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2010年10月の69件の記事

2010年10月31日 (日)

神尾真由子&クルティシェフ デュオ@みなとみらいホール

ショパンコンクールが終ったばかりで来日のクルティシェフ
優勝候補で1次予選では素晴らしかったのに、徐々に調子を落としてとうとう入賞も逃してしまいました。
失意の底にあると思いますが、立直っているでしょうか。

ヴァイオリンは滅多に聴かないのですが、地元でたまたま当日券が残っており、チャイコン最高位同士のデュオであるし、フラっと立ち寄ってみました。

【出演者】
神尾真由子 (Vn)
ミロスラフ・クルティシェフ (Pf)

【プログラム】
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ Op.28
チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ Op.34
チャイコフスキー:憂うつなセレナード Op.26
ワックスマン:カルメン幻想曲
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18

【アンコール】
クライスラー:愛の喜び
エルガー:愛のあいさつ

ヴァイオリンはコメントできるほど聴き込んでいません。
が、今日の神尾さんは、間違いなく超一流でした。
ヴァイオリンでここまで魂を揺さぶられたのは初めてです。
音程は寸分の狂いもなく、低音から高音まで、素晴らしい美音。
音量は十分。
みなとみらいの3階席でもまったく問題ありません。
ビブラートのかけかたもしびれる。

前半は超絶技巧の見せ場が多く、カルメン幻想曲のコーダのテクニックはまさに神懸かっていました。
そして単に上手いだけでなく、聴く者をひきつけるオーラを感じます

後半のソナタになって、やっとピアノにも少し見せ場がおとずれたものの、神尾さんのオーラには太刀打ちできず。

アンコールでようやく私もよく知っている曲が演奏され、神尾さんの表現力の高さをしっかり確認できました。
特にエルガーの繊細な作りには感嘆。ある意味手垢のついた曲が別次元で再生されていました。

クルティシェフの印象はショパンコンクールと同じ。
上手いし手堅いのだけれど、やや華がない。神尾さんが華いっぱいだっただけに、余計彼の地味さが際立ってしまった感じでした。
でもコンクールの疲れもみせず、よく合わせていたのは、さすがです。
ソナタの第2楽章の透明感のある音はなかなか良かった。

ピアノだけでも精いっぱいなのに、オーケストラ、室内楽などにも興味が広がってきてしまって、どうしよう。

※日本人には、ピアノよりヴァイオリンの方があっているのでしょうか?

2010年10月30日 (土)

ショパンコンクール落ち穂拾い3

ラ・フォル・ジュルネやル・ジュルナル・ド・ショパン、パリでは、一度にたくさんの一流のピアニストの演奏を聴くことができ、ピアニストの個性、ということについては、いろいろ感じさせてくれます。

しかし、それらに出演するピアニストは、皆それぞれに一流なので、技術的に問題があったり、音楽がよれよれだったりすることはありません。

今回のショパン・コンクールは、プロピアニストの卵ばかりですから、明らかに技術が足りなかったり、クラシック音楽としてどうかと思ったり、上手なのだけれど音楽が?だったり、逆に技術は最高ではないのだけれど音楽は魅力があったりと、いろいろバラエティに富んだ演奏を聴くことができ、とても考えること、感じることが多かったです。

アメリカのアンドリュー・タイソンはそこそこ技術があり、ノリノリのとても楽しい音楽を提示しました。
ただ、いかんせん、クラシックの枠をはみ出してしまっている感がありました。
エンタメとして聴く分には十分楽しい。
3次予選では批判があったせいなのか、彼の音楽としては萎縮してしまっていて、普通っぽくなって精彩を欠いてしまっていました。

中国人に多かったのが、切れ味鋭いブリリアントなタッチで曲芸のようなテクニックを披露するコンテスタントでした。
中国の育成方法には、何か独自のものがあるのでしょうか。
ただ、その猛烈なテクニックを最後まで破綻なく披露できた人がおらず、皆崩れてしまったので、ファイナルに進めた人はいませんでした。

何度も言及したロシアのユーリ・シャドリンは、切れ味鋭いテクニックを持つわけではないのに、心に響く大きな音楽を聴かせてくれました。
日本の岩崎洵奈さんは、素直で流麗な音楽を聴かせてくれたのですが、いかんせん引っかけが多くて先に進めませんでした。

日本の岡田奏さんは、自己表現はよくできていたと思いますが、ピアノの音を鳴らし切れていなかったのが評価されなかったのかもしれません。

いろいろ考えてるにつれ、下手な素人ピアノ弾きなので、完璧な技術を身につけることは無理でも、もっと音楽的にピアノを弾くことは可能かもしれない、と、少しレッスンのモチベーションがあがったしだいです。

2010年10月29日 (金)

ショパンコンクール落ち穂拾い2

【公式ピアノ】

コンクールでは4つのメーカーのフルコンサートグランドピアノが使用されました。

スタンウェイ(ドイツ)
ヤマハ(日本)
カワイ(日本)
ファツィオリ(イタリア)

《ファツィオリ》
中でも注目されたのが、今回初めて公式ピアノとして採用されたファツィオリ。イタリアの新興メーカーながら、近年、一流のプロピアニストたちが認めるようになってきているブランドです。

私はアンジェラ・ヒューイットの演奏をファツィオリで聴いたことがあります。
とても艶やかな音色がしていた記憶があります。

ファイナルに残った中でファツィオリを弾いていたのは、トリフォノフデュモン。(デュモンはファイナルはなぜかスタンウェイに替えてしまいました。)

特にトリフォノフは、繊細で華やかで、遊び心にあふれ、色彩感豊かな表現にファツィオリの音色がぴったりだったと思いました。

日本ではまだ備え付けているホールはわずかのようですが、今後、増えてくるかもしれませんね。もっとも、生産台数が非常に少ないようです。

《ヤマハ》
今年7月に発売されたばかりのCFXも注目だったかと思います。

ファイナリストでは、優勝したアヴデーエワと、5位のボジャノフが弾いていました。その他では、ハジャイノフフアンチなどもヤマハでした。

素晴らしい音だったと思いますが、上にあげたコンテスタントの音を思い返すと、同じピアノから奏でられたとはとても思えません。
アブデーエワはとても濃く艶やかでしたし、ボジャノフは表現は濃かったものの音は透明感があった。ハジャイノフは太く厚い低音と寂しげな高音が魅力で、フアンチは硬質でブリリアントな音でした。

もしかすると、ピアニストの個性をよく反映するピアノなのかもしれません。

《カワイ》
Shigeru Kwaiというストレートな名のピアノ。

残念ながらファイナリストの弾くピアノには選ばれませんでした。
アルメリーニや、片田愛理さん、岡田奏さんなどが弾いていました。

アルメリーニがおそらく一番Shigeru Kwaiの良さを引き出していたでしょう。
スッキリとして明るい音色だったと思います。

《スタンウェイ》

さすが世界のトップブランドだけあり、誰が弾いてもそこそこ素晴らしい音を聴かせてしまいます。
シャープでブリリアントでモダンな音色。
キム・ダソルのキレのある演奏がとてもスタンウェイらしかったです。

と書いてきながら一番感じたのは、ピアノの個性は確かにあるものの、それ以上に演奏者の個性による音色の違いの方が大きい、ということでした。

2010年10月28日 (木)

ショパンコンクール落ち穂拾い1

どっぷりつかったついでに、期間中、いろいろ感じたことを書き留めてみます。

【楽譜:エキエル版~ナショナルエディションについて】

確か前回のショパンコンクールから推奨楽譜になったと記憶しています。
ヤン・エキエルが編者となり、今年のショパン生誕200年祭の完結に向けて編集された楽譜です。

ショパンの自筆譜や、ショパンが弟子の楽譜に書き込んだ指示やアレンジを研究して編集された楽譜です。

これまでスタンダードだったパデレフスキ版とは、だいぶ異なる箇所があるようです。

まだコンテスタント全員がこの楽譜で弾いていたようには思えませんが、はっきりとこの楽譜で弾いているのがわかる演奏もかなりありました。
何しろ、慣れ親しんだ曲だと、突然、今まで聴いたことのないような音がするので、思わず「ミスタッチか?」と感ずるくらいでした。
バラード4番や舟歌ではかなりドキッとしたものです。

一番わかりやすかった部分をひとつあげておきます。
ピアノ・ソナタ第3番の第3楽章。

Photo

画像はパブリックドメインのものから。
この後ろから3小節目の右手の旋律。
レーー-ドシー-シ|シドーーレ|シー-ミミ_レドシーシ

となっています。これが今までの楽譜。
エキエル版では、たぶん2分音符のレと次の8分音符のレをつなぐ「タイ」がない。
だから、

レーードシー-シ|

この「レ」がタイでつながれているのと、2回連打されるのとでは、かなり雰囲気が違って聞こえます。
最初は相当違和感がありましたが、連打の弾き方をする人がかなりいたので、だいぶ慣れました。

ショパンの遺作集のエキエル版楽譜を持っていて、ノクターン嬰ハ短調(レント・コン・グラン・エスプレシオーネ)を弾きますが、映画「戦場のピアニスト」で弾かれた版の曲とは全然違うのでびっくりします。
もう慣れてしまったので、この曲をエキエル版で弾いてくれるピアニストにまだあたらないので、逆に違和感を感じたりしています。

まだ教える方が古いエディションで教えることが多いでしょうから、なかなか新しい楽譜は広まらないと思います。
あと2回くらいショパンコンクールを経れば、エキエル版もだいぶ世に普及するのかもしれません。

※ほんの3,4年前までは、原典版の楽譜などほとんど興味がありませんでした。趣味で聴いたり弾いたりする分には、わざわざ高い原典版などいらないだろうくらいに思っていました。

たまたまあるきっかけから、原典版と校訂版との違いをはっきり知ることになり、一番普及している全音の安い楽譜などは、かなり原典とかけ離れていることがわかってショックを受け、以来、少しづつ原典版を揃えつつあります。

ピアノのレッスンでは、趣味とは言え相当きっちり指導していただいているので、当然原典版を使用しています。

2010年10月27日 (水)

何と言われようが素敵だった演奏@ショパンコンクール

いろいろ書きたいことはありますが・・・
自分の中のベスト3のパーフォーマンスを振り返ることにしました。

なぜか入賞者が一人もいない。
ひねくれ者なのか?

アーカイブを観ながら書いていますが、素敵な演奏は聴くほどに思い入れが増して、ますます感動して感極まってしまいます。

【ニコライ・ハジャイノフ@1次予選】

ゆったりと始まるノクターン Op.9-3は、そこはかとない寂しさを感じる。
よく脱力されたタッチから生み出される、ノンレガートの切ない音の粒には心を打たれる。
中間部の暗めの情感。
主題が再現され、活力が与えられるかと思いきや、また寂しさへ回帰する。

エチュードOp.10-1は重量感のある左手の和音の上に、鍵盤に吸い付くような右手のタッチが見事。
大きな大きなエチュード。
10-2はやはり右手が張り付いており、上っ面だけのテクニックになっていない。

幻想曲もまた大きい。
バスの音の迫力といったらヤマハのピアノと思えない。
落ち着いたインテンポの表現から生み出される集中力。

気がついたのが、彼の演奏から感じる寂しさは、ややリズムがもっさり気味なところからきていたということ。
リズム感が悪いと、普通はじれったく感じて良くない演奏に聞こえるものですが、ハジャイノフは、そこが持ち味になるという、不思議な魅力を持った人です。

弱冠18歳にして、晩年のリヒテルのような演奏をするタレントだと感じ入りました。

【レオノーラ・アルメリーニ@2次予選】

アルメリーニの演奏は幸福感にあふれています。

地中海の明るい太陽を思わせる。
柔らかく、厚みがあって暖かい音質。
マズルカやワルツでみせる躍動感があり流麗なリズム感。
爽やかで嫌みのないリリシズム。
このままずっと聴いていたい、という気持ちにさせてくれる。

舟歌が終わった後、フライング拍手が起きたときの、満足そうな笑みが心温まります。

アルメリーニも18歳。
素直で癖がないので、まだまだ伸びしろを感じる才能でした。

【ユーリ・シャドリン@1次予選】

あっと驚くマイ椅子で登場したシャドリンは今年30歳。今回から引き上げられた年齢制限の上限です。
風貌は見ようによっては40歳過ぎにも見えてしまう。

モダンな洗練とはほど遠い。
切れ味も鋭いとは言えない。
テンポもゆったりしている。
エチュードらしくないエチュード
なのに、なぜだか聴き入ってしまう。

舟歌は大きく、しんみりと枯れた叙情がある。
果てゆくショパンの白鳥の歌が聞こえてくる。

涙をさそう演奏でした。

【その他、素晴らしいと感じた演奏】
キム・ダソルのバラード第4番(1次予選)
ダニイル・トリフォノフのノクターン(1次予選)
フランソワ・デュモンのソナタ第3番 第3~第4楽章(3次予選)
パヴァウ・ヴァカレッチのポロネーズ第5番(2次予選)
マルティン・コジャクのスケルツォ第2番(1次予選)
岩崎洵奈のワルツ(2次予選)
ニコライ・ハジャイノフの協奏曲第1番第2楽章(ファイナル)

ヌーブルジェのように、キラキラした演奏が案外ないのにびっくりしました。
いや、キラキラした演奏は、どうしてもヌーブルジェと比較してしまうので、余程でないと凄いと思えなくなっているのかもしれません。

2010年10月25日 (月)

ショパンコンクール審査結果公表

公式新聞の見出しに「A NEW STAR?」とまで書かれたショパンコンクールの審査結果。
今日、その採点結果が公表されました。
採点からみると、確かにアヴデーエワの圧勝です。

じっと眺めていると、いろいろなことが見えてくる気がします。

Yes/No審査が重要、とルールに書いてあったと思うので、Yesの多い順、そして点数の多い順に並べてみました。

(Yesの人数、生徒、欠、平均点)

【1次予選で10人以上からYesをもらえた人:18人

Ms Yulianna Avdeeva Russia      12 0 0 92,17
Mr Miroslav Kultyshev Russia      12 0 0 88,08
Mr Denis Zhdanov Ukraine        12 0 0 86,50
Mr Marcin Koziak Poland         12 0 0 83,92
Mr Nikolay Khozyainov Russia      11 0 0 93,58
Mr Evgeni Bozhanov Bulgaria      11 0 0 90,25
Mr Lukas Geniu?as Russia/Lithuania 11 0 0 87,17
Mr Ingolf Wunder Austria         11 1 0 85,36
Mr Daniil Trifonov Russia          11 0 0 84,25
Mr Francois Dumont  France      11 0 0 82,00
Ms Leonora Armellini Italy          11 0 0 81,92
Mr Andrew Tyson USA         11 0 0 80,75
Ms Claire Huangci USA         10 0 0 81,83
Mr Jayson Gillham Australia      10 0 0 81,08
Ms Anna Fedorova Ukraine      10 0 0 80,58
Mr Ilya Rashkovskiy Russia        10 0 0 79,17
Mr Da Sol Kim Republic of Korea   10 0 0 78,83
Mr Hyung-Min Suh Republic of Korea 10 0 0 79,58

