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2010年7月10日 (土)

上原彩子ピアノリサイタル@さいたま芸術劇場

こんなに個性の強いピアニストだったのかと、二度目のライブで真価がわかりました。

今年の1月にサントリー・ホールで初めて聴いて以来今年二度目。
1月の時は、プログラムの中心だったリストが私は苦手で、あまり詳しくなかったせいもあり、彼女の真価をはかりかねていた部分がありました。

今日は、まずピアノがスタンウェイであでやか(前回はヤマハ)
ホールの響きが凄い。音の洪水。
曲目は良く聴き知った、ショパンの有名曲の数々。

【前半】
ショパン:夜想曲第7番 嬰ハ短調 作品27-1
ショパン:夜想曲第8番 変ニ長調 作品27-2
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 作品35

【後半】
ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1
ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調作品64-2
ショパン:12の練習曲 作品25

【アンコール】
チャイコフスキー:18の小品より
                  第5曲「瞑想曲」
                  第16曲「5拍子のワルツ」
シューベルト:3つのドイツ舞曲より

上原さんはショッキング・イエローとでもいうドレスでゆったり登場。

出だしのノクターン。
右手を脇に置いたまま、身体を斜めに倒し、左手の分散和音を厳かに弾き始める。
いきなり「入り込んでいる」感じです。
慌てないテンポで、デリカシーたっぷりに、テクニックは前面に出さない。
これは、前回感じたことと同じです。

ただ、2曲とも細部まで良く知っている曲だけに、その作り込みの尋常ならざる濃さに少々びっくり。
ピアニシモへの思い入れが良くわかりました。

ソナタ第2番。
今年何回目でしょう。

ほとんど左を向いて、つまりステージに背を向けて、思い入れたっぷりの序奏。
第1主題は重々しくない。
非常に起伏に富んでいて、普通っぽく聞こえない。
なかなか飽きさせない。
第2楽章はスピードは普通ながら、やはり入れ込み十分という感じ。
葬送行進曲。
前打音の入れ方が変わっていて、新鮮に聞こえる。
トリオは終始弱音で、繰り返し部分は消え入りそう。
終楽章、それほど慌てず、クリスタルな響きを演出。

ここまで、ノリの良さといったものとは無縁で、じっくり聴かせる、という演奏でした。

後半は、当初の予定になかったワルツ。
これが格別個性的でした。
まったく予測不可能。

こんな超有名曲、いじりようがない、と思っていましたが、なんと、こんなアプローチもできるのか、と。
小犬のワルツはスピードも音量もぐっと抑えて、フレーズごとに確かめるような弾き方。目くるめくように弾くピアニストが多い中、「目くるめかない」
嬰ハ短調ワルツ
マズルカ風の主題の装飾の入れ方もやや変わっていましたが、ピューモッソの部分をそれは小さな音でスローなテンポで奏でる。

そういえば、1月のリストのラ・カンパネラを思い出しました。
あの曲もゆっくりと、いろいろ表現を工夫して、普通に聞こえないように作っていましたっけ。

作品25のエチュード
これまた非常にユニーク。
エチュードであっても、決してテクニカルな弾き方をしない。
軽めのタッチで、ディテールを凝りに凝って作り込む。
短い1曲のエチュードに、何と変化を持たせて表現することでしょう。
流れるような華麗さとか、ぐいぐい引っ張る推進力といったものはありませんが、聴く者に集中を強いる強烈なメッセージがありました。

ただうまいだけのピアニストはいくらでもいるでしょうが、このように訴える音楽を表現できる人はそうそうおりますまい。
だからこそ、チャイコフスキーコンクールを優勝したのでしょう。

エチュード終曲は、興がのってきたのか、それは強烈で魂のこもった演奏で、ちょっとアンナ・ヴィニツカヤが降りてきたかと錯覚するような、デモーニッシュなものでした。

アンコールは、誰でもそうですが、ぐっと肩の力の抜けた演奏でした。

それにしても、日本人もよくぞここまで個性的になってきたものです。

しかし、体調が今ひとつだったせいもあり、かなり集中して消耗したリサイタルでした。

※だるそうに歩くのはこの人の癖なのですね。

※斜めになって入り込んだり、聴衆に背を向けて弾いたり、まっすぐ微動だにしなかったり、そっくり反って天を仰ぎながら弾いたり、首を突き出して弾いたり、これだけいろいろな弾き方をする人も珍しい。

※さいたま芸術劇場は何度か来ていますが、音響が非常に良い。音が溢れわたります。

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コメント

wolverinesさま:

ごぶさたです!
いやぁ、あんなに濃い演奏をする人とは思いませんでした。
インパクトありました。

まいくまさんの日記を読んでとにかく上原さんのショパンが聴きたいです。

>そういえば、1月のリストのラ・カンパネラを思い出しました。
僕が聴いた大阪のリサイタルでもこれを感じました。
いまのところ大阪でのリサイタルがスケジュールにのってなくてほんとに残念~
直近では8/25にN響の大阪公演でモーツァルトのコンチェルト23番なのですが
会場が音楽専用ホールでないので悩み中です。

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