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2010年1月23日 (土)

上原彩子ピアノ・リサイタル@サントリーホール

2002年にチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門において、女性で初めて第1位。
日本人ピアニストでは上原さんだけです。
(ヴァイオリンでは諏訪内さんと神尾さんの2人)

土曜日のマチネ。
聴くのは初めて。
ピアノはヤマハでした。

【前半】
J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集 第1部より 
 『第1番 ハ長調』『第7番 変ホ長調』『第8番 変ホ短調』
タネーエフ:プレリュードとフーガ 嬰ト短調 Op.29
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第30番 ホ長調 Op.109

【後半】
リスト:J.S.バッハのカンタータ「泣き、悲しみ、悩み、おののき」の通奏低音とロ短調ミサの「クルチフィクス」による変奏曲
西村 朗:神秘の鐘より 第1曲 『薄明光』
リスト:パガニーニによる超絶技巧練習曲集より
 第3番 『ラ・カンパネラ』
リスト:巡礼の年 第2年 「イタリア」より
 第4番 『ペトラルカのソネット 第47番』
 第5番 『ペトラルカのソネット 第104番』
リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調

【アンコール】
ショパン:エチュード Op.10-3『別れの曲』
カプースチン:8つの練習会用エチュードより『プレリュード』

チャイコフスキーコンクールの覇者だけに、テクニカルで叙情たっぷりの演奏を予想していたのですが、半分はずれました。

テクニックはもちろん申し分ないものの、それを前面にはださず、ソフトでクラシカルな表現でした。
けっしてガツガツ、キンキンすることはない。
非常に繊細。

前半は、実は最初のバッハ1番の平均律を聴いているときから睡魔に襲われ、ベートーヴェンが始まるまで記憶がかなり飛んでいます。
バッハはペダルをかなり多用し、エレガントかつロマンティック。
眠るには最高のBGM(ジョークです)

ベートーヴェンの30番は昨年以来何度か聴いていて、なんといっても内田光子が素晴らしかった。
上原さんは十分細部を作り込んでいてこれもまたエレガントで、内田さんに肉薄するくらい上手でした。
あとは、求心力というか、オーラというか、そういったものが出てくるかどうかでしょうか。
今のところやや綺麗すぎるきらいはあります。

後半はリストをたくさん弾きました。
ラ・カンパネラとハンガリー狂詩曲は超有名ですが、あとは決してメジャーではないので、聴衆の集中力に差があったようです。
私も例にもれず。

音色はもちろん前半と変えてきたものの、リストや西村の現代曲であっても、やはり基本的にはソフィスティケートされた音楽を追究していました。
もうちょっと、ブリリアントでメリハリがあるほうが、リストや現代曲は合うような気はするのですよね。

手垢にまみれているラ・カンパネラ「こんな風にも弾けるのですよ」というように、やはりテクニカルな側面を抑制して、他のピアニストとは明らかに一線を画す、超繊細な表現だったのには感心しました。

ハンガリー狂詩曲もスタンスをかえません。
こちらは、プログラムの最後の盛り上がりだし、もうちょっとテクニカルに弾いてもよかったのではないかなとは思いました。

本プログラムが終わり、舞台そでに戻る背中に、何となく疲労感を感じました。
もしかしたら、体調が万全でなかったのではないだろうか?

アンコールの「別れの曲」
メインの旋律は叙情豊かで、バランスもとれていて大変素晴らしい。
中間部はやはり抑えめでした。

カプースチンはジャズ風の現代曲。
リラックスモードでしょう。

ヤマハのピアノだったこともあり、スタンウェイのようにキラキラしない、ソフトな透明感を求めているように思いました。

今年もチャイコフスキーの協奏曲などをやるようですが、果たして、上原さんは今日の演奏の延長線で、チャイコフスキーをどう弾くのだろうか?
チャイコフスキーコンクールの覇者でありながら、何だかあまり合わない気がするのです。
バリバリ、クネクネ、とても今日の演奏からは想像できない。

ロマン派の曲より、むしろ、古典派の曲とか、ロマン派でもデリケートなショパンやシューベルトなどが、彼女のエレガンスを生かせるような気がしてなりません。

日本人はテクニックはあるけれど音楽的には×という評価を昔から良くききます。
でも、最近の若いピアニスト、山本貴志、河村尚子、そして今日の上原彩子などを聴くと、テクニックよりは音楽、という方向を目指しているようで、なかなか将来が楽しみです。

ヌーブルジェはテクニックも音楽も、なんでまいっているわけです。

※日本人の女性ピアニストだけ「さん」付けしないと落ち着かないのはなぜでしょうか。あとは失礼ながら、ヌーブルジェだのポリーニだの山本貴志だの呼び捨て平気なのに・・・

※ホールの入りは9割ほど。聴衆はまあまあ。でもバッハが始まる直前にアラームが鳴ってひやりとしたり、ベートーヴェンが終わりまだ余韻があるうちにものすごい咳き込みがあったり、私の前の席の人は演奏中にペットボトルの水を飲んでいたし、気になることはいろいろ。
いくらんなんでも演奏中に飲食はちょっとひどすぎるのではないでしょうか。

※「のだめカンタービレ」の映画で、マルレオケのコンサートマスターのシモン役を演じた役者さんがいました
190センチはあろうかという巨漢で目立つわりに、あまり周囲は気にとめない。
今月観たばかりだし、親しみがわいて、ポツンとしていたのでつい話しかけてしまいました。
「映画とても楽しかったです」
日本語がわかる方で「それは良かった」

假屋崎省吾さんをまた見かけました。
相当ピアノが好きなのですね。
お友達になれるかもしれません。

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コメント

wolverinesさま:

大阪ではスタンウェイ弾くのですか!?
なんでもヤマハの息がかかっているので、ヤマハしか
弾かないというのは、都市伝説だったのですね。

私は彼女のスタンウェイでの響きをぜひ聴いてみたいです。

大阪でのリサイタルは今回も前回もピアノはスタンウェイでした。
シンフォニーホールといずみホールはスタンウエイがデフォルトなのかな?
上原さんのピアノが大好きですなんでヤマハピアノでの演奏も聴いてみたいですね。

saraiさま:
いらっしゃいませ(~o~)

やはり抑え気味だったのですか。
ベートーヴェンをたくさん勉強しているとプログラムにありましたから、少し変化を模索しているのかもしれませんね。

どう進化していくか楽しみです。

まいくまさん、saraiです。

当方のブログにお越し願いありがとうございました。
今回の上原彩子は幾分、抑えた演奏でした。彼女もまた新しい表現を模索しているのでしょう。
その過程を一緒に楽しめるのは、ファンにとって、嬉しいことでもあります。

こちらでも、映画「のだめ」に同じような感想をお持ちで共感できます。
今後ともよろしくお願いしますね。

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