りやすい3番も、なかなか聴かせてもらいました。
ただ、もう一段、一層のゾクゾクするような美音とか雰囲気、圧倒感があったらさらに良かったかも。

・間で調律をしたためか、後半、音が少しクリアになったような気がします。

・イギリス組曲第6番は、最初のフランスよりさらに素晴らしかった。
プレリュードとジーグがこれまた快速でありましたが、こちらの方が説得力があった。
ジーグはとくにペダル、ノンペダルをつかいわけ、アクセントを相当強調した集中のある演奏で息を飲みました。

・でもアンデルシェフスキの真骨頂は、メカニカルな部分ではなく、静かなサラバンドであったり、チャーミングなガヴォットに見事に現れました。
消えいくようなピアニシモ、壊れてしまいそうな細い美音、浮かす様な軽やかな音。

・日曜日の所沢ではヤマハのCFXを弾いたとのこと。スタンウェイより良かったんではないだろうか。

・アンコールはれいによって肩の力の抜けたシューマン。
音色が違う。
透明度を増した。

・バッハが前から話題であったと思うが、非常に個性的でありました。好き嫌いはあることでしょう。響き重視という点では、セルゲイ・シェプキンに通じるものはありますが、また全然違います。
サントリー以外で聴いてみたいと思いました。

・リーズナブルなのに、ホールの入りは6分といったところ。
聴衆の集中力はハイレベルで、曲間の静寂も味わえて嬉しかった。

ただ、私の前の席の男性が、演奏の間中、頭を揺らし続けていて、たいそう、うっとおしかったので、終演時、後ろから手製拳銃で一発ズドンとお仕置きしておきました。
それと、どこからともなく漂ってくる整髪料のキツイ匂い。
どうにかならないものでしょうか。

2011年5月16日 (月)

追悼曲いろいろ

311以来、追悼曲をずいぶん聴きました。

まず、これからルービンシュタインコンクールに登場するダニイル・トリフォノフがバッハのプレリュードを祈りを込めて弾いてくれました。

まだ地震のダメージが相当残っている時だったこともあり、タイミング的にも、大変感動を誘う演奏でした。

直接追悼ではなかったのですが、3月26日に聴いたイリーナ・メジューエワのショパン:スケルツォの4番は、いつも以上にメジューエワの集中が凄かった感じで、聴衆は凍りついていました。

仙川のファツォオリでエフゲニー・ザラフィアンツは、ショパンの遺作嬰ハ短調ノクターンを弾いてくれました。
まだいつ余震がくるか、という緊張感の中、大変心がこめられた演奏でした。

ラ・フォル・ジュルネ東京では、シャニ・ディリュカがブラームスの間奏曲Op.118-2を、追悼として弾きました。
これがまた涙なしには聴けない演奏でした。

そして先日のパーヴェル・ネルセシアンはショパンのハ短調ノクターン。
素晴らしかった。

ナイーブなアーティストたちには、今回のような出来事は特別表現意欲をかきたてるものなのでしょうか。

聴く側も”追悼”という言葉で思い入れが深くなる、ということもあって、よけいに心に響くのかもしれません。

2011年5月15日 (日)

パーヴェル・ネルセシアン ピアノリサイタル@東京文化会館小ホール

5月14日(土)
世界広し。ロシア広し。いったいどれだけ素晴らしいピアニストたちがいることやら。
パーヴェル・ネルセシアン。1964年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院教授。

【東日本大震災犠牲者追悼曲】 
ショパン/ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1

【プログラム前半】
チャイコフスキー:『四季』全曲

【プログラム後半】
ベートーヴェン:ピアノソナタ32番
スクリャービン:ピアノソナタ第10番
スクリャービン:2つの舞曲 作品73
   「花飾り」
   「暗い炎」
スクリャービン:詩曲「炎に向かって」作品72 

【アンコール】
ショパン:ワルツ第3番 イ短調 作品34-2
ショパン:ワルツ第5番 変イ長調 作品42

細身で長身の紳士。
最初は震災の追悼ということで、ショパンのハ短調ノクターンが最初に弾かれました。
やや遅めのテンポでとても集中した出だし。好きです。
べたつかない適度なルバート。
ちょっと変わった入れ方の装飾音。
中間部から後半主題回帰への激情も素晴らしい。
でも、大音量で叩きまくるのではなく、知的な抑制のきいたノーブルなショパン。
できれば、もっと間合いの静寂を味わいたかったのですが、会場が全く落ち着かず終始ざわついていたのが残念でした。

チャイコフスキーはお国ものだけに、ロシアン情緒たっぷりに弾くのだろうかと思っていましたが、ネルセシアンはここでもスマートにさりげない叙情性をみせます。
6月の舟歌は、先日のLFJでコロベイニコフの思い入れたっぷりの演奏を聴いたばかりでしたが、まるで違います。早めのテンポで拍子抜けするくらいあっさりの味付け。しかし、そのあっさりの中に、しみじみとしたロマンがにじみ出る。