アブデーエワがダントツ。
クルティシェフも完璧でした。
ハジャイノフは最高点。これは納得。
コジャクが高評価で、ヴァカレッチはいない。
あの美しいノクターンを弾いたトリフォノフは中位。
アルメリーニも圏内にいる。
キム・ダソルがそれほどでもない。意外。

【2次予選で8人以上からYesをもらえた人:13人】

Ms Yulianna Avdeeva Russia       12 0 0 93,5
Mr Evgeni Bozhanov Bulgaria       12 0 0 92,50
Mr Miroslav Kultyshev Russia       12 0 0 85,42
Mr Lukas Geniu?as Russia/Lithuania 11 0 0 93,0
Mr Ingolf Wunder Austria         11 1 0 89,73
Mr Daniil Trifonov Russia          11 0 0 87,58
Mr Nikolay Khozyainov Russia     11 0 0 83,42
Ms Leonora Armellini Italy         10 0 0 80,00
Ms Claire Huangci USA          9 0 1 80,82
Mr Yury Shadrin Russia           9 0 0 79,08
Mr Pawe? Wakarecy Poland        8 1 0 80,73
Mr Andrew Tyson USA          8 0 0 77,00
Mr Mei-Ting Sun USA           8 0 0 76,42

アブデーエワがボジャノフを抑えて1位。
どちらも濃い。
クルティシェフはまだ調子が良かった。
ゲニューシャス、ヴンダー、トリフォノフが中位維持。
ハジャイノフは調子が悪く、落ちている。
アルメリーニは良かったので10位以内に入っている。
コジャクがおらず、ポロネーズが良かったヴァカレッチが登場。
シャドリンが案外良い。
アメリカのタイソン、スンがいる。

【3次予選の全結果:19人】
Ms Yulianna Avdeeva Russia        12 0 0 94,33
Mr Evgeni Bozhanov Bulgaria        12 0 0 93,17
Mr Lukas Geniu?as Russia/Lithuania  12 0 0 92,83
Mr Daniil Trifonov Russia           10 0 0 87,92
Mr Ingolf Wunder Austria           10 1 0 89,18
Mr Nikolay Khozyainov Russia       8 0 0 77,75
Mr Miroslav Kultyshev Russia       8 0 0 77,33
Mr Francois Dumont  France      7 0 0 80,92
Mr Pawe? Wakarecy Poland       7 1 0 77,55
Ms Helene Tysman France        6 0 0 77,33

Mr Marcin Koziak Poland         5 0 0 75,67
Mr Andrew Tyson USA         5 0 0 74,00
Ms Leonora Armellini Italy        5 0 0 74,75
Ms Irene Veneziano Italy         4 0 0 73,67
Mr Jayson Gillham Australia       3 0 0 71,42
Ms Claire Huangci USA         2 0 0 72,00
Ms Fei- Fei Dong China         2 0 0 68,42
Mr Mei-Ting Sun USA          2 0 0 70,83
Ms Wai-Ching Rachel Cheung China 0 0 0 66,42
Mr Yury Shadrin Russia         0 0 12 1,00

アブデーエワvsボジャノフの様相になっている。
ゲニューシャス、トリフォノフ、ヴンダーは安定。
ハジャイノフは盛り返せず。
クルティシェフは徐々に調子を落とす。
デュモンとティスマンのフランス勢が浮上。
コジャク、アルメリーニはわずかに及ばず。

【ファイナル】

                             平均点
Ms Yulianna Avdeeva Russia       1,47
Mr Ingolf Wunder Austria            2,48
Mr Lukas Geniu?as Russia/Lithuania  2,50
Mr Daniil Trifonov Russia             3,48
Mr Evgeni Bozhanov Bulgaria        3,92
Mr Francois Dumont  France       5,17
Mr Miroslav Kultyshev Russia       6,38
Mr Nikolay Khozyainov Russia        6,50
Mr Pawe? Wakarecy Poland       6,58
Ms Helene Tysman France         9,00

アヴデーエワ堂々とした演奏で逃げ切り。
ヴンダー、コンチェルトは最高の出来。
ゲニューシャスは終始技術が安定。
トリフォノフも大崩れしなかった。
ボジャノフはコンチェルト大失敗。
デュモンもファイナルはまずまず。
クルティシェフは調子戻らず。
ハジャイノフは未熟さが露呈。
ヴァカレッチは地味すぎた。
ティスマンは技術的にきつかった。

結局、1次からファイナルまで、安定して「しっかり弾けた」人が上位を占めたようです。

ティル・フェルナー リサイタル@トッパンホール

最近では珍しい、無骨ともいえる個性。
逆に面白くなってしまうくらいの無骨路線で終わるかと思いきや、逆転さよなら満塁ホームラン級の結末が待っていました。

【プログラム】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op.110
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111

ベートーヴェンソナタ全曲演奏会の最後を飾る、後期三大ソナタの演奏。
フェルナーは昨年聴いた印象と同じで、昨日聴いたブレハッチや我がヌーブルジェのように、昨今の若者に備わる洗練や流麗さ、爽快さとは無縁の、実直で角ばった表現をします。

リズム感はもっさりしているわけではないのですが、モダンとは言えない。非常にアクセントがはっきりしているので、そう、ドイツ語の発音を聴いているようでした。
ある意味、ベートーヴェンらしいと言えばベートーヴェンらしい。

ただ、30番と、31番のソナタは、ベートーヴェンのロマン的雰囲気が多い曲ですから、カクカクとした音楽の流れが必ずしも合っているとは言えなかったかもしれません。
でも、嫌いな演奏ではありませんでした。インテンポで、しっかりした構築性があったと思います。

休憩をはさんで32番のソナタ。
第1楽章、テンポはやや速めながら、落ち着いていて、どんな音を弾いているかがはっきりわかります。
第2楽章、テーマはとてもゆっくりしたテンポ。何やら緊迫感がある。変奏が進むにつれ、自然なテンポアップ。去年ツィメルマンが暴走していた第3変奏は、適度な速度感だったと思います。

そして第4変奏に入り、天国的な高音部のパッセージが始まってからが圧巻でした。
フェルナーの音は決して超美音というわけではないのだけれど、とても神々しくて、しっかりと打鍵されるトリルは、魂にダイレクトに訴えかけてくるものがありました。

第5変奏からコーダにかけてももの凄い集中が持続し、息を殺して聴き入ってしまいました。

ここまでの無骨な表現は、この第2楽章を昇天させるための布石だったのでしょうか。

大変な演奏を体験してしまいました。
手が痛くなるほど拍手しました。
満足です。

2010年10月23日 (土)

ラファウ・ブレハッチ リサイタル@みなとみらいホール

ショパンコンクールの興奮も冷めぬ中、2005年の覇者ブレハッチのリサイタルを聴いてきました。

前回のショパンコンクールはチェックしていなかったし、ブレハッチも特別追いかけておらず、来日時のテレビ放送の一部くらいしか聴いていません。
なので、じっくり腰をすえて聴くのは実質初めてでした。

【オールショパンプログラム】
(前半)
バラード第1番 ト短調 Op.23
3つのワルツ Op.34
スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20

(後半)
2つのポロネーズOp.26
4つのマズルカOp.41
バラード第2番 ヘ長調 Op.38

(アンコール)
英雄ポロネーズ
ノクターン嬰ハ短調(遺作)

プログラムはよく考えると大変地味な選曲です。
盛り上がって終わる曲が少ない。
このあたりにブレハッチのこだわりを感じます。

バラード第1番
抑えた序奏。主題は速めのテンポで、サラサラと流れる。
決して溜めない。仰々しくならない。
コーダも決して焦らず、インテンポできざむ。
まったく破綻がない。
清廉なバラードです。

ワルツ
リズムが実に安定していて気持ちが良い。
エレガンスがある。
遊び心にはやや乏しいか。
イ短調も淡々と寂しさを表現。
ブーニンワルツ(※)は、表現が似ているものの、高度に洗練されている。

スケルツォ第1番。
やや前がかり気味の主題の表現。
なめらかなスケルツォ。
荒々しさはない。
中間部もあっさり。
コーダはやはりインテンポで、心配を全く感じさせない安定感。

ポロネーズ。
これもまたかっちりとしたリズム感。
曲が地味なので、演奏はもっとメリハリがあって良かったかも。

マズルカ。
作り物ではない自然なリズム
デリカシーに富む
ブレハッチの繊細な個性に合っている

バラード第2番。
緩急緩のシンプルな構造の暗い色調のバラード
ここでも過度に叙情にながされず、薄めの作り。
中間部も落ち着いた盛り上がり。
コーダも最後まで落ち着き払う。

英雄ポロネーズ。
やはりアンコールは力が抜けるのか、伸びやか。
流麗な英雄。
中間部左手オクターブ連打は、他に類をみない滑らかさと安定感。
そして落ち着き払ったコーダ。

ノクターン嬰ハ短調。
今年相当聴いたアンコールの定番。
速いテンポ。
軽いタッチ。
ディナーミクのつけ方が変わっていた。
超デリケートなコーダのスケール。

ショパンコンクールでは、かなり個性の強い演奏をたくさん聴いたこともあるのか、ブレハッチの演奏は”正しいショパン”の見本のように感じました。
コンクールの時にショパンの再来と言われた、ということが納得いきました。

演奏姿勢も美しく、礼儀も正しく、演奏は気品がある
良い育ちなのだなあ、と思わせます。
やや後傾して弾く姿は、ツィメルマンを彷彿とさせます。

全体的に速めのテンポ設定で、溜めを極力排除し、前へ、前へというモダンなリズム意識を感じます。
クラシカルなベースに、モダンな表現。
現代のクラシックピアニストに要求される要素をしっかり持っています。
そして、技術が非常に安定していて、ハラハラすることが全くない。

その裏返しとして、危険な香りが全くない、安全なショパンになってしまっているということはあります。
もっと魂の奥底を揺さぶるような、訴えかける力が欲しい気がします。
これだけハイレベルな演奏をしてもらって、贅沢な注文ではありますが。

今のままの路線で、行き着くのはどこなのか。
ツィメルマンの後追いではもったいない。
まだ若いだけに、さらなる進化を期待したいです。

※ブーニンワルツ
スタニスラフ・ブーニンが1985年のショパンコンクールの予選で弾いて、強烈なインパクトを日本人に与えた

※今回のショパンコンクールで優勝したユリアナ・アヴデーエワの表現とは真逆。ショパンコンクールは変わっていくのでしょうか。

※スケルツォ1番、バラード2番、英雄ポロネーズはヌーブルジェの名演があります。
魂を揺さぶるインパクトはヌーブルジェの方があると思います。
まあ、ファンの言うことではあります。

2010年10月22日 (金)

刺激的だったショパンコンクール

演奏する側は、どういう負担があるかはわかりません。

聴く側とすると、個性の違うピアニストを、続けて何人も聴けるのは、とても刺激的です。

思い起こせば、音楽人生に変化が起こったのは、2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンで、ヌーブルジェをはじめとする、5人ものピアニストのショパン演奏を、まとめて聴いた経験からでした。

その後、ラ・フォル・ジュルネや、海外の音楽祭やらを楽しむことを覚え、今回のショパンコンクールでは一挙に40人以上のピアニストの演奏を聴く経験をしました。

ピアニストの千差万別の個性を十分堪能でき、またそれによって自分の感性の立ち位置などもわかったりし、幸せかつとても勉強になった3週間でした。

コンクールの総括をしたいところですが、まだ体力も回復しないので、アーカイブをもう少し聴きこんでからゆっくりやりたいと思います。

それにしても、海外の音楽祭や、コンクールの模様を、ライヴで楽しめるようになったのですから、良い時代になったものです。

2010年10月21日 (木)

ショパンコンクール ファイナリスト vs マルタ・アルゲリッチ

若いコンテスタントのショパン演奏を、たくさん聴きました。今までにないほどに。

ここ3日間は、早寝して深夜起き、朝、少しまた寝る、という異常な生活を送ってしまったので、とても疲れました。

今日のファイナルの結果もあって、もう今日は書く気力が出ません。
疲労困憊です。

アルゲリッチが去年弾いた「マズルカ Op.24-2」-今回コンテスタントもたくさん弾いていた-の貴重な動画を見つけました。

「月刊ショパン」の現地レポートによると、アルゲリッチは、今回のコンクールのレベルは高く、皆個性があり、これからのショパンの演奏が変わるかもしれない、と述べたということですが、そうでしょうか。

この動画を見てしまうと、今回のコンテスタントファイナリストが10人束になってかかっても、齢68歳のアルゲリッチにかないそうもありません。

ショパンコンクール 衝撃のファイナル審査結果!

