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2009年9月23日 (水)

吉田秀和の嬉しい感性~ヌーブルジェCD批評@レコード芸術

吉田秀和96歳(今日が誕生日)、音楽評論家。
戦後まもなく小澤征爾や中村紘子らを輩出した「子供のための音楽教室」を立ち上げる。
グレン・グールドをいち早く日本に紹介。
ウラディーミル・ホロヴィッツの初来日の際には「ひび割れた骨董品」と評して物議をかもす。
日本クラッシック音楽界にはかかせぬ存在。

まもなく100歳をも迎えようとする方が、いまだに一線で評論活動を行っていることは驚異です。

「レコード芸術10月号」の「之を楽しむ者の如かず」という氏のコラムで「夏の日のベートーヴェン」と題して、ヌーブルジェの最新CD『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集』が取り上げられました。
メインのハンマークラヴィーア・ソナタについて、たいへん好意的に批評しています。

きれいな澄んだ、輪郭のはっきりした音による、リズムの歯切れの恐ろしくよい、爽やかな演奏

そうです、そうです。ヌーブルジェの特徴をしっかりつかんでいます。

きき終えて、もちろん、うんと疲れた。けれども、それは気持ちのよい疲れであり、おまけに少し心が洗われ、偉くなったような気持ちさえした。

96歳の御身には、あの長大な曲の、あの鮮烈な演奏はたいそう聴き応えがあったことでしょう。
でも気に入ったのですね。

この人の演奏では、何といっても第一楽章-それも出発の時のあの左手で低い変に音(ママ)をがっちり大地に大きな杭でもぶちこむみたいに鳴らしたあと、パッと上の方にいって、イアンブス(弱強拍)のモチーフを打ち鳴らす時の間合い、リズムがよい。

私も過去記事(辻井伸行の演奏との比較)で、出だしの第一音のことについては書きました。(次は私の文章です)

ヌーブルジェの場合、第1楽章の出だしの左手のB♭の音の出し方が独特です。
楽譜通りであれば、辻井伸行の方が正しい。
「ダダンダダンダダダンダン」
ヌーブルジェは、B♭の後、一呼吸いれて
「ダ、ダンダダンダダダンダン」
と弾きます。
実は、この弾き方に私はいかれてしまっています。
左手での跳躍。それを見事に表現しています。

吉田秀和も同じところに惹かれたようです。
(なお、吉田秀和の文章では「変に音」となっていますが、勘違いか誤植でしょう)

強くて、スッキリしていて・・・・・フィナーレのフーガに入ってからなどの、あの爆発的エネルギーの躍動なんか、すごく新鮮なのだ。かつての大家たちの演奏よりずっと楽しくきける。

吉田秀和の年齢にして、あのフーガのエネルギーを受け止められるとは!
なんという若々しい感性
しかも、かつての大家の演奏より楽しいとは、絶賛ではありませんか。
日本の第一級の評論家に評価され、これでヌーブルジェの格も少し上がるでしょうか。
(
でも、本誌ではどこにも取り上げられていないのですよね。)

ちなみに、カップリングされている他の曲についても少し言及しています。
余計な記事が多くて、評論そのものは少ないのですが・・・

そこではこの若いピアニストが《ハンマークラヴィーア》について分析的コメントを加えながら、部分的にひいてみせている。この話も演奏もなかなか内容があっておもしろい。

DVDの出来もほめられています。

かつて、グレン・グールドも、日本では氏によって見いだされ、人気を博していきましたから、この評論が良いきっかけになると、おおいに期待します。
(King Johnさま、情報ありがとうございました)

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