3月、10月の短調の曲は、遅めだったかもしれませんが、基本的にはナチュラルで過剰にのめり込まない。

長調の曲は、軽やかで優しく歌い上げる。
早いパッセージは、リズム感がとても気持ちよく、もたつきのない、半歩前をいくモダンな感性。

前半終わったところで、感動して2度はカーテンコールしたかったところですが、またもやサーっと拍手がひいてしまったのが、信じられません。
今回は頑張って少し拍手を続けたのですがだめでした。

後半は前半のロマン的情景のある音楽から一転、抽象的な美の世界に。

ベートーヴェン第1楽章、迫力は十分あるものの、あまりシンフォニックに音を響かせず、むしろ、短めのアタックで切れ味を強調。
テンポは普通か、やや早め。
よどみなく、妙な癖もなく、正統的な解釈。

第2楽章、これまた力みのない自然な音楽。
深い集中を保ちながら、変奏とともに徐々に盛り上がる。
第5変奏に入る前のテンポを落とした経過句は涙ものでした。

コーダの美しい美しい美しいトリルから下降スケールで昇華しようと思ったのに、一番良いところで咳き込み。ウーーーーッ、悲しすぎる。

スクリャービンは最近ようやく初期の頃の作品には多少親しむようになりましたが、後期の作品はまだまだ難解に感じます。
ベートーヴェンの第2楽章のトリルから、このトリルソナタに続けたのでしょうか。
近代曲らしい響きを演出していましたが、スドビンやユジャ・ワンで聴いたスクリャービンよりはソフトでした。

最後の詩曲、とても地味に始まったので、このまま終わってしまって大丈夫かと思いましたが、最後はさすが盛り上がりました。

アンコールは2曲。
他の会場で弾いたショパンのワルツでした。

プログラム最後のスクリャービンの清々とした音とガラッと音色を変え、ほんわりと霧のベールにつつまれたような、サロンで聴くのにふさわしい雰囲気のワルツ。

音は優しく、リズムは軽妙で洒脱。ショパンが弾いたらきっとこんな風ではなかったかと思わせるような、まるで、フランス人が弾いているようなエレガントなショパン。

ネルセシアン、間違いなく一流のピアニストでした。

※チケットは自由席で事前購入だと3500円。
安くて、演奏は一流で、たいへんありがたいのですが、どうもマナーをわきまえない人たちがたくさん聴きにきているようで、環境は最低でした。
”静寂”というものを全く味わえませんでした。
演奏者は手抜きなしで、真摯にすばらしい音楽を届けてくれたというのに、悲しいことでした。

※主催者の方にお願いしたいのは、演奏後の花束は絶対に禁止してもらいたいことです。
昔はともかく、最近のリサイタルでは、花束はプレゼントの類は、受付渡しのなっているのが普通です。
演奏の余韻にひたり、演奏者に拍手で報いたいのに、感興がだいなしです。

2011年5月 9日 (月)

明日からルービンシュタイン・国際ピアノコンクール

昨年、ショパンコンクールを予選から聴いて、楽しさを満喫してしまいました。

コンクールをじっくり鑑賞するのは、すごくメリットがあることをしりました。

まず、曲をじっくり聴き込むことができる。
同じ曲を何度も聴くので、だんだんディテールまで覚えていきます。

演奏の個性の違いを見分ける力がアップする。
演奏者はさまざまなので、続けて弾くと、その個性が際立ってわかります。

鑑賞レパートリーが増える。
あまり進んで聴かない曲でも聴かざるを得ないので、聴くと、思わぬ出会いがあったりする。

若く将来性のある若者の生きの良い演奏に接することができる。
ベテランの完成された音楽も良いですが、まだ荒削りでも、光る才能があったり、若い時にしか表現できないこともあったりで、それが楽しい。

ということで、5/10から、ルービンシュタイン国際ピアノコンクールが開かれます。

http://arims.org.il/competition2011/pages/english/index.php

5月10日はガラコンで、カティア・ブニアティシビリがシューマンのコンチェルトを弾きます。

予選は11日から開始。

日本からは2人。

高木竜馬君はおそらく出場者最年少の18歳。期待できそうです。

ショパンコンクール2位のダニイル・トリフォノフが優勝を狙ってきます。

その他にも昨年のショパンコンクール組が何人も参加します。

年齢層は高く、すでにコンサート活動をしているような人たちも多いようです。

なので、レベルはなかなか高そうです。

コンクールというより、リサイタルをたくさん聴いているような感じになるかもしれません。
プログラム曲も、古今の名曲が勢揃い。

ファイナルではピアノクインテットとコンチェルト2曲。
名曲の数々を聴く事ができるでしょう。

ちなみに、イスラエルとの時差は6時間。

前半出場者は聴けそうです。

2011年5月 8日 (日)

【ヌーブルジェ動画】デュブノン:ピアノソナタ

久しぶりにヌーブルジェの動画を発見。

2004年のロン・ティボー国際ピアノコンクールのガラ・コンサートで弾いた曲のようです。

ヌーブルジェ17歳。

1968年の作曲家リチャード・デュブノン(Richard Dubugnon)の曲。

んー、キレキレ。今につながる異様な集中力もある。

2011年5月 5日 (木)

北村朋幹 ピアノソロ@LFJ(5/5 G402)