ショックでしばらく心と頭の整理が必要そうです。

【ショパンコンクール ファイナル 結果】

優勝 ユリアナ・アヴデーエワ(ロシア)

2位  ルーカス・ゲニーシャス(ロシア/リトアニア)

2位 インゴルフ・ブンダー(オーストリア)

3位 ダニイル・トリフォノフ(ロシア)

4位 エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア)

5位 フランソア・デュモン(フランス)

6位 なし

マズルカ賞 ダニイル・トリフォノフ(ロシア)

ポロネーズ賞 ルーカス・ゲニーシャス(ロシア/リトアニア) 

ソナタ賞 ユリアナ・アヴデーエワ(ロシア)

幻想ポロネーズ賞・コンチェルト賞
  インゴルフ・ブンダー(オーストリア)

いや、実は頭の整理はついています。

クルティシェフとハジャイノフが落選。

クルティシェフは没個性。
ハジャイノフは技術不足。

しかし、この結果は波紋を呼ぶのではないでしょうか。

    

ショパンコンクール ファイナル予想

10/20 4:30

上位の順位はわからなくなった、というのが正直なところ。

そこを思い切って、多分に好みを入れて、予想をたててみます。

【入賞予想】
1.ニコライ・ハジャイノフ(ロシア、1992年生)
2.ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
3.ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア、1985年生)
4.フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)
5.エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)
6.インゴルフ・ヴンダー(オーストラリア、1985年生)

ハジャイノフは、2次予選以降突出するところは見せられなかったものの、1次の演奏と第2ソナタ、第1コンチェルトの第2楽章だけでも優勝に値する才能だと思いました。

トリフォノフはとても才気にあふれ、美しい音色を表出。インパクトが絶大でした。

クルティシェフはすべてのステージで完成度が高い演奏を聴かせてくれました。

デュモンはフランスのエレガンスを十分に表現。すでにコンサートピアニストのよう。

ボジャノフは個性的な表現ながら、高い技術に裏付けられたアピール力が抜群。

ヴンダーは素直で好感度の音楽。
コンチェルト賞があるかもしれません。

【入賞もあるかも】
・パヴァウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)

 舞曲系の曲はさすがに上手でした。
 コンチェルトが地味だったか。

【その他】
それぞれ上手なのだと思いますが、個人的には苦手でした。

ルーカス・ゲニューシャス(ロシア/リトアニア、1990年生)
ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア、1985年生)
エレン・ティスマン(フランス、1982年生)

ショパンコンクール ファイナル 3日目 デュモン

いよいよ最終奏者です。
デュモン、ピアノをファツィオリからスタンウェイに変えてきました。
吉とでるかどうか。

フランソワ・デュモン(フランス)

ピアノ協奏曲第1番

第1楽章
 冒頭、堂々とした和音
 スローテンポで叙情的
 音楽は自然だが、ノリがあまり良くない
 展開部では少し活気が出た
 小さなミスが多い
 やや歌いすぎか
 推進力が弱い
 
第2楽章
 甘美な歌
 センスが良く嫌みがない
 ラスト美しい
 口当たりが良すぎる感も

第3楽章
 リズムが少し重い
 音はとても美しい
 きたない音を決して出さない
 完成度高い

第1楽章はあまり調子が良くない感じでした。
第2楽章から持ち味が出てきたように思います。
甘めながら、洗練されていて練れた演奏でした。
ですが、もう少しぐいぐいとオケを引っ張るようなノリは欲しかった気がします。

長かったコンクールも終わり、フィナーレはこちらの思い入れもあって、はかない音楽に聞こえてしまいました。

ショパンコンクール ファイナル 3日目 ティスマン

あと2人。

エレン・ティスマン(フランス)

ピアノ協奏曲第2番

どうも最後まできっちり聴こうという気になれない演奏。
3次予選を聴いたときにも、少し聴いただけで通過はないと感じてしまったものです。

とても弾き方に違和感を感じます。
プロ的な演奏と思えない。

なぜファイナルに残ったのか、未だによくわかりません。

ショパンコンクール ファイナル 3日目 ゲニーシャス

いよいよコンクールも最終日。
ファイナルは接戦だと思われるので、今日の3人のパーフォンマンスが最終結果にかなり影響することでしょう。

ルーカス・ゲニーシャス(ロシア/リトアニア)

第1楽章
  冒頭、例によって彼らしいためた演奏
  超スローテンポ
  やや堅さがあるか
  3次予選までのためにためた弾き方はかなり抑えている
  展開部もほぼインテンポを保った
  再現部で作り込む本領が出てきた
  技術はとても安定している
         
第2楽章
  またまたスローテンポ
  本当はもっともっとためたいのだけれど、何とか抑えている、といったような演奏。
  雰囲気がない
 
第3楽章
 これもスローテンポ
 ひとつひとつ旋律に寄り添うような演奏
 意図はわかる
 ロンド・ヴィヴァーチェという感じはしない
 指はよく回るのだが、音に深みがない

3次までの演奏は、よく言えば個性的、悪く言えば独善的な表現で、好きな演奏ではなかったのですが、技術が安定しているのでファイナルまできたのだと思われます。

もしかするとファイナルではじけた演奏をするかも、という怖いものみたさの期待がありました。
が、テンポが遅いのはともかく、3次までのやり放題の感じからするとずっと抑えて弾いているように聞こえました。

落ち着いており、技術は相変わらず盤石でした。

音楽の魅力はあまり感じなかったでしょうか。

2010年10月20日 (水)

ショパンコンクール ファイナル 2日目 ヴンダー

本日最後の3人目。
前の2人はヤマハでしたが、3人目はスタンウェイ。

インゴルフ・ヴンダー(オーストリア)

ピアノ協奏曲第1番

第1楽章
 やや堅めの入り
 オーソドックスで自然な音楽
 カクカクしてした感じに聞こえる
 コーダの作り方がうまい

第2楽章
 タッチが堅くて強い
 思いは伝わる

第3楽章
 クリアなはじけ方が良い
 楽しい雰囲気
 安定感があった
 コーダのコロコロ感は爽快

予選の時はもう少し暖かく柔らかい音だと感じていました。
今日はとても硬質なタッチ。
流麗さや音色の変化には乏しいけれど、構成感がしっかりし、安心して聴ける演奏でした。
オケともよく合っていました。

会場はスタンディングオベーションで大盛り上がり。
3楽章コーダの持って行き方が上手なのですね。
後味のとても良い演奏でした。

今日の評価は難しいですね。
曲の完成度から言ったら文句なくヴンダーでした。
でも、持っている雰囲気、音楽の大きさからするとハジャイノフ。

第1楽章の冒頭 ハジャイノフ>ヴンダー
第2楽章    ハジャイノフ>ヴンダー
第3楽章    ハジャイノフ<ヴンダー

優勝争いは、いよいよわからず。
もしかしたら、1位なしかも、という気もしてきました。

ファイナルの順位予想は、今のところ自信なし。
特にハジャイノフの扱いがどうなるのか予想がつきません。
優勝かもしれないし、選外かもしれない。
今日の第2楽章などを聴くと、間違いなく素晴らしい芸術家だとは思うのですが。
審査員は彼の才能をどの程度認めるのでしょうか・・・

とりあえず、好みで並べます。

暫定予想

    1位 なし
    2位 トリフォノフ、ハジャイノフ
    4位 クルティシェフ
    5位 ヴンダー
    6位 ヴァカレッチ
    7位 アヴデーエワ
   
   

ショパンコンクール ファイナル 2日目 アヴデーエワ

ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア)

ピアノ協奏曲第1番

私、この方のピアノは、生理的に受け付けられません。

力が抜けない。
クネクネした歌いまわし。
オクターブを叩く。
無造作な音の切り方。

ただ、度胸があって堂々とした演奏ではありました。

この度胸と落ち着きがハジャイノフにあったらと思いました。

ショパンコンクール ファイナル 2日目 ハジャイノフ

圧倒的な優勝候補がいない中、第1次予選では「圧倒的ではないか」という期待を持たせたハジャイノフ(ホジャイノフ)が登場。

彼の演奏の暗めの色調がショパンのコンチェルトにどの程度マッチするか、大いに注目。

ニコライ・ハジャイノフ(ロシア)

ピアノ協奏曲第1番

第1楽章
 素直でまっすぐな音楽
 気品のある音を持っている
 やや堅さがあるか
 今日は明るめの良い音が出ている
 中間部やや走り気味
 技術が不安定
 オーケストラといまひとつ息合わず
 途中ホールの証明が落ちるアクシデント発生

第2楽章
 力の抜けたナチュラルな詩情
 はかなげでしんみりさせる
 すばらしい

第3楽章
 調子があがってきたか
 やや走り気味のところもあったが、ノっている
 終盤になってようやく若いパッションが出てきた
 小さなミスは多かった

演奏時間が短く感じたので、惹きつける何かを持っている人だとは思います。
音楽の質にはとても好感が持てます。

問題は、かなり技術的な不安定を感じさせたこと。
経験もあるとはいえ、オーケストラとも合わせられていなかった。
未完の大器なのか、今日の出来が限界なのか。
なかなか判断しかねます。

優勝できる絶対的なものはなかったでしょうか。

2010年10月19日 (火)

ショパンコンクール特別賞予想

ファイナル2日目。いよいよ優勝の行方を占うニコライ・ホジャイノフが出場します。

その前に、相変わらず気が早いのですが、特別賞の予想をしてみます。
コンチェルト賞はファイナル後ですので、3次予選までで選考できるものは4つです。

1.ポロネーズ賞(2次予選)
    パヴァウ・ヴァカレッチ(ポーランド)
   
    ポロネーズ第5番が素晴らしかったです。
   
    ※「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を多くのコンテスタントが弾きました。しかし、この曲については、ヌーブルジェの最高の演奏が私の中にあります。なので、すべて満足いきませんでした。
   
    ※英雄ポロネーズを上手に聴かせるのも、難しいようです。

2.マズルカ賞
    パヴァウ・ヴァカレッチ(ポーランド)
   
    さすが地元、という演奏でした。
   
    ※ユーリ・シャドリンレオノーラ・アルメリーニも上手でした。どちらかにとらせてあげたいような気もします。
    ※マズルカを弾くとショパンの音楽に対するセンスがとてもあらわになるということがよくわかりました。
    ※最近マズルカを好きになったところで、こんなにマズルカを一度にたくさん聴いて、ますます大好きになりました。
   
   
3.ソナタ賞
    フランソワ・デュモン(フランス)

    第3ソナタの第3楽章はいつまでも続いて欲しいと思えました。
    第4楽章はスローテンポなのに、実に盛り上がりが素晴らしかった。

    これは堅い気がします。
    食い込むとしたら、ニコライ・ホジャイノフの第2ソナタあたりでしょうか。

4.幻想ポロネーズ賞
    これぞ決定版という演奏が案外ないように感じました。
    19人全員が弾いたというのに。
    難しい曲なのですね。
   
    あえて選ぶとすると
    フランソワ・デュモン(フランス)
    か
    ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア)
   
    あたりでしょうか。
   

ショパンコンクール ファイナル 1日目 ボジャノフ

3次予選では聴衆の大絶賛を浴びたボジャノフ。
コンチェルトはどうでしょうか。

エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア)

ピアノ協奏曲 第1番

第1楽章
 強靱なタッチで大きな音
 テクニックは抜群
 濃い味付け
 テンポ感などはオーソドックスではある
 展開部やや重くバタバタ
 ミスあり
 最後クネクネ度を増した
 

第2楽章
 音楽が強くなりすぎている
 繊細な甘さがない
 
第3楽章
 軽快感にやや乏しい
 ミスあり
 後半ノリが出てきたが、
 コーダ前で大事故
 コーダはバタバタ

技術はあるし、自己主張が強い。
しかし、いかんせん主張が強すぎてナチュラル感には乏しい。
かっちり弾きすぎて、ショパンの繊細さはない。
最後崩れたのがどう響くか。

入賞はあっても優勝は難しいでしょう。

明日のホジャイノフに、がぜん期待をしてしまいます。

ショパンコンクール ファイナル 1日目 ヴァカレッチ

地元の期待を背負ったヴァカレッチ。
ポロネーズやマズルカが上手だったのが印象に残っています。

パヴァウ・ヴァカレッチ(ポーランド)

ピアノ協奏曲 第2番

第1楽章
 すっと入る
 太めの音
 あまり抑揚がなく、地味
 展開部、指が浮いている感じ
 
第2楽章
 スローテンポ
 やや散漫な感じ
 音楽がとぎれてしまった
 
第3楽章
 リズム感を期待したが生かし切れていない
 乗る感じがない
 音にきらめきがない
 ミスも多い

2番で良かったのでしょうか。
あまり合っていなかった。
精彩を欠いていたように思います。

入賞は難しいかも。

ショパンコンクール ファイナル 1日目 トリフォノフ

2番手も優勝候補トリフォノフ
クルティシェフとまったくタイプが違うので楽しみ。

ダニイル・トリフォノフ(ロシア)

ピアノ協奏曲 第1番

第1楽章
 出だし速いが、その後落ち着いたテンポ
 ため息をさそう美しい音
 語りかけるような音楽
 緩急がはっきりしている
 中間部後半激走
 テンポを頻繁に変えるのはやや気になる
 最後も激走 この人の癖
 
第2楽章
 スローなテンポ
 しっとり歌う
 透明感のある甘さ
 水滴の部分 すばらしい
 ラストの落ち着きよかった
 
第3楽章
 出だしよく跳ねている
 中間部すぎ、走る
 テンポの伸縮が著しい
 オケ合わせるのが大変そう
 ラストまた爆走

オーソドックスであっさりだったクルティシェフとは正反対の自由奔放な演奏でした。
音と音楽の魅力はトリフォノフの方が素晴らしい。
ファツィオリから素晴らしい音を引き出していた。
ただ、自由すぎて、テンポが変化したり、盛り上がりすぎて激走してしまうところをどう評価されるでしょうか。

今のところ暫定1位だと思います。

ショパンコンクール ファイナル 1日目 クルティシェフ

どこまでいけるかわかりませんが、ライヴに挑戦

実力派のクルティシェフ。
チャイコフスキーコンクール1位なし2位を超えられるでしょうか。

ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア)

ピアノ協奏曲 第1番

第1楽章
 爽やかでオーソドックス
 相当緊張しているようで、少し堅さがある
 ミスタッチ少し
 スムーズすぎて、劇的展開にやや欠けるきらい

第2楽章
 柔らかさが出てきたが、速めであっさり
 
第3楽章
 猛スピードの出だし
 はねる感じが不足
 線が細い

うーん、とても上手なのですが、インパクトがありません。
録音のせいなのかどうか、音の伸びやかさも今ひとつ。
全体的にテンポが速すぎたかもしれません。
オーケストラとは良くあっていました。

後のコンテスタントがどうかにもよるとはいえ、ちょっとこれでは優勝はないかもしれません

2010年10月18日 (月)

ショパンコンクール 予選で散ったMIP

あともう少しでいよいよショパンコンクールもファイナル。

ショパンの命日でしばしの休憩の間、アーカイヴを見て、予選を通らなかったけれども、とても印象に残った演奏を振り返ってみました。

・キム・ダソル(韓国)@1次予選

歯切れのよいテクニックと、確固たる構成力。
インテンポによる知的で深い表現。
バラード4番は絶品でした。

舞曲があまり得意そうでなかったのと、ややミスタッチがめだったため、2次予選で姿を消してしまいました。
ソナタの演奏を是非聴いてみたかったです。

・ユーリ・シャドリン(ロシア)@1次予選

ある意味今回のコンクールの風雲児でした。
1次予選は、あっと驚くマイ椅子で登場。
決して切れ味の鋭い技術や上質の音質を持っているわけではなく、表現もモダンとはいえないのに、なぜか、心を打つ。
音楽の懐が深く、暖かい。

情感のこもった「別れの曲
骨太で音楽的な「革命
大きく、優しく、心に響く舟歌
思わず涙が溢れた演奏でした。

3次予選を棄権したことで、伝説となることでしょう。
名演が少なかった幻想ポロネーズを、彼の演奏で聴いてみたかったです。

レオノーラ・アルメリーニ(イタリア)@2次予選

素直で伸びやかで、明るい音楽。
聴いていて、幸福感に包まれる。
リズム感が抜群で、心地良いことこの上ない。

マズルカはとても18歳と思えない表現力。
ワルツはとても華麗。
そして、やや地味なバラード3番が、なんとも楽しく美しく、極上の演奏でした。

もしかしたら優勝もあるのでは思うくらいの素晴らしいパーフォーマンスでした。

しかし、3次予選、ソナタ第3番を最初に弾いたのが災いしたのか、その後、本来の躍動感を失ってしまい、最後は魂の抜け殻のような演奏になってしまいました。

コンチェルトを弾かせてあげたかったですが、審査員の判断は無情でした。

こういう人たちの演奏だったら、お金を払ってコンサートとして聴く価値が十分あります。
何もメジャーなビッグネームだけがピアニストではない。

自分の耳で、良いと思う音楽を、これからも探していきたいという意をますます強くしています。

2010年10月17日 (日)

