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2010年5月の48件の記事

2010年5月31日 (月)

ベレゾフスキー、ヴィニツカヤ、マンゴーヴァ、キム

とりとめもなく、動画をちょっとづつ見ました。

朝のクラシック倶楽部で放映された、ラ・フォル・ジュルネにおけるベレゾフスキー
 ショパン:ピアノ協奏曲第1番

去年、バッハのゴールドベルクを聴いて、あまりスタイルがあわない気がしました。今回はショパンでしたが、あまりピンとこず。
なんだか簡単そうにサラッと弾いてしまう。
エリザベートに出ている若手が一生懸命弾いているのに比べるとえらく淡泊に見えるのです。
まあ、うますぎるのでしょう。

2007年のエリザベートコンクールで優勝した時のヴィニツカヤの演奏。

 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番

凄いの一言。彼女のキャラにはまりすぎです。
こんな演奏されたら優勝ですね。
一気にこの曲が好きになってしまいました。
以下圧巻の第2楽章。

同じく2007年に2位だったマンゴーヴァの演奏。

 リスト:ピアノ協奏曲第2番

なんと、今度ヌーブルジェが埼玉で弾く曲です。
予習してだいぶ聴きこんできました。
曲の前半は結構素敵なのに、後半はなんだか陳腐感のある変な曲。

今回のエリザベートで6位入賞のキム。やはり私は好きだなぁ、彼の音。セミファイナルのモーツァルトのピアノ協奏曲20番も良いです。

2010年5月30日 (日)

エリザベートコンクール優勝者決まる

3年に1度開催されるエリザベート王妃国際コンクール・ピアノ部門の今年の優勝者が決まりました。
http://www.cmireb.be/en/#

  Denis KOZHUKHIN(ロシア)

デニス・コズキンと読むのでしょうか。
(※コジュヒンのようです)

下馬評どおりだったようです。

12人全員のファイナルの演奏を聴いて、自分なりに予想してみようと思ったのですが、KOZHUKHINの登場が最終日だったので、VODで配信されたときにはもう結果が出てしまっていました。

どのみち12人の演奏全部を聴くのは無理ではありましたが・・・

ソロは大体聴いたのですが、確かにKOZHUKHINのハイドンは図抜けて上手です。結果を知らずにできれば聴きたかった。

KOZHUKHINはソロについてはテクニックを前面に出さず、あくまで音楽を奏でようとするタイプです。全体にスローなテンポ。ハイドンのシンプルなソナタからあふれるばかりのファンタジーを感じさせる音楽性はたいしたものだと思います。
ノンレガートのタッチが非常に印象的です。

プロコフィエフのコンチェルトもテクニックプラスαのものを感じ、あまり知らない曲ながら、グッと引き込まれました。

韓国人ピアニストが5人もファイナルに残ったものの、5位と6位に2人しか入りませんでした。
それぞれ皆上手なのですが、何かが足りないのでしょうか。
私が最初に聴いて素晴らしいと思ったKIMは6位でした。

唯一の日本人佐藤卓史は入賞を逃しました。

去年は辻井伸行の影響でヴァン・クライヴァーン・コンクールの模様がテレビなどで放映され、入賞者の演奏を見ましたが、どちらかというと、ど派手なテクニシャンが多く、じっくり落ち着いて聴いていられない感じでした。
今年のエリザベートは、ガツガツと外面的な技巧に走る人が少なく、音楽的に優れたピアニストが多いような気がしました。

※審査員の中に、ケフェレックとエル=バシャがいました。
※VODの映像、音質ともとても高い品質でクラシック好きにはたまりません。

2010年5月29日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ着うたフルは5月31日まで

ラ・フォル・ジュルネのライブ音源がダウンロードできるサービスもあと2日です。
ちなみに、auだけでなく、docomoでもSBでもダウンロードできるようです。

ナントで聴衆の涙をさそったというブルーノ・リグットを3曲落としてみました。

ショパン:スケルツォ第2番
          ノクターン op.9-1
          ノクターン  op.15-2
         

         
なるほど、なかなか雰囲気のある素敵な音楽です。
スケルツォは後半やや技巧が荒れていました。
ノクターンは厚めの左手和音が落ち着いて聞こえる。

会場や録音によってだいぶ音が違うようですね。

2010年5月28日 (金)

BShiクラシック倶楽部でのラ・フォル・ジュルネの放送

フレンズ・メルマガで案内が届いたので詳細情報を調べました。
ヌーブルジェは6月3日に1曲だけ登場。

【NHK BShi:クラシック倶楽部】
http://www.nhk.or.jp/classic/club/

●5月31日(月) 午前6:00~6:55

- ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2010          
     ~華麗なる競演ペレチャッコ&ベレゾフスキー~ -
 
                              
「歌劇“ブルスキーノ氏”から レチタティーヴォとアリア」  
  “ああ ふさわしい花婿に”               
  “ため息をついているこの魂に”      ロッシーニ作曲
                              
「歌劇“ルチア”から シェーナとカヴァティーナ」      
  “あたりは沈黙にとざされ”               
  “うっとりとして”           ドニゼッティ作曲
              (ソプラノ)オリガ・ペレチャッコ
                              
「ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11」   ショパン作曲
              (ピアノ)ポリス・ベレゾフスキー
                              
         (管弦楽)ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
                  (指揮)ドミートリ・リス
                       ※M1、3のみ
●6月1日(火) 午前6:00~6:55

- ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2010 -        
     ~ショパンの創~
                 
                              
                              
「マズルカ ハ長調 作品67 第3」            
「マズルカ 変ロ長調」                   
「4つのマズルカ 作品17」                
「マズルカ ニ長調」                    
「ワルツ 変ホ長調 作品18“華麗な大円舞曲”」ショパン作曲
                (ピアノ)イド・バル・シャイ
                              
「バラード 第1番 ト短調 作品23」           
「ノクターン ヘ長調 作品15 第1」           
「マズルカ 変イ長調」                   
「前奏曲 変イ長調」              ショパン作曲
             (ピアノ)フィリップ・ジュジアーノ
                              
「ノクターン ト短調 作品15 第3」           
「カンタービレ 変ロ長調」                 
「ラルゴ 変ホ長調」                    
「ワルツ 変イ長調 作品89 第1 “告別”」 ショパン作曲
               (ピアノ)アンヌ・ケフェレック

●6月2日(水) 午前6:00~6:55

- ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2010 -        
     ~ショパンの詩~
                 
                              
「練習曲集 作品25」             ショパン作曲
         (ピアノ)アブデル・ラハマン・エル・バシャ
                              
「華麗な変奏曲 変ロ長調 作品12」            
「2つのノクターン 作品27」         ショパン作曲
                      (ピアノ)児玉桃

●6月3日(木) 午前6:00~6:55

- ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2010 -        
     ~ショパンの華~
                 
                              
「ワルツ イ短調 作品34 第2“華麗な円舞曲”」     
「ワルツ 嬰ハ短調 作品64 第2」            
「ワルツ 変イ長調 作品69 第1“告別”」        
「ワルツ ロ短調 作品69 第2」             
「ワルツ 変イ長調 作品64 第3」            
「バラード 第1番 ト短調 作品23」           
「バラード 第4番 ヘ短調 作品52」           
「ノクターン 嬰ハ短調」                  
                        ショパン作曲
                              
                    (ピアノ)小山実稚恵
                              
「演奏会用アレグロ イ長調 作品46」           
                        ショパン作曲
        (ピアノ)ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ

●6月4日(金) 午前6:00~6:55

- ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2010 -        
     ~ショパンへのレクイエム~  
          
                              
「レクイエム ニ短調 K.626」     モーツァルト作曲
                              
         (ソプラノ)シャルロット・ミュラー・ペリエ
               (アルト)ヴァレリー・ボナール
            (テノール)クリストフ・アインホルン
                (バス)ピーター・ハーヴィー
                   (合唱)ローザン合唱団
           (管弦楽)シンフォニア・ヴァルソヴィア
                  (指揮)ミシェル・コルボ

しかし、BShiで敷居高いなあ。

2010年5月27日 (木)

エヴァ・ポブウォッカ リサイタル@日経ホール

ポーランドのピアニスト。1980年のショパンコンクールで第5位。マズルカ賞を受賞。現在ワルシャワ音楽院教授。

泰然とした弾きっぷり。あっさりと聞こえるのだけれど、実は結構ロマンティック。小品の作りが凝っている。アンコール4曲のサービスぶりで、そのアンコールがまたすばらしく、満足しました。

【前半】
ショパン:2つのノクターン op.55
ショパン:4つのマズルカ op.41
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58

【後半】
シューマン:色とりどりの小品 op.99より5つのアルバムの綴り 第1~5曲
シューマン:アラベスク ハ長調 op.18
シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 op.22

【アンコール】
シューマン:謝肉祭から第12曲「ショパン」
ショパン:ワルツ 第6番 変ニ長調「小犬のワルツ」 op.64-1
ショパン:ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調

ノクターンはショパン後期の地味な曲。
ご挨拶がわり、ということで、まだここでははっきりポブウォッカの特徴はつかめず。あまり緊張を強いるタイプではないかなと。

ショパンコンクールでマズルカ賞をとったというだけあって、マズルカは変化に富んでいました。あまり知らない41-2、41-3も楽しめました。
(ちなみにナショナル・エディションによっているそうで、従来版とは曲の並びが違います。)

ショパン第3ソナタ。先日ツィメルマンの名演を聴いたばかり。
ポブウォッカは、ツィメルマンほどの迫力はないものの、十分余裕があって、いかにも先生らしいオーソドックスな演奏でした。
奇をてらわないので、先日のツィメルマンの演奏が結構個性的であったことがわかりました。
フィナーレはツィメルマンに匹敵するほど快速。ロンド主題の変奏を見事に弾き分け。
コーダの部分がやや乱れた感はありますが、非常に高いレベルの演奏でした。

後半のシューマン一つ目は、ほとんど知らない曲でした。
シューマンらしい性格的な小品。

次はよく知ったアラベスク。多少自分でも弾けます。
かなり早いテンポ。自由に曲を伸び縮みさせていて、ユニークです。
おもしろかった。

シューマン第2ソナタ
”のだめ”で取り上げられた、ややマニアックなソナタ。ハデハデの技巧を要します。

派手な曲なのに、なぜかあっさり聞こえる。
どっしりしていてアクションも控えめであるせいもありましょうか。
そのためか、やや聴衆の反応が悪く、カーテンコール2回目ではやくも拍手がまばら気味に。

かろうじて3回目につながり、アンコールが始まりました。

最初がシューマンの謝肉祭から「ショパン」と、今日のプログラムにちなんだ粋な選曲。幾分リラックスしたようで、実に軽いタッチで、シューマンが感じていた「ショパンらしさ」を表現。すばらしい。

2曲目、3曲目続けて、ショパンの最も有名なワルツ2曲。
最近はあまり聴きたいとも思わない垢まみれの曲ですが、これが実に良い。ニュアンスたっぷり、リズムがかなりが変化しますがいやらしくなく、自由闊達でした。

十分堪能して終演かと思いきや、さらに1曲。なんとスケルツォの1番が始まりました!これはとてもアンコールピースではありません。
何かがふっきれたような、怒濤のスケルツォ。プログラムの方は8分の力に抑えていたのだろうか、と思われるような熱のこもり方。
ラ・フォル・ジュルネのヌーブルジェも凄かったですが、タイプは違えど、これもまた凄みのある演奏でした。

というわけで、アンコールに圧倒されてしまったコンサートでした。

※ホールの音響はまあまあでしょうか。横須賀にくらべればずっと良かった。

※ポブウォッカの演奏は、体幹が安定して姿勢が良く、じたばたしないで、美しい。見習わなければ。

※ピアニストの東誠三さんがいらっしゃいました。身を乗り出して拍手されていました。

2010年5月25日 (火)

エリザベート王妃国際音楽コンクール・ファイナル始まる

24日(月)から、いよいよ世界3大ピアノコンクールのひとつであるエリザベート・コンクールのファイナルが始まりました。
その模様がVODで動画配信されています。

http://video.cmireb.be/vod#

ファイナルといっても、12人も残っているのでチェックするのは大変です。
ネットであるブログを読んだところ、今年はかなりのハイレベルらしいです。

ファイナルの課題は、
    古典派のソナタから1曲
    JEON Minjeというおそらく現代作曲家のコンチェルト(全員)
    任意のコンチェルトから1曲

の模様。

まず、2番手の韓国人、Da Sol KIMを聴いてみたところ、最初のハイドンのソナタがいきなり上手でびっくり!
初めて聴いたソナタでしたが、思わず引き込まれてしまいました。
他のピアニストと全く比較していない段階ながら、これは相当良い線ではないかと感じてしまいました。

自分の感性を試してみる良い機会かも。
ちょっと怖くもありますが(^^;)

※ブラームスのコンチェルト第1番も素晴らしい!
落ち着き、堂々とした音楽。
切れ味は良いが、芯が厚くしっかりしており、ソフトさもある。

2010年5月24日 (月)

ミュージックバードでナントのラ・フォル・ジュルネライヴ公開

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの公式サイトにニュースが載っていました。
高音質のラジオが聴ける、ということなのですが、どうも時代についていけていないように思います。
加入料が1,260円で聴取料が1チャンネルあたり月630円。
工事代が15,750円かかり、専用チューナーと専用アンテナが必要。

たしかにコンテンツはクラシックファンには魅力的です。
しかし、少なくとも私には高音質ラジオをゆっくり楽しむ時間などありません。
工事を頼むのも面倒だし、どのくらい聴くかわからないものに固定費をかけたくない。

