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2010年2月23日 (火)

フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ リサイタル@東京文化会館小ホール

ヌーブルジェ以来、久々の大ヒットでした。
興奮と楽しさにあふれた一夜。

フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ のピアノ
リサイタルを東京文化会館小ホールで聴いてきました。

1981年ルクセンブルク生まれで今年29歳になる、日本ではまだマイナーな若者。ロマン派の曲は弾かないと言い、バッハ以前の曲や、近現代、はてはテクノミュージックの活動もしているという、やや風変わりで多彩な才能の持ち主。

シュリメのバッハは、古典的な様式感・表現形式とモダンでグルーヴィーな感覚をとても高い次元で融合した素晴らしいものでした。

日本では大騒ぎされていないけれども、大変な才能をもったアーティストが世界にはまだまだたくさんいるのだということを、またもや思い知りました。

オール・バッハ プログラム
【前半】
1.コラール前奏曲「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」BWV622(ナウモフ編曲)
2.フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815
3.パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826

【後半】
4.4つのデュエット BWV802~BWV805
5.フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817
    (プレリュードに平均律第1集第5番 ホ長調)
   
【アンコール】
6.ギボンズ :(曲名調査中)
7.シュリメ:オリジナル曲

ゆっくりとした足取りで登場したシュリメは、ノータイでダークのスーツに身を包む。
コラール前奏曲がゆっくり始まる。
編曲ものなので、ペダルは使用し、しっとりとしながらもかなりの集中を保つ。
フランス組曲第4番のプレリュードの意味で置いたのか、間髪をいれずにアルマンドに入る。

ここから先は、両足とも床にしっかりとつけ、つまり、ダンパーペダルもソフトペダルも使わずに、指のコントロールだけで様々なアーティキュレーション(音の表情)を表現してみせました。多少、補助的にペダルを使うのかと思っていたら、とうとう、アンコールのギボンズまで ただの一度もペダルに足をかけない

フランス組曲第4番のアルマンドは、ロマン派の曲を先取りするように、とても流麗に書かれており、ペダルで響かせながら弾いても違和感のない曲であるのに、シュリメはクラシカルな表現に徹し、楽譜どおりの音の保持によって、響きを演出します。
ノンペダルなのに、音のエッジは柔らかくそがれ、その音色は甘く優しく切ない
なんとオシャレで素敵なことでしょうか。
スタンウェイのピアノから、こんなに優しい響きを取り出すピアニストは初めてです。

そして、時折ふと見せるアゴーギク(テンポの揺れ)、普通は埋もれがちの旋律を特別目立たせたり、リピートしたときに付点のリズムに変えたり、それでいてナチュラルでこれ見よがしでなく、実に飽きさせない新鮮な演奏。

パルティータ第2番。ペダルで響かせない分、装飾で華麗な演出。
テクニックを誇示せず、決して激さず、ソフトでメローなタッチと落ち着いたテンポながら、タテノリ感がある。ブラボーと叫ばないわけにはいきませんでした。

後半最初のデュエットは、ほとんど初めて聴く(実はリヒテルのCDで一度は聴いていたのにほとんど忘れていた)曲であったにもかかわらず、演奏にぐいぐい引き込まれてしまう。
良い曲だなあ、と思わせる。

ラストのフランス組曲第6番。あれ、平均律のプレリュード? 曲目変更か、と思ったら、フーガにはいらず、6番のアルマンドが始まる
後で調べたところ、そのような筆写譜があるという。

この6番がまた良かった。
生き生きとしたリズムのアルマンド。快速のクーラント。
相変わらずノンペダルながらしっとりのサラバンド。リピートではよりデリケートに装飾も華麗。
ガヴォットやメヌエットは焦らない。
ジーグはめくるめく旋律の入れ替わり。実に楽しく、飽きない。

アンコールのギボンズ。もしかしたらグールドあたりが弾いたのかもしれません。バッハを先取りするような、シンプルながら洗練された音楽。

そして締めはシュリメのオリジナル曲
変拍子ではないのですが、ジャズの名曲「テイク・ファイヴ」を彷彿とさせる独特のリズムによる伴奏の旋律が、最初から最後まで一貫して、執拗につづく。
その伴奏のうえに、シンプルなで現代的な単旋律が乗る。
ディナーミク(音の強弱)の大きな変化。しかし、大きくなってもやはりシュリメは激さない。叩かない。
途中、ダンパーペダルを徐々に踏み出し、音楽が盛り上がり、これで大団円かと思いきや、またもやノンペダルのピアノに戻っていく。
ずっと同じようなリズムと旋律が続くのに、妙に後を引く、面白い世界でした。

特別奇をてらったり、超絶技巧を誇ったりといったことをしないのに、魅力にあふれていて、シュリメの演奏には強烈に引き込まれてしまいました。
一流の個性を持ったオーラのあるアーティストであると言えましょう。

リサイタルの案内パンフレットに「バッハ~グールド~シュリメ」などと書かれており、この手の宣伝は、話半分くらいに思っている方が無難なものです。
しかし、シュリメに関しては、あながちこの宣伝は誇大ではないと、リサイタル後には感じました。

それくらい、インパクトのあるリサイタルでした。

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