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2009年7月14日 (火)

ジョナサン・ビス リサイタル@王子ホール

アメリカ音楽界のサラブレッド」といううたい文句の、ジョナサン・ビスのリサイタルを聴いてきました。
うたい文句はだいだい割り引いて考えた方が無難です。
ビスは現在、27歳~28歳。国際コンクール出身者ではなく、テレビ放映されたダニエル・バレンボイムのベートーヴ
ェンのマスタークラスを受講していた頃から注目されるようになったそうです。
身長190㎝はあろうかというくらいの大きな方でした。

プログラムは以下のとおり。

【前半】
1.ハイドン:ソナタ第46番 変イ長調 Op.54-3 Hob.ⅩⅥ-46
2.シューマン:クライスレリアーナ Op.16

【後半】
3.ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ「1905年10月1日、街頭にて」
4.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」

【アンコール】
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調 K.545 第2楽章

一言で感想を述べるとすると、アメリカ人だなぁ、というところです。
あまり出身国で色分けしてしまうことは良くないとは思いつつも、やはり国民性が音楽にどうしても現れてくるとし
か思えないことは、ままあります。

ハイドンのソナタは何せ60曲あまりもありますから、守備範囲が狭い私などが知っている曲はいくらもありません。
今日の曲も初めて聴きました。
いかにもハイドン、という感じの曲で、形式がはっきりしているので、初めて聴いてもわかりやすいです。
なかなか端正に古典的に弾いていて好感が持てました。

ただ、どうしてもヌーブルジェと比較してしまいます。
ヌーブルジェは金沢でハイドンの別のソナタを弾きました。これもあまりメジャーな曲ではなく、予習を多少してい
ったものの、ほとんど初めて聴くようなものでした。
しかし、ヌーブルジェの場合は出だしの1小節で私の心を掴んでしまったものです。
深い音色と華のある音楽。

それにくらべると、ビスのハイドンはまじめではあるけれど、やや物足りない
技術的なことで言えば、もう少し右手のメロディーラインをはっきり出してほしい。
特に第3楽章の早いパッセージになると、やや落ち着きがなくなり、しっかりとした旋律が響いてきませんでした。

シューマンの名曲、クライスレリアーナ
シューマン独特の、不安定な感じをどうだすか注目していました。
若手の名手が弾くと、上手すぎて、つまらなくなることがあります。
ビスは、その不安定さを無骨さで表現しました。
決して流麗とはいえず、骨太。
ところどころ、意識的にか無意識的にか、アッチェランド(徐々に速く)して急ぐ。
意図はわからないことはないけれど、私はどうも成功しているとは思えませんでした。
一応、シューマンもロマン派ですから、もう少し艶やかな感じ、華やかな感じが欲しかったかなと。

ヤナーチェクのソナタ
ビスはかなり入れ込んでいるそうです。
私は初めてでした。苦手な現代もの。
でも、コロベイニコフの時聴いたシュスタコービッチよりはよほどわかりやすかったです。
良い曲だなと思いました。
それ以上のことはよくわかりません。

ベートーヴェンの熱情ソナタ
ある意味凄かった。
あそこまで大音量で弾けるピアニストはそうそうおりますまい。
ただ、です。
フォルテは大きければ良いというものでもないでしょう。
いくら大きな音でも、プロだったらそこに音楽的な洗練が欲しいです。
確かに、ベートーヴェンの特に中期の名作群は、ピアノの性能を存分に生かし、ディナーミク(音の強弱)の変化を
大きくつけて、逞しく弾くものです。
ですが、それも過度になると、ただうるさいとしか感じられないこともあります。
ビスの表現には、そういう過剰な面があったと思います。
第3楽章のコーダは、ただでさえ速いところところをアッチェランドして、音楽が壊れてしまいそうでした。

聴衆受けが良かったことは言うまでもありません。
ああいう派手な終わり方をすれば、喜ぶ人は多いでしょう。
ただ、私はあまり好きではないなあ。

アンコールは、モーツァルトのソナチネのアンダンテ
あれだけ耳を酷使する熱情を聴いたあとですから、良い選曲でした。
ド派手な超絶技巧曲だったら、ちょっと退いていたところです。
これは、ハイドンと同じように端正に弾くのですね。
音の響きがもっとあると、さらに素敵なのですが。

(ちなみに、演奏終了後にホール出口に張り出してあったアンコール曲の記載は「モーツァルト ソナタ第10番ハ長調 K.330第2楽章」となっていましたが、明らかに間違いです。ソナチネアルバムに入っていて、子供でも知っており、私でも弾ける、K.545のハ長調であることは間違いありません)

コロベイニコフの時にも感じましたが、王子ホールはかなりデッド(音が響かない)です。
今日は2列目で聴いたので、ダイレクトにピアノの音は迫ってきたものの、ホールの上に抜けるような響きが乏しいです。
ピアニストによって、どれだけ変わるのか、まだ確かめられるほどこのホールで聴いていないので、今後さらに検証したいです。

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コメント

くまえさま:

いらっしゃいませ(^^)

リサイタル直後にホール出口に貼ってあった曲名は完全に間違っていました。
「ハ長調のソナタ」ということから関係者が勘違いしたのでしょう。
王子ホールのホームぺージに掲載されたアンコール曲情報は正しくなっています。

アンコール曲をいつ決めるのかは実際に本人に聞かなければわからないことですが、素人考えでは事前に決めておくと思いますよ。
サービスとはいえプロの仕事ですから、事前に準備しないとは考えづらいです。

ピアニストによっては、明らかにアンコールの数曲を含めてプログラムとして組んでいる場合も見受けられます。


はじめまして。
私も昨日のコンサートに行きました。
アンコールの曲名が間違っていたのですね。
知りませんでした。
弾く前に考えていたようですが、アンコールってその場で決めて弾くものなんでしょうか?

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