日本人若手で、とうとう魂を揺さぶられる才能を発見。

【プログラム】
J.S.バッハ(北村朋幹編曲):カンタータ「おお永遠よ、汝恐ろしき言葉」よ
り第 5曲コラール「我満ち足れり」 BWV60-5
ベルク:ピアノ・ソナタ op.1
シェーンベルク: 6つのピアノ小品 op.19
ブラームス: 6つのピアノ小品 op.118
武満徹:遮られない休息
ブルックナー:幻想曲 ト長調 WAB.118

何年も前からラ・フォル・ジュルネには出演していたし、首都圏でもよく協奏
曲のソリストとして登場していたのに、童顔で子供のように見え、実際、まだ
20歳(今年)という若さであるし、聴く機会をもうけていませんでした。

ここのところ、ツイッターの情報などで、どうやら凄いらしいという噂を聞い
たこともあって、今回のLFJではぜひにと思って取った公演でした。

最初のバッハは本人の編曲で、おそらく、今日のコンセプチュアルなプログラ
ムの導入として、それなりの意味づけのある曲であったことでしょう。

彼の音は、とても粒立ちが良くて、ピュアで混じりけがなく、清々としていま
す。
ヌーブルジェと同質系の音ですが、ヌーブルジェよりは幾分エッジの角がとれ
ている感じはしました。

なので、続くベルクとシェーンベルクのモダンな響きにはぴったりの音質でし
た。
しかも、とても集中力があって、うねるような音楽的盛り上がりを作り、ベル
クやシェーンベルクから、歌が聞こえてくるではありませんか。時折、ドッキ
リ胸に突き刺さるような鋭角的なフォルテがあったかと思うと、ガラス細工の
ような高音のキラメキの演出。
ディナーミクの幅の広さ、タッチの変化の多彩さなど、近現代の曲に要求され
ているだろう要素を完璧に実現しているように感じました。

ベルクとシェーンベルクのこの曲から感銘を受けたのは、これが初めての体験
となりました。

一息いれたあとのブラームスでは、ピュアな音色はそのままに、さらにディナ
ーミクは大胆になり、今度は曲に応じたテンポ感までも緩急を激しくとり、ブ
ラームスの激情や、諦念、枯淡といったものを見事に表現しきりました。

シャニ・ディリュカに続き、またもや118-2ではウルウルしてきてしまいまし
たし、118-3は聴いたことのない高速演奏ながら説得力がある。幻想的な118-6
は近代への響きを感じさせる。

118-6からアタッカで武満となり、最後は夢見心地のメロディのブルックナー
で締める。

美しい。
しかも、プログラム全体でひとつのドラマになっていて、最後のブルックナー
でカタストロフィーを味わえました。

素晴らしいピアニストです。
一刻も早く次のリサイタルを探して、良いコンサートホールで聴いてみたいで
す。

※実は、G402という条件の悪い場所ながら、音にほとんど不満はありませんで
した。音楽専用ホールの重層的響きはないものの、すっきりした良い響きを聴
けました。

※シェーンベルクの6つのピアノ小品を、3日で3回も聴いてしまいました。
こんなこと、もう一生ないでしょう。
最後に感動できて良かった。

※去年まで訳のわからなかったベルクのソナタが、可愛く思えてきてしまった自分が怖い。

フランク・ブラレイ ピアノソロ@ラ・フォル・ジュルネ(5/5 G409)

フレンチ・エレガンスを堪能。

【プログラム】
R.シュトラウス:5つのピアノ小品 op.3
R.シュトラウス:4つの情緒のある風景 op.9

5つのピアノ小品は過日、河村尚子さんで聴いたばかりで、雰囲気をまだ覚え
ています。
いかにも習作といった感じの、わかりやすい古典的な曲でした。

ブラレイは演奏前に、珍しい曲ということで詳しくレクチャーをしてくれまし
た。

「5つのピアノ小品」にはシューマン、ベートーヴェン、メンデルスゾーンな
どの影響があること(3曲目のテーマは運命のテーマに似ている)、「4つの情
緒のある風景」は、そこから一歩進んで、R.シュトラウスらしい、長めのメロ
ディーが現れたり左手が単なる伴奏的動きから、華麗な装飾が施されるように
なっていると。
5曲目の左手の荒野を表すテーマを実際に弾きながらの解説はとても印象的で
した。

掴みバッチリというところで、演奏が始まります。

ブラレイは、珍しく背もたれ付きの椅子を使用し、背中をもたれかかって弾き
ます。名手にはみな共通する、完全に脱力しきったデリケートなタッチ。
優しく洗練されている。美しい。

やはり、1曲目はどう聴いてもシューマンだし、2曲目はシューベルトだし、3
曲目はベートーヴェンだし、4曲目はメンデルスゾーンです。
R.シュトラウスは、この作品で、ロマン派の歴史をたどったのかもしれませ
ん。

「4つの情緒のある風景」は初めて聴きます。
4つといっても、曲は5曲。
前の作品と、わずか数年しか経ていないのに、驚くべき進化を遂げていて、過
去の作曲家の影響を受けつつも、独自の世界が表出しています。
そして、ブラレイの演奏の素晴らしいことといったら。

相変わらずの軽妙なタッチで、各曲の性格を弾き分けていく。
クリスタルのような高音の響きは、ドビュッシーを感じさせます。
近代の香りが漂いながら、まだクラシックな簡明さも備えた親しみやすい名曲
ではありませんか。

