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2009年8月 9日 (日)

辻井伸行のハンマークラヴィーアと聴き比べ

話題の辻井伸行ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのライブアルバムが発売されました。
ミーハーなのでつい買ってしまいました。
いや、ベート-ヴェンのハンマークラヴィーア・ソナタの録音があったので、ヌーブルジェと比較してみたかったの
です。

その前にショパンのエチュードが6曲あります。
4年前のショパンコンクールよりは、だいぶニュアンス豊かになった感じです。
確実に成長したと思われます。
あの這うような弾き方にもよると思いますが、透明感がありながら、なおかつ優しい音です。
仰々しいところや技術をひけらかすようなところはありません。
泣かせる音、と言われているのが何となくわかる気がします。
曲によっては、とてもうまく彼の特質がはまることでしょう。

本題のハンマークラヴィーア・ソナタです。
この曲に対しても、辻井伸行のアプローチはショパンのそれと同様です。
決してガンガン鳴らさない。
優しく奏でる。
しかし・・・
この曲の場合、果たしてこういうアプローチが合っているのかどうか?
ベートーヴェンが全霊を込めたピアノの性能を極限まで引きだすような曲。
魂の奥から絞り出すような情念のようなものが欲しくはないか。

第3楽章は彼の特質を生かせるところです。
これも控えめに音楽がすすみます。

第4楽章のフーガ。
この楽章はそこまでの表現と変わって、情熱を込めています。
序奏部分などはなかなかのものです。
フーガはスピード感にあふれて、軽快な感じ。
技術的にも高いレベルであることを十分証明しています。
(ただ、全体を通して少しミスタッチは目立ちます。それとフーガの後半はやや息切れ気味)

さて、この後ヌーブルジェを聴き直してみました。

ヌーブルジェの場合、第1楽章の出だしの左手のB♭の音の出し方が独特です。
楽譜通りであれば、辻井伸行の方が正しい。
「ダダンダダンダダダンダン」
ヌーブルジェは、B♭の後、一呼吸いれて
「ダ、ダンダダンダダダンダン」
と弾きます。
実は、この弾き方に私はいかれてしまっています。
左手での跳躍。それを見事に表現しています。

これは特質の違いですが、ヌーブルジェは力強くダイナミックで切れ味抜群。
辻井伸行はずっと柔らかい。
好みでしょうが、この曲の場合、俄然ヌーブルジェの方が楽しい。

第2楽章は、前にも書いた通り、ヌーブルジェの表現は素晴らしく「つなぎの楽章」というものを超えてしまうものがあります。

第3楽章は、ヌーブルジェの方が、より音の輪郭が明確でピアニスティックです。
明るいです。
ですが、この楽章の場合こそ好みで、辻井伸行のような控えめな表現の方が雰囲気がある、ということもあるかもし
れません。

第4楽章も同じ事が言えます。
切れ味やリズム感はヌーブルジェに軍配です。
ただ、辻井も流れるように弾いていて、スピード感はむしろヌーブルジェよりあるくらいです。

筋金入りファンなので当たり前ですが、どっちか選べといわれたら、もちヌーブルジェをとります。

辻井伸行の場合、ハンマークラヴィーアは選曲としてどうだったのでしょうか。
彼の良さを完全に生かし切れているとは、どうも思えない気がするのです。
もちろん金メダル取ったのだから結果オーライではありましょう。

この曲のあとのラ・カンパネラが素晴らしいので、違った曲だったらさらに良かったのでは私は思います。
じゃ、なんだろう?ということですが、例えばシューベルトなどどうでしょうか。
あの優しく控えめな感じはピッタリのような気がしますが。

でも、シューベルトの21番のソナタなどは、およそコンクールにふさわしくないか。

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