クラッシック・ファンなら、多少手間がかかろうが、お金がかかろうが、高音質を求めているに違いない・・・
こういう考えは、もう古びている気がします。
ましてや、ラ・フォル・ジュルネのファンであれば、敷居の低さが魅力でしょうから。

私の場合、音楽のほとんどはipodで隙間時間に聴き、まとまった大切な時間はライブ通いに使っています。
CD買っても、1枚まるまるじっくり聴くこともできない。

もう、音質はそこそこで良いから、手軽に安くたくさん聴けなければ、魅力はありません。

ベルリン・フィルのデジタル・コンサートは大変有意義な試みだと思いますが、ネックはパソコンの前にへばりついていないと聴けない、ということではないでしょうか。

しかし、ipadの登場により、まもなくネックは解消することでしょう。

デバイスの「手軽さ」というのは、これからの時代の大きなキーワードだと思います。

たくさん聴かれてこそ、クラシック音楽文化もさらに発展するのではないかと思います。
聴かれない音楽は存在しないとの同じですから。

今日は少し語ってしまいました。

2010年5月23日 (日)

ヌーブルジェがショパンピアノ協奏曲第1番を弾く模様

6月5日に、フランスのオーベル・シュル・オワーズ音楽祭で、ヌーブルジェがショパン:ピアノ協奏曲第1番を弾くようです。

ただし、協演はオーケストラではなく、モディリアーニ弦楽四重奏団。

また、7月27日には、ラヴェルのピアノ協奏曲。ト長調と左手のためのニ長調の2曲弾きます。

こちらはウラルフィルハーモニー管弦楽団と。

うー、全部聴きたい。

映像が配信されないものでしょうか。

2010年5月22日 (土)

着うたフルで聴くペレス、コロベイニコフ、シャマユ&ヌーブルジェ

今日はさらに着うたフルを何曲かダウンロードして、イヤホンでなく、きちんとしたヘッドホンでかなり真剣に聴いてみました。

まずはライブを聴けなかったスペインのルイス・フェルナンド・ペレス
チケットを買ってから気づいたのですが、かなりの前評判でした。
またライブを聴いた方のブログなどを読むと、男性的な激しいショパンでかなりインパクトがあったようです。

ショパン:バラード第1番 ト短調 op.23
     ノクターン第13番 ハ短調 op.48-1

評判どおり、非常に個性的な演奏。
どちらも非常にゆっくりしたテンポでかみしめるように音楽が進んでいきます。ライブだと、聴く方も相当集中力を要求されるような作り方です。アゴーギクを多用しおよそ普通っぽくありません。

バラードのコーダは、盛り上がってテンポアップする演奏者が多い中、ペレスは逆にテンポを落として「じっくり聴け!」といった感じ。

ノクターンは中間部から再現部にかけて、他に類をみないほど凄まじく激しい盛り上がり。ショパンっぽくない、という感想があったのもうなずけます。でも、これをライブで聴いたら、もしかしたら圧倒されそうです。
(ちなみに、着うたの配信は作品番号を48-1と48-2を入れ違えて間違っています。)

ショパンの第1コンチェルトとソロを聴いて、去年に引き続き感心したアンドレイ・コロベイニコフ

ショパン:マズルカ ロ短調 op.33-4

改めてライブで聴いた演奏がよみがえってきます。
音だけじっくり聴いてみると、コロベイニコフの知性の高さ
を強く感じました。
細部から盛り上がりまで含めて、すべて緻密な計算のうえに完璧にコントロールされている(もちろんプロピアニストはすべてそうであるはずなのですが)

ライブではうなり声をあげ運動能力の高い演奏ぶりに見えますが、どうしてなかなか、この人は感情よりも知性優位で弾く人ではないかとみました。

そして、対照的に音楽の雰囲気を伝えるのがとても上手なのが、ベルトラン・シャマユ。

シューマン/リスト:献呈(歌曲集「ミルテの花」 op.25より第1番)

ライブでその音の気持ちよさにうっとりしてしまったものです。
数日前イヤホンで聴いた時にはしっとりさ加減がほとんどなくなってしまってややがっかりだったのですが、今日、ヘッドホンで聴いたらライブに近い響きが蘇ってきました。

シューマンがクララに熱愛し、結婚式の前夜に捧げたという歌曲の1曲目をリストが華麗に編曲したもの。

いやあ、聴けば聴くほど良い曲です。
幸福感と愛に満ちています。
リストはずっと苦手でした。
リストの曲でこんなにメロディーが素敵と思ったことはたぶん初めてです。(※)
シャマユの甘くも深い演奏-それでいて、こてこてしておらずスマート-が、この曲の魅力をさらに高めています。

練習して、だれかの結婚式で弾いてみたくなってしまいました。

最後に、わがヌーブルジェを、もう一度音質の良いヘッドホンでじっくり聴きなおしてみました。

ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調「英雄」

2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンでの一気呵成の演奏が耳に残っていて、なかなか先入観から抜け出さずにおりました。
しかし、少し良い音で真剣に聴いてみたところ、ようやく、今回のヌーブルジェの演奏の意図がわかってきました。
壮大なまさにヒロイックな表現。
実に逞しく、大きく、男性的。
当日のライブの音響は今ひとつで響いてこなかったし、イヤホンの音でも良さがなかなか伝わってきませんでした。
ヘッドホンだとまずまずの音質で、ヌーブルジェが表現したかったことが伝わってくる気がきます。

「着うたフルプラス」を落とせる方は、さらに素晴らしく聴けることでしょう。

着うた程度の音質でも、結構聴けるということがわかり、収穫でした。
ピアニストごとの個性が十分わかります。
もう少しダウンロードしてみようと思います。

※シューマン/リスト:献呈
シューマンの原曲の歌を聴いてみました。
なんだ、結局シューマンの旋律が美しかったのですね。
リストがそれに洒落た味付けをした、というところです。

2010年5月21日 (金)

ヌーブルジェについての素敵な論評

沖縄で演奏活動やピアノ教室をやられているらしい運天暢子さんという方のブログに、ラ・フォル・ジュルネでのヌーブルジェのシューマンの演奏について、私にはとても書けそうもない素敵な論評があったのでご紹介します。

彼の中で、音楽への「衝動」と「統率力」という相反するものが激しく拮抗していて、そこから独特の魅力が生まれているのかなぁ

http://nobukonten.seesaa.net/article/150552310.html

なるほど。爆発するエネルギーを持ちながらも、常に知的にコントロールしている。こんな表現、とても思いつきません。
語彙不足を痛感します。

なんでも、フランス留学中(おそらく)にロン・ティボーで3位になったヌーブルジェを聴き、それを覚えていらっしゃるとのこと。

心の中の塵を一気に吹き飛ばしてくれるような、爽やかで、それはそれは美しい演奏

プロのピアニストの方にこのように言っていただくと、なんだか我が事のように嬉しいです。

2010年5月20日 (木)

ヌーブルジェ「英雄ポロネーズ」@ラ・フォル・ジュルネをダウンロードしてみた

しばらく携帯が代替機だったので「着うた」を聴けずにいましたが、ようやく戻ったので早速ヌーブルジェの「英雄ポロネーズ」をダウンロードして、じっくり聴いてみました。

音だけだと臨場感はもちろんライブに劣るものの、冷静に聞けるので音楽の作り方ははっきりわかります。
やはり、2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンの時の演奏とは、表現を相当変えていることがはっきりしました

2008年のときは、早めのテンポで、一気呵成に弾ききった感がありました。
味わいがない、というような感想もネットで散見されましたが、私としては、あれだけのリズム感と推進力を持った演奏は初めてで、度肝を抜かれたものです。

今回のラ・フォル・ジュルネは、当日感じたとおり、テンポはぐっと押さえて、勢いで弾ききるというようなことはなく、ひとつひとつのフレーズを確認するように大切に扱っていました。

ただ、やはりあまり調子は良くなかったようで、ヌーブルジェらしい切れ味がいま一つなのと、細かい音の濁りが結構ありました。

ワシントンからの移動の時差ぼけで披露もピークに達していたのではないでしょうか。

前日の夜のシューマンの時にはキレキレでした。
夜遅くまで演奏して、この日は朝からでしたから、相当疲れたのではないでしょうか。

さて、その他今回私の新しい発見だったベルトラン・シャマユを2曲ダウンロードしてみました。
 メンデルスゾーン/リスト:歌の翼に
 シューマン/リスト:献呈

まず、曲がとても美しく、とくに「献呈」の方などは今の音楽のようなモダンな響きで、好きになってしまいました。
シャマユの演奏は素敵なのですが、これは当日のライブの雰囲気にはおよぶべくもありませんでした。

2010年5月19日 (水)

エリザベート王妃国際音楽コンクール開催中

世界三大音楽コンクールの一つである、エリザベートコンクールのピアノ部門が今開催されており、5月24日(月)からファイナルが始まります。

ちなみに、前回2007年の優勝者はアンナ・ヴィニツカヤ。第2位がプラメナ・マンゴーヴァです。

セミファイナルまでの様子がVODで配信されており、各コンテスタントの演奏をノーカットで堪能することができます。

http://www.cmireb.be/en/

右上の「watch&listen live」に入ると観られます。
ファイナルもたぶんライブ配信されるのでしょう。

ファイナリストは12人。
うち日本は1人。(Takashi Sato)
韓国が何と5人
ロシアが2人。
ブルガリア1人。
アメリカ1人。
オランダ1人。
ラトヴィア1人。

韓国はいったいどうなっているのでしょう?
浜松国際のときも大旋風でしたし。
そして、どういうわけだかクラシック音楽の本場ヨーロッパ人はいないのですよね。フランスとか、オーストリアとか、ドイツとかイタリア等々。

そういえば、ショパンコンクールの過去の優勝者などを振り返っても、ほとんどいないですね。
コンクールはクラシック音楽新興国出身者の拍付けという意味合いが強いのでしょうか。

少し観てみましたが、皆それぞれに上手で、少し聴いただけでは私などにはほとんど判定不能。
ネットの動画であるせいか、あまり音色や雰囲気に差が出ないということもありましょう。
じっくり腰を据えて鑑賞すれば、多少違いはわかるでしょうか。

大変ですが、優勝者を予想してみるのも一興かもしれません。

2010年5月18日 (火)

ミシェル・ダルベルト リサイタル@王子ホール

スーパー・ピアノレッスンでおなじみになった、ダルベルトを聴いてきました。
ダイレクト音が響く王子ホールということもありましたが、テレビで観た感じより、ずっとメリハリと迫力があり、個性的な演奏でした。
そして、なんとアンコールも含めると、一晩で10人もの作曲家の曲を弾き分けました。

プログラム「ビヨンド・センチュリーズ」

【前半】
J.S.バッハ:「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」より
        前奏曲とフーガ 嬰ハ短調 BWV849
メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 ニ短調 Op.54
J.S.バッハ/ブゾーニ:オルガン・コラール ヘ短調 BWV639
リスト:バッハのカンタータ「泣き、嘆き、憂い、おののき」と
    ロ短調ミサ曲の「十字架につけられ」の通奏低音による変奏曲

【後半】
シューベルト:「3つのピアノ曲」より 第1番 変ホ短調 D946-1
ブラームス:「バラード集」より 第1番 ニ短調 Op.10-1
シューマン:3つの幻想的小曲 Op.111
ブラームス :「4つの小品」より 第1番 ロ短調 Op.119-1
シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 Op.19
リスト:ベッリーニ「ノルマ」の回想

【アンコール】
ショパン:プレリュード Op.45
ドビュッシー:映像第1集より 水に映る影
シューベルト/R.シュトラウス:クーパルウィーザー・ワルツ

アンコール3曲目が終わると、お腹いっぱいでした(^^;)
ここのところショパン漬けだったので、今日のプログラムは新鮮でした。

出だしの平均律で、早くもダルベルトのユニークな面を垣間見ました。
叙情的で、独特の装飾を多用したプレリュード。旋律が声部を移動する様子を非常に強調していたフーガ。

メンデルスゾーンは各変奏の性格をくっきり浮かび上がらせ、また対位法的な部分の扱いが明確。

バッハ/ブゾーニのコラールはしっとり落ち着いて。

リストの変奏は初めてでしたが、最初はメンデルスゾーンの変奏曲と似た感じだったのでびっくり。だんだんリストらしい変奏が現れてきましたが、リストにしてはおとなしい部類でしょうか。

前半は、バッハに影響を受けた作曲家たちというテーマがとても良く理解できました。ダルベルトの演奏は、線を強調したものでした。かなりロマンティックな表現ながら、「先生」らしい理屈が明確でした。

後半はやはり密接な関わりのある作曲家たち。
シューマンはなじんでいない曲だったのであまりよくわかりません。旋律のラインを強く意識させました。

ブラームスバラードは、分厚い和音の表現で、よく悲壮感を演出しており、シューマンと同じく、旋律が非常によく聞き取れました。

シューベルトはとても得意そうで、いろいろメリハリのある表現を組み合わせていましたが、特に、やや不器用そうなリズムで弾くのがユニークでした。

ブラームスの119-1からシェーンベルクへのつながりが、実に自然だったのが驚き。シェーンベルクの曲がブラームスへのオマージュだということがよくわかり、12音技法の現代曲でありながら、ブラームスのような旋律が聞こえてくるような気がしたので、不思議なものです。

