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2009年8月 6日 (木)

NHK「知るを楽しむ」のグレン・グールド(つづき)

というわけで(どういうわけだ?)続きです。

高橋悠治が番組の中でいみじくも語ったとおり、クラシック音楽というのは基本的に伝統の音楽なわけです。
聴く方も、同じ音楽が同じように演奏されるのを期待している。
演奏家による解釈もその「同じ」範疇におさまっていないと、「おかしい」と感じるものです。

ただ、その「おかしい」と感じる時の「同じ」からのずれ具合が、各個人によって幅があるので、時によって物議を醸します。
例えば、1980年の第10回のショパンコンクールで、極めて個性的な、伝統的な解釈を逸脱したともいえる演奏をした
イーヴォ・ポゴレリッチが「一次予選を通過した」ことにルイス・ケントナーが審査員を辞任し、「三次予選で落ちた」ことにアルゲリッチが激怒して審査員を辞任してしまった、などということもありました。

グールドのバッハ演奏は、およそ伝統的なバッハ解釈からはかけ離れていました。
(といっても、バッハに親しむのが遅かった私の場合、グールド以前のバッハ演奏がどういうものだったのか、それ
ほど知っているわけではありません)
なので、拒絶反応をおこす人もあり、決して万人にグールドは支持されたわけではありません。
しかし、グールドの演奏にいったん魅入られてしまった人は、グールドから目を離せなくなってしまう。
伝統の枠を超えた、人を惹きつけてやまない魅力にあふれていたからです。

グールド以後、バッハ演奏に関してはもはや「何でもあり」というような様相を呈しています。
つまり、パラダイム(枠組み)がシフトしてしまったのです。
こんな演奏家は、今後そうそう現れないでしょう。
グールドの天才は別格です。

ヌーブルジェも間違いなく天才ですが、クラッシックピアノのパラダイムを転換してしまうようなタイプの天才ではないでしょう。
その演奏は瑞々しく、斬新ではありますが、あくまでヨーロッパのクラッシックの伝統の範疇にはおさまっていると
は思います。

しかし、タイプが全く違うヌーブルジェとグールドにも、ある共通点があります。
それは、演奏に聴く者を惹きこむ魔力がある、という点です。
名演奏家に備わる共通点です。
最初の一音で、虜になってしまう。

ホロヴィッツしかり、ツィメルマンしかりです。

グールドからいろいろなことを考えてしまいました。

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