ドイツ人の作品でありながら、ブラレイの手にかかると、まるでフランス音楽
のように、オシャレで洗練された曲に聞こえるのが不思議です。

名演奏家によって、名曲との出会いは生まれる。

ブラレイ&プラジャークカルテット@LFJ(5/4よみうりホール)

【出演者】
フランク・ブラレイ [ピアノ]
プラジャーク弦楽四重奏団 [弦楽四重奏]

【プログラム】
ブラームス:ピアノ五重奏曲 ヘ短調 op.34

もともとヌーブルジェ&モディリアーニカルテットで聴く予定だった曲です。

ヌーブルジェらの演奏は、それは若くて溌剌とし、モダンで歯切れの良いものです。
とかく重厚なイメージのブラームスの、若いときのパッションを表現したかった、というのは、ヌーブルジェが来日したときのブラームスのピアノ・ソナタ第2番の演奏の時に語っていたこと。
その解釈の延長線上にあるような演奏だと感じていました。

この日のプラジャークカルテットはチェコの名門でチェロ以外はそこそこのお歳。
皆、身体は大きく、迫力満点です。
ピアノのフランク・ブラレイはLFJが縮小開催になってから来日が決まり、よくぞ埋めてくれたとお礼を言いたいです。

ヌーブルジェ&モディリアーニを聴き慣れてしまったので、第1楽章のテンポなどが随分ゆっくりに感じてしまったものですが、おそらく、プラジャークの方が普通なのだと思います。
演奏は、身体の大きさそのままに重厚で、いかにもブラームス、といった風です。

切分音が続くパッセージが何度も出てきますが、わざと無骨気味に前への推進を多少犠牲にしても、がっちり弓を引き下ろす、というような感じでした。

第1バイオリンの音で、カルテット全体の色が決まると思いますが、濃い山吹色を感じました。

ブラレイのピアノは、カルテットとは対照的に軽妙で明るくオシャレな感じ。
なので、あまり出張らず、サポート役に回りアンサンブルの中に溶け合うイメージでした。

ヌーブルジェがガンガン表に出てモディリアーニと丁々発止やりあっていたのとも、これまた雰囲気の違うアプローチでした。

ピアノ一筋で他のジャンルは食わず嫌いだった者が、室内楽は去年くらいから、ピアノが絡んだものを中心に少し聴き始めました。
このブラームスのクインテットも格好良い曲で、かなり気に入ってしまったので、またまた趣味の守備範囲が広がってしまい、それほど暇がない中、悩みの種がまた増えてしまいました。

ルイス・フェルナンド・ペレス ピアノソロ@LFJ(5/4ホールD7)

こんなにも”音の響き”にこだわるピアニストもそういないことでしょう。

【プログラム】
ブラームス: 3つの間奏曲 op.117
ブラームス: 4つのバラード op.10
ワーグナー(リスト編曲):イゾルデの愛の死(楽劇「トリスタンとイゾル
デ」より)

【アンコール】
アルベニス:アストゥーリアス

プログラムは当初発表と変わって、間奏曲とバラードの順番が逆になりまし
た。

昨年、風呂場状態のオペラシティでのアルベニスの演奏では、驚異的な響きと
音量を聴かせたペレス。今回はオーソドックスなブラームスのプログラムとい
うことで、最初の一音がどのように出てくるかを注目しました。

ペレスはやはりペレスでした。
低めの椅子で脇を締め気味に、肘は下げ気味で指はほとんどまっすぐに伸ばす
独特の演奏姿勢。弱音では完全脱力して柔らかで豊満かつ極上の響きを醸し出
す。逆に、強打の部分は太い金属の棒かなにかを押しつけるような、かといっ
てきたなくはない轟音を鳴り響かす。

その音量、響き、色の変化、構成感には圧倒されました。

焦らないテンポで音楽をしっかり作り込んでいますが、ペレスの感心は音の”
響き”そのものに相当向けられているのではないかと感じます。
徹底した、音、そのものに対する美意識。

彼の音は、一度聴いたら忘れられない美に満ちています。
これがブラームスで良いのか、ということはあるかもしれませんが、美しいも
のは美しいです。

今日は、まだお若い聴衆もたくさん来ていたので、美とはどういうことをいう
のかを、間近で感得できたことでしょう。
本当に美しいものを知らなければ、醜いこと、きたないこともわかりませんか
ら。

「イゾルデの愛と死」も、ドラマ性と強烈な美意識に貫かれており、これ以上
の演奏を望めないというくらい、見事にリスト編曲の意図を表現しきっていた
ように感じました。

大サービスのアンコールはお得意のアルベニス。

猛烈なアタックの切れ味と、プログラムとは別次元の音色。
どうやったら、ピアノからあんな音が出せるのかと、ため息が出るばかりでし
た。

2011年5月 4日 (水)

シャニ・ディリュカ ピアノソロ@LFJ(5/4 G409)

朝から泣かされてしまいました。

【プログラム】
ブラームス: 4つのピアノ小品 op.119
リスト:エステ荘の噴水(巡礼の年 第3 年より )
ブラームス:間奏曲 イ長調 op.118-2
リスト:オーベルマンの谷(巡礼の年 第1 年「スイス」より)

