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2009年12月13日 (日)

中村紘子 ピアノ・リサイタル@東京文化会館

もう50年もプロとして弾いているですね。
ピアニストは、統計的にはどうだか知りませんが、かなり高齢まで現役で活動できる仕事のように感じます

たまたま時間ができて、東京文化会館(大ホール)で行われた、中村紘子のデビュー50周年の記念リサイタを当日券(3階ほぼ中央)で聴いてきました。
中村紘子を生で聴くのは、もう○十年ぶりです。

【1961年12月、東京文化会館での初リサイタルの再現プログラム!】 とのこと。

【前半】
・スカルラッティ=タウジッヒ:パストラーレとカプリス
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13 “悲愴”
・シューマン:謝肉祭 Op.9

【後半】
・フォーレ:ワルツ・カプリース 第1番 Op.30
・ラフマニノフ:2つの前奏曲 変ホ長調 Op.23-6
                  ト短調  Op.23-5
・ショパン:
  バラード 第1番 ト短調 Op.23
   練習曲 変ト長調 Op.10-5 “黒鍵”
  練習曲 ハ短調 Op.10-12 “革命”
  ポロネーズ 変イ長調 Op.53“英雄”
 
【アンコール】
・グルック:“精霊の踊り”
・ショパン:
  ワルツ 第5番 変イ長調 Op.42
  ワルツ 第7番  嬰ハ短調 Op.64-2
・ラフマニノフ:前奏曲 嬰ト短調 Op.32-12
・ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66

 昔からの中村紘子の演奏の印象は、起伏があって激しく、硬質ではぎれが良い、というものでした。
 その昔、ライブで聴いたときは、ちょっと尖っていた感じがしたと記憶しています。
 定かかどうかわかりませんが、若い頃はハイフィンガー奏法でそれこそカツカツと弾いていた(井口愛子の
影響?)のが、あるときから指の腹で弾くようなレガート奏法に変えたと、記憶にあります。
 最近は、昔より良い音楽が演奏できるようになってきた、という本人談の記事を読んだこともあり、また先
日のレオン・フライシャーの演奏を聴いてベテランも悪くない、と感じていました。
 そんなこんなで、中村紘子の最近の演奏を聴いてみたいという気持ちは芽生えていました。

 最初のスカルラッティは力が抜けていて、なかなか素敵な演奏でした。

 悲愴ソナタは第1楽章序奏はゆっくり、テーマからはかなりのスピード。ディナーミクの大きな変化やアゴーギクを駆使して、平板でない。第2楽章は遅くもなく早くもなく、過度にべたべたもせず、第3楽章は超スピードロンド。第3楽章はもうちょっとゆっくり聴かせて欲しかったでしょうか。

 謝肉祭。個人的にやや思い入れのある曲です。シューマンの気まぐれ的でせわしい感じが顕著に表れる。つかつか舞台に登場してきた中村紘子は、聴衆を一瞥(いちべつ)することもなく、まだ拍手の鳴り止まぬなか、それこそせわしなく演奏を開始。シューマンの世界にずんと入っていったようです。
 やはり起伏、変化の激しい演奏。速い部分がまた相当に速く、やや荒っぽいくらい。でもシューマンらしい
と言えば、らしかったかもしれません。

 後半、フォーレ、ラフマニノフはあまり聴かない曲なのではありますが、結構良かったです。特にラフマニノフのト短調の前奏曲はメロディーが現代のポップスのようで、わかりやすく、気に入りました。

 そして、最後のショパン。有名な曲ばかりで、今年だけでも何度もライブで聴きました。
 テクニカルな曲が多かったせいか、疲れが出てきたのか、今年聴いた若手の名手(ヌーブルジェ、マンゴー
ヴァ、横山幸雄、メジューエワ)などに比べると、やや技巧的に安定を欠く感じがしました。
 左手の決めをかなり重視していて、この音を聴いてほしいのだ、という意思はよく感じました。
 また決して平板にならず、いろいろ変化をつけているのもよくわかります。
 ただ、特にフォルテの和音の質がどうも良いとはいえない(やや濁る)のと、音楽が激するところが激しす
ぎ、というか、崩壊寸前という感じでした。
 一番危なかったのが、最後の英雄ポロネーズでした。
渾身の力を振り絞った演奏が、コーダあたりでは空回りして、音が壊れてしまいました。

アンコール、力の抜けたグルックは良い。
ショパンワルツは、やはりいろいろ工夫をして作っていました。若い人にはこんな風に演奏はできないでし
ょう、という感じ。嬰ハ短調は、ペダルの使用を抑え、もしかしてホロヴィッツ風?ワルツというより、マズルカのようでした。
ラフマニノフは自家薬籠中といった感じ。
幻想即興曲。最後の最後でかなりリラックスしているよう。すごく速いのと、内声を抑えてかなりメロディ
ーを浮きだたせる。手垢のついた曲から新鮮な解釈。これはなかなか楽しめました。

全体的には、力の不要な部分の演奏はなかなかで、円熟を感じさせるものながら、テクニカルで大音量を要求される部分は、かなり無理しているように見受けられ、尖ったところがあまり良くなく出てしまっているように感じました。

今年聴いたポリーニが、エチュードやスケルツォで昔の演奏を再現しようとして、あまりうまくいっていなかったのと、少しかぶりました。

50周年記念で昔のリサイタルの再現だったために、先日テレビで見たレオン・フライシャーのように、ベテランの円熟をうまくいかせるような選曲とはいえなかったのかもしれません。

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