レコードアカデミー賞~メジューエワのノクターン集を聴く
ここ数年、ヌーブルジェに次いでライブをたくさん聴いているイリーナ・メジューエワがレコードアカデミー賞を獲得し、我が事のように嬉しく思っています。
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嵐のようにアルバムを出しているメジューエワ。
とても全部追い切れておれず、ノクターン集もたまたま持っていなかったので、この機会に求めてみました。
嬰ハ短調の遺作はゆったりとしたインテンポと極上の美音で秘めた情熱を表現。
超有名な第2番 Op.9-2、余分な叙情を廃し、端正かつエレガント。
ショパンコンクールでニコライ・ハジャイノフの演奏を聴いて大好きになった第3番 Op.9-3は、メジューエワにしては、とても即興性にあふれていて、かなりルバートを多用したロマンティックな表現。
ヌーブルジェの鮮烈かつ怒濤の演奏で大好きになった第4番 Op.15-1。
慈しみあふれる主題。あわてない中間部。
有名な第5番、Op.15-2。スローテンポでじっくりと主題を聴かせ、中間部は左手のリズムをやや崩して変化をつける。再現の前にフッと間。
嬰ハ短調の名曲第7番 Op.27-1。ルバート多めのロマンティック表現。
荒らしの中間部は案外ゆったりと落ち着いた表現。
超有名な第8番 Op.27-2。端正さと思い入れとを上手にミックスし、実に深い表現。
暗い第11番ト短調。悲しい音色。
明るい第12番ト長調。揺らさず端正に華麗さを演出。
名曲第13番 Op.48-1。主題、右手の音の出を一瞬前倒した独特の表現。
中間部、徐々に集中を増し大きな表現。再現部、一気にいくのではなく、変化をつけて叙情たっぷり。
ショパンコンクールでかなり聴いた第16番 Op.55-2。
超スローテンポによる美の表現。胸をえぐられる。素晴らしい。
同じくショパンコンクールで人気だった第17番 Op.62-1。
同じくスローテンポで、複雑な和声進行に伴う微妙な音色の違いを、デリケートに表出。
これまた秀逸。
ハ短調の遺作。ヌーブルジェの演奏で好きになった曲。ほんのりと寂しい叙情。美しい。
全体を聴いてみて、そのアプローチの変幻自在さにびっくりしました。
時に端正、時にロマンティック、そのバランス感覚が絶妙。音色の明るさ、暗さの変化を非常に明確に演出している。
決してあせらず、形式感を崩さず、激さず、しかしタッチは深く明確。
実に素晴らしいアルバムです。
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