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2009年9月14日 (月)

横山幸雄 ピアノ・リサイタル@東京オペラシティコンサートホール

今や「辻井伸行の先生」ということですっかり有名になっている(と思われる)横山幸雄のオール・ショパンのリサイタルに行ってきました。
昨年のオペラシティでのオール・ショパン・プロの続編で、ショパン20代後半の名曲の数々を聴くことができました。
(昨年のリサイタルも聴きました)

プログラムは3部構成。アンコールが5曲もあったので、実質4部構成という豪華なものです。

【第1部】
1.2つのノクターン op.27
2.即興曲 第1番 op.29
3.バラード第2番 op.38
4.スケルツォ第2番 op.31

【第2部】
5.4つのマズルカ op.33
6.ピアノ・ソナタ第2番 op.35

【第3部】
7.24の前奏曲 op.28

【アンコール】
1.ノクターン 第5番 op.15-2
2.ワルツ 第4番 op.34-3
3.マズルカ 第11番 op.17-2
4.エチュード op.25-6
5.エチュード op.10-3「別れの曲」

横山氏の演奏はたいへんまじめで、どの曲も破綻なく90点以上の完成度を誇り、今まで聴いたことのあるなじみの曲を今日も同じように聴く、という、ある意味クラッシックの基本どおりのものといえましょう。
音の出し方はマイルドで、激することなく、テンポは揺れず、知性で厳密にコントロールしています。

そうであるので、逆に、120点の新しい出会いを求めてライヴに足を運んでいる者としては、少し物足りなさを感じてしまうことは否めません。
好き嫌いは出るものの、海外のアーティストは自己主張が大変強い
わがヌーブルジェももちろんそうですし、ここ1年で出会った、コロベイニコフ、ルイサダ、メジューエワ、先日のマンゴ
ーヴァなども「言いたいことが山ほどある」というような演奏をします。

それらにくらべると、横山氏は極めてオーソドックスでおとなしくて、多くの人に理解されるけれど、冒険好きにはやや食い足りないということになりましょうか。

ノクターンは左手のリズムをしっかり保持し、右手もあまり揺れません。あえてロマン的表現を抑えているよう。
即興曲はわりと早めにさらさらと軽く弾きました。
バラード2番は対比の妙が特徴。もう少しダイナミックレンジの広さと、右手のきめが欲しいところ。
スケルツォもまじめな演奏で十分上手なのですが、諧謔(かいぎゃく)味とか楽しさの点ではいまひとつ。
マズルカもインテンポで舞曲的なノリがもっと欲しいか。
ソナタ2番、第1楽書のデモーニッシュな感じとか、第3楽章の緊張感やトリオでの超デリケート感がでるともっと嬉しい。

とここまで書いてくると、なんだかネガティブな感想ばかり。
でも、決して悪い演奏なのではなく「あと10点足りない何か」ばかりを思い出してしまう、ということです。

24の前奏曲も始めのうちは同じような雰囲気で進んでいくのですが、18曲目のヘ短調をすぎたあたりから、にわかに演奏が熱をおびてきました
そして、そこから最後の激情の24番まで、大変エネルギッシュでパッションあふれる音楽を聴かせてくれました。

その流れはアンコールに引き継がれ、アンコールの気楽さも手伝ってか、音楽がとてものびのびと、開放的になってきました。
有名なノクターン。やや早めのテンポで力を抜いて開放的に。
ワルツはその昔ブーニンがショパンコンクールで弾いた演奏が、日本では一世を風靡(ふうび)した曲です。あのような硬
質でディナーミクあふれたものとは違いますが、流麗でリズムカルでのりが良い。
マズルカは本プロよりもずっと舞曲的跳躍を感じました。
エチュード25-6は3度の難しいパッセージの連続。これもややソフトながらなかなかすごいスピードでユニークに表現。
最後の別れの曲も、緩急の対比あざやか。

思うに、これだけ長丁場(なんと14時開始17時終了)のプログラムです、24の前奏曲の途中から、ライブ特有の高揚感から「知性のたが」が少しはずれて、横山氏の「素の感情」が音楽に現れてきたのではないでしょうか。
実は、昨年のリサイタルでも同じような感じを受けたものでした。

横山氏の場合、少したががはずれたくらいの方がおもしろいのかもしれません。
(素人聴衆の身勝手な思いなので、音楽をよく知っているプロ級の人には怒られてしまいますね)

ところで、今日のリサイタルは、横山氏のサービス精神がたっぷりでした。
おそらく多数の初心者クラッシックファンを想定してのことでしょうか。
第2部の始まりの前にはマイクを持ってあいさつ。
第1部はダークグレーのスーツに赤いネクタイ、第2部はチャイナ風のスーツ、第3部は真っ白なジャケット、と衣装を替
えて登場。
アンコールは5曲の大判振る舞い。
最後に「別れの曲」が弾かれたときには、開場からは思わず笑い声が巻き起こりました。

ホールはほぼ満席。
聴衆は最近とみに有名になった横山幸雄のショパンを聴くべく、にわかファンが多かったように思われます。
拍手のタイミングがことごとく早い。
拍手と同時にかなりのざわめきがおこる。
演奏中、がさごそ音が多い。物の落ちる音もする。
昨年のリサイタルとは、だいぶ雰囲気が変わっていました。

マスメディアの力はほんとうに凄いものがあります。

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