G409は会議室なので、音響はいつもデッドで、ピアノのダイレクト音はよく聞
こえるけれども、誰が弾いてもかなり乾いた音楽になりがちです。

でも、名手が弾くときちんと響いて聞こえるということがよくわかりました。

昨日、庄司紗矢加さんとのデュオで素晴らしい演奏を聴かせてくれたシャニ・
ディリュカ。
今日は朝一のコンサートで大丈夫だろうかとも思いましたが、昨日のすばらし
さそのまま、冒頭のブラームスの間奏曲の最初の一音の完全に脱力された優し
い美しいタッチで、またまた引きこまれてしましした。

彼女の高音部は、珠のように美しく、低音部は厚みがあって暖かい。
そして、耳にきつい、ガツガツした音が一切ない。

ブラームスの音楽を、情感たっぷりに歌い上げます。
かといって、けっして、くねくねと音楽をこねくりまわすことがなく、あくま
で自然な息づかい。
素晴らしい。

ブラームスの間奏曲118-2が弾かれる前に、英語で一言あいさつ。
この曲は、東日本大震災の津波の被災者に捧げるとのメッセージでした。

さらに情感が込められた感じで、儚い哀愁の情と静かな激情がピアノから伝わ
ってくる。
熱いものがこみあげてくるのを抑えることができませんでした。
まさか、朝から泣かされるとは。

彼女は決してヴィルトゥオーソタイプではなく、手も大きくないので、リスト
の曲のオクターブをガンガン鳴らす部分では少し余裕を欠く感がありました
が、音楽の歌わせ方が本当に上手なのと、弱音や、高音部の扱いが絶妙なの
で、苦手なリストの曲がこんなに親しみを持てて聴けたのは初めてかもしれま
せん。

どんな苦手な曲でもすぐれた表現者にあたるとある日突然目覚めることがある
ので、今日のリストについてはまさにそんな感じでした。

一昨年はコロベイニコフ、昨年はシャマユ、と、毎年新しいタレントと出会え
ているLFJ。今年は、シャニ・ディリュカに出会うことができました。

2011年5月 3日 (火)

庄司紗矢香&シャニ・ディリュカ デュオ@ラ・フォル・ジュルネ(5/3よみ

今日の白眉でした。大満足(~o~)

庄司紗矢香 [ヴァイオリン]
シャニ・ディリュカ [ピアノ]

ブラームス:私の眠りはますます浅くなり(低音のための 5つのリート
op.105 より第2番 ヴァイオリン・ピアノ版)
ブラームス:ご機嫌いかが、私の女王様(プラーテンとダウマーによるリート
と歌 op.32より第 9番 ヴァイオリン・ピアノ版)
ブラームス:おとめの歌( 5つのリート op.107 より第5番 ヴァイオリン・
ピアノ版)
ブラームス:野の寂しさ(低音のための 6つのリート op.86 より第2番 ヴァ
イオリン・ピアノ版)
ブラームス:ジプシーの歌 op.103より第1 番 ヴァイオリン・ピアノ版)
レーガー:ロマンス ホ短調 op.87-2
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第 1番 ト長調 op.78 「雨の歌」

普段ヴァイオリンを聴かない者が1日にライブで3人も聴くことなど、初めてで
す。
ホールの違いや、シート位置の違いなどがあったにしても、庄司紗矢香さんの
音と音楽は絶品でした。
最初の1曲目の数小節を聴いただけで、そのすすり泣くような音色に魂を連れ
去れてしまいました。

あるときはため息をもらし、あるときは輝くシルクの糸のよう。
神尾真由子さんの耽溺するような甘さとはまたひと味もふた味も違う、大人の
落ち着いた叙情。

聴き入ってしまいました。
ヴァイオリンも良いなあ。

そしてそして、シャニ・ディリュカです。
彼女の伴奏も、伴奏の域を超していました。

優しく透明感があって暖かく、豊かな響き。
やはり、音自体の美しさというのが、いかに印象を左右することか。
ディリュカもまた、一音聴いただけで、うっとりしてしまうタイプです。

シャニ・ディリュカの優しさと大きさが、庄司紗矢香のリリシズムを包み込
む。
十分自己を表現しながら、決してバイオリンを邪魔することがない。

音が、音楽が溶け合っている。
なんと素晴らしいデュオでしょうか。

もうピアノを追いかけるだけで精一杯なのに、ヴァイオリンにまではまってき
たらどうしよう。
悩みが増えました。

※シャニ・ディリュカ、動画で見てある程度予想していましたが、予想以上の
すばらしさでした。明日のソロがたいへん楽しみになってきました。

※デュメイの時は2階最前列の左側、庄司さんの時は、右列の中程。ヴァイオ
リンもピアノもがぜん庄司さんの時の方が良く聞こえました。

オーギュスタン・デュメイ&児玉桃 デュオ@ラ・フォル・ジュルネ(5/3よみ

【出演】
オーギュスタン・デュメイ [ヴァイオリン]
児玉桃 [ピアノ]

【プログラム】
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第 2番 イ長調 op.100
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第 3番 ニ短調 op.108