最後のリストは、オペラの主題の編曲だけあって、演劇的というか、演芸的な要素の強い、かなり通俗的な曲。そして、リストらしい、フォルテシモの超絶技巧のオンパレード。和音の連打、アルペジオの嵐、鍵盤を縦横に駆け巡るスケール、和音の半音階進行等々・・・
正直言って、安っぽいドラマのテーマ音楽の連続のようで、ひたすら演奏の外面的効果を訴えるばかりで、どうも、音楽的には?というような曲でした。
ダルベルトは、それは汗をかいて演奏していましたが、この曲の前のシェーンベルクまでのアカデミックな感じから一変してしまって、なぜこの曲なのだろう、と意外でした。

アンコールのショパン、ドビュッシーでは、またブラームスの間奏曲的な雰囲気にもどる。ドピュシーは自家薬籠中といったようで、音色もがらりと変えてきました。
最後の軽妙なワルツはシューベルトとR.シュトラウスの不思議な因縁がある曲とのこと。

王子ホールはやはりデッド気味で、ダルベルトの演奏も力強いので、ガンガン音が迫ってきて、少々耳は疲れたでしょうか。

2010年5月17日 (月)

ラ・フォル・ジュルネLIVE音源 au着うたでの配信追加情報

6月30日までダウンロードできる、auの着うたでラ・フォル・ジュルネのLIVE音源の追加情報。
これで確定か。

【案内サイト】
http://au-lfj.com/pc/index.html (バーコードあり)

公演番号と出演者、主な楽曲です。

5/2(日)
141 ベレゾフスキー リスト:ピアノ・ソナタ
142 オーケストラ・アンサンブル金沢 メンデルスゾーン:交響曲第3番
112 ジュジアーノ ショパン:ピアノ協奏曲第2番
143 ロマン・ルルー フンメル:トランペット協奏曲
113 エル=バシャ ショパン:アンダンテ・スピアナートと大ポロネーズ
114 ベレゾフスキー リスト:ピアノ協奏曲第2番
144 コロベイニコフ ショパン:ピアノ協奏曲第1番
146 ペレス メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第2番

124 エル=バシャ ショパン:全曲演奏第1部 
125 ケフェレック ショパン:全曲演奏第2部
126 ケフェレック ショパン:全曲演奏第3部
127 ベレゾフスキー リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(4手版)
151 シャマユ リスト:巡礼の年
152 児玉桃 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番
154 ペレス ショパン:ピアノ・ソナタ第3番
156 小林沙羅 ショパン:17のポーランドの歌
182 小倉貴久子 ショパン:バラード第1番
183 コンソート アラ・ポラッカ(ポーランド風に)

5/3(月
252 ケフェレック ラヴェル、ショパン、ドビュッシー
241 ティベルギアン ショパン:ピアノ協奏曲第2番

245 エンゲラー ショパン(ワルター編曲):ピアノ協奏曲第2番
247 ケフェレック ショパン(ワルター編曲):ピアノ協奏曲第1番
254 チェ メンデルスゾーン:ヴァイオリン・ソナタ op.4
256 ガドゥシュ ショパン:バラード第4番
281 ルヴィノワ ショパン:チェロ・ソナタ
282 コジャク ショパン:ポロネーズ 「英雄」

5/4(火
351 広瀬悦子 ショパン:バラード第1番、第4番
342 チェ メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲
352 ロマン・ルルー ショパン、リスト
312 郷古廉 メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲
341 コジャック ショパン:演奏会用ロンド
353 エル=バシャ バッハ、ショパン前奏曲
344 エンゲラー リスト:葬送

315 ベレゾフスキー ショパン:ピアノ協奏曲第1番
321 バル=シャイ ショパン:全曲演奏第10部
325 エル=バシャ ショパン:全曲演奏第12部 
326 ケフェレック ショパン:全曲演奏第13部
327 エル=バシャ ショパン:全曲演奏第14部
355 児玉桃 ショパン:スケルツォ第2番
357 リグット シューマン:子供の情景
358 トリオ・ショーソン フンメル:ピアノ三重奏曲
381 梁美沙 シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番
383 コロベイニコフ ショパン:ピアノ・ソナタ第2番

残念ながらヌーブルジェのシューマン協奏曲はありません。
ヌーブルジェの英雄ポロネーズは聴けます(326)。録音でもう一度調子を確かめてみたいです。

私のトップ3にあげたうちのシャマユ(151)とコロベイニコフ(383)があります。ぜひ聴きたい。

聴けなかったので聴きたいのが、マルタン氏一押しだという、ルイス・フェルナンド・ペレス(146)、ロン・ティボーの覇者ティベルギアン(241)、ナントで聴衆の感涙をさそったというブルーノ・リグット(357)あたりです。

当分楽しめそうです。

2010年5月16日 (日)

ルドルフ・ブッフビンダーの「皇帝」など

N響アワーで第3楽章の後半だけ聴きました。
見た目からは想像できない(失礼!)実にクリアでみずみずしい皇帝コンチェルト。
ビデオに撮らなかったのが失敗でした。

いったい、世界にはどれだけ名手がいることやら。

ユンディ・リツィメルマンのようにメジャーコンクールで優勝したようなピアニストしか日本では一般的にはもてはやされない-チケットの値段が違う-けれども、ラ・フォル・ジュルネで来日する若いピアニストたちも皆ハイレベルだし、チケットの値段は決して演奏の良し悪しを反映していないものだと、最近は感じます。

6月に聴くことになっている、イリーナ・メジューエワなども、申し訳ないほどチケットが安いのに、ハイレベル。

名が通っていてチケットの高いコンサートだと素晴らしいのが当たり前でないと困りますが、リーズナブルな金額で素敵な演奏にあたると、とても得した気分で感激度合いも大きい気がするこの頃です。

2010年5月15日 (土)

クリスチャン・ツィメルマン リサイタル@よこすか芸術劇場

初めて行った横須賀芸術劇場。前から13列目の真ん中という絶好の位置だったにもかかわらず、音響ががっかりでした。
音が前に出てこず、響きが分散し、臨場感が不足で、音の雰囲気が伝わってきません。
舞台と客席がガラスで隔てられたようでした。
そういうわけで、せっかくのツィメルマンも、魅力がかなりそがれてしまいました。
演奏はもちろんハイレベルでしたが。

【オール・ショパンプログラム】
【前半】
夜想曲 嬰ヘ長調 op.15-2
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35
スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
【後半】
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
舟歌 嬰ヘ長調 op.60
 ※アンコールなし

夜想曲はツィメルマンの美音が最大限楽しめると思ったのですが、音楽の作りは超デリケートながら、ぞくっとするような美しさは堪能できず。

ソナタ第2番は先日のコロベイニコフの演奏が圧倒的すぎて、ツィメルマンも食われてしまった感じです。葬送行進曲はコロベイニコフと同じくらい超スローテンポ。ですがツィメルマンの方がタッチが軽やかで、悲壮感は薄かったかも。

スケルツォ2番。ソフトなタッチと流れるような音楽。この曲は跳躍が多く、よくプロのピアニストでも音を致命的にはずしたりするものですが、ツィメルマンには余裕があり安心して聴けます。主題の一度目の再現をぐっと抑制して演奏していたのが新鮮でした。

後半最初のソナタ第3番は圧巻でした。
特に第3楽章。左手のリズム感が絶妙。右手の付点を3刻みでなく楽譜どおり4刻みで弾いていると思われ、左手と微妙にずれるのが何ともいえない。
名手にかかると、やや冗漫気味のこの楽章もあっという間でした。

続く第4楽章は、始めから超高速で、果たして後半の変奏がこのスピードで弾けるのかと心配になるくらいでした。
加えて、タテノリ感とメリハリがあって実に爽快でした。ヌーブルジェのようにシャープでキレキレではないソフトで安定したテクニックでした。
さらに熱く快速度を増したコーダの盛り上がりも最高。

舟歌は思っていたとおり、知的で繊細。終結部分の右手の消え入るようなパッセージは異次元のものでした。

前回のリサイタルもそうでしたが、演奏が終わるとツィメルマンはぐったりの様子で、相当入れ込んで弾いているのだろうなと思われます。
でアンコールはなし。

もっと音響の良いホールで聴けば良かったと非常に後悔。
フォルテシモは以前にも感じたようにやや無理して出しているようなきらいがあるものの、昇天するような極上のピアニシモがホールのせいで十分味わえなかったのが残念です。

※前半開始の時に、ホールに「ピー」というかすかな異音がしたのがとても気に障りました。モーターでも回っているような機械音でした。何だったのでしょうか。

※ツィメルマンはだいぶお腹が出てきて中年太り気味でした。女性ファンからすると少しイメージダウンではないかなぁ。

※ポゴレリッチで傷ついたソナタ第3番は、これでスッキリ、厄が落ちました。

2010年5月14日 (金)

「現代ピアニスト列伝」~ユリイカ4月号

タワーレコードに、なぜか「詩と批評」の専門雑誌「ユリイカ」が並べてあり「現代ピアニスト列伝」という特集を組んでいたので思わず求めてしまいました。

ユリイカ2010年4月号 特集=現代ピアニスト列伝 アルゲリッチ、内田光子、ブーニン、ポゴレリチ、辻井伸行・・・鍵盤と指先の肖像 ユリイカ2010年4月号 特集=現代ピアニスト列伝 アルゲリッチ、内田光子、ブーニン、ポゴレリチ、辻井伸行・・・鍵盤と指先の肖像

著者:青柳 いづみこ,小池 昌代,渋谷 慶一郎,島田 雅彦,山下 洋輔,大谷 能生,アリス=紗良・オット
販売元:青土社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

まだ全部読み切っていませんが、なかなか読み応えがあります。

音楽専門誌でも時たまピアニスト特集をやります。
そういうものとやや切り口が違うように感じます。
そして、かなりマニアック。

読んだところまでで面白かったのが、ピアニスト&文筆家の青柳いづみこと詩人の小池昌代の対談。

指揮者の朝比奈隆がグレン・グールドとベートーヴェンの協奏曲を演奏したときのエピソードだとか、先日リサイタルを開いたポゴレリッチの解釈のことだとか、ポリーニのテクニックのことだとか、ピリスのスーパーピアノレッスンのことだとか、有名ピアニストたちを実名でネタにしています。

また、中地義和というフランス文学者がリヒテルの記事を書いているのも興味深いです。
それによると、リヒテルは、ラドゥ・ルプーやミケランジェリやアシュケナージやグールドやポリーニを撫で切りにしており、ハンガリーのゾルターン・コチシュを称賛していたとのこと。

定価1.300円ながら、字が細かくて情報量が多く、久々に買い得感がある読み物です。

2010年5月13日 (木)

次はツィメルマンのショパン

ラ・フォル・ジュルネの興奮がようやくおさまってきました。
ポゴレリッチという毒も味わってしまったものの、ヌーブルジェのシューマンはピカイチだったし、ベルトラン・シャマユのような新しい若い才能に巡り会うこともでき、とても満ち足りた日々でした。

この後、6月くらいまでは今年前半のピアノ・リサイタルラッシュのピークとなります。

明後日はいよいよ、クリスチャン・ツィメルマンのオール・ショパンプログラムを神奈川県のよこすか芸術劇場で聴いてきます。

【プログラム】
夜想曲 嬰ヘ長調 op.15-2
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35
スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
舟歌 嬰ヘ長調 op.60

ショパン・イヤーにふさわしい圧巻のプログラムです。
いずれ劣らぬ名曲揃い。

すべてが注目に値します。

ノクターンはラ・フォル・ジュルネでヌーブルジェが弾いた曲。
残念ながら聴きませんでした。
この曲ではツィメルマンの極上の美音を堪能できそう。

ソナタ第2番は先日のコロベイニコフによる怒濤の名演奏がまだ耳に残っており、ツィメルマンがまたどんな葬送行進曲を聴かせてくれるか。
ソナタ第3番は、ポゴレリッチによってズタズタにされてしまいましたので、「清く正しく美しい」表現を期待したいところです。

有名すぎてある意味新鮮味には乏しいスケルツォ第2番を同料理するか。

ショパン後期の最高傑作「舟歌」は、ケフェレックの艶っぽい演奏を聴きました。
ツィメルマンは知的で美しい演奏を聴かせてくれるでしょう。

これで、アンコールにマズルカでも弾いてもらえたら最高です。

よこすか芸術劇場は初めてのホール。
ホームページを見るかぎりは、本格的で響きの良さそうなホールです。
期待しましょう。

2010年5月12日 (水)

OTTAVAで聴けるヌーブルジェ

インターネットラジオ「OTTAVA」がラ・フォル・ジュルネ期間中に行った公開生放送がオンデマンド聴けます。

ただし、トークが主でラ・フォル・ジュルネのコンサート・ライブが配信されているわけではありませんでした。
残念。

トークの合間にCDの音源と思われる音楽が流されます。
その中にヌーブルジェのソロ及び、ヴァシリエヴァとのデュオが何曲かあります。

当日のライブの様子がよみがえってきます。

【曲目】
5/2
ショパン:タランテラ 変イ長調 Op.43
      おそらく「オーベルシュル・オワーズ音楽祭」のアルバムから

ショパン:バラード 第2番 ヘ長調 Op.38
  
おそらく「サントリーホール・ライブ」のアルバムから

ショパン:チェロソナタ ト短調 Op.65 ~第4楽章
      最新アルバムから(以下同じ)

5/3
ショパン:チェロソナタ ト短調 Op.65 ~第3楽章
アルカン:ピアノとチェロのための協奏的ソナタ ホ長調 Op.47 ~第1楽章

5/4
アルカン:ピアノとチェロのための協奏的ソナタ ホ長調 Op.47 ~第4楽章
ショパン:チェロソナタ ト短調 Op.65 ~第1楽章

【聴き方】
1.OTTAVAのラ・フォル・ジュルネ Tips2010のサイトに行く。

http://blog.ottava.jp/la_folle_journee_2010/

2.右サイドのメニューの「過去の番組を聴く」の中に
 ①5/2(日)放送分
 ②5/3(月・祝)放送分
 ③5/4(火・祝)放送分
とあるので、聴きたい日をクリックする。