上岡敏之&ヴッパータール交響楽団@みなとみらいホール

ピアノ以外は食わず嫌いであまり聴かないのですが、ちょっとご縁があって、上岡敏之氏の率いるヴッパータール交響楽団による、ワーグナーを聴いてきました。

オーケストラをあまり聴かない人ですから、ワグナーも今回ライブで聴くのは初めてでした。

ヴッパータール交響楽団
指揮:上岡敏之

【 オールワーグナー・プログラム 】
序曲ファウスト
ジークフリート牧歌  
楽劇「ニーベルングの指環」ハイライト
 〈ラインの黄金〉より「ワルハラ城への神々の入城」
 〈ワルキューレ〉より
    「ワルキューレの騎行」
    「ヴォータンの告別と魔の炎」
 〈ジークフリート〉より
    「森のささやき」
 〈神々の黄昏〉より
    「ジークフリートのラインへの旅」
    「ジークフリートの死と葬送行進曲」

【アンコール】
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」第2楽章

勇ましい音の洪水を想像していました。
しかし、奏でられる音楽はとても繊細かつエレガント
ワーグナーってこんなだったの?と思わせてもらいました。

特に聞こえるか聞こえないかの、弦によるピアニシモには鳥肌がたちました。
そして、いろいろな劇的場面を想像させる、音楽のうねり。微に入り細にいる変化。
大団円でドーンと終わると思いきや、フワリっと着地

折しも、ショパンコンクールを聴いて、「クラシカル」ということをあれこれ考えていたこともあり、これぞ、クラシカルな音の扱いではないか、と思わず膝を打ってしまいます。

良かったです。

アンコールが終わり、照明がともされ、オーケストラ団員がほぼ舞台から姿を消しても、残った三分の一くらいの聴衆がスタンディングのまま拍手をやめない
すると、団員が再び戻ってきて挨拶。

もう一度去っても、まだ拍手がやまず、今度は上岡氏も団員たちと一緒に登場。最後にもう一度上岡氏のみをコールして、やっとお開きになりました。

熱狂、というより、何かとても暖かい雰囲気でした。
こういう素敵なカーテンコールは初めての体験でした。
日本でもやればできるじゃないですか

上岡氏の地元凱旋公演ということもありましょうが、美しい演奏が聴衆の心をうったのだと思います。

ショパンコンクール ファイナリスト決定 ~ 概ね順当

案外発表は早かったですね。

予想 結果

○  ○ ミロスラフ・クルティショフ(ロシア、1985年生)
○  ○ ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
×  × ジェイソン・ギルハム(オーストラリア、1986年生)
×  × レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生)
△○ × トン・フェイ・フェイ(中国、1990年生)
×  × クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生)
○  ○ パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)
○  ○ エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)
×  × チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)
×  × ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生) 棄権
×  × イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年生)
○  ○ ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)
×  × メイティン・スン(アメリカ、1981年生)
×  ○ ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア、1985年生)
○  × マルティン・コジャク(ポーランド、1989年生)
○  ○ インゴルフ・ヴンダー(オーストラリア、1985年生)
×  ○ ルーカス・ゲニューシャス(ロシア/リトアニア、1990年生)
○  ○ フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)
△○ × アンドリュー・タイソン(アメリカ、1986年生)
×  ○ エレン・ティスマン(フランス、1982年生)

鉄板と感じた8名のうち、コジャクが落ち、その代わりにゲニューシャスが入ってしまいました。これはまた音楽ではなく、技術の差です。
アルメリーニはやはり救われませんでした。

クラシカルな個性はOK。
プロとしての体力・技術は必須

今回の審査員の回答ですね。

△の2人ははずれ。アメリカ、中国のノット・クラシカルな演奏ははじかれたということでしょう。これはこれで納得です。

その代わりとなると、技術的に達しているのがアヴデーエワとティスマンしかいなかった。
私の中ではそんな構図です。

しかし、今回とうとうアジアはゼロ。アメリカもゼロ。
そしてロシアが4人。
女性はかろうじて2人。

ある意味考えさせられます。

ショパンコンクール3次予選 アーカイブから ヴンダー、ファンチ、コジャク

聴けなかった人をアーカイブでチェック

インゴルフ・ヴンダー(オーストリア、1985年生)

明るくてクリアだけれど暖かく美しい音を持つ人です。

マズールロンド なかなかオシャレで良い
ボレロ     ホジャイノフより音質的に合っている
ソナタ3番 
 1楽章 ややミスが多いのが気になったが、音楽の良さで十分カバー
 2楽章 粒立ちのよいタッチ
 3楽章 きれいですがもうひとつ深みがほしいか
 4楽章 爽快なテンポと明るい音
          健康的なフィナーレです
          最後アッチェランド気味だったのはどうか
     ペダルも濁ってしまった
幻想ポロネーズ 幻想的な雰囲気にはやや欠るが、明るく大きな演奏。
        コーダがやはりペダルのせいで響きすぎてしまったのが残念。

3次予選は突破でしょう。  ○

クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生) 

ファッションは一流のクレア
演奏は???

ソナタ2番 
 第1楽章 軽い出だし
 第2楽章 叩きすぎきたない、ひどい
 第3楽章 フォルテきたない
幻想ポロネーズ
 やや粘着
 ゆれる、荒い
 音がキンキン
ソナタ第3番
    第3楽章 遅いだけで必然性がない
  第4楽章  速くきたなく暴走
         引っかけも多い

もう聴きたくないです  ×

マルティン・コジャク(ポーランド、1989年生)

フアンチと対照的な音楽でした。地味でソフトだが、大きさもある。

幻想ポロネーズ
 優しい音、落ち着いた心休まる演奏
 叩かないフォルテ
 意外とスケールは大きい
 弾き直し事故あり
ノクターン Op.15-2
 癒される
スケルツォ Op.54
 タッチをうまく硬質に切り替えて、スケルツォらしい雰囲気を出している
ソナタ第3番
 第1楽章 落ち着いたテンポと大きな構成力
 第2楽章 安定している
 第3楽章 しんみり進む
 第4楽章 一転、高速情熱的
      聴衆を意識して慌てたか
      コーダはうまくまとめました

ソナタの第4楽章を彼らしくなく、急いでしまったのがどうかと思いますが、全体としては良い演奏でした。
あと、ミスがどの程度減点になるかは気になります。

3次予選は通過だと思います。○

ショパンコンクール 3次予選 通過予想2

発表は深夜かもしれません。

10/17 0:15現在

コジャクとフアンチとブンダーをアーカイブで聴いたところで評価をし直しました。
8名は確実なのは変わらず。
消去法で、フェイフェイとタイソンが入ってしまいました。

○ ミロスラフ・クルティショフ(ロシア、1985年生)
○ ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
× ジェイソン・ギルハム(オーストラリア、1986年生)
× レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生)
△○トン・フェイ・フェイ(中国、1990年生)
× クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生)
○ パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)
○ エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)
× チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)
× ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生) 棄権
× イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年生)
○ ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)
× メイティン・スン(アメリカ、1981年生)
× ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア、1985年生)
○ マルティン・コジャク(ポーランド、1989年生)
○ インゴルフ・ヴンダー(オーストラリア、1985年生)
× ルーカス・ゲニューシャス(ロシア/リトアニア、1990年生)
○ フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)
△○アンドリュー・タイソン(アメリカ、1986年生)
× エレン・ティスマン(フランス、1982年生)

演奏の好みから言えば、タイソンの代わりにアルメリーニは絶対に通してあげたい。
審査員はどう判断するでしょうか。

2010年10月16日 (土)

ショパンコンクール 3次予選 通過予想1

10/16 22:15現在

まだヴァカレシーとコジャクと、ヴンダーと、フアンチは少しアーカイブを見ただけで、きっちり確かめられていないのですが、今現在では8名はほぼ確実だと思います。

○ ミロスラフ・クルティショフ(ロシア、1985年生)
○ ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
× ジェイソン・ギルハム(オーストラリア、1986年生)
× レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生)
△ トン・フェイ・フェイ(中国、1990年生)
  クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生)
○ パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)
○ エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)
× チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)
× ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生) 棄権
× イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年生)
○ ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)
× メイティン・スン(アメリカ、1981年生)
× ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア、1985年生)
○ マルティン・コジャク(ポーランド、1989年生)
○ インゴルフ・ヴンダー(オーストラリア、1985年生)
× ルーカス・ゲニューシャス(ロシア/リトアニア、1990年生)
○ フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)
△ アンドリュー・タイソン(アメリカ、1986年生)
× エレン・ティスマン(フランス、1982年生)

通過発表は、日本時間で17日(日)の明け方のようです。
それまでに、何とか10名に絞ってみたいと思います。

優勝争いの方は、ホジャイノフのパーフォーマンスが今ひとつなので、完全に混沌としてきていまいました。

ファイナルのコンチェルトの出来で決着がつくことになりそうです。

才能と将来性を見るならホジャイノフやトリフォノフやコジャクなど、若い人。
現時点の完成度なら、クルティシェフやボジャノフ、デュモンなど。ただこちらが勝つ場合は、1位なしの2位となってしまうかもしれませんね。

ファイナルは日本時間では深夜~未明なので、ライヴで観られないので残念。

ショパンコンクール 3次予選3日目 タイソン、ティスマン

3次予選の最後の2人となりました。

アンドリュー・タイソン(アメリカ、1986年生)

例によって明るく軽い、超モダン演奏。
プログラムは自分の個性によく合わせているようでした。
ソナタは跳んだりはねたり、最後はスピード違反して自爆ぎみ。
全体としては爽快に弾ききってはいまいた。
前のデュモンとは、180度違った価値観の演奏です。
1次、2次よりはまだ普通っぽく弾いていたと思います。

個人的にはまったく受け付けません。
しかし、どうも10人の本戦枠が、実力者でピッタリ埋まらないので、もしかするとボーダー争いになるかもしれません。 というわけで△

メイティン・スンは頭でコントロールした確信犯的ノリがありますが、タイソンは天然っぽいので嫌みは少ないです。

エレナ・ティスマン(フランス、1982年生)

ソナタ2番 
音も音楽もしゃがれている、音がヒステリック
葬送行進曲はレガートに弾けておらず

疲れも出たし、残念ですが、この先聴く気が失せてしまいました。

通過は無理でしょう。 ×

結局圧倒的な優勝候補は現れず。
最後のコンチェルト勝負となってしまったようです。

ショパンコンクール 3次予選 3日目 前半 ゲニーシャス デュモン 

いよいよセミファイナルも残すところ後4人となりました。

上位6、7人はもうわかる感じなので、この4人を聴いて、ファイナル残りの椅子を予想してみようと思います。

ルーカス・ゲニーシャス(ロシア/リトアニア、1990年生)

2次通過の予想ではずしてしまった人。
いろいろ音楽をいじくり回す癖があります。

幻想ポロネーズ 途中までは普通っぽかったがコーダが荒くなってしまった
ソナタ2番         粗雑さあり。ためる癖頻発
エチュードOp.25 遅くしたり速くしたり、ためたり

やはり同じでした。
今度こそ、この不自然な演奏では厳しいと思います。 ×

フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)

2次ですばらしいパーフォーマンスみせたデュモン。
期待をしていました。

即興曲 Op.29  まだやや堅さが残るか。明瞭な演奏
幻想ポロネーズ  ややスローだがセンスでまとめた
子守唄       自然な息づかいと美しい音
即興曲 Op.51  強めでノンレガートのタッチ
ソナタ 
 第1楽章  極めてオーソドックス
 第3楽章  とても良いリズムで、聴かせる
              長く感じない。
        いつまでも聴いていたい
 第4楽章  落ち着いたテンポ
        変奏が進むにつれ、華麗な雄大さ
        インテンポを守りきった感動的フィナーレ

ソナタは鳥肌が立ちました。
特に、3楽章~4楽章は、過去聴いた演奏(コンクールに限らず)の中でも最高レベルのものだったと感じました。
ほとんどのコンテスタントは、4楽章をテクニックのかぎり突っ走りますが、適度なスピードであっても、十分盛り上げられることを、デュモンが示してくれました。

間違いなくファイナルには進めることでしょう。 ○

ショパンコンクール 3次予選アーカイヴから ボジャノフ

ライヴで観られなかった人をアーカイヴビデオを観てみます。

エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)

すべての曲が計算しつくされ、作り込まれている印象を受けます。
丁寧で、すでにプロのコンサートを聴いているような安定感があります。

ところどころに独特のアーティキュレーションや節回しがるものの、音楽の流れを壊すことはなく、個性の範疇だと思います。
好き嫌いはあるかもしれません。

幻想ポロネーズ 凝りに凝っている。
ソナタの第4楽章は圧巻。
マズルカ 独善一歩手前の変幻自在さ
ワルツ メリハリあるリズムとディナーミクの変化

mp3音源で音だけ聴くと、かなり恣意性を感じるのですが、動画で観ると十分説得力があるので不思議です。
観客が熱狂してスタンディングオベーションしたというのもわかります。

3次は難なく通過でしょう。  ○

ショパンコンクール 3次予選 2日目 メイティン・スン、アヴデーエワ

3次予選をこうして聴いていると、良い悪いは別として、個性がはっきりしていて、言いたいことをたくさん持っているコンテスタントがいかに多いかがよくわかります。

日本人の多くのコンテスタントのように、言いたいことが伝わってこない演奏は、3次に進んだ人たちの中にはほとんどいない。
審査員たちの意図がいよいよ理解できてきます。

問題は、その言いたいことの表現が、ただの独りよがりになってしまっているのか、芸術としての普遍性を兼ね備えているか、そのバランス感だと思います。

メイティン・スン(アメリカ、1981年生)

自分はこう弾きたい。その思いの強さには強烈なものがあります。
ただ、クラシカルという観点からすると、著しく逸脱していると言わざるを得ません。
ショパンのエレガンスの、みじんもない。
技術があるのでここまで残ったのだと思います。
しかし、さすがにこの恣意性たっぷりの演奏では本戦には進めないでしょう。

ソナタ3番の出だしなどのように、普通に弾こうと思えば弾けるのです。
それで通さないところに、この人の確信犯的挑戦がみてとれます。

個人的には ×

・ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア、1985年生)

メイティン・スンと違って、音楽を美しく聴かせようとする意図が感じられます。同じヤマハのピアノなのに、フアンチとも、ホジャイノフとも、スンとも違う、艶(あで)やかな音を奏でます。

ただ、その意図が感情に左右されるばかりで、知性によるコントロールが追いついていないように感じます。

特に、バラード4番や、ノクターンなどは、ユラユラ、ネチネチの歌い回しになってしまっており、普通に弾いても叙情的なこれらの曲の趣味が非常に悪くなってしまいました。

ソナタはまだ、いじる余地が少ないわけですが、知的な構築性が問われますから、感覚的な彼女には難しいようです。
第2楽章はスピード感がなくもっさりしてしまいました。

このあたりで深夜につきダウン。

残念ながら通過は難しいと思います。 ×

※すばらしい、とコメントいただいた方、ごめんなさい。私の感じ方はこうでした。
あと、一応ハンドルネームだけでもいれていただいている方には、コメント返信するように心がけています。