ソナタの3番の方は、先日、ギドン・クレーメルとヴァレリー・アファナシェ
とのデュオを聴いたばかり。

よみうりホールは初めてです。

デュメイの音は、ホールがデッドということもありますが、乾きめであっさり
していました。
ただ、中音域の音はなかなか厚みがあって魅力的だと思いました。

この間のアファナシェフがたいへん出張っていただけに、児玉さんはごく普通
の伴奏に聞こえました(^^;)

今回は逆に、もう少しピアノ独自でも表現をしても良かったのではないかな
と。

全体的にあっさり目のブラームスに仕上がっていたような気がします。

パパヴラミ(Vn)、広瀬悦子(Pf)協奏曲@ラ・フォル・ジュルネ(5/3ホールC)

【出演】
テディ・パパヴラミ [ヴァイオリン]
広瀬悦子 [ピアノ]
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・リス [指揮]

【プログラム】
ブラームス:大学祝典序曲 op.80
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
リスト:ピアノ協奏曲第 2番 イ長調

ヴァイオリンはほとんど聴かない人だったのが、最近少し興味が出つつありま
す。曲の方はそんなに聴いていないのでなんともコメントできませんが、ヴァ
イオリンの音色については、このパパヴィラミはハイポジションを使用する超
高音域の出し方がものすごく上手で、ビブラートもビリビリかかっていてしび
れてしまいました。
ヴァイオリンには不案内なので、ああいう音が良いものかどうかはわかりませ
んが、感覚を刺激する音であったことは間違いありません。

さて、私の本命は広瀬悦子さんです。
今回のこれが初めて彼女を聴く機会です。
曲は、去年ヌーブルジェが弾いた曲ですから、良く知っています。
リストの有名でない方の協奏曲ながら、ルネ・マルタン氏も押しているという
隠れた名曲。

登場した広瀬さんは、薄いピンク色のスリムなドレスに身をつつんだ、とても
スレンダーな方。
腕も指も華奢な感じで、果たしてオーケストラと張り合えるような音が出るの
か、ちょっと心配でした。

しかし、始まってみるとなかなか激しい激しい。
前の相沢さん以上に全身を使い、大音量を出すときは、ユジャ・ワンばりに腰
を椅子から浮かしたままでピアノを弾いています。

テクニックは抜群で、どんなに早いパッセージでも、オクターブの連打でもひ
とつもミスをしません。

ただ、細身の身体からめいっぱい音を出しているので、やや背伸びした感があ
ることは否めないでしょうか。
大きく逞しい身体の男性ピアニストが出す音や、同じ細身でもアスリートばり
の筋肉に覆われたユジャ・ワンの強靱でシャープな音に比べると、さすがに見
劣りはします。

特にリストの賑やかなオーケストレーションを向こうにまわしてですから、し
かたない部分もあるでしょう。

明後日、ソロが聴けるので、もう少し自然体の広瀬さんが聴けることでしょ
う。

※ウラルフィルは、最初どうも管の具合が悪く、ときどき音程の狂った音など
が聞こえていましたが、だんだん調子が上がっていったようです。

相沢吏江子 ピアノソロ@ラ・フォル・ジュルネ(5/3ホールG402)

【プログラム】
シェーンベルク: 6つのピアノ小品 op.19
シェーンベルク: 3つのピアノ曲(1894年)
ルー・ハリソン:組曲
ブラームス:ラプソディ ロ短調 op.79-1

最初に簡単な解説。よどみなくしっかりした説明で、頭の良さを感じます。
シェーンベルクの3つのピアノ曲は先ほど聴いたボファールのとは違う曲で、
20歳頃の習作のようなものらしいです。
まだ無調の世界に踏み入れないころのシェーンベルクの珍しい作品とのこと。
ルー・ハリソンは近年無くなったアメリカの作曲家で、この曲はシェーンベル
クに評価されたものだそうです。

最初の6つのピアノ小品は、もう何度か聴いているので、だいぶ感じがつかめ
てきましたが、皆、そうとう表現が違うので毎回違った印象を受けます。
相沢さんは全身を使ってフレーズやリズムをとらえ、躍動的。
やや打鍵はおとなしめで現代音楽っぽいシャープさというのはさほど感じませ
ん。
譜めくりの間も作品と考えているとのことでした。

3つのピアノ曲は、なるほど、普通に調性があり、知らずに聴いたらシェーン
ベルクとはとても思えませんでした。なかなかドラマティックなロマン的な曲

ハリソンの曲は初めてだし、無調だし、長いし、なかなかきつかったです。
打楽器的にピアノを扱うところが結構ありましたが、そういうあたりはもうち
ょっと切れ味がほしかったでしょうか。タッチの弱さを感じました。

最後、ようやく聴き知ったブラームスの曲が登場。

相沢さん、水を得た魚のごとく、全身をバネにして、情感たっぷりに歌い上げ
ました
彼女はとても小さな方で、手も小さく、なかなか厚みのある連打はきつそうで
したが、その分、身体全体を使って補っていました。

