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2010年5月15日 (土)

クリスチャン・ツィメルマン リサイタル@よこすか芸術劇場

初めて行った横須賀芸術劇場。前から13列目の真ん中という絶好の位置だったにもかかわらず、音響ががっかりでした。
音が前に出てこず、響きが分散し、臨場感が不足で、音の雰囲気が伝わってきません。
舞台と客席がガラスで隔てられたようでした。
そういうわけで、せっかくのツィメルマンも、魅力がかなりそがれてしまいました。
演奏はもちろんハイレベルでしたが。

【オール・ショパンプログラム】
【前半】
夜想曲 嬰ヘ長調 op.15-2
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35
スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
【後半】
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
舟歌 嬰ヘ長調 op.60
 ※アンコールなし

夜想曲はツィメルマンの美音が最大限楽しめると思ったのですが、音楽の作りは超デリケートながら、ぞくっとするような美しさは堪能できず。

ソナタ第2番は先日のコロベイニコフの演奏が圧倒的すぎて、ツィメルマンも食われてしまった感じです。葬送行進曲はコロベイニコフと同じくらい超スローテンポ。ですがツィメルマンの方がタッチが軽やかで、悲壮感は薄かったかも。

スケルツォ2番。ソフトなタッチと流れるような音楽。この曲は跳躍が多く、よくプロのピアニストでも音を致命的にはずしたりするものですが、ツィメルマンには余裕があり安心して聴けます。主題の一度目の再現をぐっと抑制して演奏していたのが新鮮でした。

後半最初のソナタ第3番は圧巻でした。
特に第3楽章。左手のリズム感が絶妙。右手の付点を3刻みでなく楽譜どおり4刻みで弾いていると思われ、左手と微妙にずれるのが何ともいえない。
名手にかかると、やや冗漫気味のこの楽章もあっという間でした。

続く第4楽章は、始めから超高速で、果たして後半の変奏がこのスピードで弾けるのかと心配になるくらいでした。
加えて、タテノリ感とメリハリがあって実に爽快でした。ヌーブルジェのようにシャープでキレキレではないソフトで安定したテクニックでした。
さらに熱く快速度を増したコーダの盛り上がりも最高。

舟歌は思っていたとおり、知的で繊細。終結部分の右手の消え入るようなパッセージは異次元のものでした。

前回のリサイタルもそうでしたが、演奏が終わるとツィメルマンはぐったりの様子で、相当入れ込んで弾いているのだろうなと思われます。
でアンコールはなし。

もっと音響の良いホールで聴けば良かったと非常に後悔。
フォルテシモは以前にも感じたようにやや無理して出しているようなきらいがあるものの、昇天するような極上のピアニシモがホールのせいで十分味わえなかったのが残念です。

※前半開始の時に、ホールに「ピー」というかすかな異音がしたのがとても気に障りました。モーターでも回っているような機械音でした。何だったのでしょうか。

※ツィメルマンはだいぶお腹が出てきて中年太り気味でした。女性ファンからすると少しイメージダウンではないかなぁ。

※ポゴレリッチで傷ついたソナタ第3番は、これでスッキリ、厄が落ちました。

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コメント

あかつきさま:

いらっしゃいませ!

S席がサントリーや、みなとみらいよりちょっと安かったので今回横須賀にしてみたのですが、その差では埋めきらないものがありました(-_-;)

マズルカは私もぜひ、聴いてみたかったです。残念。
本当に疲れ切ってましたね。

ソナタのCDの話も初耳でした。
もう、ツィメルマンはソロを録音しないのではないかと諦めていたのでびっくりです。
情報ありがとうございました。

初めまして。
僕もそのコンサートを聴きに行きました。やはり音響が悪かったですよね。友達と「音が悪いなぁ…」と言いながら聴いていました。4階建てのホールなんて、大きすぎてピアノには合わないんですよね。僕たちは安い席で聴いていたので、高い席だったら違うのかなぁと思っていましたが、ブログの記事を読ませていただいて少し安心しました(笑)
演奏のほうですが、僕はsonata2番の3楽章がベストでした。あまり聴かない内声の響かせ方だったように感じました。アンコールが無かったのはかなり残念ですが(個人的には、マズルカを期待していた)、ホールのことや、彼の演奏の調子もあまり良いとは言えないように感じたので、しょうがないかなと思いました。ソナタは近々CDが発売されるらしいので、買って改めて聴いてみようかと思います。