※マルティン・コジャックは1次からずっと深夜なので、ライブで聴けないのが残念です。

2010年10月15日 (金)

ショパンコンクール3次予選 2日目 前半 ヴェネツィアーノ、ホジャイノフ

ユーリ・シャドリンをとても楽しみにしていたのですが、なんと、病気で棄権
1次予選のときから熱っぽかったようです。
幻想ポロネーズを聴きたかった。

しかし、今日は優勝候補、ニコライ・ホジャイノフが出場です。
 
イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア)

2次予選聴いたときには、迷わず通過と思えたのですが、今日は逆に最初のノクターン1曲聴いただけで、だめそうに感じてしまいました。
その後のポロネーズも子守唄もソナタも、どうもいけませんでした。
リズム感がもうひとつなのと、表現も平板。
調子が悪かったのか、そういうレベルだったのか。
全滅してしまった日本人コンテスタントの演奏を彷彿とさせるというか・・・
これといって大きな技術的破綻はなかったのですが、通過はないと思います。 ×

・ニコライ・ホジャイノフ(ロシア)

2次予選は、調子がよくなかったホジャイノフ。
今日はどうでしょうか。
幾分やつれたように見えたのですが。

幻想ポロネーズ
  やや早めのテンポで、明るい表現。調子はまずまずのようです。
  これに彼の悲しい音色が加わるともっと良かったのですが
バラード4番  オーソドックな解釈。吸い付く右手のレガート。厚みのある和音
スケルツォ4番 ソフトな音色。まじめすぎて、スケルツォらしさはなかったかも。
ソナタ第2番
 1楽章 構成力抜群。展開部の低音がすごい
 2楽章 重量感と迫力あり。凄みが増してきた
 3楽章 集中力あり。暗さが出てきた。 トリオは美しかった
 4楽章 響かせる弾き方。ところどころ旋律強調。

曲によって、どうも合う合わないが出やすい個性だと思いました。
ソナタのように構築性がある音楽の方が良い。
まだまだこんなものではないと思いますが、2次予選の不調からは立ち直ったようです。
正統派で、才能に恵まれていることは間違いありません。
ただ、圧倒的に優勝できる、というほどではなかった気がします。

通過は確実 ○

ショパンコンクール3次予選 1日目 後半 トン・フェイ・フェイ

3次予選は案外接戦になるような気がしてきています。
1日目後半のトップは日本、韓国が全滅するなか、2人通過した中国人のうちの1人フェイ・フェイから

トン・フェイ・フェイ(中国、1990年)

中国のコンテスタントはいずれもが超絶技巧の持ち主。
ブリリアントで切れ味鋭い音を出します。
どういうトレーニングをしているのか知りたいくらいです。
荒削りすぎて、落ちてしまった人もいますが、フェイ・フェイは純な感じがあって、将来性を感じさせます。

幻想ポロネーズ  
 ショパンの晩年の曲の境地を20歳の初な感じの女性が表現するのは、なかなか難しいようです。きれいで透明感のある音楽ではあります。抜いた終わり方にびっくりしました。

ソナタ3番
 何人かのコンテスタントが息切れしてしまう大曲。フェイフェイを大汗をかきながらの熱演でした。深みは足りないかもしれませんが、元気いっぱいのソナタ。
 あれだけの技術の持ち主でも、コーダは崩れてしまいました。

最後の崩れがなかったら、通過ラインだったような気がしますが、微妙です。△

さすがに疲れてきて、この日はここまで。このあとフアンチ、ヴァカレシー、ボジャノフと実力者がどんどんでてきます。1日目から相当レベルが高いです。

2010年10月14日 (木)

ショパンコンクール 3次予選 1日目前半 ギルハム、アルメリーニ

コンクールには魔物が棲んでいる。
そんなことを感じた日でした。

ジェイソン・ギルハム(オーストラリア、1986年)

明るく透明感のある音を出します。
インパクトの大きかったトリフォノフの後というのは不運だったかもしれません。

ロンド   明るく率直な音楽
幻想ポロネーズ  やや中だるみと、ミスがあった
前奏曲  きれい。個性に合っている
ソナタ3番  音楽が軽く深みや厚みに欠ける感があります。
              最後崩壊気味でした。

悪くない音楽を持っているのですが、前のハイレベルな2人の後だと陰が薄かったです。本戦は厳しいかもしれません。  ×

レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年)

1次予選、2次予選ですばらしいパーフォーマンスをみせてくれました。
優勝候補の一人にもあげたくらいです。
しかし、大きな落とし穴にはまってしまいました。

ソナタ3番 
 第1楽章 大きくふくよかな音楽。ナチュラルな抑揚
 第2楽章 スケルツォらしい。うまい。
 第3楽章 いろいろ工夫している
 第4楽章 速い序奏。その後ゆっくり。スケールが大きい。
幻想ポロネーズ
  少し停滞感
  めずらしく拍子感がうすい
  明るい個性に合っていないかも
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
 スピアナート ゆっくりすぎるかも
 ポロネーズ  ゆっくりで、推進力が弱まった。
        後半音楽がとぎれる
        コーダでは完全に魂がぬけた

ソナタはまずまずだったと思うのですが、そこで燃え尽きてしまったようで、幻想ポロネーズからは、まったく精彩を欠いてしまいました。
最後は心ここにあらず、という感じになってしまいました。
今回の審査員の基準から予想すると通過は危ないかもしれません。
1時間弾ききるプロとしての集中力と体力がないと判断されてしまうかも。  ×
ぜひ、通してあげたい才能なのですが。

先日、朝一のホジャイノフの調子が悪く、今日朝一のクルティショフが調子悪かった。そして、安定していると思っていたアルメリーニも崩れてしまった。

タフでなければ勝ち抜けない。
コンクールとは怖いものです。

ショパンコンクール3次予選 1日目前半 クルティシェフ、トリフォノフ

実力をみるのは実質3次予選までで、本選はそれを確認するだけ、ということのようですから(今それがよくわかります)、注目したいです。

いきなり優勝候補といってよい2人が登場です。

ミロスラフ・クリティシェフ(ロシア、1985年生) 

1次、2次と圧倒的な実力を示してきたクリティシェフ。
3次予選ではやや不安がのぞきました。

幻想ポロネーズ
  隙なしで完璧。コーダも華麗
マズルカ Op.30
  きれいでキレがある
幻想即興曲
 とても速く、甘さのないさっぱりした味付け
即興曲 Op.51
 これも速いテンポで元気がよい。もう少し繊細さがほしかった 
ソナタ3番
 流麗で前へ、前へというテンポ。 音は華麗ながら、やや一本調子か
 3楽章 ややモノトーンな感じ
 4楽章 疲れたか。 テンポが狂い、ミスも多かった。

全体を通して、安定感はあるのだけれど、光る何かが足りないような気がしました。
通過は問題ないでしょう。 ○

ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)

2次ではやや爆走ぎみだったトリフォノフ。
自らの特徴をよくアピールしたすばらしい演奏でした。

マズールロンド
  めくるめく感が個性に合っている  
幻想ポロネーズ
  繊細かつ遊び心いっぱい
  コーダがまた爆発
即興曲 Op.29 コロコロしたタッチでまさに即興
     Op.36 スローなテンポ。中間部響きの洪水。対照あざやか 
          スケールのニュアンスにはゾクゾク
タランテラ  やわらかで、きらびやか。 すばらしい
ソナタ3番
  第1楽章 タッチを芯のある明るさに変えてくる。音楽に華がある
  2楽章  変幻自在で即興性あふれ絶品
  3楽章  デリカシーの極地。幻想の世界
  4楽章  速い。が保っている。コーダはまたまた猛爆。

コーダになると暴れ気味になるのが少々難ですが、才能を感じさせる演奏でした。

2次まではクルティシェフが上かと思っていましたが、今日の演奏で完全に逆転。
才能と、かもし出す雰囲気ではトリフォノフが上だと感じました。

ということで、絶対に通過。 ○

しかし、さすがに3次予選。
ハイレベルになってきました。

ショパンコンクール 2次予選結果 ~ 審査員の基準がわかった

日本人全滅。
あるとは思っていましたが、無残です。
完成度が高かった片田さんですが、個性豊かな外国人たちの前に一蹴されてしまいました。
良い音楽を聴かせてくれた岩崎さんは、技術不足でやはりだめでした。残念です。
日本人すべてに言えたのが、自己の芯のなさ、大きな音楽のつかみ方だったでしょうか。
あと、精神の幼さを感じてしまいます。

キム・ダソルが落ちたのは、完全に予想外でした。
演奏は不調そうで、致命的なミスが多かった。
1次はともかく、2次ではコンサートピアニストとして必要な最低のテクニックをみたのでしょう。
ソナタとコンチェルトを弾かせてあげたかったです。

テクニカルにすぐれているけれども、「クラシカル」という観点からはどうかと思うアメリカの3人、中国の2人が通過しました。
また、やはり技術はあるものの、テンポをやたら伸び縮みさせたゲニューシャスも通りました。

技術がしっかりしていて、強打の程度が許容範囲のコンテスタントは、多少個性が強すぎても、解釈にかかわらず通った。
逆に、音楽性や構成力がいくら良くても、プロのコンサートピアニストとしての基本的な技術を見せられなかった人は落ちてしまった。
また、うまく弾けていても、自己を表現できない人は通れない。
そのあたりに、今回の現役コンサートピアニストが多い審査員たちの基準が見えたような気がします。

2次を聴けた人が26人。
うち○×をある程度判断できた人が20人。17人は当たりました。

【2次通過確実:入賞も確実と思われた人】
ミロスラフ・クリティシェフ(ロシア、1985年生)    ◯
レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生)    ◯
キム・ダソル(韓国、1989年生)            ×
ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)      ◯
  3人/4人

キムは本当に残念でした。

【2次通過確実:本戦出場も確実と思われた人】
ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)      ◯
エフゲニ・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)    ◯
フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)     ◯
  3人/3人

【2次通過確実:その他】
パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)    ◯
レオナルド・ギルバート(カナダ、1990年生)      ×
イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年)      ◯
  2人/3人

【2次通過は難しいと思われた人】
ソ・ヒョンミン(韓国、1990年生)              ×
永野光太郎(日本、1988年生)             ×
フー・チンユン(台湾、1982年生)             ×
大崎結真(日本、1981年生)               ×
ギョーム・マッソン(フランス)               ×
ジアイー・スン(中国、1989年生)             ×
渡辺友理(日本、1988年生)                ×
岩崎洵奈(日本、1984年生)                ×
イリヤ・ラシュコフスキー(ロシア、1984年生)      ×
ルーカス・ゲニューシャス(ロシア・リトアニア 1990年生) ◯

  9人/10人

ダメと感じた人は、なんでこんなに当たってしまうのでしょうか。
ゲニューシャスは恣意性が嫌だったので、好みは関係ない、ということですね。

【2次通過ボーダーと思われた人】
ホー・ポンチョン(中国、1988年生)           ×
片田愛理(日本、1992年)                 ×
トン・フェイ・フェイ(中国、1990年)           ◯
クレア・フアンチ(USA、1990年生)            ◯
チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)    ◯

 通過3 落選2

冷静に考えれば
フェイ・フェイ、フアンチ、レイチェルも個人的趣味では×ですが、テクニック的には通るかなとは感じていました。
片田さんは他の人の出来次第と思っていたので、届かなかったのでしょう。

【番外:判断不能】
ユーリ・シャドリン(ロシア)          ◯

コンクール規格外の演奏ながら、テクニックはそこそこあるし、音楽性は十分なので、通してくれたのでしょう。
アメリカ人、中国人が通った逆パターンといえます。
本当に今回の審査員は柔軟です。

ショパンコンクール2次予選 通過予想

アーカイブ含め、ここまで26人聴きました。
2次通過はすぐ発表のようなので、一度まとめてみます。

さすがに1次予選より皆さんレベルが高いので判断は難しいですが、確実なところは外れないでしょう。

【2次通過確実:入賞も確実と思われる人】
ミロスラフ・クリティシェフ(ロシア、1985年生) 
レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生) 
キム・ダソル(韓国、1989年生)
ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)

【2次通過確実:本戦出場も確実と思われる人】
ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
エフゲニ・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)
フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)

【2次通過確実:その他】
パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)
レオナルド・ギルバート(カナダ、1990年生)
イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年)

【2次通過は難しいと思われる人】
ソ・ヒョンミン(韓国、1990年生)
永野光太郎(日本、1988年生)
フー・チンユン(台湾、1982年生)
大崎結真(日本、1981年生)
ギョーム・マッソン(フランス)
ジアイー・スン(中国、1989年生)
渡辺友理(日本、1988年生)
岩崎洵奈(日本、1984年生)
イリヤ・ラシュコフスキー(ロシア、1984年生)
ルーカス・ゲニューシャス(ロシア・リトアニア 1990年生)

【2次通過ボーダーと思われる人】
ホー・ポンチョン(中国、1988年生)
片田愛理(日本、1992年)
トン・フェイ・フェイ(中国、1990年)
クレア・フアンチ(USA、1990年生)
チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)

【番外:判断不能】
ユーリ・シャドリン(ロシア)

 

2010年10月13日 (水)

ショパンコンクール2次予選 5日目 前半

時間がなく、1.5人しか聴けず。

・ルーカス・ゲニューシャス(ロシア・リトアニア 1990年生)

幻想曲の出だしは、ゆっくり落ち着いて聴かせるなと思ったのが、だんだん不自然な作為が増えてきました。
ワルツ以後はその作為が気になって、どうも感心しませんでした。
特に、テンポをやたら落としたり、速めたり、ふっと音楽を止めてみたりが多く、最後は違和感いっぱい。
技術はあるので難しいところですが、×でしょうか。

・フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)

1次では逞しいと感じていたのが、2次ではとてもエレガントに聞こえました。
曲によって印象が変わるものだなあと反省。

ワルツ Op.42 ゆっくりとしたテンポながらおしゃれ感いっぱい
幻想曲 柔らかい音と気持ちの良い音楽の運び。低音の魅力
マズルカ Op.50 エレガントマズルカ
舟歌 これまたゆったり、マイルド
英雄ポロネーズ ソフトさが裏目に出て、勇壮さが足りず

最後の英雄ポロネーズだけ、デュモンの良い特徴が生きませんでした。
その他は素晴らしい出来。 確実に通過でしょう。 ○

ショパンコンクール2次予選 4日目 後半

ミシェル・ベロフのライブを聴いて満足して寝るつもりだったのが、つい観てしまいました。

イリヤ・ラシュコフスキー(ロシア、1984年生)

