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2009年9月 9日 (水)

プラメナ・マンゴーヴァ ピアノ・ リサイタル@紀尾井ホール

プラメナ・マンゴーヴァ。1980年ブルガリアの生まれ。2007年のエリーザベト王妃国際コンクールで第2位。ラ・フォル・ジュルネの常連。つまり、ピアニストおたくの(!)のルネ・マルタン・ファミリーです。

先ほどまで、紀尾井ホールでのリサイタルを聴いてきました。
大変楽しいリサイタルで満足でした

【前半】
1.シューベルト:ピアノ・ソナタ第4番 イ短調 D537
2.シューベルト(リスト編):
        嵐の朝(歌曲集「冬の旅」から)
        幻の太陽(歌曲集「冬の旅」から)
        アトラス(歌曲集「白鳥の歌」から)
3.リスト:メフィスト・ワルツ

【後半】
4.ショパン:練習曲 変イ長調 op.25-1
        練習曲 嬰ハ短調 op.25-7
        練習曲 ハ短調 op.25-12
        バラード第1番 ト短調 op.23
5.ラヴェル:道化師の朝の歌(「鏡」から)
6.ヒナステラ:3つのアルゼンチン舞曲 op.2

【アンコール】
グリーグ:ノクターン
シュスタコーヴィッチ:プレリュード op.34-20
              プレリュード op.34-6

マンゴーヴァは、おそらく100㎏を超えているであろう巨漢。さぞや大音量が響くのかと思いきやそんなことはない。
十分繊細で、力まずに弾いている。
その音色は豊かで暖かく、音楽性にあふれていました。
特に低音の響きは特筆するものがありました。

まだ古典的色彩の強いシューベルトの初期のソナタでは、優しく端正さを失わずに、リストは華麗ながら決してヒステリックにならない。

ショパンのエチュードはややスピードを控え(25-1、12)情感たっぷりに、エチュードと思わせないような「音楽」を奏でます。名手によるビックリ仰天のような超絶エチュードも良いですが、こういう、じっくり聴かせるエチュードもまた新鮮でした。

op.25-7の嬰ハ短調エチュードは、ヌーブルジェが今年のリサイタルでアンコールで弾きました。
ヌーブルジェはこの手の曲になると、非常にテンポを落とし、インテンポで集中して息を殺したような演奏をします。
今日のマンゴーヴァは対照的で、やや早めのテンポでもっとリラックスした音楽を聴かせます。

バラードはルバートやアゴーギク(テンポの揺れ)をかなり多用し、相当ロマンティックな演奏でした。ややもするといやらしくなりそうな演奏ですが、大きな音楽の流れの中では違和感がなく、ひとつの世界を作っていたと思います。
同じロマン派でもウィーンの古典派の流れをくむシューベルトに対するのとは明らかに異なったアプローチで弾きわけていました。

ラヴェルになると、今度は音色をがらりと変えてきて、クリスタル的な響きを出し、リズム感も抜群です。

最後のヒナステラ。初めて聴く曲でしたが、大変楽しめました。
ラヴェル風の第1曲(年老いた牛飼いの踊り)、ノクターン風の第2曲(粋な娘の踊り)、そしてジャズ風の第3曲(やくざなガウチョの踊り)。
第3曲はノリノリ。思わず笑みがこぼれてしまいました。マランボという舞曲だそうで、ガウチョとはカウボーイのことらしいです。

アンコールはグリーグでクールダウンし、シュスタコで軽くお遊びという感じでした。

最初マンゴーヴァが出てきたときには、あっと息を飲むほど病的なくらいの巨漢なので『大丈夫なのだろうか?』と正直、心配しました。しかし、リサイタルが終わる頃には、逆にその巨体がチャーミングに感じ、何のぎこちなさもなく軽々と弾ききった技術に感心しました。

ところで、今日の曲にはグリッサンドがたくさん出てきました。
メフィストワルツで1回、ラヴェルで数回、シュスタコで1回。
プロなら当然なのでしょうが、実に滑らかで素晴らしい音響効果を出すので目を見張ってしまいました。

「ラヴェル先生、爪が割れてしまいます」と弟子が言ったとか聞いたことがありますが、私の柔な指だったら、あんなにグリッサンド弾いたらまず確実に爪が割れます。

ヌーブルジェの演奏はブリリアントでモダンで、また、ある意味聴く者の居住まいを正すような緊張を強いるような感じがあり、「次に何が起こるか」という期待をいだかせるものです。アバンギャルドと言えるでしょう。

マンゴーヴァはずっと柔らかくクラッシックで、ゆったりと音楽を楽しめるような雰囲気に包まれていたと思います。

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