3.小さな別ウィンドウが開いて、操作パネルが出る。

4.「楽曲リスト」をクリックすると、また別ウィンドが開くので、聴きたい曲の配信時間を調べる
 (例)5/4のチェロソナタ 第1楽章の場合、01:54 

5.操作パネルのウィンドウに戻り、調べた時間になるまでバーを動かす。
 (微調整は難しい。早送りボタンはなぜか効かない)

2010年5月11日 (火)

ヌーブルジェ@ラ・フォル・ジュルネのネット評判

そろそろ出そろったかと思い、拾ってみました。

【シューマン:ピアノ協奏曲@東京】
http://mamebito01.exblog.jp/13640653/
「緩徐部分や終止における響の色香は魔術的ですらある~第1楽章終盤のカデンツァで、シューマンの熱情がこれほどスムーズに心に届くことは稀ではないか」
絶賛ですね!
まさに同感。
で、驚いたのが
「合奏がガチャガチャで集合体としての音が貧弱だし、ピアノとニュアンスが異なる場面数多、バランスも曖昧で譜読みを聴いているような完成度」
と、パリ室内管弦楽団がおかしかったとのご指摘。
オーケストラのことが苦手な私にはよくわかりません。
確かに弦の音はよく言えば繊細、悪く言えば弱かった気もしないでもないですが・・・

http://sachi-kuro-santa1990.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-777f.html
「背筋がゾーッとしました。興奮しました。」
だんだん興がのってきている感じでしたね。

http://c3la.blog.shinobi.jp/Entry/413/
「それがめちゃくちゃ上手かったんですよ。教授、なるほどって感じでした。ただ売り出し方がね、軽薄な感じなんですよ。それに教授っていう以外、何者なのかさっぱり。」
対話形式の感想。
ハリー・ポッターとか、まあ言いたい放題で。
上手かったのはわかっていただけたようです。

http://ka-tsu0811.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-3764.html
「圧倒的なテクニックはもちろん、しなやかな演奏との弾き分けも見事」
技巧と詩情ですねえ。

http://pheart.exblog.jp/14316423/
「渾身の演奏でした。管楽器との掛け合いは、そっちに顔を向けて、「さぁ、どうぞ」って表情で。協奏曲ってこうでなくっちゃ。って」
やってましたね、また。
オケの人はなかなか合わせやすいらしいです。
実際聞いた話です。

http://minako-44.cocolog-nifty.com/dekigoto/2010/05/post-2579.html
「酔いしれました」
同じく。

【ノクターンop.9-2、スケルツォ1番、エチュードop.10@東京】
http://blog.ichigo-kan.kikirara.jp/?eid=953696
「ああもサラ~っと弾かれちゃうとただただ圧巻!って感じ」
ヌーブルジェはどっちかというと、サラッとは弾かないで、聴き手に緊張を強いるタイプだと思いますが、技術的にサラッとということですね。

http://sachi-kuro-santa1990.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-777f.html(再掲)
「豊潤な音符と音の泡とシャワー、極上の指先で頭皮をマッサージ、まるで天国に上るような魔法のシャンプーをしてもらっているよう」
なかなかおもしろい例えで。
目くるめく感じですかね。

http://hiro1957x.cocolog-nifty.com/hibi/2010/05/post-fbe6.html
「甘くならないようにクールにモダンに」
ノクターンのことですが、仰せのとおり。
易しい曲だけに、嫌みなく聴かせるのはなかなか難しい曲だと思います。

【ショパン:英雄ポロネーズ】
http://shoshino.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「決して万全ではなかったと思います」
残念ながら、その可能性はある気がします。
それにしても、ラ・フォル・ジュルネについて、かなり辛口です。

http://naporeon.blogspot.com/2010/05/2010_03.html
「力強さ、スピード、甘い響き、すべてを兼ね備えた素晴らしい演奏」
絶賛!
嬉しいです。(本人でもないのに)

【ショパン:チェロソナタ@東京】
http://angebleu.exblog.jp/13256781/
「知的で端正でありながら、若いエネルギーがはじけるよう」
やはり感じ方は同じ。

【シューマン:ピアノ協奏曲@金沢】
http://blog.goo.ne.jp/n-kakusawa/e/dc4d601fd7524fc716a4ab8162e0c90a
「ピアノも素敵でしたが,やっぱりパリ室内管の弦の音がきれい」
私はどちらかというと、ピアノが押していたような気がしますが・・・

http://blog.goo.ne.jp/goochokipaa_1962/e/880a37fa38fe5449e3b2668f5000dc0d
「ひょろひょろ、色白の人見知りの激しそうなオタクっぽい青年なんですがピアノはすごい!!グランドピアノ揺れてましわ~ピアノオタクか??」
たぶんそうです(^_^;)

とまあ、感想が比較的書いてあるサイトはざっとこんな感じで、意外と少ないものです。
調子が悪いのではという指摘がひとつあった以外は、概ね絶賛でした。
プロの批評は見当たらず。
まめに書かれている東条碩夫氏も、日本ではヌーブルジェを聴かれなかったようです。

2010年5月 9日 (日)

映画「ドン・ジョヴァンニ」

ラ・フォル・ジュルネで、ショパンの『「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲』を聴き、「ドン・ジョヴァンニ」が気になっていたところ、タイミングよく、映画が上映されていたので観てみました。

モーツァルトのオペラの台本を3本書いたイタリアの詩人・台本作家のロレンツォ・ダ・ポンテが主人公。
主演はイタリアの若手俳優ロレンツォ・バルドゥッチ。
かなりのイケメンです。

オペラの主人公ドン・ジョヴァンニを、ダ・ポンテ自身と重ねあわせ、実際のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の劇中劇を絡めて映画化したものでした。

モーツァルトと妻コンスタンツェ、ウィーンの宮廷音楽家のサリエリ、啓蒙君主のヨーゼフ2世など、映画「アマデウス」でおなじみの面々が登場。また、イタリアの伝説のプレイボーイ・カサノヴァが重要な役割を演じています。

ダ・ポンテの恋人役のソプラノ歌手で「ドン・ジョヴァンニ」でドンナ・エルヴィーラ役を務めたケテワン・ケモクリーゼは、本当のオペラ歌手だというから驚きです。

「ドン・ジョヴァンニ」自体が放蕩三昧のプレイボーイの話ですので、映画の方もそれは惚れたの腫れたの嫉妬しただのというお話満載。
イタリア語がまた甘ったるい言葉に実にあっている。

映画後半はかなりオペラのシーンにさかれており、「ドン・ジョヴァンニ」の有名なシーンが頻出。
騎士長との決闘の場面、恋人のカタログの歌、そして聴きたかった「お手をどうぞ」の場面、エルヴィーラのアリア、そして最後の地獄落ちの場面。

「お手をどうぞ」は口説きの歌だったのですね。
かなり官能的な演出でした。

オペラはまだ「魔笛」しか観たことがなく、ピアノの練習を進めるうえで、もっと知りたいと最近思っています。
アリアの二重唱などを聴くと、今弾いているK332のソナタにも、台詞の掛け合いのような部分が多数あるのがよくわかります。

オペラ初心者には取っつくきっかけになる映画でした。

(以下、つっこみ)
※主演のバルドゥッチは、今年聴いて感銘を受けたピアニストのフランチェスコ・トリスターノ・シュリメに似ていたのでびっくり。
映画の公式サイト 
http://www.don-giovanni.jp/
シュリメの画像 http://www.barks.jp/news/?id=1000058005

※ダ・ポンテが「ドン・ジョヴァンニ」を書いたころは40歳近く。モーツァルトより7歳年上ですが、主役はどう見ても20代にしか見えませんでした。

※モーツァルトのキャラは、かなり「アマデウス」から影響を受けていたようです。というか、やや二番煎じ的。

※ダ・ポンテが恋に落ちたアンネッタ役のエミリア・ヴェルジネッリは、宝石のように透き通ったブルーの瞳がとても魅惑的でした。

※同じ音楽を題材にしながらも、こういうヨーロッパの猥雑な映画に比べると「のだめカンタービレ」などが、いかに健康的かがよくわかります。

※エルヴィーラ役のケモクリーゼはオペラで表情たっぷりの熱演。

2010年5月 8日 (土)

ホールの音響問題@ラ・フォル・ジュルネ

コンサートホールの音響にはいつも悩まされています。
ホール自体の音響と、シートの位置による聞こえ方の問題があると思います。
貴重なお金をはたいてライヴに行くのに、ホールの条件によって感銘度合いが大きく違ってしまいます。

ラ・フォル・ジュルネで使用する東京国際フォーラムは、専用音楽ホールが「ホールC」しかないわけで、今回も音響的な当たりはずれが随分ありました。
以下、ホールごとに感じたことをまとめてみました。

【ホールA】
5000人の収容能力があり、普通は国際会議などに使用されている。
クラシックのコンサートを開催するには広すぎる。
アーティストの姿が米粒のようにしか見えない。
それでも、思ったより音が聞こえたのは、実はPA(音響装置)を使用していたらしい

今回、舞台上手と下手に巨大スクリーンが設置され、演奏者の姿が大映しされた。
ピアニストの手元などもはっきり見えて、たいへんありがたかった。と言いたいところだが、気がつくと、スクリーンしか見ていない自分がいて、これではテレビ見ているのと変わらない、と思った。

ディテールはわからなくても、生の臨場感を味わうのなら、もしかしたらスクリーンはない方がよいのかもしれない。

【ホールC】
約1500席の音楽専用ホール
さすがに、音の響きは悪くなく、雰囲気は良い。
今回は1階中程の列の左手で聴いた。
ピアノを聴くには決してベストな位置ではないと思うが、ほぼ満足のいく音を聞けたと思う。

【ホールB7】
平土間式のだだっ広い正方形の部屋。
会議や展示会を予定しているようで、クラシックのコンサートには本来適さない。
今回、ショパンピアノソロ全曲演奏が主に開催され、一番たくさん聴くことになった。
このホールが曲者(くせもの)
シートの位置によって、かなり音響が違う。
前列近くはそこそこ良い音が聞こえたが、後列へ行くとかなり散漫な感じ。
また、どういうわけだか、ピアニストによって、影響を受けやすいタイプと受けにくいタイプがありそう。
ヌーブルジェのクリアで切れのある特質はほかなり消されてしまった。
逆に、オペラ・シティでは全然音が鳴らなかったエル=バシャはそこそこ響いていた。ケフェレックはあまり影響を受けないようだった。
不思議だ。

【ホールD7】
映画、演劇、コンサート用であり、残響可変装置もあるという。
なかなか雰囲気のある良い音がした。
「暗闇のコンサート」は照明が落ちたなか、ピアニストの姿も見えず、音だけに集中したのだが、ピアニストによる音色の違いが十分わかった。
ソロや室内楽を聴くのには大変適していると思う。

【G402,G409】
そもそも会議室。
コンサートをするには相当無理がある。
音響は超デッド
ピアノの場合、もろにダイレクト音が響いて、というか鳴っている。
大変迫力はあるが、音楽的にはかなり辛いものがある。
演奏する方にとっても、演奏の調整がたいそう難しいのだろうなと思う。
タッチやペダリングなどのテクニックが丸裸になる。

※番外編
【サントリーホール】

ラ・フォル・ジュルネ終了の翌日、ポゴレリッチを聴いたサントリーホール。
シート位置は2階のLB
以前から、音響が良いサントリーホールの中でも、LBとRBは一番音が良い、という噂だったが、LBは初めて。
実際聴いてみて、噂は本当だとわかった。RBより良いかも。
演奏者の姿も近く、ピアノの場合、後ろから見下ろす感じで顔は見えないが、演奏の全体像と手の動きはばっちり見える。
しかも、嬉しいのは、一流演奏家でもここはA席になりそうなので、少し安い。
安くて、演奏がよく見られて、音が良い、と三拍子揃っている。
今後も利用しようと思う。

ポゴレリッチの演奏解釈はきつく、叩きつける強音は聴くに堪えなかったが、弱音は良い音がした。

2010年5月 7日 (金)

2010年これからのヌーブルジェのコンサート

ラ・フォル・ジュルネで日本初披露だった、シューマン:ピアノ協奏曲は期待にそぐわぬ秀逸な演奏でした。
ネット上の感想などを見ても、東京も金沢もほぼ絶賛です。

6月から7月に行われる、リストとブラームスの協奏曲の演奏も、これでますます期待がふくらみます。

【公演情報】
6月26日(土)
パルテノン多摩
リスト:ピアノ協奏曲第2番
NHK交響楽団&準メルクル指揮

http://www.parthenon.or.jp/music/766.html

6月27日(日)
所沢ミューズ アークホール
リスト:ピアノ協奏曲第2番
NHK交響楽団&準メルクル指揮

http://www.muse-tokorozawa.or.jp/koen/20100627.html
(ヌーブルジェの写真が古い!)

