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2011年4月24日 (日)

奥村友美 ピアノリサイタル@浜離宮朝日ホール(1)

2011年4月23日(土)
最近の若い日本人ピアニストたちは、技術も表現力もハイレベルの演奏を聴かせてくれるようになりました。

この日聴いた奥村友美さんは、ヌーブルジェユジャ・ワンメジューエワのように、びっくり仰天するような圧倒的存在感を示すタイプではないながら、実に音楽が豊かであり、音はエッジが丸く優しく力みがなく、日本人離れしたセンスの良いフレーズ感とリズム感を持ち、聴く者を安寧と幸福に導く表現力を持ったアーティストでした。

すべての演目がとても素晴らしかったです。

【前半】
モーツァルト:ピアノソナタ 第3番 変ロ長調 KV281
シューマン:幻想小曲集 Op.12

【後半】
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調Op.27-2「月光」
ラヴェル:夜のガスパール

【アンコール】
リスト:愛の夢 第3番

その日、集中して演奏を聴けるかどうかは、だいたい最初の曲の数小節で決まることが多いです。
そこで「ハッ」と思えた演奏は、たいてい最後までいい感じで聞き通せる。

この日の奥村さんの演奏がまさにそのパターン。

モーツァルトのチャーミングな初期のピアノソナタの、これまた戯れるような開始主題を、実に優しくまろやかで美しい音で奏で、ぐいと引き込まれてしまいました。

どうも音の優しさの質が違うと思ってよくピアノを見たら、ヤマハのピアノでした。なるほどスタンウェイではああいう音はなかなか出ないでしょう。後援がヤマハだったので、CFXを持ち込んだのかもしれません。浜離宮にはヤマハはありませんので。

アルフレッド・ブレンデル並みの落ち着いたテンポと、知的な構成力。
初期モーツァルトらしい可愛いらしさと、シンプルなディナーミクの対比、会話のような掛け合いや、劇的な場面展開をしっかりと表現していました。

そして何と言ってもリズム感が良く、常に拍の一歩前をゆくような、それでいて決して急いでいる感じを与えない、ナチュラルなドライブ感がある。聴いていて安心できます。

続く、シューマン、最初の「夕べに」のまたまた出だしの美しさに感心してしまいました。
スタンウェイ的なピアニスティックで透明感あふれる美音とはまた違った、柔和で一枚シルクのベールで覆われたような音がします。
彼女の感性とヤマハのピアノの個性とが見事に調和しています。

夢見るシューマン
そんな言葉がぴったりです。

「飛翔」は丁寧に落ち着いて。技術的にも高度です。
「気まぐれ」はリズム感の良さが遺憾なく発揮される。心地良い。
「夢のもつれ」昨年以来、内田光子さんや、アルゲリッチなど世界の超一流の演奏を聴いてきました。技術的名手たちはこの曲を軽々とすっ飛ばして弾きがちだと思いますが、奥村さんはもちろん上手ながらあくまで落ち着いて知的にコントール。
「歌の終わり」他の曲すべていえることですが、奥村さんは旋律を浮きだたせて、それを歌わせることがとても上手。その歌い方の息づかいが自然で、まったく迷いがなくて、聴いている身としては安心して音楽に身をゆだねられるのです。

クラシカルなモーツァルトとシューマンが終わり、後半は表現を外に向けなければいけない曲。やや線は細めではある彼女が、どんなアプローチをみせるのか、期待が高まります。

前半が終わったところで、カーテンコールがされませんでした。
私としては、とても悲しかった。
この日の聴衆はなぜかとてもおとなしかった。

【次の記事へ続く】

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