今回レベルが高いロシア人の一人。
全体的にテンポが遅めで、落ち着いて弾いているのですが、流麗感に乏しく、華がない感じがします。
決して下手ではないのですが、次はどうでしょうか ×

岩崎洵奈(日本、1984年生)

今まで出場した日本人の中で、一番音楽を感じました。
特にワルツはエレガントかつ華麗で、日本人以外のコンテスタントを含めても、最高レベルの演奏だったと思います。
マズルカもなかなかだった。
幻想曲もアンスピもバラード3番も、もしきっちり弾けていれば、上位入賞もありそうな音楽。ところが、残念なことにとてもミスが多い。

少々のミスは音楽でカバーできると思うものの、さすがに許容の範囲を超えていたかもしれません。

幻想ポロネーズや、コンチェルトはぜひ聴いてみたいところですが、通過は難しいかもしれません。 ×

ショパンコンクール2次予選 4日目 前半

時間がないので3日目後半のレビューはもう省略。

4日目 トップに、1次予選で圧倒的演奏をした優勝候補登場。

ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)

ポロネーズ Op.44 
 音が太い。なぜかシャカシャカつぶれている。どうしたのだろうか。安定した推進感は良いのだけれど、なんだかパッとしない。ミスも多少ある。
緊張しているのか、調子が悪いのか。後半やや盛り返す。

前奏曲 Op.45
 やや力が抜けて、きれいな音が出てきた。

ボレロ
 軽やかなタッチ。なかなか良くなってきた。

ワルツ Op.42
 流麗感はもう少しほしいが、気品はある。

マズルカ Op.50
 とても美しいのだが、リズムがやや甘い気がする。
 舞曲は難しい。

バラード Op.38
 太い演奏。暗い。

とにかく厚みのある太い音量を持つ。
それでいて弱音も美しい。
ベースとなるリズム感も良い。
構成力もあり、表現も素直。
才能はピカ一と思われるが、今日はベストと言える演奏でなかった。
演奏後の本人の不満足そうな表情もそれを物語っていました。

しかし、ここで落とされることはあり得ないでしょう。
ソナタ、幻想ポロネーズ、コンチェルトを聴いてみないわけにはいきませんから。 ということで2次予選は ○

立ち直ることを期待しましょう。

渡辺友理(日本、1988年生)

マズルカ Op.24 
 なんだかセンスを感じない。

とここまでしか観られませんでした。
マズルカだけで無謀ですが、第1印象的には通過は厳しい感じ。 ×

今日、ホジャイノフが素晴らしい演奏をしたら、優勝はもう決まり、と思っていたのですが、かなり調子が悪かった。

入賞者はだいたい想像がついてきたものの、優勝争いは混沌としてきてしまいました。

2010年10月12日 (火)

ミシェル・ベロフ ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール

今日はショパンコンクールを一休み。
フランスの巨匠、ミシェル・ベロフのライブを聴いてきました。
しばし、ショパン以外の音楽に浸りました。

【前半】
フランツ・シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調

【後半】
ヤナーチェク・レオシュ:ピアノ・ソナタ 「1905年10月1日、街頭にて」
クロード・ドビュッシー:ベルガマスク組曲
バルトーク・ベーラ :ハンガリー農民の歌による即興曲

【アンコール】
シューベルト:ハンガリー風のメロディ ロ短調
ドビュッシー:アラベスク 第1番
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女

前半と後半でプログラムを入れ替えてきました。
正解でした。
シューベルトの21番で終わってしまったら寂しかったですから。

若いコンテスタントたちの、キンキンする音をさんざん聴いて、少々耳が疲れていたところ、今日は最高のリハビリになりました。

シューベルトの静かな出だしから、慈愛に満ちたほっとする音。
ややフランス風とでもいうのか、洗練されたシューベルトでした。
なので、音は彩り溢れて、ウィーンのシューベルトという感じではなかったかも。
第2楽章が泣かせてもらいました。

ヤナーチェクのソナタは2度目。前はやや荒っぽい、アメリカのジョナサン・ビスでした。
同じ曲とは思えません。
フランス近代の響きがします。
こんな良い曲だったんだ、という感じ。もっと聴きこんでみたくなりました。

ドビュッシーは、ベロフの18番ですから自家薬籠中という感じで、極上のシャンパンをいただいているような、夢幻の世界を堪能させてもらえました。

バルトークは初めてききました。
打楽器系の音楽ながら、民族的で素朴なメロディーが浮き上がり、親しみがもてます。また、強い打鍵であっても、まったく汚い、ということがないので、聴いていて疲れません。
初めての曲なのに、楽しくてあっという間に終わってしまいました。
メロディーは何となく懐かしく、石焼きいも~、という調べを想像してしまったものです。

アンコールのシューベルトは、やはり洒脱でフランス風、ドビュッシーは壊れそうなクリスタルガラスのようで絶品。

いいもの聴かせてもらえました。
自分の人生がまた一つ豊かになったような。

こういうのが芸術だと思います。

ショパンコンクールの多くの若手コンテスタントは、ひたすらピアノを速く弾いたり、ぶっ叩いて大音量を出すことにエネルギーを使っています。

その中で、「音」でなく「音楽」を奏でようとし、それを妙な作為を感じさせずにナチュラルに表現できる子が、入賞するはずです。

だから、もう上位6人はほぼ固まっているようなものです。

ショパンコンクール2次予選 3日目 後半(速報)

ユーリ・シャドリンが聴きたくて、がんばって起きていました。

とりあえず速報。

ギョーム・マッソン(フランス)

少数派の癒し系。
ただ、いかんせん技術が・・・
残念

  Jiayi Sun (China)

マッソンと正反対のテクニカル系。
演奏が進むにつれ、暴れ馬状態・・・
残念

ユーリ・シャドリン(ロシア)

最初のバラード3番で、もう完全にリサイタルを聴いているようでした。
マズルカは絶品。昔の大ピアニストが降臨してきているかのごとく。
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズも、耳が痛い演奏が続いていたので、最後にホッとしました。

決して若いピアニストのような、切れ味はない。
表現もブラームスの晩年の曲へのようなしぶいアプローチ。
だのに、いつまでも聴いていたい。
暖かい。
上位入賞は無理としても、この人のピアノは、あと2回聴きたいです。

がんばって起きていた甲斐がありました。

2010年10月11日 (月)

ショパンコンクール2次予選 3日目前半

連休だけに、前半の4人全部ではないもののひとなめ聴けてしまいました。

パヴェウ・ヴァカレシー(ポーランド、1987年生)

おそらく地元の期待を背負って登場。

軍隊ポロネーズ 一本調子でなく、大きく、音楽があります
ワルツOp.18 元気の良いワルツ
バラードOp.23 スケール大きい、コーダで事故
マズルカOp.24 抜群のデリカシー、マズルカらしいリズム、さすが地元
ポロネーズOp.44 これも勇壮でリズム感がよく、かつ音楽的

ややテクニックに難があり、いくつかひやりとしました。
しかし、それを感じさせない音楽があり、きっと通過 ○

大崎結真(日本、1981年生)

前のヴァカレシーの個性的で大きな演奏に圧倒されてしまったのか、体調が悪かったのか、なんだか萎縮してしまっていました。

ワルツOp.34-3 音が細く、クシャっとなってしまい、平板
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
    技術、音楽、ともに今ひとつでした。
あとは見られず

1次は見ていないのですが、テクニックは凄いらしかったよう。
今日はそのテクニックも不調。残念でした。  ×

エフゲニ・ボジャノフ(ブルガリア、1984年生)

今年のエリザベートで2位。

前半見られず。

ワルツOp.42 楽しげ
マズルカOp.59 美音、幻想的、かなり個性的
英雄ポロネーズ  リズムは端正ながら、右手のアーティキュレーションが個性的

トリフォノフまでではないけれど、かなり変わってます。でも基本は押さえているので個性の範疇だと思います。次も聴きたいです。技術も安定しているので通過でしょう。 ○

チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)

クレア・フアンチと同系です。
輝く素敵な音の出せる、超絶技巧の才能。
フアンチより音楽はまっすぐでしょうか。
で、ガツガツ弾くので?です。

変奏曲は得意のようです。
マズルカ・ワルツは全然ダメ。
舟歌、アンスピは前半まで。
特にポロネーズの最後は息切れてしまいました。

音質と才能を買えば通過もあるやもしれませんが、現時点では ×

後半はいよいよ異色のシャドリンが出ます。

ショパンコンクール2次予選2日目後半

エリザベート組で人気のあるクレア・フアンチと、実力派のキム・ダソルが登場。

クレア・フアンチ(USA、1990年生)

ヤマハの新しいCFXを使ってクリアできらびやかな音。
超絶技巧。屈託のない明るさ。
人気が出るのもうなずけます。
が・・・・・
私はこういう演奏は好きになれません。
音楽をこねくり回し、こけおどしの強音連打。
いきなりアンコールピースのようなノクターン遺作をくねくね弾いたり、バラ1をはでにぶったたいたり・・・

どうもアメリカ人の演奏は相性が良くないです。

個人的には×なのですが、何せ音とテクニックは一流なので、残るかもしれません。

キム・ダソル(韓国、1989年生)

第1次予選でのバラード4番は、近年聴いた演奏の中でもピカ1と言ってよいほどの素晴らしい演奏でした。なので大いに期待しました。

スケルツォOp.31 実に構成力のある演奏。低音が魅力的。
ワルツOp.18 上手ですが、もう少し華麗さが欲しいか
ロンド あまり聴かない曲ながら飽きない
マズルカ これも上手なのですが、躍動感をもう少し
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
    フアンチに比べると音質は負けていますが、構成力と精神性では勝っていると思います。

やや選曲に問題があったのではないでしょうか。きっちりとした音楽を作れるキム。彼にはあまり華麗な感じの曲は似合わない気がします。ソナタは是非聴いてみたい。2次予選はもちろん突破でしょう。 ○

・フー・チンユン(台湾、1982年生)

半分寝ながらだったので、あまりあてになりませんが、最初のロンドは華麗でなかなか良かったのが、その後だんだん荒っぽく雑になっていったような。

とりあえず×

ショパンコンクール公式サイトにようやくヴィデオ・アーカイヴが掲載

ライヴ配信しかないため連日過酷な視聴を続けているショパンコンクール。

ようやく公式サイトに、第1次予選の演奏動画のアーカイヴが掲載されました。

http://konkurs.chopin.pl/en/edition/xvi/video/archive

これで聴けていなかったコンテスタントを全部押さえることができます。

2次予選もどんどんアップされると嬉しい。

早速YouTubeでしか見られなかったニコライ・ホジャイノフを聴いてみました。

のっけのノクターン9-3からもう涙ものです。なぜ18歳の子にこんな枯淡の精神が・・・

エチュード10-1は実にスケールが大きく、全くの余裕。

10-2もテクニックも完璧なら音楽もきちんとある。

幻想曲。はかなげな第1主題。盛り上げ部分も、他の多くのコンテスタントのようにただガツガツと弾くのではなく、悲壮感・悲劇性のような要素を織り込んでいて胸をうつ。そして徹底的なインテンポ。クネクネ動かさないのに、それでいて詩情がきちんとある。終結部、なんと分厚い和音。しかし、このあたりはロシアを感じさせます。落ち着いたコーダ。

ブラボー。

素晴らしい演奏を聴いていると、時間をまったく長く感じないから不思議です。

2010年10月10日 (日)

ショパンコンクール2次予選2日目前半

どうしても聴きたかったので、予定を変更して2番目のアルメリーニから聴きました。大正解。

レオノーラ・アルメリーニ(イタリア、1992年生)

1次予選は聴けませんでした。
なかなか評判が良さそうなので、期待していました。
そして、期待を上回るパーフォーマンスでした。

マズルカ33 自然なリズム すっきり
ワルツ18  きちんとワルツ。上手い
バラード47  心地良い 時おりドキっとするパッセージ
ノクターン48-2 渋い曲なのに良い
舟歌 明るい舟歌。きっちりしたリズム感が心地良い
英雄ポロネーズ 慌てず落ち着いて構成感抜群、リズム感抜群

いやいや、これは素敵でした。
ごく普通っぽい感じに聞こえて、実は素晴らしい音楽がある。
そして、癖のない安心できるリズム感。
ずっと聴いていても飽きがこない感じです。
技術も超絶的ではないものの、安定していました。
しかも、もう完成されてしまった感じではなく、まだまだ伸びしろを感じさせます。

優勝候補の一人に浮上と言って過言でないでしょう。 ◎

片田愛理(日本、1992年)

日本人二人目。
印象は1次と同じでした。
とても作り込んでいて完成度は高い。
けれど、光るものはあまり伝わってこない。

ノクターン55-2 やや堅さが見られた
マズルカ17  よく作り込んである。17-4上手かった
舟歌 これもよく作っていた。
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
      スピアナートは綺麗だったが、ポロネーズはリズム感がもう少し

評価がとても難しい。
技術は安定しているし、とりたてて落とす理由がない。
かといって、積極的に次を聴きたい、というものでもない。 
他の人のできにもよるので△なのですが、どちらか決めるとしたら×

トン・フェイ・フェイ(中国、1990年)

若い女性が続きます。

マズルカ17  やや変わったリズム感
ワルツ17-3 17-4 華麗、途中荒れ気味
舟歌 雰囲気に乏しいか
ポロネーズ44  かなりエキセントリック
ロンド  技巧的でよく個性に合っていた

で、こちらも評価が難しいです。
繊細な片田さんとうって変わって、ややあらっぽかったりするのですが、超絶技巧ではあるし、ところどころにとても魅力がある。
ちょっと次も聴いてみたくはなります。
こちらも他の人とのからみで△ですが、どちらかといったら ○

収穫はとにかくアルメリーニでした。最後の10人を決めるのは迷わなそうです。

ショパンコンクール2次予選1日目後半

1次予選を聴いて優勝候補の一人と感じたトリフォノフが登場。
日本人も2次予選初登場です。
その2人を聴きました

・ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)
非常に繊細で柔らかで雰囲気のある美音。
極上のシャンパンのようです。
ファツィオリで異次元の音を出していました。
技術的に盛り上がる部分になるとなぜか興奮がちに早弾きになり、技巧がやや怪しくなるところが難点。
曲による出来の差が大きかった。

ワルツ18 華麗で繊細、うっとり
舟歌   デリカシーとエレガンス、極上。
          ただし、再現部がいじりすぎだったのが残念
マズルカ56 ノクターンのような雰囲気のマズルカ
            土着の舞曲としてはどうか
スケルツォ3番 速すぎ、第2主題の下りのパッセージはさすがに美しい
              コーダ速すぎてギリギリ。
              ちょっとハラハラの演奏だった。
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 
       スピアナートはソフトで美しい
              ポロネーズはいろいろといじっている

あの美音を出せるだけでも相当な才能ですが、やや技術的な難が多く、また解釈も伝統的なショパン演奏からすると疑問は残ります。しかし、これは次を聴かないわけにはいかない魅力に溢れています。 ○

永野光太郎(日本、1988年生)
インパクト絶大だった個性的なトリフォノフの後でやりにくかったかもしれません。キレのある良い音を出します。後半息切れしてしまったのが残念です。

エチュード25-7 ゆっくり、あっさりめ
マズルカ59 歯切れ良く、良いリズム感。あそこまで強調してどうかという不安はある。
ワルツ34-1 リズムがマズルカになってしまっていた。まずいと思った。
舟歌  やや焦って前のめり気味。テンポが伸び縮みし、?
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
   スピアナートはブリリアントで美しい
      ポロネーズは後半グズグズになってしまった
ポロネーズ26  テンポ設定が疑問。

マズルカまでは期待を持ちましたが、後半崩れてしまい ×

2010年10月 9日 (土)

ショパンコンクール2次予選1日目前半

いよいよ2次予選。2次ではポロネーズ、マズルカ、ワルツの舞曲系の表現が試されます。

すべて3拍子でありながら、味が違うそれぞれの舞曲をどう弾き分けるか楽しみです。
個人的には最近マズルカの良さがやっとわかってきたので、注目しています。

前半は2人とちょっと聴けました

・ホー・ポンチョン(中国、1988年生)
とても美しい音質で、音楽も素直。
躍動感やおしゃれ感には乏しい。
スケルツォ  やや重め
ワルツ64-1 平凡でややミス
64-2 素直すぎ。
ポロネーズ44 端正、まっすぐ

技術と音は良いのだけど、音楽はどうでしょうか。
微妙ですが、次聴きたいかどうかで決めると ×

ミロスラフ・クリティシェフ(ロシア、1985年生)
圧倒的な上手さ、文句なし
変化とニュアンスに富んでいる
タッチの種類がいくつもあり、使い分けている

ポロネーズ44 おとなしめではいり、情熱的に締める。構成感素晴らしい。
              変化があり飽きない
ノクターン27-1 ゆっくり、深い
ノクターン32-2 柔らかく優しいタッチ
ワルツ42 レガート、ノンレガート使い分け、ニュアンスに富み楽しい
マズルカ24 リズムに躍動感があり、曲ごとにいろいろ工夫している
舟歌 華麗 ただ、これはもっと深く表現して欲しかった

もちろん絶対通過です ◎

ソ・ヒョンミン(韓国、1990年生)
幻想曲しか聴けなかったのですが、調子が悪かったのか、かなりミスが多くこの時点では ×

さすがに皆1次を通っただけあって、レベルは格段に高くなっています。

後半は優勝候補の一人と思っているトリフォノフ登場です。

2010年10月 8日 (金)

ショパン・コンクール1次予選結果~納得と、意外と

予選終了後、間を置かずに結果が発表されました。
納得する結果と、あっ!と驚く結果とがありました。

聴けたのは、YouTubeのホジャイノフを含め34人。
予選を通るかどうか、ブログに書いた評価と、結果を比べてみました。

概ね、自分の耳を信用して良さそうだと、ホッとしています。

【◎ 絶対通ると思ったコンテスタント】

ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア、1985年生)      ○
ダニイル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)         ○
キム・ダソル(韓国、1989年生)                ○
ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)          ○

4人/4人 100%当たりました。
別格の雰囲気がありましたので、間違いないと思っていました。

【○ まず通るのではと思ったコンテスタント】

ソ・ヒョンミン(韓国、1990年生)                   ○
野上真梨子(日本、1991年生)               ×
片田愛理(日本、1992年生)                 ○
クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生)            ○
ヤツェク・コルトゥス(ポーラーンド、1988年生)     ○
フランソワ・デュモン(フランス、1985年生)       ○
岡田奏(1991年生)                        ×

5人/7人 なんと、日本人を2人外しました。
野上さんは清新な演奏でしたが、線が細いのとやや幼かったのでしょうか。
岡田さんは、ギリギリの品の良さと思っていたのがギリギリの悪さだったのか、あるいは、音の明瞭度が足りなかったのでしょうか。

【× 技術的に通らないと思ったコンテスタント】

レオナルド・ギルバート(カナダ、1990年生)        ○
萬谷衣里(日本、1982年生)                  ×
アンケ・ハン(ドイツ、1993年生)                 ×
アリオシャ・ユリニッチ(クロアチア、1989年生)     ×
ファレス・マレク・バスマジ(シリア/ポーランド、1986年生) ×
イシャイ・シャエル(イスラエル、1983年生)         ×
ハンナ・ソン(オーストラリア、1989年生)           ×
深井まどか(日本、1988年生)                 ×
リー・ハンチエン(台湾、1984年生)               ×
ナタリア・ソコロウスカヤ(ロシア、1989年生)        ×
シェン・モンション(台湾、1990年生)                ×

10人/11人 ギルバート以外は当たりました。
技術に難がある演奏は比較的すぐわかるものですね。

【音楽的に通ってほしいと思ったコンテスタント】

ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生)          ○

スタイルがどうかと思ったのですが、もう一度聴けて嬉しいです!
審査員に感謝!

【音楽的に通ってほしくないと思ったコンテスタント】

メイティン・スン(USA、1981年生)             ○
アンドリュー・タイソン(USA、1986年生)           ○

なんと、もう2度と聴きたくないと思ったアメリカの2人は通ってしまいました。
技術はまあ、そこそこあったので、実質予備選のような1次で落とすわけにはいかなかった、と解釈したいです。

【△ ボーダーかなと思ったコンテスタント】

佐野隆哉(日本、1980年生)                ×
アンナ・フェドロバ(ウクライナ、1990年生)        ○
トン・フェイフェイ(中国、1990年生)              ○
チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生)   ○
スン・ジアイー(中国、1989年生)               ○
フー・ボー(中国、1987年生)                 ×
ウラディーミル・マツセヴィチ(ロシア、1988年)    ×
ルーカス・ゲニューシャス(ロシア、リトアニア)      ○
木米真理恵(日本、1989年生)                ×

やはり割れました。5人通過、4人落選。
1次は技術を中心に見るようですね。

公式サイトに、一部ながら音源がアップされたので、聴けなかった人を聴いてみようと思います。

ショパン・コンクール1次予選5日目後半

がんばって3.5人聴いて落ちます。

感心できたのは日本の岡田奏(1991年生)さんだけでした。

岡田さん、けっこうネッチリしていたのですが、センスでカバーできていました。

技術も安定していました。

ストレートでないエチュードなど、なかなか新鮮だったし、成熟していないと難しいバラード4番もなかなかでした。

ただ、手がとても小さく、音色が若干明瞭さに欠けるのが難点で、そのあたり、どういう評価を受けるのか心配です。

※今日のアメリカ人もひどいものでした。なぜショパンコンクールなのだ?と言いたいところです。アメリカのショパンコンクールって、何なのでしょうか。(昨日の彼も今日の彼も、それ出身)

2010年10月 7日 (木)

ショパン・コンクール1次通過者決定前に、優勝者予想

まだ1次予選が6人残っていますが、日本時間で明日8日の朝6時には1次予選通過者が決定する、ということですので、自分の耳を試す意味で、今回の優勝者有力候補をあげておこうと思います。

【1次予選1日目】

ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア、1985年生)
ダニエル・トリフォノフ(ロシア、1991年生)

【2日目】

キム・ダソル(韓国、1989年生)

【3日目】

ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)

何とロシア人3人となってしまいました。
聴けていない人の中にもいるやもしれませんが、それほど外していない気はしています。

新鮮さ、将来性を勘案すれば、ニコライ・ホジャイノフが最有力候補でしょう。

【番外編】

やはりロシアの、ユーリ・シャドリン(1980年生)は、審査でもめるかもしれません。
すでに確固たる自分の音楽の世界を構築し、コンクールのスタイルなど関係のない音楽を聴かせてくれました。
もう一度聴きたい、と思わせ度では最高レベルでしたが、年齢も高いし、入賞者にふさわしいかどうかは?なのです。

果たして、2次予選に進めるかどうか、大変興味深いものがあります。

ショパン・コンクール1次予選5日目(前半)

次予選もいよいよ最終日。
今日は光る才能が現れるでしょうか?

前半聴けたのは3.5人

ルーカス・ゲニューシャス(ロシア、リトアニア、1990年生) △

バラード1番だけ聴けました。
微妙。

フランソワ・デュモン(フランス、1985年生) ○

浜松などで日本ではおなじみ。
落ち着いて堂々としたショパン。ファツィオリの華麗な音。
個人的にはたくましすぎる感じがしますが、1次はまず通るでしょう。

リー・ハンチエン(台湾、1984年生) ×

デュモンとうってかわって、優しいショパンらしい雰囲気なのですが、いかんせん、音が弱く、ミスも多かった。

木米真理恵(日本、1989年生) △

音質の悪い環境で聴いたのでいまいちよくわからなかったというのが正直なところですが、普通っぽかったでしょうか。

聴けなかった中では
マレク・プラハ(ポーランド、1986年生)
インゴルフ・ブンダー(オーストリア、1985年生)

あたりがまずまずだったようです。

ショパンコンクール1次予選4日目

【前半】
今日は前半はすべて聴けず。
ネットの評判などでは

・ジア・ジュリアン・ジ・チャオ(中国,1991年生)
・キム・ソンジェ(韓国、1990年生)
・宮崎翔太(日本、1989年生)

あたりがまあまあだったようです。
アジアばかりですねえ。

【後半】
4人聴けました。

・深井まどか(日本、1988年生)  ×
エチュードで大失敗してしまいました。
スケルツォ2番はまあまあだっただけに残念です。

・メイティン・スン(USA、1981年生)  ×××××
ディナーミクやアゴーギクを極端に変化させる。非常に作為的な演奏。
聴くに堪えません。
技術的には普通に弾けるはずなのに弾かない。確信犯です。
なぜこういう人が予備選を通ったのか不明。

・ヤツェク・コルトゥス(ポーラーンド、1988年生)    ○
前回のファイナリストで地元期待の星の一人だと思います。
これといって悪くないが、良い、という感じもしません。
1次は通るのではないかと思います。

・ウラディーミル・マツセヴィチ(ロシア、1988年) △
半分聴いて落ちてしまいましたが、早いだけの印象でした。

聴けなかった最後の3人
・岩崎洵奈
・ユリアンナ・アヴデーエワ
・マルティン・コジャック

はなかなか良かったようです。

コジャックは今年のラ・フォル・ジュルネで来日していました。
聴けませんでしたが。

この日は大本命といえるレベルのコンテスタントは出現しなかった感じでしょうか。

2010年10月 6日 (水)

優勝候補登場か?~ニコライ・ホジャイノフ@ショパン・コンクール1次予選

10月5日後半のショパンコンクール1次予選の中から素晴らしい演奏をするコンテスタントが頻出したようです。

まず私が聴けた中でびっくりしたのが

・ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生)

30歳と前回までなら出られない年齢。マイ椅子で登場。
コンクール向きの演奏ではないのかもしれません。
しかし、その音楽はたいへん暖かく、しんみりとして、心に響きました。
舟歌では思わず涙がこぼれてしまいました。
ショパンコンクールで上位入賞できるかどうかはわかりませんが、もしリサイタルをやるとしたら是非聴きたいと思わせる人でした。

次に聴けなかった中で

・イレーネ・ヴェネツィアーノ(イタリア、1985年生)

なかなか素敵な演奏だったようです

・ニコライ・ホジャイノフ(ロシア、1992年生)

どうやら今回のショパン・コンクールの優勝候補にふさわしいコンテスタントが登場したようです。
ロシアの18歳で、注目していましたが予想以上の反響だったようです。
深夜だったので生中継は見逃しましたが、さっそくyoutubeにアップされていたので聴けました。

音質はだいぶ劣化していますが雰囲気はある程度伝わってきます。
18歳と思えない落ち着き。余裕があり安定した技術。気品と繊細さと豪快さ。
正統的な音楽の作り。
聴衆も熱狂しています。
たぶん、ライブの良い音質・画質だったらさらに素晴らしく観られたことでしょう。

ショパンコンクール1次予選後半その1

寝ようと思ったら、ユーリ・シャドリンでびっくり。
目がさめてしまいました。

スン・ジアイー(中国、1989年生) △

テクニシャンだが、音を叩きすぎうるさい。

ハンナ・ソン(オーストラリア、1989年生) ×

すべてが水準に達していない感じ

ユーリ・シャドリン(ロシア、1980年生)  ◎△

実に慈しみに溢れた、暖かい音楽。
30歳という年齢を加味しても、それだけでない。

もう普通にリサイタルを聴きたいです。
コンクールはもういいでしょう。

マズルカと幻想ポロネーズは聴いてみたいです。
コンクールに勝つタイプではないので、どう評価されるか

フー・ボー(中国、1987年生)  △
清純で良い感じで始まったのだけれど、スケルツォ2番でぶっ飛んで自爆。
良いものは持っているので、もう一度チャンスをもらえるかどうか。

2010年10月 5日 (火)

ショパン・コンクール1次予選3日目

今日はここまで3人聴けました。

今年のエリザベート2位のエフゲニ・ボジャノフは残念ながら聴けませんでした。

・ファレス・マレク・バスマジ(シリア/ポーランド、1986年生) ×

技術が足りませんでした。

・チャン・ワイチン・レイチェル(中国、1991年生) △

優勝候補の一人という噂もあるようですが、好きになれませんでした。
音が疲れるのと、今日はかなりミスも多かった。
エレガンスが足りないです。

・イシャイ・シャエル(イスラエル、1983年生) ×

最初は素直で良いかと思いましたが、バラード4番で崩れてしまいました。
残念。

ボジャノフはそれほどインパクトあったようではなく、日本の後藤さんや、大崎さんはまずまずだったような。
ただ、今日はまだ若くて光る才能は現れていないようです。

日本時間24時からの後半は、最初の2人はまだ21歳と若いので注目したいです。
そこまでですね。

日本時間27時30分の、ロシアの若いホジャイノフに興味がありましたが、寝ないと明日に差し支えます。

ヌーブルジェ、ショパン・コンクールに参加したならば~クラシカジャパン放送

本日先ほどヌーブルジェのショパン演奏が、クラシカジャパンで放映されました。本邦初公開映像。
2010年1月29日、ナントのラ・フォル・ジュルネにおける演奏模様。

ノクターン Op.9-2
スケルツォ第1番
エチュード Op.10全曲

折しも、ショパン・コンクールの最中。
1次予選の模様を、ライヴで20人ほどは聴いたでしょうか。

一度ににショパンの同じような曲を20人も聴いたことなど初めてでした。
良く知った曲がほとんどで、それだけに各コンテスタントの個性が、大変よくわかります。そして、ショパン演奏の良し、悪しが、こんなにもはっきりわかるものとは知りませんでした。

貴重な体験をしてしまいました。

その経験をした中でのヌーブルジェの演奏。
曲目もショパンコンクールともろかぶり。
動画配信で何度か見ていますが、きちんとしたTV放映で、TVの貧弱なスピーカーでなく、きちんとまともなヘッドフォンで聴いたらどんな風に感じるか、やや怖いものがありました。