はむはむさま:

いらっしゃいませ(^o^)

>始まってみると、???あれ?ツィメルマンってこんな音だったっけ?と不思議に思ったのは、音響のせいだったんですね。まいくまさまのコメントを読んで納得しました。音響のことまで分かるなんてすごいですね!

素人の感想なので、どこまであてになるかは保証のかぎりではありませんが、去年、みなとみらいで聴いて酔ってしまった、バッハやベートーヴェンでのとろけるような美音をはっきり覚えていますので、この日の音は残念でした。

>でも、ソナタ第3番の第4楽章はとても感動し、涙が出そうでした。

凄い演奏でしたね!私は鳥肌がたちました。

>個人的には、舟歌のプログラムよりも、バラード第4番のプログラムのほうを聴きたかったです。

私もバラード第4番は大好きです。6月にみなとみらいでやるのですよねぇ・・・
ちょっと考えてしまっています。

はじめまして、まいくまさま。
私も横須賀芸術劇場でツィメルマンの演奏を聴いていました。たぶんかなり近くの席で聞いていたと思います。去年、初めてツィメルマンの演奏をハーモニーホール座間で聴いたときに、あまりの音の美しさにとても感動したので、今回もわくわくしながら演奏が始まるのを待っていたのですが、始まってみると、???あれ?ツィメルマンってこんな音だったっけ?と不思議に思ったのは、音響のせいだったんですね。まいくまさまのコメントを読んで納得しました。音響のことまで分かるなんてすごいですね!
でも、ソナタ第3番の第4楽章はとても感動し、涙が出そうでした。
アンコールがなかったのはとても残念でしたが、ツィメルマンもお年ですし、全身全霊の演奏を聴かせてくれたので、まあ仕方がないですね。個人的には、舟歌のプログラムよりも、バラード第4番のプログラムのほうを聴きたかったです。

おんぷ☆さま:

>ツィメルマンの演奏は聴いたことがないので是非聴いてみたいです。

今、半分日本に住んでいるらしく、ここのところ、春と秋と2回日本でコンサートをやってくれています。今、油がのりきっている年齢ですので、おすすめです。

>音響のこととか、そこまで細かく分かるのはすごいですね。趣味で音楽やってるとは思えません(^_^;)

ここ数年、ずいぶんコンサート通いをしたので、少しわかってきたところです。
ホールと座席位置によって、本当に音が違うので、はずれるとショックが大きいのです。クラシックのコンサートは安くないので・・・

>私は一昨日サントリーホールでの小林愛実さんのコンサートを聴いてきました。
>機会があったら聴いてみて下さい(^_^)

おー、ソロとコンチェルト弾いたやつですね!
私は8月に横浜でショパン・プロのリサイタルを聴く予定です。
日本人には珍しく、自己主張の強い演奏をするようなので、とても楽しみにしています。

学校のテストが近い為に、なかなかコメントできなくて申し訳ないですm(_ _)m
ツィメルマンの演奏は聴いたことがないので是非聴いてみたいです。
音響のこととか、そこまで細かく分かるのはすごいですね。趣味で音楽やってるとは思えません(^_^;)
私は一昨日サントリーホールでの小林愛実さんのコンサートを聴いてきました。愛実さんと年が近い学生さん(私も含めてですが)も沢山来ていました。
演奏も素晴らしかったです。14才ということも忘れて聴いてしまいました!
TVカメラもきていたのですが、いつ何チャンネルで放送するのか分かりませんでした;;
多分題名のない音楽会だと思うのですが。。
機会があったら聴いてみて下さい(^_^)

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