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2010年1月24日 (日)

素晴らしいリヒテル!~やはりヌーブルジェの原点か?

リヒテルの晩年、若かった私は聴く機会が何度かあったのに、結局、一度しかリサイタルに足を運びませんでした。

若造の身にはあまりにもチケットが高かったということが理由のひとつ。
ポリーニやアシュケナージ、アルゲリッチなどのようにモダンな若き巨匠たちに夢中だったことがひとつ。

唯一行ったリサイタルのメインの曲はシューベルトの最後のピアノ・ソナタ21番でした。
あとの曲は記憶から飛んでしまいました。
当時、シューベルトのソナタなどよく聞き込んでおらず、舞台から遠い3階席だったこともあり、あの地味な曲をBGMにして半分眠っていたような感じでした。
(もっとも、この曲は後年リヒテルの名盤の誉れ高きCDで聴き直して、その素晴らしさにやっと気がついたものです)

レコードやCDも何枚かは聴きましたが、やはりポリーニの新盤などを追いかけるのがせいいっぱいで、リヒテルの価値にはあまり気がつきませんでした。

ここ数年、リヒテルのアルバムを少しづつ集めて聴くようになってきました。
ライブ録音が多いわけですが、そのどれもが素晴らしい!

音楽の作りはオーソドックスの枠を逸脱することなく、優しさと激しさ、天国的な美しさと悪魔的な超絶技巧が同居してバランスをとっている。美しい系の音は、心の奥深くにしみ入り、激しい系の音は、ドーンと頭を殴られるよう。

いかつい体型と迫力ある面構えからは想像しづらい、真の芸術家の魂が、どのアルバムにも宿っています。

今回ショパン・アルバム(15曲)と、モーツァルト・ソナタ・アルバム(5曲)を聴いてみて、どちらもまた名演揃いなので、ますますリヒテルが偉大だったことを実感しつつあります。

さて、ヌーブルジェが何度かリヒテルの演奏は非常にすばらしくて参考になる、というような趣旨の発言をしています。

ある種の曲では、リヒテルとヌーブルジェの演奏は、テンポ設定やデュナーミクなどの表現で、明らかに似ている部分があることに気がつきます。

ラ・フォル・ジュルネで弾いたバッハのソナタがそうでした。
今回聴いたショパンのノクターンOp.15-1やOp.72-1なども結構影響を受けているような気がします。

直接曲を聴いて参考にしているかどうかはわかりません。
ただ、曲に対するアプローチのしかたは共通点が多いような気がします。

もちろん、リヒテルとヌーブルジェでは音質が全然違います。
力強さ中に優しさがあるリヒテル。
輝くような明るさと鮮烈さがあるヌーブルジェ。

しかし、ありあまる技術に支えられ、なおかつ音楽的であろうとする姿、クラシックの正統を踏み外さないながらもハッとする表現、大胆なデュナーミクの変化、表面的でない深い音楽の追求。
こういった点で、ヌーブルジェはリヒテルの辿(たど)った道を同じように辿っているのかもしれません。

そして、いずれ「巨匠」と呼ばれるような時がくることを願ってやみません。

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