他のコンテスタントに混じって弾いたと想像して、追っかけファン、ということを抜きにして、冷静に感想を述べてみます。

まずこれはヌーブルジェの大きな特徴で、非常に音がクリアで硬質なこと。
ノクターンガラスを叩いているようです
この音が魅力です。
クレア・フアンチあたりもとてもキラキラした音でしたが、キラキラ度ではヌーブルジェは群を抜いていると思います。

しかし、それがショパンの雰囲気を良く出しているかというと別問題で、クルティシェフやトリフォノフやキム・ダソルの柔らかい雰囲気の方がショパンには合っていそうです。

スケルツォはとても素晴らしい演奏でした。
ヌーブルジェの美点が曲ととてもマッチしている。
そして、ガンガン弾くなぁと思っていたヌーブルジェも、比べてみると、コンテスタントの案外多くが、それこそガツガツ弾いたり、やたら早弾きするのに比べると、ずっと落ち着いて、きっちり音楽を作っていることがわかりました。
これは水準以上だと思いました。

問題はエチュード
この日のヌーブルジェは、よほど体調でも悪かったのか、とても演奏にキズが多かった。10-2などはもつれて危ういくらい。
こんなヌーブルジェは、後にも先にも初めてです。
これがコンクールだったらまずかったかもしれない・・・

肝心な音楽の方はというと。
彼は16歳のときにエチュードのCDを出していて、その演奏はまことに清々しく、まだやや線の細い少年の表現が、逆にショパンのデリカシーをよく表現しているように感じたものです。
今年のナントのヌーブルジェは23歳。精神も成熟してきて音楽も大きくなり、音質も以前より骨太な感じが出てきている気がします。
そして、その変化している方向が、果たしてショパン弾きの方向かというと、もしかすると違うのかもしれません。

2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンの時には、まだナイーブな感じを残していたヌーブルジェ。最近は音楽により確信のようなものが満ちてきたのとは逆に、フッと風が吹き抜けるような爽やかさが薄れてきたのかな、と。

というようなわけで、ヌーブルジェがショパンコンクールに出たら、もちろん、ファイナルに残る実力は十分あると思いますが、圧倒的なショパン弾きとして認められるとは限らないかも、と思ったしだいです。

キム・ダソル@ショパン・コンクール1次予選

10/4後半のトップ、韓国のキム・ダソル
今年のエリザベートでの清々しい演奏がとても印象に残っていました。

この半年あまりで、さらにグレードアップしたのではないか、と思わせてくれる素晴らしい演奏。

早弾き系のエチュードは余裕あり。
ガツガツしない。
ノクターンのかわりに弾かれたエチュードOp.25-7は、あっさりとした表現のなかにも優しい詩情があふれている。
今日はどちらかというと、ベタベタした感情表現が多かった気がするので、とても新鮮でした。

そして圧巻はバラード4番
音の洗練度が違う。
美しくも繊細。しかし弱くない
変奏ごとにほんの少し雰囲気を変える心憎さ。
叩かない、リズムが良い、盛り上げが自然、強音が濁らない。
そして、コーダ前の静寂の演出も見事。
コーダは慌てず急がず、しかしリズムにのって、きちっと決める。

ぶらあぼぉーーー。
プロのピアニストでもなかなかこれだけのバラ4は聴けません。

これはファイナリスト間違いありません。
エリザベートで感じたセンスの良さは間違っていなかった。

今日の一番でしょう。

昨日からのコンテスタントで光っていた人
    ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア)
    ダニイル・トリフォノフ(ロシア)
    キム・ダソル(韓国)

   
   
さて、あと何人くらい優勝候補が出てくるでしょうか。

でも、本当に1次予選がこんなにおもしろいものとは思ってもみませんでした。

2010年10月 4日 (月)

ショパン・コンクール1次予選2日目前半

前半8人のうち5人聴けました。
今日は動画はしっかり見られます。

アンナ・フェドロバ(ウクライナ 1990年生) △

ショパン、というよりリストでした。
たくましすぎでしょうか。
上手だけれど微妙。

片田愛理(日本、1992年生) ○

日本人最年少ながら、とても丁寧に緻密によく作り込んでいて、安定もしていました。
同じ調子なので、最後の幻想曲はやや飽きてしまったかも。
でも、1次は突破すると思います。

アリオシャ・ユリニッチ(クロアチア、1989年生) ×

残念ながら、技術も音楽も粗雑でした。

トン・フェイフェイ(中国、1990年生) △

甘くきれいな音で歌うのですが、ややつかみどころがなく、スケルツォ4番が良いと思ったら、後半で大ミスをひとつ。立ち直りましたがどう評価されるか。

クレア・フアンチ(アメリカ、1990年生) ○

さすがコンクール慣れしていて、余裕の弾きっぷり。
あまりにも音がキラキラと明るく、ショパンらしい、しっとり感はもう少しほしかったか。
1次は確実に突破するでしょう。

というわけで、昨日のクルティシェフ、トリフォノフ級はまだ聴けていないと感じます。

もっとも、聴けなかった中でイタリアのアルメリーニ(1992年生)は若いながらかなり良かったようです。

後半はトップバッターのキム・ダソル(韓国、1989年生)に注目しています。今年のエリザベートで6位でしたが、彼のハイドンが個人的にはかなり印象に残っています。

その後もアジア人が続きます。
ただし、皆23歳以上なので、やや興味は薄れます。
どのみち起きていられませんが。

ショパン・コンクールようやく動画配信

公式サイトにようやく動画へのリンク情報がのりました。

http://konkurs.chopin.pl/en/edition/xvi/online/broadcasting

今のとこライブのみで、VODとなるかどうかは不明。

何だかはっきりしません。

結局もう4人聴いてしまった~ショパンコンクール

若い人が続いたので、つい聴いてしまいました。

野上真梨子(日本19歳)           ○
ダニイル・トリフォノフ(ロシア19歳)     ◎
萬谷衣里(日本28歳)             ×
アンケ・ハン(ドイツ17歳))          ×

野上さんはとても清新な演奏で、ノクターンとエチュードはとても良かった。でもバラード4番が御しきれていなかった。まだ精神があの曲に追いついていない感じでした。選曲ミスといえるかもしれません。
でも、1次は通ってほしい演奏でした。

トリフォノフは素晴らしかった。予想どおりでした。
エチュードは軽いタッチで飛ばしすぎた感はありましたが、その後の自然と揺らぐノクターン、変化にとんだスケルツォ4番が出色の出来でした。
個性にあふれていて、これは絶対に他の曲も聴きたいと思わせる演奏だと思います。

萬谷さんはまじめすぎで、やや無骨。アンケ・ハンはやや荒くてニュアンスに乏しい。1次は厳しいかも。

2010年10月 3日 (日)

ヌーブルジェとショパン・コンクール・コンテスタントの聴き比べ

昨日、クラシカジャパンの10月のヌーブルジェ放送予定の記事を書いて、今日、ショパンコンクールの記事を書いて、さっきハタと気がつきました。

これは同時聴き比べができるではないか!

ヌーブルジェはまだ23歳(今年12月で24歳)
ショパン・コンクールに出場していても、全然おかしくない年齢です。

クラシカジャパンで放映されるのは、今年のナントのラ・フォル・ジュルネから、

ノクターン Op.9-2
スケルツォ 第1番
エチュード Op.10 全曲

です。
ノクターンはともかく、スケルツォとエチュードは、ショパン・コンクールの1次予選の課題と、ピッタリかぶるではないですか

ヌーブルジェもコンクールで弾いているのをイメージして聴いてみたら、これは面白い。

クラシカ・ジャパンもそんなことを想定してヌーブルジェの映像をこの時期にぶつけてきたとしたら、なかなかやりますなぁ。

テレビをあまり見ず、BSもめんどうだし、CATVも活用していないのですが、今度ばかりはクラシカジャパンを申し込んでしまいました。
料金を勘違いしていて、月2,100円ですみそうなので、ホットしていますが。

さて、あと20分ほどでショパン・コンクール・ライブが再開です。
動画は未だに見られないものの、音だけ、というのもかえって集中できて良いかもしれません。

ショパン・コンクール1次予選 面白すぎて困った

ネット時代は便利ですが、ライブで聴きっぱなしというのも良し悪しです。
他のことが手につかない・・・

中村紘子さんが言ったとおり、たくさん聴き比べると、良い悪いがわりとすぐわかってしまう
ましてや、1次予選は実力にばらつきがある。

コンクールって怖いのですね。

4人聴きましたが、

◎エクセレント
○もう一度聴きたい
△微妙
×もういいかも

ミロスラフ・クルティシェフ(ロシア)  ◎
佐野隆哉(日本)            △
ソ・ヒョンミン(韓国)            ○
レオナルド・ギルバート(カナダ)   ×

次は現地時間17時、日本時間24時です。

トップが日本の野上真梨子さん。
映画「ピアノの森」で誉子の吹き替えピアノを担当したとのこと。
バッハイタリア協奏曲の第3楽章でしたね。

2番手がロシアの若手、ダニイル・トリフォノフ
他のコンクールで優勝していて、予備審査を免除されているという人。
ちょっと注目しています。

ここまではがんばって聴いてみましょう。

4番目に17歳と若いドイツのアンケ・ハンがいますが、もう寝てないと明日に差し支えますね(^^;)

ショパンコンクール1次予選のラジオライブ放送

さんざん動画配信を見るのにチャレンジしていますが、まだできません。
公式サイトはサポートしないのでしょうか。

そして、音質はかなり悪いですが何とか音が聞けるサイトがわかりました。

http://www.polskieradio.pl/Player/Stacja/2,Dwojka

ちょうど優勝候補の一人、ミロスラフ・クルティシェフに間に合いました。
1985年生まれでヌーブルジェよりも年上。しかし、チャイコフスキコンクール最高位と実績は文句なし。

演奏はそれは素晴らしいものでした。

出だしのノクターンOp.55-2であっという間につかまれ、実にリズムの安定した落ち着いたエチュード、そしてしっとりと柔らかく歌にあふれたバラード4番。コーダの作り方も素晴らしい!
ちょっと感動してしまいました。

これはもうファイナリスト間違いないでしょう。

【再告知】ナントのヌーブルジェ放送@クラシカジャパン

一度案内しましたが、近づいてきたので再告知します。
2010年1月29日に行われた「ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント」での演奏がクラシカジャパンで放送されます。

スカパーやCATVのオプションとなります。

10/5(火)  21:00~21:50
10/6(水) 17:00~21:50
10/7(木) 14:00~14:50
10/8(金) 10:00~10:50
10/9(土) 13:25~14:15
10/10(日) 9:10~10:00
10/12(火) 3:30~4:20
10/17(日  13:25~14:15

【演目】
ショパン:夜想曲 第2番 変ホ長調 Op9-2
     スケルツォ 第1番 ロ短調 Op20
     練習曲集Op10

【収録】
2010年1月29日ホール「フランコム」
(ラ・シテ・デ・コングレ・ド・ナント)

2010年10月 2日 (土)

ピアノ好きにはたまらない「シューマンの指」(奥泉光:講談社)

シューマンの指 (100周年書き下ろし) Book シューマンの指 (100周年書き下ろし)

著者:奥泉 光
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ウェブで少し前からひっかかり、今朝の新聞に大々的に広告が載りますます気になってきたので求めて読んでみました。
面白さのあまり314ページ一気に読み切ってしまいました

シューマンのピアノ音楽を軸に据えたミステリーで、結末にはとんでもない仕掛けが用意されています。
小節の素材とはいえ、シューマンの音楽を相当深く掘り下げて劇中人物に語らせており、音楽本としても読み応え十分です。

読んでいるそばからシューマンのピアノ曲を聴きたくなってきてきます

以前、ショパンとシューマンを生意気にも比較して記事にしたことがあり、その時、シューマンについて感じていることをわりかしじっくり考えてみました。
http://mykumasan.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-53a4.html
この小節を読んで、ますますシューマンに一歩近づけた気がします。

メジューエワのレクチャーコンサートで教わったことなども出てきて、反芻してしまいました。

冒頭のピアノ協奏曲イ短調から始まり、登場するシューマンの曲は多数にのぼります。

トッカータハ長調、ダヴィッド同盟舞曲集、ピアノ・ソナタ2番・3番、交響的練習曲、フモレスケ、幻想曲ハ長調、森の情景、子供の情景、謝肉祭、クライスレリアーナ等々

特に、「幻想曲ハ長調」は、この小節の「鍵」ということもあり、演奏描写も実に丹念で、今にも音が聞こえてきそうでした。

実名のピアニストの名前もかなり登場します。
ホロヴィッツ、ポリーニ、アルゲリッチ、グールド。
私の師匠から「素晴らしかった」と聞いている、アニー・フィッシャーが、この本でも同様素晴らしいと紹介されていたので、シューマンのアルバムを聴いてみたくなっています。

アルゲリッチの黒髪と演奏を真似たという「マルデ・アルゲリッチ」というニックネームの登場人物には腹をかかえて笑ってしまいました。

ミステリーとしてもかなり凝っていて、宣伝文句の「ラスト20ページに待ち受ける未体験の衝撃と恍惚」というコピーもあながち嘘ではありません。
ですので、間違っても最後の方を先に読んではいけません

まあ、音楽ネタとしてはラストはあまり関係ないのですが、ミステリー好きの方にはたまらないと思います。

2010年10月 1日 (金)

ショパンコンクール1次予選スケジュール発表

いよいよ明後日10月3日からショパンコンクールが始まります。
騒いでいるのはポーランドと日中韓くらい、とか揶揄するむねもあるようですが、まあ、お祭りということで良いでしょう。

公式サイトで、1次予選のスケジュールが発表されました。
http://konkurs.chopin.pl/en/edition/xvi/id/1863

先日、NHKアーカイブで2000年のショパンコンクールの模様が再放送され、案内役の中村紘子さんが”なるほど”とうなずけることをおっしゃっていました。
だいたい次のようなことです。

コンクールで一番面白いのは1次予選。ファイナルなど結果がわかっていてちっとも面白くない。1次予選ではたくさんの演奏者を聴く中で、うまいのだけれどもう聴きたくない、と思う演奏者と、オーラがあってもっと聴きたい、もう一度聴きたいと思う演奏者とが、案外はっきりわかる。

確かに、ル・ジュルナル・ド・ショパンや、ラ・フォル・ジュルネで、一度にたくさんのピアニストを聴くと、個性の違いが明確にわかり、しかも個性の薄い人は埋没してしまう、ということがわかったものです。

80人審査するのは大変と思っていましたが、そう考えると案外簡単なものなのかもしれません。

そして、3次予選くらいになると、自ずと誰が一番かはわかってしまう、と。

全員の演奏を聴くのはさすがに無理ですが、先日記事でも書いた、20歳以下の若い出場者くらいはできるだけ追いかけてみましょうか。

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