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2009年10月 3日 (土)

イリーナ・メジューエワ ピアノ・リサイタル「夜の風」@白寿ホール

河村尚子のクラシカルでオシャレな音楽を聴いたあと、およそ真逆のストイックで強い情念がにじみ出る音楽を聴いてしまいました。
昨日10月2日です。

イリーナ・メジューエワ
プログラムがなかなか難しいので前売りチケットは求めていなかったところ、急遽思い立って行ってみることにしました。
白寿ホールは初めて。
当日券はまだある程度残っていました。全席自由だったので、ホール中央にて聴くことができました。

【前半】
1.スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番 嬰ト長調 作品19「幻想ソナタ」
2.ラフマニノフ:楽曲の時 作品16
 第1曲~第6曲

【後半】
3.スクリャービン:ピアノ・ソナタ第10番 作品70
4.メトネル:ピアノ・ソナタホ短調 作品25-2 「夜の風」

【アンコール】
スクリャービン:プレリュード 作品16-3

私は聴く音楽の範囲がそれほど広くありません。
バッハ、古典派、前期ロマン派が中心です。
近現代ものは苦手。
食わずぎらい。

ですので、この日のプログラムでなじんでいる曲は1曲もありませんでした。
スクリャービン、ラフマニノフは「聴いたことがあるかも」程度で、メトネルにいたっては、その名前さえ、最近知った程度です。
なので、演奏が良いの悪いのということは、ほとんどわかりません。
突然行くことになったので、事前の勉強もまったくなしでした。

スクリャービンはやはりわかりずらい。
特に10番の方になると、どこがソナタなのだかさっぱりです。
「神秘的」であることはわかりますが。
わからないせいもあり、どうも前半はラフマニノフの、後半はメトネルの前座の腕鳴らしに感じました。

ということで、ラフマニノフと、メトネルは凄まじかった。
曲はどちらもわからないながら、それほど前衛的な音楽でないので、ついてはいけました。

ラフマニノフは偶数曲が激しく、奇数曲はおとなしめ。
ピアノ協奏曲はさすがによく知っていますから、ああいう、甘く叙情的な音楽なのだろうか、と思っていたら、メジューエワの演奏は、
過日聴いたベートーヴェン・ソナタのレクチャー・コンサートでのアプローチと同じく、シリアスでストレート。クネクネ感は全くなし
暗く強い情念が迫ってきます。

メトネルはロシアの20世紀前半に活躍した作曲家・ピアニスト。
ピアノ曲ばかり残し、ロシアのショパンともいうらしい。
ストラヴィンスキーやプロコフィエフといった前衛的芸術家が活躍していたころ、保守的な音楽作りをし、ロシアのブラームス的存在で
もあった。

ソナタが始まると、確かに旋律ははっきりしているし、わかりずらいことはありませんでした。
第1部と第2部にわかれていたらしいのですが、切れ目なく演奏されるので、よくわからず。
さすがに、初めてでは構造がはっきりしません。
第2部にはいったらしい頃から、特徴的な主題がだんだんわかってきました。
その主題が、何度も何度も変奏的に現れてきます。
とにかく、凄い集中が要求される曲です。
いったん盛り上がり、そろそろ終わるのかと思うと、一転してまた静かに主題が現れる。
また盛り上がって、また戻る。

いったい、いつ終わるのか・・・

おそらく、30分以上はかかり、聴衆の集中力もだんだんとぎれていく感じでした。
わたしも、途中弛緩しがちなのを、立て直すのがたいへんでした。

最後はだいぶ主題の旋律を覚えたので、メジューエワの表現をよく感じ取ることができるようになりました。

演奏が終わると割れるような拍手。
お隣さんからは「ブラボー」
前の方の一人はスタンディングオベーション。
確かに凄みのある演奏でした。
あんな細身の身体から、すさまじいエネルギーを放出していました。
曲に親しんだところで、もう一度聴いてみたい気にはなりました。

この日の聴衆は、かなりのメジューエワ・ファンが多かったのかもしれません。
でなければ、このプログラムでほぼ満席にならないでしょうし、あんなに受けないでしょう。

それにしても、どっと疲れました
聴衆を甘やかしてくれないメジューエワ。
でも、そういう演奏、実は嫌いではないのです。

ヌーブルジェは、音色こそクリアで明るいですが、音楽はストイックで心に突き刺さるような表現をします。
そういう意味で、メジューエワに通じるものがあります。
吉田秀和をして「疲れた」と言わしめてしまったハンマークラヴィーア・ソナタなどもまさにそうですね。

マンゴーヴァや、山本貴志や、河村尚子の演奏は、聴いたあと嬉しく心地よい気分になる。
ヌーブルジェやメジューエワの演奏は、聴いたあと打ちのめされ、頭がボーッとなる。

芸術の楽しみですね。

※この日もメジューエワは楽譜を見ながらの演奏。譜めくりは、先日と同じ女性。もしや専属でしょうか。この日の曲の譜めくりは、たいそう難しかったと思いますが、全く破綻なく息はぴったりで、不安は感じませんでした。

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