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2010年9月14日 (火)

イヴ・アンリ ピアノ・コンサート@紀尾井ホール(その2)

(前の記事からの続き)

後半最初は、ショパン最後の生前の出版曲、チェロ・ソナタ
今年のラ・フォル・ジュルネでヌーブルジェとヴァシリエヴァが共演したのを聴いたのが初めてでした。
遠藤真理さんは、「龍馬伝」のエンディングの音楽のチェロを弾いていますね。
ヌーブルジェ&ヴァシリエヴァの時は闊達な演奏だったように記憶していますが、今回は甘くしっとり絡むような感じ。なので第3楽章ような楽想がピッタリだったと思います。紀尾井ホールだけに、音も良く響いて、素敵な雰囲気でした。
これはスタンウェイ・ピアノ。

プレイエルにピアノが変わる。
24の前奏曲から3曲。
「雨だれ」は、また異様に遅くセンシティブ。
モダン・ピアノだったらちょっともたない間合いかな、とも思いましたが、プレイエルだと、いやらしく聞こえないのが不思議。
続く16番はピアニストのテクニックがあらわになる曲。これは前曲と打って変わって、最速の部類の演奏で、テクニカル面でもパーフェクトであることを見せつける。

なお、このあたりでは耳が相当プレイエルの繊細な音に慣れてきて、全く違和感がなくなってきています。

晩年のマズルカ3曲。
ここにイヴ・アンリの特徴が集約されていたように思います。
こんなに3拍子に聞こえないマズルカは初めてでした。
自由闊達かつウルトラデリケート。
ショパン自身が、マズルカやワルツのような舞曲になると、ふんだんにルバートを使い、特にマズルカは、時に2/2拍子、時に4/4拍子のように周囲からは聞こえる、と言った言い伝えを、まさに再現しているようでした。

嬰ハ短調の3曲目、ため息の出るような揺らぎとエレガンス。もう息をこらして聴きいってしまいました。

ワルツ。マズルカ風の第3番はまたまた止まるような速度。舞曲を超えアートへというショパンの意図を再現。
ラストの5番ワルツは、テクニカルで華麗で盛り上がりも十分。
しかしプレイエルの音はあくまで控えめなので、音量で圧倒するのではなく、目くるめく流動感で圧倒。
ブラボー。

アンコール1曲目。これまた、もはやショパンの定番曲となった嬰ハ短調ノクターン。先日小林愛実で聴いたばかり。
遅い。またまた止まりそうに遅い。簡単な曲想に実にたくさんのニュアンスを詰め込んでいます。

2曲目。出ました!嬰ハ短調ワルツ。これも今年何度目でしょうか。
最近ではユジャ・ワンの動画を何十回と見てます。
同じ曲と思えないくらいの作り方。
ユジャ・ワンもかなりアゴーギクを駆使してますが、イヴ・アンリはそんなもんじゃない。揺れ揺れでピュウ・モッソの部分は超高速。いやらしくなりそうなところを、センスの良さでまとめている。そういうところ、ケフェレックを思い出します。

ショパンの時代のサロンの再現、という触れ込みでしたが、まさに、19世紀前半にタイムスリップしたような、幸福なひとときでした。

※フランス人ピアニストは、どれだけタレント豊富なことでしょう!しかも、皆個性的。
※テンポ・ルバートやアゴーギクを駆使しながら、いやらしくならないセンスの良さは、日本人には真似できそうもない。伝統のなせる技。
※弦とのデュオ、トリオになぜモダン・ピアノを使用したのか不明。
プレイエルの木製の響きの方が絶対に弦と溶け合う気がする。

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コメント

うららさま:

>ピアノ弾き兼チェロ弾きです。

ブログ少し拝見しました。
楽器2つもなんて、凄いです。


>> ※弦とのデュオ、トリオになぜモダン・ピアノを使用したのか不明。
>推測ですが、遠藤真理さんの楽器自体がモダンなので、モダンに合わせたのではないでしょうか。

チェロにもモダンだのオールドだのがあるわけですね。
なるほど。

>また弦も、スチール、ナイロン、ガットとあるのですが、おそらくスチール弦を使われているのではないかと思います。ガット弦を使われている人はそういう話を聞きますので。

このあたりになると、全くわかりません。
弦楽器はほとんどいじったことがないものですから。

>遠藤さんがオールドの楽器であったり、或いはガット弦を使われる方なら、プレイエルという選択もありだったのかもしれません。

詳しい解説ありがとうございました。

ピアノ弾き兼チェロ弾きです。

> ※弦とのデュオ、トリオになぜモダン・ピアノを使用したのか不明。

推測ですが、遠藤真理さんの楽器自体がモダンなので、モダンに合わせたのではないでしょうか。

あまり楽器のことをオープンにされてないようですが、1924年製のサッコーニとのこと(イタリア→アメリカ。この楽器の制作年代だとイタリア製)。

楽器の年代でここからがモダン、ここからがオールドというのは難しいのですが、完全にオールドと称されるのは1850年以前の楽器だと思います。

また弦も、スチール、ナイロン、ガットとあるのですが、おそらくスチール弦を使われているのではないかと思います。ガット弦を使われている人はそういう話を聞きますので。

遠藤さんがオールドの楽器であったり、或いはガット弦を使われる方なら、プレイエルという選択もありだったのかもしれません。

あくまでも推測ですが……。

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