7月2日(金)
ザ・シンフォニーホール(大阪)
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
大阪フィルハーモニー交響楽団&大植英次(指揮)

http://www.osaka-phil.com/schedule/detail.php?d=20100702

リストの第2番は、あまりメジャーとはいえません。
私も知りませんでした。
今予習中ですが、1番よりおとなしくて内面的ながら、リストらしいテクニカルな部分も満載で、ヌーブルジェの特徴を味わうにはとても適した曲だと思います。

ブラームスの第1番は、2番とともに名曲。
古今さまざまなピアニストのCDも多数出ています。
演奏時間50分にも及ぶ大曲。
うち半分が第1楽章にあてられています。

壮大でシンフォニックな第1楽章
外面的な強烈さと、極めてインティメイトな雰囲気の両方をあわせ持つ。

シューマンを亡くしたばかりのクララに捧げれた第2楽章
祈りに満ちた鎮魂の詩情。

第3楽章はリズミカルでバロック風のロンド。
華麗なカデンツァが2つ。

これもまたヌーブルジェのために書かれたような曲です!
去年の情熱的なブラームスのソナタの演奏のように、若きブラームスのパッションを十分表現してくれることでしょう。

2010年5月 6日 (木)

ラ・フォル・ジュルネLIVE音源 au着うたで配信中

6月30日まで、auの着うたでラ・フォル・ジュルネのLIVE音源がダウンロードできます。
(料金は無料。ただし通信料はかかるので注意)

【案内サイト】
http://au-lfj.com/pc/index.html (バーコードあり)

現在、ダウンロードできる公演は以下のとおり。
公演番号と出演者、主な楽曲です。
今後、順次増える模様。

【5/2(日)】
141 ベレゾフスキー リスト:ピアノ・ソナタ
142 オーケストラ・アンサンブル金沢 メンデルスゾーン:交響曲第3番
112 ジュジアーノ ショパン:ピアノ協奏曲第2番
143 ロマン・ルルー フンメル:トランペット協奏曲
113 エル=バシャ ショパン:アンダンテ・スピアナートと大ポロネーズ
114 ベレゾフスキー リスト:ピアノ協奏曲第2番
144 コロベイニコフ ショパン:ピアノ協奏曲第1番
146 ペレス メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第2番

【5/3(月)】
252 ケフェレック ラヴェル、ショパン、ドビュッシー
241 ティベルギアン ショパン:ピアノ協奏曲第2番

【5/4(火)】
351 広瀬悦子 ショパン:バラード第1番、第4番
342 チェ メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲
352 ロマン・ルルー ショパン、リスト
312 郷古廉 メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲
341 コジャック ショパン:演奏会用ロンド
353 エル=バシャ バッハ、ショパン前奏曲
344 エンゲラー リスト:葬送

協奏曲がやたら多いのが目立ちます。
そして、5/3はあと5公演配信されるとのことです。
ということは、ヌーブルジェのシューマン協奏曲も期待できます!(^^)!

2010年5月 5日 (水)

ヌーブルジェ シューマン協奏曲の公式レポート@ラ・フォル・ジュルネ

ラドゥ・ルプーのブラームス 間奏曲op.118-2を聴きながら書いています。
良い曲だ。心が洗われます。

ラ・フォル・ジュルネの公式レポートブログを読んでいたら、一昨日のヌーブルジェのシューマン協奏曲の模様が画像付きでアップされているのを見つけました。

http://www.lfj.jp/lfj_report/index.php?p=13

ブログも良いですが、日本でもナントのように無料の動画が配信されれば良いのに。
NHKのBSで放送されたところで大して目にふれません。
今や、聴かれない音楽は、この世に存在しないのと同じなのに・・・
ここのところをまだ日本のメディアはわかっていません。

イーヴォ・ポゴレリッチ リサイタル@サントリーホール

ポゴレリッチはどうやらあちら側の世界に往ってしまったようです。
5月5日子供の日、サントリーホールでのマチネ。

【前半】
ショパン:夜想曲 第18番 ホ長調 op.62-2
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
リスト:メフィスト・ワルツ 第1番

【後半】
ブラームス:間奏曲 イ長調  op.118-2
シベリウス:悲しきワルツ
ラヴェル:夜のガスパール

※ショパン夜想曲は演奏開始直前にop.55-2から変更。ブラームスは後半開始直前に追加発表。

一昨日のラ・フォル・ジュルネで、解体されたショパンの協奏曲第2番を聴いてショックを受け、今日もいったいどうなることかと、不安を抱えながらの鑑賞となりました。
そして、その不安は的中してしまいました。

演奏時間約3時間(-_-;)
個々の楽曲のことはあまり思い出したくないので書きません。

ショパンからラヴェルまで通して聴いてわかったのは、これらはポゴレリッチにとってコラールになってしまっているということです。

宗教的意図がないとすれば、現代の実験音楽

音楽は丸裸にされ、骨組みだけのコード進行。
激しく叩きつけられる単音と単音の間に、ショパンぽい、ブラームスっぽい、ラヴェルっぽい音がコチョコチョと埋まっているだけで、どの曲も同じ
ひたすら祈るのみです。

祈っても祈っても足りずに、最後のスカルボではハルマゲドンの大音響。

苦痛で逃げ出したくなりました。

ショパンのソナタの第4楽章で、普通は聞こえないような音を強調して、構造をえぐりだそうとしている試み(これはグールドもやった手法です)など芸術上の意図は多少わかったつもりです。

しかし、ポゴレリッチの今の音楽には、できればあまり関わりたくないところです。

今晩はポゴレリッチの毒を落とすため、アシュケナージの夜想曲 op.62-2とルプーのブラームス op.118-2と、リリックな2人の演奏をナイトキャップにすることにします。

※1日経って、またネガティブなことばかり書いているのに気がついたので、追記します。
まず、過去彼が若い時に出したCD-例えば、ショパンのソナタ第2番などは、多少突っ張っているとはいえ、新鮮な解釈で快演でした。
今の彼の演奏も、芸術表現として決して否定はしません。
手垢にまみれているかもしれないクラシック音楽の解釈にインパクトを与えていることは確かでしょう。
実際、この日やラ・フォル・ジュルネでの演奏に感銘を受けられる方もいらっしゃるようですし。

ラ・フォル・ジュルネ2010 トップ3

今年のラ・フォル・ジュルネでは有料公演を全部で16公演聴きました。
良かった演奏のトップ3をまとめてみました。

【TOP1】
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェによるシューマンの協奏曲(5/3 #248@ホールC)

期待を裏切らない最高の演奏でした。
ヌーブルジェの若くてみずみずしい感性が、この曲の躍動感にベストマッチ。
浮き立つような楽しさにあふれていました
今回、ソロではどうも本調子ではなかったようなヌーブルジェが、ここでは彼本来のピュアで切れ味鋭いタッチと、豪快なテクニックを披露してくれました。

【TOP2】
アンドレイ・コロベイニコフによるリサイタル
(5/3 #278@G409)

葬送行進曲で泣かされてしまいましたから(;_;)
コロベイニコフの演奏には大胆さと緻密な計算が同居しています。
ロシア的情念が知性でコントロールされている。
マズルカも絶品でした。

【TOP3】
ベルトラン・シャマユによるリサイタル
(5/4 #354@D7)

うっとり聴き惚れてしまうような、素敵な雰囲気を表現できるピアニストでした。
私にとって新たな発掘。
透明感がありながらも、色彩感も豊かで、シャープなのだけれど、とげとげしさがなく優しさが
ある。低音の響きも魅力的でフォルテになっても決して音が濁らない
素晴らしいピアニストだと思います。

2010年5月 4日 (火)

ショパン:ピアノ・ソロ全曲演奏第12部「豊穣のノアン」@ラ・フォル・ジュルネ#325

ショパン:タランテラ 変イ長調 op. 43(エル=バシャ)
ショパン:幻想曲 ヘ短調 op. 49(エル=バシャ)
ショパン:即興曲第3番 変ト長調 op. 51(エル=バシャ)
ショパン:3つのマズルカ op. 50(ケフェレック)
ショパン:スケルツォ第4番 ホ長調 op. 54(ケフェレック)
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 op. 52(ケフェレック)
ショパン:ポロネーズ 変イ長調 op. 53「英雄」(ヌーブルジェ)

いよいよ私のラ・フォル・ジュルネ2010は最後です。
締めはヌーブルジェの英雄でスッキリ終わりたいところです。

エル=バシャはさらにソフトさに磨きがかかった、というか、少しお疲れなのかも。破綻はしていないし、ソフトに作っていることは、2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンの頃と違ってモーツァルトのレッスンで1年苦しんだ者としては多少わかるようになりました。
でも、やや精彩を欠いている感じがしました。

対照的にケフェレックは連日の激務にもかかわらず、元気いっぱい
コミック「ピアノの森」で最近カイが弾いたマズルカ3曲。
思わずマンガの情景が思い浮かんでしまいました。
ノリノリで最高。
スケルツォ4番は、4曲の中でもっとも「諧謔」的要素にあふれ、それでいて、深い。その諧謔性と深みを見事に表現。
バラード4番は、華麗な変奏と物語要素の強い劇的な表現。やや性急かもしれないけれど、そこはまたエレガンスによる統一の範囲に収め、コーダも圧倒的でスタンディングオベーションも出るようでした。

そしてわがヌーブルジェが最後に登場。
なんと、初めて見る白いシャツです。
ル・ジュルナル・ド・ショパンの時にはスピード感で一気に押し切ったものでしたが今日はどうでしょう。

ややペダルで響かせ、スピードは幾分抑えた感の出だし。
ポロネーズが始まり、今日はどちらかというとフレーズごとにしっかり確認をいれているようで、怒濤の推進という感じではない。
和音が厚くなる主題の提示も、前に聴いた時より凄みがなく、技巧も全般的にやや不安定。あれれ、今日はどうしたのでしょう?
中間部の行進曲風連打のピアノからフォルテへの盛り上がりも想像までいかなかったし、その後の叙情的なメロディー部分はいつもならテンポを落として集中するはずのところが、やや性急。
コーダからフィナーレもちょっと投げやりな感じ。

なんだかとても変でした
他のファンの方は東京最後のヌーブルジェをどう見たでしょうか?

時差ボケで疲れがピークに達していたのか、次に金沢に行かねばならないから焦っていたのか、私の聴いていた位置がいけなかったのか、そもそもホールとの相性が悪いのか(ホールB7ではとうとう彼のクリスタル音を聴くことはできませんでした。)

でもエル=バシャやケフェレックはそこそこ「らしい音」を出していたし、ヌーブルジェ自身も昨日のホールCのコンチェルトでは、みずみずしい音を出していました。

なんだか原因がよくわからずすっきりしないまま、私のラ・フォル・ジュルネは終わってしまいました。

※一度アップして、一途なファンでありながらちょっとネガティブなことを書きすぎたと反省。
いや、もちろん素晴らしい演奏ではあったのですが、期待がふくらみすぎてしまっていて、抱いていたイメージと食い違いが出てしまったことが主な原因です。

※外的原因と考えられるのが、ホールでのシート位置。今回はついぞ真っ当な位置のシートが手に入りませんでした。
ホールB7での全曲演奏シリーズはすべて最初の抽選で当たったのに、ついていなかったです。

※ホールCのシューマンの協奏曲の時も、1階ながらかなり後ろの左側という、あまり良い条件でなかったにもかかわらず、クリスタル音が聞けましたので、ホールB7自体の問題もかなりあったと思います。

※最初の演奏での弦切り事件、眼鏡ずり落ち事件の影響は全く不明。

ベルトラン・シャマユ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#354

トゥールーズ出身。幼少より神童と注目され、パリ国立音楽院にてジャン=フランソワ・エッセールに師事。またマリア・クルチオ、マレイ・ペライアの弟子でもある。弱冠20歳でロン=ティボー国際コンクールに入賞し、由緒あるパリのサル・プレイエル、シャンゼリゼ劇場、ミュンヘンのヘラクレスザールで演奏。

【プログラム】
ショパン(リスト編曲):彼女の好きな(17のポーランドの歌 op.74より第5番)
ショパン(リスト編曲):私の見えぬところに(17のポーランドの歌 op.74より第6番)
メンデルスゾーン(リスト編曲):歌の翼に op.34-2
メンデルスゾーン:無言歌 嬰へ短調 op.67-2「失われた幻影」
メンデルスゾーン:無言歌 ハ短調 op.38-2「失われた幸福」
メンデルスゾーン:無言歌 イ長調 op.102-5「子供のための小品」
シューマン(リスト編曲):献呈(歌曲集「ミルテの花」op.25より第1番)
リスト:物思いに沈む人(巡礼の年 第2年「イタリア」より)
リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」への追加 「ヴェネツィアとナポリ」より(抜粋)

一昨日の「暗がりのコンサート」で誰だか知らずに聴いて、なかなか良い雰囲気だと思ったシャマユ。
これもまた期待していました。
ホールは一昨日と同じB7。

当然ながら同じ音がしました。
ヌーブルジェに近い透明感があるのだけれども暖かく色彩感があります。
そして、低音の響きやフォルテシモになったときの大迫力とそれでも曇らない音がすばらしかった。
技術的にとても安定していて、音が美しく、音楽の造りは、ディナーミクこそ幅をとりますが、基本的に奇をてらわない。

リストの一部と一昨日聴いた編曲の2曲を除いて、皆初めて聴く曲だったのに、ぐぐっとシャマユの世界に引き込まれてしまいました

メンデルスゾーンは多彩なニュアンスに富んでいたし、リストの曲にはたまにたいへんモダンなメロディーや和声を使用しているものがあって現代のドラマのテーマ音楽にでも使えそうで実に格好良い。
巡礼の年はリストらしい超速パッセージや分厚い和音満載ながら、おつりがきそうな余裕の弾きっぷりでした。

