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2010年11月21日 (日)

イリーナ・メジューエワ レクチャーコンサート@朝日カルチャーセンター

ジューエワと評論家の真嶋雄大による、「ショパンvsシューマン」の講座の折り返し。

それぞれの晩年の曲の特徴についてレクチャーを受け、その上でメジューエワの演奏を楽しみました。

●第3回 ロマン主義の彼方へ ~晩年のヴィジョン
シューマン:幻想小曲集 Op.111
シューマン:暁の歌 Op.133
ショパン:マズルカ Op.59
ショパン:ノクターン Op.62-1
ショパン:舟歌 Op.60

シューマンはメジャーな曲でなく、私は聴くのは初めてでした。
幻想小曲集は有名なOp.12とは別物。

同じメロディーが執拗に出てきていかにもシューマンらしい。
1曲目はクライスレリアーナをやや思わせる。
でも地味目の曲です。

音が少なくなっている、ということで、ソナタ第2番の第1楽章と第4楽章の出だしを、いとも簡単に弾いてみて、どうですか?音が多いでしょう、と解説をしてもらえ、目をみはりました。

この曲、ユジャ・ワンが来年の3月に弾くということに後で気がつきました。
もっと聴きこまねば。

「暁の歌」はレクチャーによると、シューマンの精神状態がぎりぎり正常だった実質最後の曲だそうです。
真嶋雄大氏はさかんに変な曲だと言っていました。
メジューエワによると、人間がいない音楽、痛み・悲しみ・寂しさそのままであるとのこと。暁というより黄昏であると。

シューマンは晩年に向かい、ピアニスティックなものからシンフォニックなものへと音楽が変容していった。
この「暁の歌」も頭で考えた曲で、手のことは何も考えていない、というのが笑えました。
妻のクララも理解できなかった曲らしいです。

聴いてみると、両氏がおっしゃるほど変な感じではなく、ブラームスの晩年の小品集を思わせる雰囲気があったり、一部にはシューベルトの即興曲のような雰囲気があったりし、現代音楽を聴くほど理解しがたいというわけでもありません。
名曲か、と問われたら、ショパンの晩年の充実度に比べると確かにどうかとは思います。
真嶋氏曰く、何を言いたいのだかわからない。

それよりレクチャーで気になったのが、シューマンの絶筆だという、「天使の主題による変奏曲」のこと。
真嶋氏が「絶対聴きたくない」と言うのでと、逆に聴きてみたいではないですか。

シューマンはそんなわけで、演奏も具合はあまりコメントできません。

それに対してショパンは、ショパンコンクールでさんざん聴いた曲ばかりでしたので、おおいに楽しめました。

ショパンの晩年は、ピアニスティックな技法はそのままに、メロディーはポリフォニックになり、和声も形式も複雑になっていっていき、非常に高みに到達している。
それはもちろん、ただ聴いている素人としても理解できていますが、実際に、マズルカ7-1やノクターン9-1、9-2などは、左手が伴奏で右手が旋律であることがはっきりしていること、それに対してマズルカ59-2やノクターン62-1がどれだけ複雑であるかを、弾き比べて示してもらえました。

62-1の中間部でポリフォニックに展開されているところを、4声の声部ごとに歌付きで弾き分けてもくれました。
さすが、プロ。
真嶋氏は、晩年のノクターンは複雑でわかりにくいとのことでしたが、聴き込むにつれすばらしさがわかってくる曲ではないでしょうか。

演奏はいつものようにすばらしい。
今日は全体的にややテンポが速め。
メジューエワはピアニシモであっても、鍵盤を深く鳴らし、なよなよしていない。そしてフォルテは独特の濃い情念を醸し出す。

今日の圧巻は、ノクターンOp.62-1のフォルテによる提示終了後の上昇下降スケール。
身体が震えました。
真嶋氏が演奏後、開口一番「やはり何だかわからないですねえ」とメジューエワにふったのですが、それは失礼というものじゃないでしょうかねえ。

曲も演奏も極上なのですから。
メジューエワだって、そんな風に振られたら答えにくそうでした。
「えっ、えー、まあ、そうですねえ」とか。

舟歌のコーダも凄かった。
最後ちょっと事故ってしまったのはご愛敬。
恥ずかしがり気味のメジューエワはチャーミングでした。

それにしても、会場の超デッドさは相変わらずで、さすがのメジューエワでもところどころプチプチ音楽が途切れてしまいがち。

おまけに、今日はピアノのダンパーペダルが、踏むたびにキーキー音をたてるわ、弦の一部はシャカシャカして今にもきれそうだわ、さらに、いつもの上手な譜めくりの女性がおらず男性の違う人でとても危なっかしく、見ているほうも落ち着かなかったです。

ぜひとも、今日のプログラムは紀尾井ホールあたりで、最高のピアノと最高の響きで、聴き直したいものです。

※今日は受講者が少なかった。40名くらいだったでしょうか。
まあ、ピアノを聴くには貧弱な会場というせいもあるのかもしれません。

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