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2010年1月18日 (月)

久々にマジック・オヴ・ホロヴィッツを聴いてみる

昨日ホロヴィッツがニューヨークのスタンウェイを弾いていることを書いたら、無性にホロヴィッツを聴いてみたくなって、CDライブラリを眺めていたら、買ったままあまり聴き込んでいなかったアルバムをみつけ、聴いてみました。

『マジック・オブ・ホロヴィッツ』
ホロヴィッツが亡くなる最後の5年間に録音された小品集です。
2枚組みで全部で24曲も入っています。

半分くらいしかしらなかったので、なんだか全部を根気よく聴けなかった記憶があります。
今は、リストのいくつかの曲バッハ/ブゾーニのコラールショパンのマズルカラフマニノフの前奏曲モーツァルトのロンドなどに以前より親しんでいるので、ちょっと興味深いアルバムに化けていました。

しかし、ホロヴィッツの晩年といえば、あのボロボロだった初来日公演(1983年)よりさらに後の演奏なので、かなり危ないのかと思いきや、なかなか素晴らしい演奏ばかりです。
(あの「ひび割れた骨董」と吉田秀和に言われた来日公演は、薬の影響で体調的にひどかった、ということのようです。)

ホロヴィッツの演奏は、現代のクールでテクニカルなピアニストたちには、とうてい期待できない豊かでダイレクトな詩情にあふれたものです。
聴き慣れないうちは、モダンでなくて古めかしい感じがするのですが、慣れるにうちにまさにマジックをかけられたような気分になってきます。

名盤だと思います。
かなり気に入ってしまいました。

特に良かったもの。
 リスト:忘れられたワルツ第1番
     (私が今練習している曲、とてもこんな風には弾けない)
     ペトラルカのソネット
     (ヌーブルジェがルーヴルで弾いた曲、素敵です)
 スクリャービン:練習曲嬰ニ短調Op.8-12、嬰ハ短調Op.2-1
     (こんな良い曲を今まで知らなかったなんて)
 ショパン:マズルカ
     (うまい!の一言)
 バッハ/ブゾーニ:コラール・プレリュード
            
「来れ、異教徒の救い主よ」
     
(実にロマンティク)
 ラフマニノフ:前奏曲ト長調Op.32-5、嬰ト短調32-12
     (作曲者自身の演奏を知っているに違いない)

その他では
 シューベルト:良い、というより、面白い。
 シューマン:クライスレリアーナは若い頃のCBS盤の迫力はないものの、独自の表現

ヌーブルジェの延長線上には、このホロヴィッツ的な世界はないでしょうねえ。
外向けな音楽の快感のようなものを与えるホロヴィッツ。
内向きのエネルギーが強烈でシリアスな音楽を追究するヌーブルジェ。

ヌーブルジェが啓発を受けているのは、求道師リヒテル
インタビュー記事で何度か言っています。
まさに、リヒテルの世界の後継者と言って良いと思います。

ホロヴィッツの後継者はいないのかなあ、と考えていたら、ランランが浮かんできました。
ランランはホロヴィッツのあの独特の奏法をいくらか取り入れています。
そして、あの発散系。
テクニシャンで「魅せる」音楽を目指しているようなところがありますから、資格があるように思います。

ただ、身体の動きはもう少し押さえた方が良いと思いますね。
音楽を聴くのに身振り手振りがうるさすぎます。
ホロヴィッツは、がっしりと上体を固定し、腕から下の運動だけで、あれだけのテクニックを実現しています。
音楽を表現するのに身体を動かす必要はないというのが彼の持論です。

ランランがもう一皮むけて、身体を揺らさなくなったり、顔の表情をもっと普通にしていられるようになったら、違う境地にいけるのではないでしょうか。
パーフォーマンスではなく、音楽そのもので聴衆を魅了しないと。

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