ピアノさまざま
この2日間で4台の異なるピアノを、それぞれある程度の時間弾きました。
グランドが2台(両方ヤマハ)、アップライトが2台(両方クロイツェル)。
生の楽器ですから当然といえば当然ですが、音からタッチまで、すべて全く異なります。
ヤマハのグランドは、ここ1年でたぶん7~8台は弾いるのに、なかなか素敵な音が出るピアノには出会えません。
フルコンサートはたまにプロも使用するように、だいぶ定評があるようです。
かつてはリヒテルが愛用していたし、グールドが晩年に弾いていたのはヤマハでしたし、なんといっても、ヌーブルジェの最新CD(ベートーヴェン集)はヤマハで録音されています。
なかなか透明感のある、良い音だと思います。
ただ、一般向け大量生産のヤマハピアノは、どうも色気がないです。
ピアノの先生に言わせると、ひとつひとつの音はまあまあでも、和音を鳴らすと、色気のない音になってしまうとのことでした。
私の調律師に言わせると、上手に調律できる人がそうそういない、ということもあるそうです。
確かに調律でいろいろ調整してもらうと、同じピアノでも音は七変化します。
アップライトのクロイツェル。
日本の浜松のメーカーで、ドイツ人のクロイツェルに由来する会社で、ハンマーなどは有名なレンナーハンマーを使うなど、中身はドイツ系だそうです。
普段家で弾いているのは、そのクロイツェルのかなり古いタイプ-たしか、40年以上経過している-です。
そして、その音は極上です。
とくに右手の中音域は、艶があってうっとりするような音が出ます。
まあ、アクションにかなりガタがきているので、うまくコントロールするのが難しいピアノになってしまっているのですが、いまだにこのピアノ以上素敵な音がするピアノを弾いたことはありません。
きのう弾いた、もう1台のクロイツェルのアップライトもそう悪くありません。
こちらは左手の低音部がなかなか素敵。
調律師からいろいろなピアノの話を聞くと、グランドでもアップライトでも、本場ヨーロッパの良いピアノは、それは素敵な音を奏でるそうです。
もっといろいろなメーカーのピアノを弾いてみたいものです。
(6月にはやっとスタンウェイが弾けそうですが)
ツィメルマンはピアノにこだわっていることで有名です。
自分でも作ってしまうそうですから。
コンサートには確か持参していたはずです。
でなきゃ、あんな音出ません。
ポリーニも自分のピアノ持参派(スタンウェイ)。
ブーニンは最近ファツィオリだといいます。
シフはウィーン系の曲は、絶対ベーゼンドルファー、と言っています。
ピリスはヤマハ。
ホロヴィッツはニューヨーク・スタンウェイ。
(ちなみにスタンウェイはアメリカ発祥でドイツが後です)
ヌーブルジェはあまりこだわらないようですね。
以前、何かのインタビュー記事に書いてありました。
逆に、いろいろな個性のピアノを弾くのが楽しみだ、と。
ピアノはさまざま、ピアニストもさまざまです。
« 若きアンドレ・プレヴィンにびっくり | トップページ | 久々にマジック・オヴ・ホロヴィッツを聴いてみる »
「随想」カテゴリの記事
- ヌーブルジェを呼びたい(2012.05.12)
- 2011年 ベスト・ピアノ・コンサート(2011.12.31)
- リスト ピアノ・ソナタ ロ短調(2011.11.11)
- キーシンは未だにバブっているらしいけど、地方公演の実態は・・・(2011.10.23)
- ピアニスト、ライジング世代(2011.08.07)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント