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2009年10月 8日 (木)

山本貴志ピアノ・リサイタル@浜離宮朝日ホール

先日、ショパンのレクチャー・コンサートを聴いた山本貴志のベートーヴェン・リサイタルを築地の浜離宮朝日ホールで聴いてきました。
使用されたピアノはウォルナット仕様のスタンウェイという珍しいもの。
一般的なスタンウェイのピアノとだいぶ趣の異なる柔らかく美しい響きでした。

【前半】
ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109
 ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op.110

【後半】
 ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111

【アンコール】
ショパン:ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2

ショパンでは非常に聴き応えのある、個性あふれる演奏を披露してくれた山本貴志。
ベートーヴェンになっても、アプローチは一貫していました。
とにかく、一音一音に対する思い入れがすごい。
歌う、うめく、あえぐ
そして、かなりゆったりとしたテンポ。
音楽を追うのにかなり集中が入りました。

すべての曲に共通だったのが、弱音を非常に大切に弾くこと。
30番、31番の冒頭などは、聴衆の息が止まるのを待っていたかのような弾きだしでした。
30番と32番の変奏曲は、1曲1曲の性格を明確に弾きわける。
31番のフーガは、遅めのテンポでためにためる。
32番の第1楽章は、遅い部分と早い部分を相当意識的に変化をもたせていました。

ベートーヴェンの後期という曲の性質と、山本貴志のたっぷりためた表現のためでしょうか、機密性の高い時間を過ごした気がします。

アンコールのショパン・ノクターンは、手垢にまみれているともいえるくらい超有名な曲です。
ライブでも何度も聴いたことがありますし、CDでいくつも聴いています。
今日の演奏は、過去聴いたなかでも飛び抜けてデリケートでした。
最初から最後まで、とうとう激することなく、ソフトペダル踏みっぱなしで、さわったらこわれてしまうような音楽を奏でました。

とてもまじめで、また、何をしたいか、はっきり主張を持っている演奏。
ただ、もう少し身体の力が抜けてナチュラルな感じになっていくと、もっと良いかもしれない。
それから、前回のショパンと同じく強奏の部分でやや技術的な荒が目立つので、そのあたりが課題でしょうか。

スタンウェイらしからぬピアノの響きは、山本貴志の音楽ととてもマッチしていたと思います。
聴衆のレベルはかなり高いと思われ(何せ曲が曲ですからね)、演奏開始前の静寂度や、演奏中の雑音の少なさ、拍手のタイミングなど、最近ではピカ一でした。

もっとも、入りが6~7割というせいもあったかもしれませんが・・・

※ヌーブルジェ・ファンの假屋崎省吾さんが聴きにきていました。
※32番ソナタの終結部分トリルは、この日の山本貴志の演奏も十分デリケートながら、今年聴いたクリスチャン・ツィメルマンの演奏が、やはり天国的な極みの世界だったことがわかりました。

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コメント

ノクターンさま:

いらっしゃいませ。
彼を知ったのは最近です。
日本人も個性を主張するようになったなあと思います。

今日はとても行きたかったのですがいけませんでした。
こちらで様子が伺えて良かったです。ありがとうございました。
コンクールのときからずっとファンです。

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