ヌーブルジェ、ショパン・コンクールに参加したならば~クラシカジャパン放送
本日先ほどヌーブルジェのショパン演奏が、クラシカジャパンで放映されました。本邦初公開映像。
2010年1月29日、ナントのラ・フォル・ジュルネにおける演奏模様。
ノクターン Op.9-2
スケルツォ第1番
エチュード Op.10全曲
折しも、ショパン・コンクールの最中。
1次予選の模様を、ライヴで20人ほどは聴いたでしょうか。
一度ににショパンの同じような曲を20人も聴いたことなど初めてでした。
良く知った曲がほとんどで、それだけに各コンテスタントの個性が、大変よくわかります。そして、ショパン演奏の良し、悪しが、こんなにもはっきりわかるものとは知りませんでした。
貴重な体験をしてしまいました。
その経験をした中でのヌーブルジェの演奏。
曲目もショパンコンクールともろかぶり。
動画配信で何度か見ていますが、きちんとしたTV放映で、TVの貧弱なスピーカーでなく、きちんとまともなヘッドフォンで聴いたらどんな風に感じるか、やや怖いものがありました。
他のコンテスタントに混じって弾いたと想像して、追っかけファン、ということを抜きにして、冷静に感想を述べてみます。
まずこれはヌーブルジェの大きな特徴で、非常に音がクリアで硬質なこと。
ノクターンはガラスを叩いているようです。
この音が魅力です。
クレア・フアンチあたりもとてもキラキラした音でしたが、キラキラ度ではヌーブルジェは群を抜いていると思います。
しかし、それがショパンの雰囲気を良く出しているかというと別問題で、クルティシェフやトリフォノフやキム・ダソルの柔らかい雰囲気の方がショパンには合っていそうです。
スケルツォはとても素晴らしい演奏でした。
ヌーブルジェの美点が曲ととてもマッチしている。
そして、ガンガン弾くなぁと思っていたヌーブルジェも、比べてみると、コンテスタントの案外多くが、それこそガツガツ弾いたり、やたら早弾きするのに比べると、ずっと落ち着いて、きっちり音楽を作っていることがわかりました。
これは水準以上だと思いました。
問題はエチュード。
この日のヌーブルジェは、よほど体調でも悪かったのか、とても演奏にキズが多かった。10-2などはもつれて危ういくらい。
こんなヌーブルジェは、後にも先にも初めてです。
これがコンクールだったらまずかったかもしれない・・・
肝心な音楽の方はというと。
彼は16歳のときにエチュードのCDを出していて、その演奏はまことに清々しく、まだやや線の細い少年の表現が、逆にショパンのデリカシーをよく表現しているように感じたものです。
今年のナントのヌーブルジェは23歳。精神も成熟してきて音楽も大きくなり、音質も以前より骨太な感じが出てきている気がします。
そして、その変化している方向が、果たしてショパン弾きの方向かというと、もしかすると違うのかもしれません。
2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンの時には、まだナイーブな感じを残していたヌーブルジェ。最近は音楽により確信のようなものが満ちてきたのとは逆に、フッと風が吹き抜けるような爽やかさが薄れてきたのかな、と。
というようなわけで、ヌーブルジェがショパンコンクールに出たら、もちろん、ファイナルに残る実力は十分あると思いますが、圧倒的なショパン弾きとして認められるとは限らないかも、と思ったしだいです。
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