なかなかすばらしい演奏でした。

ラ・フォル・ジュルネ東京5月3日昼の地上広場

地下の展示広場は、今年はがらんどうで何も催されません。

テーブルもないし、飲食もできない。

休憩スペースは地上広場だけです。

今日は少し肌寒い。

だいぶ人が出てきました。

53_2

フローラン・ボファール ピアノソロ@ラ・フォル・ジュルネ(5/3ホールG409)

【プログラム】
リスト:悲しみのゴンドラ
シェーンベルク: 3つのピアノ曲 op.11
ブラームス: 6つのピアノ小品 op.118

朝の幾分まだ眠気が残る時間に、まったく爽やかでない、しぶーい曲で私の今年のLFJはスタートしました。
シート位置は演奏者の真後ろ。
至近距離なので、ピアノのレッスンを受けていて、先生の模範演奏を聴いているような感じです。

ボファールはとても細身で身体も大きくない。(でも手はそこそこ大きそう)
大きな音でびっくりさせるような人ではない。
ダイナミックレンジも大きなほうではない。
けれど、音のひとつひとつをとても大事に扱っていて、フォルテになってもがさつな音というものがひとつもない。

リストあたりはまだ音がなかなか出てこず、ぱさぱさした乾いた音でしたが、徐々になじみ、ブラームスの頃にはだいぶ良い雰囲気になりました。

シェーンベルクは予習を多少しましたが、やはりどうもまだついていけません。
もう1度聴けるので、少しは感じがつかめてくるかもしれません。

ブラームスで、やっとなじんだ曲がかかり一息。
とても素晴らしい。
ブラームスの和音の響きが、ほどよい太さと落ち着きと明瞭さのバランスを保ち、心地よい。
音楽の作りはオーソドックスで、聴いていて安心できるタイプ。

渋めのコーヒーを飲んで、最後ミルクと砂糖を少しいれてほっとしたといったところでしょうか。

朝のラ・フォル・ジュルネ

寝坊してぎりぎりになってしまいましたが、なんとか間に合いました。

もう10時近いですが、出足はまだ少ないようです。

53

当日券もまだ少し残っていました。

『iPadバカ』(美崎栄一郎)

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著者:美崎栄一郎

出版:アスコム

私のためにあるような本。

タイトルを見た瞬間、買ってしまいました。
すばらしいマーケティングです。

1000冊の本を自炊し(実際は1冊100円で業者に委託)、800本のアプリを実際に使ってみたというiPadを愛する強者。

著者のふるいにかけられたアプリは、結局一般的に評価されているものが多く、私も実際に使っているものともかぶります。

私の場合は、iPadの使い方の可能性についての考察が相当煮詰まってきているところながら、日常に忙殺されて、まだその可能性のすべてを試す機会がなく、ややフラストレーションがたまっていました。

自分でやりたくてできないことを著者は試してレビューしてくれているため、今後の活用法の大いなる参考になりました。

もしかすると、iPadをまだ体験していない方、使い始めたばかりの方には、案外、この「iPadバカ」の世界がイメージしにくいかもしれません。

なにか自分にとって有用な「キラーアプリ」、「キラー使用法」がひとつみつかったとき、あなたも立派な「iPadバカ」の一員になれることでしょう。

ちなみに、美崎氏が直接触れていないことで、私にとっての「キラー使用法」があります。

それは

「楽譜ライブラリーを常時持ち歩く」

ということです。

自分の手持ちの楽譜をスキャンして読み込ませておくもよし、IMSLPからパブリックドメインの無料楽譜PDFファイルをダウンロードしておくもよし、それをGOODREADERで呼び出せば、いつでもどこでも楽譜を開け、練習もできるし、音楽を聴きながらなぞることもできます。

今現在、弾きたい曲から順に30曲くらいが、どの楽譜も「3秒で見られる」状態になっています。

また、感動的なのが譜めくり。 
指先でさっとはじくだけで、次のページが出てきますから、弾く手を休めることがほとんどないし、楽譜がくしゃくしゃになったり、ちぎれたり、汚れたりするのを心配することもありません。

ピアノ人生が変わります。

《IMSLPのサイト》

http://imslp.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8

次の版では、ぜひこういう使い方も紹介していただけたらと思います。

マニアックすぎますかね(^^;)

※以前、iPadで楽譜を見るのは無理でしょう、とご批判いただいたこともありますが、まったくそんなことはありません。
最近は、ミニ楽譜なんてのもありますから、それに比べたら十分大きい。
パブリックドメインの楽譜の一部で、ごちゃごちゃ詰まって印刷されているものはさすがに見にくいこともありますが、概ね大丈夫です。

※欠点としては、書き込みが簡単にできない点でしょうか。
自分なりの運指とか。
先生の注意とか。
それも、PDFの読み込みアプリをいろいろ試せば、解決するかもしれません。

2011年5月 2日 (月)

有楽町で会いましょう♪

すったもんだありましたが、1年待ちに待ったラ・フォル・ジュルネのメインイベント有料公演が明日から開催。

ヌーブルジェは聴けないけれど、個性と才能にあふれる一流のアーティストを短期間にリーズナブルな料金で、これだけたくさん聴けることはありません。

また、今年は苦手だった後期ロマン派~の音楽なので、こういう機会でもなければ、一生親しむことがなかったかもしれません。

何せ、初日の一発目からシェーンベルクですから(^^;)