技巧もともかく、シャマユの良かったところは、その音楽の雰囲気。
うっとりするような、懐の深い、暖かい気持ちにさせてくれる音楽。

これは今後注意して追いかけたくなりました。
どうやら今回のラ・フォル・ジュルネでの新たな発掘になったようです。

イム・ドンヒョク コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#374

1984年韓国ソウル生まれ。10歳でモスクワに移住し、音楽学校に進んだ。2001年のロン=ティボー国際コンクールで優勝して注目を集めた他、05年のショパン国際コンクールでは第3位となる

【プログラム】
ショパン:マズルカ イ短調 op.17-4
ショパン:マズルカ ハ長調 op.56-2
ショパン:マズルカ 嬰ハ短調 op.63-3
ショパン:ポロネーズ 変イ長調 op.61「幻想ポロネーズ」
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58

チケットを取るのに苦労した公演です。
CDでもライヴでも聴いたことはありません。
ただ、ショパンコンクールの時に、ノクターン13番ハ短調を弾いている映像を見たことがあり、迫力があって印象に残っています。
期待をもって望みました。

ホールはG409でまたまたデッドな場所。
ドンヒョクのマズルカは、さすがにショパンコンクール入賞者だけのものはあったと思います。音もリズムも磨かれている。
幻想ポロネーズも立派で構成感がしっかりしている。
終結部のオクターブの連打は聴いたことがない強烈なものでした。
もしかしたら、ドンヒョクは小品よりある程度構築的な大曲のほうがあっているのかも。

ソナタをしっかり聴きたかったところなのですが、ここにきて疲れがピークに達してきたのか、だいぶ意識がもうろうとしてしまいました。
というわけで細かくコメントできるほど覚えていないのですが、思ったとおり、ソナタは堂々としていて興に乗っているようでした。
ドンヒョクもまた小柄なのに、大迫力。

第3楽章は左手できっちり「ずん、、、、ちゃちゃ」のリズムをきざみながら、右手は案外大きく音を出し、耽溺することはない。
第4楽章は慌てずに落ち着いた開始。最初を急いでしまうと後大変なことになってしまいますからね。
一気呵成に弾ききるというより、確かめるように変奏を進めていたと思います。
なかなか強烈でした。

ただ、いかんせん、今日のホール(会議室)では、音楽がダイレクトすぎて、正直初めてでは音色や響きやひ表現の雰囲気がよくわからない。できれば、普通の音楽専用ホールで聴いてみたいです。

アダム・ラムール コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#362

2009年9月に行われたクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝者として注目を集めている期待の若手ピアニスト。トゥールーズ音楽院で学んだのち、15歳でパリ国立音楽院に入学。ミシェル・ベロフ、ドニ・パスカル、エリック・ル・サージュのクラスで学ぶ。また室内楽をクレール・デゼール、アミ・フラメールに師事。現在はハンブルクにて研鑽を積んでいる。

【プログラム】
シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 op.6
ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 op.20

初めて聴くピアニストがG409のデッドな場所というのもつらいものがあります。ピアノのダイレクト音が聞こえてしまうので、ホールで聴くときの音色と異なってしまいます。

ダヴィッド同盟舞曲集は知ってはいますがそれほど親しんではいない曲。知らない曲でも素敵に聴かせてくれるピアニストもいるので、ラムールはどうでしょうか。

この演奏でこの曲が好きになってしまった、というとこまではいきませんでした。
ラムールはもちろん上手だし、小柄なのに迫力も十分。ただ音響のせいもあるのか音楽的感銘というところまではいきませんでした。

ショパンのスケルツォは良く知る曲。
昨日、ヌーブルジェのキレキレ演奏を聴いたばかりです。
ラムールもなかなか聴かせてくれましたが、やや技術的に安定を欠いたのと、何せまだヌーブルジェの快演の印象が強く残っていたので、どうしてもそれと比較してしまい、ラムールに分が悪くなってしまったことは否めません。

ショパン:ピアノ・ソロ全曲演奏第10部「新しい生活」@ラ・フォル・ジュル

あっという間に最終日。
昨日はいろいろな演奏家に感情を揺さぶられ、大変な1日でした。
さすがに疲れが蓄積されてきている感じです。
演奏する方は半分肉体労働ですから、もっと大変なことでしょう

ショパン:4つのマズルカ op. 41(児玉桃)
ショパン:即興曲第2番 嬰ヘ長調 op. 36(児玉桃)
ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op. 39(児玉桃)
ショパン:ノクターン ト短調 op. 37-1(ケフェレック)
ショパン:ノクターン ト長調 op. 37-2(ヌーブルジェ)
ショパン:3つの新しい練習曲 KK II b-3(エル=バシャ)
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op. 35 「葬送」(バル=シャイ)

朝一番はまたショパン全曲演奏シリーズを聴きました。

最初は児玉さん。
私はどうも相性が悪いようです。
音も明るいし、スケルツォのような技巧的な曲も難なく弾かれます
でも、なぜか心に迫ってこないのです。

続くケフェレック。
ト短調の悲しいノクターン。
最初の入りでグッとつかまれてしまいます。
ケフェレックは感覚優先の表現をしますが、センスでコントロールされ、素敵な表現になります。

次がヌーブルジェ。
15-1とはうってかわって朝にふさわしい爽やかなノクターン。
でもふとよぎる寂しさ。
ヌーブルジェはまたまたインテンポで、感情に身を任せたことをしない。
だのに、清々とした雰囲気と、寂寥感をあわせもつこの曲の雰囲気を見事に表現します。
ヌーブルジェは知性でコントロールしながら、詩情を表現できる。

次はエル=バシャ。
きょうはまたいちだんとソフトなエチュード。
鍵盤を半分しか押していないようです。
エチュードと言われなければわからないかもしれません。
ショパンはサロンでこんな風に弾いていたのではないでしょうか。

最後はバル=シャイの第2ソナタ
朝から葬送行進曲になってしまいました(-_-;)
昨晩のコロベイニコフと連続。
バル=シャイの演奏も勇壮で迫力があります。
が、さすがに昨日の今日では違いがわかる。
コロベイニコフの方が迫力の中にも緻密さがあり、まったくごまかしがない。
今日の葬送行進曲は普通の行進でした。
昨日はいったい何人大事な人が死んだのだという感じでしたから。

トリオが最初から超ピアニシモで始まる。
最後の繰り返しは音が消えてしまうのでは。
実際、消えそうでした。

バル=シャイの演奏も十分立派でしたが、彼はやはりダンス系の小品の方がより合っているかもしれません。

ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ

今日(といっても日付はすでに昨日)のトリにして、今回の私にとっての最大の目玉のひとつです。

(パリ室内管弦楽団&ジョセフ・スヴェンセン指揮)

【プログラム】
シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ op.52
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54

【アンコール】
シューマン:子供の情景op.15から 13番「詩人は語る」
(たぶん)

序曲でまず、スヴェンセンのユニークな指揮ぶりと、パリ室内管の実力が披露されました。
繊細ながら音色の豊かなオケのようで、ヌーブルジェにぴったり。

さて、いよいよヌーブルジェの登場。
抑え気味のポロネーズのこともあったし、時差ぼけがとても心配でした。
しかし、演奏が始まりそんな心配はあっさりすっとんでしまいました。

ホールCでのヌーブルジェのピアノの響きは、彼本来の持ち味である、ピュアでブリリアントに輝くものでした。
これを待っていたのです!

シューマンの協奏曲は、事前に想像していたとおり、ヌーブルジェにピッタリ。テクニカルなところ、リズミカルなところ、リリックなところ。
第1楽章からヌーブルジェの特徴が余すなく発揮され、楽しいことといったらありません。
例によって、左を向いて掛け合いのタイミングを計っています。だから息はぴったり。
カデンツァの充実度は感激もの。

つなぎでありながらコミカルなニュアンスに富む第2楽章も素敵に表現したあと、3拍子で躍動感あるリズムにあふれる第3楽章へ。

ヌーブルジェは何度も書くように、インテンポを守るピアニスト。
拍をキチンときざむ。
そのきざみ方がモダンでセンスが良いので、とても気持ちが良い。
音が爽やかで気持ちよく、リズムが気持ちよい。
この第3楽章はそんなヌーブルジェにうってつけ。
楽しい。楽しすぎる。身体が自然と揺れ、顔の筋肉の硬直が解けていくのがわかる。
ヴィルトゥオジティーもいかんなく発揮され、フィナーレも完璧。
ありがとう。
ブラボー。

打ちひしがれ、疲れ切っていた心身を、明るく清涼感のある音楽のシャワーで洗い流すことができました。

カーテンコールにこたえ、アンコールを1曲。子供の情景から最終曲。
しっとりと集中してヌーブルジェらしい余韻に満ちた終わり方。
お休みなさいといことでした。

アンドレイ・コロベイニコフ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#278

昨日颯爽としたショパンの第1協奏曲を聴かせてくれたコロベイニコフの今日はソロリサイタルです。
G409という会議室で、雰囲気はほとんどサロンです。

ショパン:マズルカ 変ロ短調 op.24-4
ショパン:マズルカ ロ短調 op.30-2
ショパン:マズルカ 変ニ長調 op.30-3
ショパン:マズルカ ロ短調 op.33-4
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.35「葬送」

昨日のアンコールでマズルカを聴いて、今日のコンサートは期待していました。そして、期待どおりでした。

コロベイニコフとちょうど正対する位置の1列目で、距離は4メートルもなく、ピアノの中から音が聞こえてきました。
コロベイニコフの音は粒がそろい、一点の曇りもなく、ディナーミクの変化に富んでおり、マズルカのリズム感もよく、ペダリングも絶妙
感心することしきりです。

幻想即興曲は、これまでに幾度となく、プロ、アマの演奏を聴いてきました。
コロベイニコフの演奏は、過去聴いた中でも最高レベルです。
とかく、ペダルの響きの中に音が埋もれて、「曖昧幻想即興曲」になりがちなものですが、コロベイニコフの手にかかると、一点の曖昧さがなく、それでいて十分即興的に聞こえるのだから不思議です。

そして、コンサートの白眉がソナタ第2番でした。

ナントのラ・フォル・ジュルネのウェブラジオ番組ですでに聴いていて、アプローチの仕方はわかっていました。
しかしです、ライブを至近距離で聴いて、今度は良い意味で打ちのめされました。
第1楽章、第2楽章は、まず全体にスピード感があること。フォルテの迫力が尋常ではないこと。激しい部分と優しい部分のテンポやディナーミクの対比が見事なこと。ここまでで十分感銘を受けました。
問題は第3楽章の葬送行進曲。
聴き知ったとおり、超スローなテンポ。
しかし、同じ遅いといっても、先ほどのポゴレリッチのように音楽を解体してしまうような遅さではなく、伝統的な解釈の延長線上にある遅さ。
行進が進むにつれ、爆発的な大音量に。
そして、トリオ。
これも遅い。一音、一音を、十分脱力され、宇宙に響き渡るような美しい音で、噛みしめるように奏でる。
最後のトリオ主題の再現で、音量がピアニシモに落とされ、そこでいよいよ感極まってしまいました。
葬送行進曲の再現。いったんまた大音量に盛り上がったあと、行進が後ろを向いたところで音量をがっくり落とす。
最後は死んだように終わり、アタッカで第4楽章。
これが今度は超高速。
しかし、やはり響きの中に埋もれさせないで、粒立ちのニュアンスでほのかな旋律を醸し出す。
ためにためたフィナーレの和音。
圧巻。
身体がしびれて拍手もできませんでした。

コロベイニコフ。やはりただ者ではありません。

あんなサロン風の至近距離で超一流の演奏を聴けるからこその、貴重な体験でしょう。
一昔前だったらあり得ない。
ラ・フォル・ジュルネ万歳。

それにしても、ポゴレリッチでショパンの常識を崩されて打ちのめされ、コロベイニコフに葬送行進曲で心を深く揺さぶられて身体がしびれ、このままでは寝られそうにないところでした。

ショパン:ピアノ・ソロ全曲演奏第7部「生気あふれる日々」@ラ・フォル・

2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンで、私がヌーブルジェを本物だと確信できたときのプログラムと同じものです。

ショパン:2つのポロネーズ op.26(ヌーブルジェ)
ショパン:2つのノクターン op.27(児玉桃)
ショパン:12の練習曲 op.25(エル=バシャ)

ポロネーズの1番と2番。普段弾かれることは少ないですが、十分すばらしい曲です。優れた演奏家の手にかかれば。

ここでのヌーブルジェは、なんだかやや抑え気味な感じに見受けられました。
もちろん、それでも十分ヴィルトゥオーソぶりは発揮しているのですが、朝のスケルツォとエチュードが炎が出るようだったのと対照的。
ダンス音楽とはいえ、ヌーブルジェの演奏のベースはインテンポ。
リズムをしっかりきざんで端正に演奏します。
そして叙情的な部分は幾分テンポを落とし集中した感じになり、ルバートはほのかにかける。

第2番のポロネーズでは、それに加え彼お得意の「間」の妙味をみせる。
抑えているよに聞こえたのは、ヌーブルジェの体調のせいなのか、シートの位置(かなり左側でした)のせいだったのか、私の予断が大きすぎたのか、朝弦を切ってしまって「ヌーブルジェさん、ちょっと抑えてください」と言われたのか・・・

本人に聞いてみたいところです。

児玉桃さんは音が明るく聞こえました。

エル=バシャはソフトなエチュード。
慌てず、騒がず、大切に。
一曲一曲に十分説得力はありますが、12曲まとめて聴くとなると、ヌーブルジェのような演奏が好きだなあ、私は。

ポゴレリッチ・ショックはまだ尾を引いていました。

イーヴォ・ポゴレリッチ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#213

ポゴレリッチはまだ異端の道をひた進んでいました。

ポゴレリッチ:1958年ベオグラード生まれ。1980年のショパン国際コンクールで、本選を前に彼を落選させたことによって巻き起こった激しい論争で、たちまち世界に名を馳せた。

