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2009年11月12日 (木)

アレクセイ・ゴルラッチ ピアノ・リサイタル@浜離宮朝日ホール

1988年ウクライナ生まれの若手です。
まだ21歳。ヌーブルジェより若い
2006年に浜松国際ピアノコンクールで優勝したのをはじめ、数々のコンクールで優勝。
つい先だっての2009年9月にはリーズ国際ピアノコンクールで2位。
(浜松で優勝しただけではまだ足りないのでしょうか)

浜離宮朝日ホールでリサイタルを聴いてきました。

姿勢よくゆったりとあらわれたゴルラッチは、まだ10代にも見えそうな童顔。
演奏姿勢は自然で癖がなく、まじめです。
最初から最後まで大変高レベルの演奏でした。
アンコールはなんと6曲。
お腹いっぱいです。

前半】
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番 変イ長調 Op.110
・ドビュッシー:前奏曲集より
 1.音と香りは夕べの大気の中に漂う
  2.西風の見たもの
  3.亜麻色の髪の乙女
  4.花火

【後半】
・ショパン:「舟歌」 嬰ヘ長調 Op.60
・ショパン:12の練習曲 Op.10

【アンコール】
・シューマン:幻想小曲集 Op.12より「夢のもつれ」
・ショパン:マズルカ Op.33-1
・ショパン:ポロネーズ  変イ長調 Op.53「英雄」
・ショパン:マズルカ Op.33-2
・ショパン:ワルツ第1番 変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」
・ショパン:ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1

ベートーヴェンの31番ソナタ
私は大好きで、いつか弾いてみたい曲のひとつです。
これまで何人もの演奏を聴いてきました。
先般、山本貴志で聴きました。
山本貴志は猛烈にデリケートで、ディテイルにこだわった演奏でしたが、ゴルラッチは音楽を大きくとらえ
て流れを作っていました。
とてもナチュラルで、安心して聴けました。
ときどきハッとルバートをかけることがあり、これは後半のショパンの伏線でした。
第3楽章の2回づつ奏される「嘆きの歌」の嘆き具合や、「フーガ」の表現のしかたにいつも注目していま
す。
「嘆きの歌」の2回目はよく嘆いていました。
「フーガ」の1回目は、比較的早めのテンポで軽やかに、そして2回目はややスピードを落とし、タッチを
より軽くしてペダルをつかって宇宙的な響きを出し、ベートーヴェンの後期の境地を表現しようという意がよくわかりました。この2回目のフーガの表現は、私には新鮮でした。
ベートーヴェンコンクールで後期ソナタ作品優秀演奏賞をとっただけのことはあります。
秀逸な演奏だったと思います。
カーテンコールが途絶えそうだったので、一生懸命拍手してつなぎました。

ドビュッシーは、例にもれず、私は論評するだけの力はありません。
今回ゴルラッチの演奏を聴いて、大変素晴らしい音楽だと感激しました。
ゴルラッチの音色は、ヌーブルジェのようなブリリアント&クリスタル系ではなく、もうすこし音が丸くて
暖かい感じがします。ですので、ドビュッシーの色彩も暖色系の豊かなものだったと思います。

ショパン舟歌。晩年の名作。
やはり作りが大きく、堂々としている中にも、ニュアンスをよく表現し、響きも豊かで、堪能しました。

ショパンOp.10の練習曲
全体としては、テクニックでがんがん押していくのではなく、ニュアンスを大事にし、また叙情的な曲では
テンポ・ルバートをかなり多用し、古風なタイプのアプローチでした。

1番は比較的遅めのテンポで、一気に上下するのではなく、階段を数段づつ上がり下がりする感じでした。
やや不器用に聞こえましたが、あれが解釈なのだと思います。
2番はうってかわって高速で、3、4、5の指で弾くもっとも難しい部類のこの曲を余裕をもって弾きました。
3番「別れの曲」非常に叙情的。こういうのは久々に聴きました。最近の若い人にはめずらしいです。
テンポ・ルバートの嵐でした。
4番はまたかわって、テクニカルに。でも抑揚はつけています。
その他、6番、9番、11番あたりが叙情的でルバートをきかせていました。
5番、7番、8番、10番あたりはテクニカルですが十分音楽的で、豊かな響き。
12番の「革命エチュード」が非常に期待をしたのですが、これはやや期待していたほどではありませんで
した。とても良く弾けているものの、私にはヌーブルジェの動画の壮絶演奏が焼き付いていますので、どうしてもあれと比較してしまうのです。

アンコール1曲目はシューマン。エチュードの後だっただけに、ショパンのようなシューマンでした。

マズルカは33-1と33-2が弾かれました。どちらも小品で性格的な作品ですが、リズムがマズルカらしくて良い雰囲気が出ていたと思います。33-2は3拍子でなく2拍子のように聞こえましたので。

3曲目に英雄ポロネーズとは思いもよりませんでした。
やる気まんまんですね。
これもエチュードと同じアプローチで、一気呵成に弾ききるというノリではなく、フレーズフレーズを大事
にしていました。そして、やはり大きな構成力をもっていました。中間部のオクターブによるピアノのパッセージなども大変印象的でした。バランスのよい、立派な演奏だったと思います。

5曲目が1番のワルツ
普通は集中がとぎれてきて、逆にリラックス気味に弾くピアニストが多いですが、ゴルラッチはあくまで集
中して本プログラムと同じようにきっちり弾きます。
実にバランスのよい上手なワルツでした。
とかく、早すぎてしまったり、デリケートすぎてしまったり、逆に飛び跳ね過ぎてしまったり、いろいろな
ワルツがありますが、この日のワルツは素敵でした。

そして、なんと6曲目がノクターン13番ハ短調。
私が一番好きなノクターンではないですか。
ルイサダが弾き、山本貴志が弾いています。
提示部の緊張感、中間部の嵐、再現部の華麗な変奏と、対比的な部分部分をどうやって弾きわけるかをいつ
も注目しています。
ゴルラッチは、提示部はややあっさりめで緊張感がもう一つでしたが、その後のアプローチは、ほぼ私が期
待するとおりで、かなり満足した演奏でした。

大変、煩雑な感想になってしまいました。
数多く聴いて、もちろん、ヌーブルジェのような圧倒的なインパクトを受けたわけではないですが、どれも
がそこそこ感銘を受けたので、こんなに書くことになってしまいました。

また若い才能と出会ってしまいました。
今後もぜひ聴いてみたいピアニストのリストにいれました。

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