いささか、というか、かなり準備不足の感は否めません。

おそらく”東京は壊滅”というような、悪い風評がかけめぐっているであろう海外から、勇気を持って来日してくださるアーティストに報いるためにも、真剣に集中して聴きたいと思います。

ラ・フォル・ジュルネ 予習再開~シェーンベルク3つのピアノ曲

日にちがもうありませんが、よくわからない曲はわずか。
がんばって予習します。

シェーンベルクは、どんだけやっても無理かもしれませんが、
とりあえず、楽譜とにらめっこしてみます。

演奏はいずれもポリーニのようです。

★Arnold Schonberg - 3 Klavier Stucke op. 11, no. 1

★Arnold Schonberg - 3 Klavier Stucke op. 11, no. 2

★Arnold Schonberg - 3 Klavier Stucke op. 11, no. 3

2011年5月 1日 (日)

ラ・フォル・ジュルネの無料公演~コロベイニコフ、ディリュカなど

開幕中のラ・フォル・ジュルネ東京、有料公演はいよいよ3日から始まります。

最初のプログラムより密度が薄くなったので、はしごの件数も若干減りました。

その分、無料公演などに足が運べるかも知れません。

丸の内での無料コンサートが100くらい行われるようです。聴けませんが、4日にはシャニ・ディリュカ、5日にはアンドレイ・コロベイニコフが出演します。

日本人ピアニストもたくさん出演します。
聴いたことある人がいないのですが、隠れた逸材がいるやもしれません。

http://www.tokyo-event.jp/lfj2011area/

地上広場キオスクでのミニコンサートの方は、例年どおり、当日の朝、有料公演出演者のうち、誰が演奏するかが発表されます。

4日と5日に4枠残っているので、注目しておきたいところです。

http://www.lfj.jp/lfj_2011/event/sub_02.html

概ね、若い有望アーティストが出演していたので、シャニ・ディリュカとか、北村朋幹あたりはどうでしょうか。

そういえば、一昨年ヌーブルジェがイタリア協奏曲を弾いたとき、小曽根真が飛び入りで現れて、ヌーブルジェとセッションしたのが懐かしく思い出されます。

本歌取り?(2)バッハ/ペトリ:コラールから

今年、河村尚子さんのアンコールで聴いて、申し訳ないけれども、違う曲の旋律にとらわれてしまいした。

これが、アンコールで弾かれた曲
バッハ/ペトリ:コラール「羊は安らかに草を食む」BWV208

カーペンターズ:シング
序奏がそっくり

</p>

Yankee Dlldle(アルプス一万尺))
序奏に続く部分がそっくり

マーティン・ヘルムヘン ピアノリサイタル@トッパンホール(2)

【前の記事からの続き】

前半のプログラムで、軽く柔和な音質と、徹底的に細部を作り込む個性をみせただけに、ハンマークラヴィーアという壮大な音楽をどう料理するのか、とても興味がふくらみました。

登場して椅子にこしかけるやいなや、拍手がまだ残る中、いきなりズダーンときました。
これはもう、後半はドイツ魂全開だぞ、という合図だったのでしょうか。
第1楽章はやや早めのテンポでぐいぐい進む。細部はもちろんおろそかにしていないのだけれど、前半の曲よりずっと表現がストレート。
迫力もあります。
強打は音量は十分だけれど、濁ることはない。
構成感もしっかりしている。

第2楽章は幾分テンポを落とし、バッハのアルマンドでみせたような、ややブレーキをかけるような作り方が独特。

第3楽章はやや早めで、古典派の緩徐楽章らしく、適度なウェット感でたんたんと進みます。ちょっと左手の音が大きく感じられたのですが、そういう解釈だったのでしょうか。

第4楽章、かなりゆっくり目の序奏から、フーガが始まると今度は猛烈なスピード。果たして指がもつれないのか、と心配になるくらい。
しかし、技術的にはほとんど問題なく、疾風怒濤の演奏となりました。
コーダが近ずくにつれ、興がノリ過ぎたのか、少し息切れしたのか、やや荒っぽい感じもしなくはなかったですが、最後はきっちりとしめました。

前半と明らかにアプローチを変えてきて、ティル・フェルナーばりの、ゲルマンっぽい表現をしようとしていたことは明らかでした。
ただ、ヘルムヘンの音の特徴は、決して鋼鉄のような頑丈さや、するどい切れ味を持ったものではなくて、あくまで軽やかで浮遊感のあるものであることは変わりませんでした。
だから、右手のスケールのようなパッセージになると、音楽がとたんに軽やかになる。
ガンガン弾いている中に、ふわふわ感のある音が混じり、何とも不思議な感じでした。

聴き応えのある、なかなか素晴らしい演奏だったと思います。

アンコールは、おなじみのコラール前奏曲。
力を抜いた演奏が、どちらかというとヘルムヘンの本当の個性ではないのかなという気がしました。

※今日はディナー付きの演奏会でした。私は行きませんでしたが。ご本人も同席されたのでしょうか?

※ハンマークラヴィーアは2年前のヌーブルジェを聴いて以来でした。
ヌーブルジェの演奏の緊張感と、硬質でタッチに力感のある演奏を懐かしく思い出しました。

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