(シンフォニック・ヴァルソヴィア&ヤツェク・カスプシ指揮)

【プログラム】
エルスネル:交響曲 ハ長調 op.11
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21

【アンコール】
ピアノ協奏曲第2番から第2楽章

前のヌーブルジェ&ヴァシリエヴァのコンサートが25分も長引いたため、最初の交響曲は聴けませんでした。
モニターから流れてくるのを聴いたら、モーツァルトのような雰囲気を持った曲でした。ショパンの先生は古典派だったわけです。

目的はポゴレリッチだったので、良しとしましょう。

異端児ポゴレリッチだけに、ある程度変わった演奏を期待はしていました。
しかし・・・・・・・・・
ここまでやるとは。

正直言って、ショックに打ちのめされました

コンチェルトの序奏のオーケストラによる演奏は、ごく普通に始まりました。
そして、ピアノソロの開始部分。
ここの始め方で、ある程度ピアニストの力量や、やりたいと思っていることがはっきりします。

ポゴレリッチは、前代未聞のスローなテンポで始めました。
しかも、それは単に遅いだけではない。
ショパンの音楽をバラバラにしてしまうような弾き方。

叙情的なところを、絡まりそして止まるように、インティメイトに弾いてみたり、フレーズの最初の拍にどぎついアクセントを置いたり、シュトックハウゼンでも弾くようなタッチで鍵盤をたたきつけたり、低音部のうねりをラフマニノフばりに表現したり・・・
そこまでやるか、と言いたくなりました。

オーケストラは止まってしまうような音楽に合わせるのがせいいっぱい。
指揮者は大変だったことでしょう。
ただ、オケだけの部分は普通なので、そこにピアノソロ部分との整合性がなく、変です。

第2楽章はいよいよ止まりそうだし、おかしなアゴーギクのオンパレード。
宗教がかっているというか、現代曲の実験でもしているつもりなのか。
消え入るようなオーケストラの終わり方はまるでマーラーのよう。

民族音楽的な旋律満載の第3楽章もポゴリッチにかかると、全く異次元の音楽に生まれ変わってしまいました。
この楽章はあまりいじれないから、普通っぽく解消して終わるだろう、などと考えていた私が甘かった。

演奏が終わると怒濤の拍手。
スタンディングしている人もいる。
確かに、200年間手垢にまみれているショパンの音楽を、バラバラにして再構築してみせるという、ポゴレリッチなりの芸術的試みであることは理解できますが、一般聴衆がブラボーと喝采するような音楽であるのかどうかは、私には疑問です。

第2楽章がアンコールされましたが、私はもう聴くのに耐えられませんでした。

今日は5000人のホールAが満席状態で、おそらくクラシック音楽初心者の方も多数いらっしゃったと思いますが、ポゴレリッチの演奏でショパンの協奏曲を知ってしまったとしたら、怖いものがあります。

今日の曲は、ショパン作曲/ポゴレリッチ編曲の新しい音楽ですから。

明後日、サントリーホールのリサイタルも行くのですが、ショパンのソナタ第3番がどのように弾かれるのか、今から怖いです。

2010年5月 3日 (月)

ヴァシリエヴァ&ヌーブルジェ デュオコンサート@ラ・フォル・ジュルネ

アルカン:チェロとピアノのための演奏会用ソナタ ホ長調 op.47
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調 op.65

ヴァシリエヴァ:1994年ミュンヘン国際コンクール第2位、2001年第7回ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールでロシア人初の第1位、2005年フランス音楽大賞“海外の新人”賞を受賞し、国際的評価を確固たるものとした。

ようやくのことで最後に手に入れた大事なチケットです。
手に入ったのが遅かったわりには、後ろ目のど真ん中で最高の席でした。
B7は小さいので、後ろくらいがちょうどよいです。

アルカンの曲は初めて。
とても技巧的で、ピアノも伴奏ではなくチェロと同等派手に活躍します。
ピアノは屋根を普通通りに開け、ヌーブルジェもアクセル全開でした。
かなり合わせずらそうな部分もありましたが、二人の息はぴったり。
CD出しましたから何度もデュオしているのでしょう。

ただ、やはりアルカンは通俗的というか、消えてしまったなりの理由はある気がします。
4楽章ある大変長い曲でした。

メインのショパン:チェロソナタ
CDで少し予習したものの、時間が足らずあまり聴きこめませんでした。
が、全く問題ありませんでした。
さすが、ショパンの晩年の曲らしく、単にメロディーが美しいだけでなく、深い音楽的な詩情あふれており、とてもすばらしい曲だと思います。

ヴァシリエバとヌーブルジェは、抜群のテクニックとしっかりした構成感を保ち、美しく掛け合います。
この曲もやはりピアノが十分活躍し、ヌーブルジェもパワー満開でした。
第3楽章のラルゴはヴァシリエバの厚みのあるチェロの音にしびれました。

やっと曲の良さがわかったので、今度は二人のCDを購入して、今日の演奏を反芻しようと思います。

のだめカルテット@ラ・フォル・ジュルネ

ヌーブルジェの演奏の余韻に浸りながら、少しはジュルネの雰囲気にも浸ろうと、混み合っている地上広場を歩いてみました。

ちょうどミュージックキオスクでのだめカルテットによる演奏始まるところだったので足をとめてみました。

Ts3h0005

のだめのエチュード10-4の演奏を担当した河野紘子さんのピアノで、ショパンのピアノコンチェルト第1番のエッセンスを聴けました。

ショパンのコンチェルトはオーケストラいらないかも、と思いました。

ショパン:全曲演奏第4部@ラ・フォル・ジュルネ#221~ヌーブルジェ登場!

ショパン:ノクターン 変ロ短調 op.9-1(ケフェレック)
ショパン:ノクターン 変ホ長調 op.9-2(ヌーブルジェ)
ショパン:ノクターン ロ長調 op.9-3(エル=バシャ)
ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 op.20(ヌーブルジェ)
ショパン:12の練習曲 op.10(ヌーブルジェ)

昨日の11時まで弾いていたケフェレックがまず朝一で登場。お疲れ様です。
疲れもみせず、華やかなノクターンを聴かせてもらえました。

そして、いよいよヌーブルジェの登場です。
ワシントンからの移動で、時差ぼけが心配です。
足取りは軽やか。今日はジャケットはなしで、黒いシャツの前ボタンを全部閉じてチャイナ服のような出で立ちです。

最初の一音を待つ。
ソフトペダルを踏んでいるので、キラキラの透明感こそありませんが、彼らしい硬質なショパンが始まります。
ほぼインテンポで集中が高まる。かすかなルバート。
装飾音のセンスが良い。
何度目かの主題で、今度はテンポをアップする。
最後までソフトペダルは踏み通しでした。
コーダの細かいパッセージはあわてない。
最後、左手のテヌート音を強調する。
エレガンスあふれた演奏。
集中して聴いたのでため息が出てしまいました。

エル=バシャのノクターン。
優しい音は相変わらず。今日はちょっとリズム感が今ひとつでしょうか。
疲れがでているのか。

さて、ここからがヌーブルジェの独断場です。

まず、スケルツォ第1番
実にクリアで豪快。快速テンポ。音がすべて見える。決めが鋭い。
中間部はぐっとテンポを落とす。インテンポのほのかな叙情はいつものとお
り。音がだんだん小さくなる。消え入るようなピアニシモ。
コーダはまた豪快に一気呵成。
ブラボー。
やはり動画などで見ているより、はるかにすばらしい。
パッションにあふれている。

そして、待ちに待ったエチュードOp.10
ナントではやや調子悪そうでしたが今日はどうでしょうか。

全編、ものすごいヴィルトゥオージティ。スリルあるれるスピード感と、メリハリ、強烈なフォルテシモ、ほのかな叙情。
CDでさんざん聴いていましたが、だいぶ変わっています。
特に今日は感情の乗せ方がいつもより激しいような。
その分、ややフォルテが大味になってしまっていたのはしかたないところか。
もしかすると、今日は普通のリサイタルよりは聴き慣れていない人が多いことを見込んで、緻密さや繊細さよりも、大胆さを強調したのかもしれない。

別れの曲の中間部圧巻、アタッカのように弾かれた4曲目も超絶。
事件は9曲目に起きました。
演奏中に「バシッ」という音。
高音部の弦が切れてしまったのです
ショパンの時代、まだピアノが弱かったせいもありますが、リストなどはバシバシ弦を切っていたらしい。
ヌーブルジェもとうとうやってしまいました。

11曲目の艶っぽい演奏の後、最後のこれまたパッションあふれる革命エチュードが終わると、割れんばかりの拍手とブラボーの嵐。
さすがに今日はアンコールなしでしたが、聴衆もいたく感激したようです。

いつもはピュアでクリスタルガラスのような響きを演出するヌーブルジェが今日は真っ赤な炎を燃やしているようでした。
予想していた以上に吹っ飛びました。

昨日は、どちらかというとフランス風エレガンスに満ちた演奏をたくさん聴いたので、テクニクカルでストレートな今日のヌーブルジェは胸のすくような演奏でした。

1年間待った甲斐がありました。
今日は、もうこれで帰っても悔いが残らないくらい満足でした。

5/3朝のラ・フォル・ジュルネ会場

2日目の朝、8時50分頃に会場に行ってみました。
福袋公演や、その他当日チケットを求める人たちがすでに長蛇の列をなしていました。

地上広場や地下広場の出演者をチェックしたあと、ギャラリーをうろついていたら、ミュージックソムリエの前で、早川きょうじゅともう一人による音楽寸劇が始まりました。

Ts3h0003

指揮者の小澤征爾、カラヤン、チュリビタッケの物まねから始まり、結婚式の披露宴の音楽スピーチだとか、二人羽織バイオリン演奏などがあり、最後は朝比奈隆がワーグナーを振る本格的物まねでしめました。

2人の息はぴったり。

朝から笑わせていただきました。

さて、もうすぐヌーブルジェの演奏が始まります。

“クレール・オプスキュール(暗がりのコンサート)”@ラ・フォル・ジュル

今回のジュルネでかなり楽しみにしていたのが、このいわゆる「目隠しコンサート」でした。
夜の10時15分から11時までという、大人のコンサート(^_^;)

19世紀パリのサロンで行われ、ショパンやリストも出演したといわれるピアニストたちの「対決」を再現。誰が出演するか明かされないまま、暗がりでピアニストが入れ替わり立ち代り演奏を繰り広げます。

聴衆のシートとステージの間には間仕切りが施され、ピアノの前はスクリーンのようになっていて、かすかに人の影が動くのがわかる程度。
ライトは落とされ、ほとんど暗闇の中、簡単な説明がフランス語と日本語で入った後、演奏が開始されました。
プログラムだけは事前に渡され、ショパンの後期の充実した作品中心のおいしいものでした。

【1人目】
シューマン(リスト編曲):献呈(歌曲集「ミルテの花」op.25より第1番)
メンデルスゾーン(リスト編曲):歌の翼に op.34-2
【2人目】
ショパン:ポロネーズ 変イ長調 op.61「幻想ポロネーズ」
【3人目】
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 op.52
【4人目】
ショパン:子守歌 変ニ長調 op.57
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60

1人目の奏者は、音が優しく厚みがあってとても勇壮。インテンポで端正に弾くタイプ。女性ではないな、くらいは見当はついたものの、まったく予想がつきません。優しい音ではあるけれど、エル=バシャ、ジュジアーノではない気がする。曲はたぶん初めてだったと思います。すばらしい演奏でとても感動的でした。

2人目は椅子の調整にとまどっている時点で、バル=シャイとほぼわかってしまいました。演奏を聴いて、100%確信。

3人目は、最初ケフェレックかと思いました。かなりアゴーギクを駆使したバラード。ただ、音色とダイナミズムがケフェレックと違うのがだんだんはっきりしてきました。音色はオレンジ色でなかなかきれいな音です。弾き方からしてエル=バシャ、ジュジアーノ、児玉桃、コロベイニコフではない。知らないピアニストかも。

4人目は、前の奏者がケフェレックではないなと感じていたので、ほぼケフェレックと見当がつきました。子守歌も舟歌も過去に聴いたことがあります。

全員の演奏が終了後、演奏者が登場しました。
初めて見るピアニストが2人。やはりそうでした。
ルネ・マルタン氏が自ら種明かし。

バルシャイとケフェレックは当たり。

そして、1人目はベルトラン・シャマユでした。
小柄なのに、あんなにスケールの大きい音楽を奏でるとは!
4日に聴くことになっているので、大変楽しみです。

3人目はダヴィッド・ガドゥシュ。
プロフィールを見ると、ポリーニ、ペライア、ピリス、バレンボイムに指導を受けたことになっています。
その割には、ずいぶんとスタイルが違うように思います。
かなりロマンティックで、崩すタイプです。いやらしくなるぎりぎりの線だったと思います。
音色は素敵でした。

これで今日(すでに昨日)のコンサートはすべて終了。
10時間後にはようやくヌーブルジェとご対面です。

合間合間に超特急で記事をアップしていたこともあり、かなりへばりました。

2010年5月 2日 (日)

ショパン:ピアノ・ソロ作品全曲演奏第3部「旅立ち」@ラ・フォル・ジュル

ナントではなかったようですが、東京のこのシリーズは石丸幹二さんのショパンについてのテキストの朗読からはじまります。

ショパン:ポロネーズ ヘ短調 op.71-3(ケフェレック)
ショパン:ポロネーズ 変ト長調 KK IV a-8(エル=バシャ)
ショパン:ワルツ 変ニ長調 op.70-3(エル=バシャ)
ショパン:マズルカ ハ長調 op.68-1(エル=バシャ)
ショパン:変奏曲「パガニーニの思い出」 イ長調 KK IV a-10(エル=バシャ)
ショパン:ワルツ ロ短調 op.69-2(児玉桃)
ショパン:マズルカ ヘ長調 op.68-3(バル=シャイ)
ショパン:マズルカ イ短調(マズルカ op.7-2初稿)(バル=シャイ)
ショパン:マズルカ ニ長調 KK IV a-7(バル=シャイ)
ショパン:ワルツ ホ長調 KK IV a-12(バル=シャイ)
ショパン:ワルツ ホ短調 KK IV a-15(バル=シャイ)
ショパン:ノクターン 嬰ハ短調 KK IV a-16 [遺作] (ケフェレック)
ショパン:4つのマズルカ op.6(ケフェレック)
ショパン:5つのマズルカ op.7(ジュジアーノ)

今回はダンスづくし。

ケフェレックのポロネーズは華麗。
ただ、曲がまだポロネーズ独特のリズムが少なかった。

エル=バシャはダンス系もしっとりと癒し。まじめで、ひとつのパッセージに慈しみが感じられます。
今回おもしろかったのが変奏曲「パガニーニの思い出」。
左手の伴奏はずっと同じアルペジオによるもので、右手だけが、次々に即興的に変奏されていきます。ひとつの変奏が短く単純なので、初めて聴く曲でしたが、よく理解できました。
いかにもショパンというよう、さまざまな変奏。
ショパンは即興による変奏曲が大の得意だったということ。
おそらく、楽譜に残っていない曲が数多くあったことでしょう。
この曲は、そんなショパンの即興演奏を垣間見るようでした。
そして、エル=バシャの音は昇天しそうに美しかった。

児玉桃さんはまじめで上手なのですが、いかんせん、前後の濃いメンバーたちの中に混じると、やや没個性であることは否めません。
後ろの席のかたが「児玉さんは教科書通りみたい」と言っているのが聞こえました。

バル=シャイは、それこそ児玉さんを吹っ飛ばしてしまうような強烈個性。
2つめの有名なワルツも、日本でこんな風に弾いたらきっと先生に怒られてしまいそう
でも、決していやらしくなく、きちんと音楽になっていると思います。

ケフェレックの遺作のノクターン。
中間部が、左手4拍子、右手3拍子という変わったバージョンの版を使っていたようです。アゴーギクを駆使しながらも、センスが良いので洗練を失わない。

ジュジアーノは比較的インテンポでまじめながら、やはりセンスが良く、素敵だなあと思わせます。

すばらしい演奏の数々にうっとりでした。

ショパン:ピアノ・ソロ作品全曲演奏第2部「青春」@ラ・フォル・ジュルネ

2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンで聴けなかったものを中心に選びました。

ショパン:3つのエコセーズ op.72-3(エル=バシャ)
ショパン:コントルダンス 変ト長調(エル=バシャ)
ショパン:ワルツ 変ホ長調 KK IV a-14(エル=バシャ)
ショパン:葬送行進曲 ハ短調 op.72-2(ケフェレック)
ショパン:ノクターン ホ短調 op.72-1(ケフェレック)
ショパン:ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 op.4(ジュジアーノ)
ショパン:マズルカ イ短調 op.68-2(バル=シャイ)
ショパン:ポロネーズ 変ロ長調 op.71-2(バル=シャイ)
ショパン:ワルツ 変イ長調 KK IV a-13(エル=バシャ)
ショパン:ロンド ハ長調 op.73(エル=バシャ)

エコセーズ、コントルダンス、ワルツ変ホ長調は、本来ならヌーブルジェが弾くはずだったもの。明日からの登場なので、エル=バシャが弾きました。
オーベルシュル・オワーズ音楽祭のCDで聴くヌーブルジュのみずみずしくはじけるインテンポの演奏とは全く違うアプローチ。同じ曲とは思えません。
ショパンの若書きの曲を、成熟した大人が弾くとこんな感じだよ、とでも言っているよう。激さず、慌てず、ニュアンス豊か。これはこれですばらしい。
エル=バシャはとにかく音が優しい。癒し系ですね。
優しいながら今日はよく響いていました。美しかったです。

ケフェレックは相変わらずオシャレで艶があります。
濃いピンクのショパン。

ジュジアーノピアノ・ソナタ第1番。第1番を聴くのは初めてです。
最近では、ショパンコンクールでも弾いて良い曲になったといいます。
見直されているのでしょうか。
確かに、2番や3番にくらべると、普通っぽいかもしれません。
でも、随所にショパンらしい美しい旋律がちりばめられており、悪くないです。
ジュジアーノが珍しく、パッションあふれる演奏を披露してくれました。快演だっと思います。

バル=シャイは例によって、とても椅子を高くして、おまけに座布団まで敷いて立ったような姿勢で弾きます。
前よりアクションは小さくなった気がします。
彼のダンス音楽はとても楽しいです。
リズム感がよく、ありきたりでない、変幻自在の音楽を奏でてくれます。
死んでしまうようなマズルカと、はちきれんばかりのポロネーズの対比が鮮やかでした。
今日のホールの音響は抜群で、バル=シャイの音も明るく透明感がありしびれました。

やはり、このメンバーはとてもレベルが高いことを再確認できました
ヌーブルジェがいないのが何とも残念でした。

アンドレイ・コロベイニコフ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#144

1986年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院でアンドレイ・ディエフに師事し、弱冠19歳で最優秀の成績で卒業。その後、ギル&ジュリアン・シモンズ奨学金を得て英国王立音楽大学にて研鑽を積む。2004年スクリャービン国際コンクール優勝、2005年ラフマニノフ国際コンクール第2位及び聴衆賞受賞

香港シンフォニエッタ&イブ・ヴィンシー(指揮)

【プログラム】
ショパン:モーツァルト「ドン・ジョバンニ」の「お手をどうぞ」による変奏
曲 op.2
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11

【アンコール】
ショパン:マズルカ op.33-4

コロベイニコフもほぼ1年ぶりのライブです。
奇しくもジュジアーノと同じ、「ドン・ジョバンニ」による変奏曲。
うって変わってアグレッシブな演奏。
変化に富んでおり、変奏曲の楽しさはコロベイニコフの方があるかも。

第1番協奏曲は、快速に飛ばすところと、ゆったり歌うところの対比を非常に明確にとっていました。
速いところは、今まで聴いたことのないようなスピードで、破綻しないだろうかとひやひやするくらいでした。
比較的、普通っぽく始まったのですが、曲が進むにつれ、スピード感も増し、熱も帯びてきて、実にスポーティーな協奏曲となりました。
特に第1楽章の展開部とか、第3楽章の終結部などは、体育会系的ノリといえるでしょうか。
若々しく、爽快感あふれ、楽しいコンサートでした。

ほぼ数時間で、ジュジアーノとまったくタイプの違う演奏を聴くことができ、早速ラ・フォル・ジュルネの醍醐味を味わっています。

なお、アンコールのマズルカは実に聴かせてくれました。
出色のでき。明日のリサイタルが楽しみです。

指揮者のウィンシーさんは小柄な女性ながら、たいへんきびきびと構成感のあるわかりやすい指揮をする方でした。
オーケストラは、管はやはり少し安定を欠きましたが、弦はすてきでした。

クレール・デゼール コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#163

14歳でパリ国立音楽院に入学。ジャン・ユボーの室内楽クラス、ヴェンシスラフ・ヤンコフのピアノ・クラスにて一等賞を獲得。その後、同楽院の修士課程に進み、フランス政府から奨学金を得てモスクワに留学、チャイコフスキー音楽院にてエフゲニー・マリニンに師事した。フランス帰国後は、パリ国立音楽院修士課程にてロラン・ピドゥーに室内楽を師事。

【プログラム】
ショパン:ノクターン 嬰ハ短調 op.27-1
シューマン:8つのノヴェレッテop.21より
            第2番 ニ長調
            第8番 嬰ヘ短調
ショパン:ノクターン ヘ長調 op.15-1
アルカン:悪魔的スケルツォト短調 op.39-3
ショパン:幻想曲 ヘ短調 op.49

ジュジアーノのコンサートが延びてしまい、最初のノクターンを聴きもらしてしまいました。好きな曲だったのに。
ドア越しに聴いた感じでは、緩急の対比をとても明確に出しているようでした。
シューマンはあまり親しんでいない曲なので、なんともいえませんが、歯切れよく弾いていました。

ノクターン15-1は、ヌーブルジェでさんざん親しんだよく知る曲。
これも緩急がポイント。
緩のテーマは大変デリケートで、ルバートは多め。ヌーブルジェがかなりインテンポで弾くのとは対照的でした。
中間部の嵐は、慌てず一音一音をしっかり出す、という感じ。
このあたりはヌーブルジェの怒濤のテクニックがすごいのだとわかりました。
アルカンは初めて聴く曲。
ショパンと同時代にパリにおり、ショパンとは友人だったらしいですが、相当な変わり者だったそうです。
曲は、ややリストっぽいテクニカルなもの。
デゼールにはあまり合っていないのではないかなあ。
幻想曲は名演でした。
集中力があり、音楽の流れがすばらしかった。

デゼールの音は、聴いているとなんだか安心できる、とても健康的なものでした。なので、シューマンの屈折した感じや、それこそアルカンの「悪魔的」な感じの表現は弱いものの、とてもすがすがしかったです。

それにしても、G402はとてもデッドで、ダンパーペダルを踏んだ音と、踏まない音の響きの差が激しく、演奏家泣かせではないでしょうか。

フィリップ・ジュジアーノ コンサート@ラ・フォル・ジュルネ#112

シンフォニア・ヴァルソヴィア&ヤツェク・カスプシク(指揮)

朝当日券が手に入ったので急遽聴いてみることにしました。
ジュジアーノは1995年のショパンコンクールで1位なしの2位。
ラ・フォル・ジュルネの常連で、とてもデリケートなショパンを弾くので、シ
ョパンの再来とも言われているそうです。
ショパンの楽譜の校訂などもしています。

【プログラム】
ショパン:モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」による変
奏曲 op.2
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21

5000席のホールAはほぼ満席でした。

「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲は初めて聴きました。ドン・ジョヴァンニ自体見ていないので、知らない曲かと思いましたが、よく知ったメロディでした。
映画「アマデウス」でも使われていたと思います。
長い序奏と華麗なる変奏からなる曲。この曲を聴いたシューマンが「天才の登場だ」と評論したことは有名です。

ホールAには今回前方左右の壁に大きなスクリーンが設置され、演奏者の姿が大映しにされ、遠方からでもよくわかるように配慮されていました。

ジュジアーノの演奏は、以前聴いたときと同様、ナチュラルで軽やかで繊細。
およそヒステリックな音というのがありません。
演奏効果的には派手さはないのですが、手の動きなどみると、大きく長い指をまっすぐ伸ばし、力は完全に抜け、まったく無駄がありません。
実はものすごいテクニックを持っていることがわかりました。

協奏曲は第2番は第1番ほど有名でないものの、若々しいショパンの魅力満載で、大好きです。ジュジアーノはこの曲でも仰々しさを完全に廃し、あくまでデリケートかつ軽やかに音楽を奏でます。
ル・ジュル・ナル・ド・ショパンの頃は、やや物足りないと思ったものですが、今はどうしてなかなか、すてきなショパンだと感じます。

カプシスクの指揮は、最初ややねちっこいかなと思いましたが、第3楽章あたりはだいぶ歯切れがよくなってきたと思います。
オケはやや管が弱かったかもしれません。
第3楽章の終結部に入る前のホルンのファンファーレが無残なことになってしまってしまいました。

ラ・フォル・ジュルネ開幕日朝の様子

いよいよ会場にやってきました。

朝の9:20頃の着いたのですが、ガラス棟の中のロビーギャラリーのチケット売り場にはすでに長蛇の列。
当日券及び3日、4日のチケットが売っていました。
ホールAやCなど、大きなホールのチケットは比較的まだ残っていました。

8:30に売り出されたはずの福袋コンサートのチケットはすでに売り切れ。10時近くになると、ややチケット売り場の人出は減りました。チケットを当日買う人たちは相当出足が早いようです。

Ts3h0001

9:50頃のロビーギャラリーの様子。

やや人出が途切れています。

今10:40。地下広場で小学生によるブラスバンドを聴いています。

だいぶ人が出てきましたが、まだゆったりしています。

2010年5月 1日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ明日開幕

1年間待ち焦がれたラ・フォル・ジュルネ(有料公演)が、いよいよ明日開幕です。

これまたほぼ1年間聴けなかった、ヌーブルジェの生演奏もあと1日半くらいで聴くことができます。

最初に耳にできる曲は
 ショパン:ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2

なんと私でも弾ける曲でナショナル・エディションの楽譜の隅々までよく知っているし、先日ユンディ・リの素敵な演奏を聴いたばかり。
動画で見てしまっていて、多少想像はついてしまうとはいえ、生のヌーブルジェの音に早く打ち震えたいです。
あのきらめく硬質なタッチ、オシャレなルバート。
興奮を抑えられません。

明日からは会場にパソコンを持ち込んで、できるだけリアル・タイムでレビューをアップするつもりでいます。

※ブログのサブ・タイトルに追加をいれました。最近、記事の範囲が広がってきたので。

※連休に入り、俄然アクセスが増えてきました。検索ワードを見るとあながちラ・フォル・ジュルネ関連だけでもないようです。

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