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2009年6月の34件の記事

2009年6月30日 (火)

「ショパン」ヌーブルジェインタビュー

月刊「ショパン」7月号に、ラ・フォル・ジュルネ(東京)を終えたヌーブルジェのインタビュー記事が掲載されています。

バッハを2公演、一方はバッハオリジナル曲、一方はトランスクリプション(編曲)ばかり集めたプログラムでした。
その理由について、オリジナル曲とトランスクリプションを一緒にしてしまうと、オリジナル曲が薄っぺらく聞こえて
しまうからだ、とのことです。

プロならあたり前とはいえ、プログラムについて常にしっかり構成を考えているのですね。

また、ミサ曲のトランスクリプションはヌーブルジェの自作でした。
この曲は、前回2007年に来日した際、なんと飛行機の中で作曲したとのことです。
ピアノがなくても作曲できてしまうとは!
天才です。
日本に縁のある曲を日本で演奏できて嬉しかったそうです。

ラ・フォル・ジュルネの取り組みについては、大変評価しているようです。
もちろん、だからこそ出演するわけでしょうが。

ただ、やっぱりというか、朝早い公演は苦手なのですって!
東京の1日目の公演は、いかにも起きがけ、という感じでした。
髪の毛はグシャグシャでしたし・・・
でも、普通あんなに早くからリサイタルやりません。キッパリ
演奏者泣かせ(聴衆泣かせ?)のラ・フォル・ジュルネかもしれません。

立ち読みだったので、細かいところはあまり正確ではないかもしれません。
その点はご容赦を。

※今日は「ガブリリュク」の検索キーワードでだいぶ訪問者がありました。
来てみたらヌーブルジェのサイトでびっくりでしょうね。
でも、それでヌーブルジェに興味を持ってもらえたらしめたものです(^_-)
ガブリリュクファンの方もぜひヌーブルジェ聴いてみてください。

というわけで、他のピアニストの話題も積極的にとりあげて良さそうです。

アレクサンダー・ガブリリュク リサイタル@さいたま芸術劇場

2000年の浜松国際音楽コンクールを弱冠16歳で制したガブリリュクを聴いてきました。
プログラムは以下のとおり。

【前半】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
ショパン:ポロネーズ第3番イ長調 作品40-1 「軍隊」
ショパン:即興曲第1番変イ長調 作品29
ショパン:夜想曲第8番変ニ長調 作品27-2
リスト:メフィスト・ワルツ第1番 (村の居酒屋での踊り)S514

【後半】
ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》からの3楽章
ラフマニノフ:10の前奏曲作品23より 第1,2,5,6,7番
ビゼー(ホロヴィッツ編曲):カルメン変奏曲

【アンコール】
モーツァルト:ロンドニ長調 K.485
リムスキー=コルサコフ/ジョルジ・シフラ:熊蜂の飛行
ラフマニノフ:楽興の時から2曲
モーツァルト/ヴォロードス:トルコ行進曲

盛りだくさんで恐れ入りました。

実は、この日(6/28)体調がイマイチで、演奏が始まるや否や睡魔に襲われ、前半のよく知ったショパンまでの演奏はほとんど頭にはいってきませんでした。
演奏のせいではなく、私の体調のせいです。

やっとこ思い出せるのが、悲愴のグラーヴェのピアノの部分がデリケートだったこととか、軍隊ポロネーズは随分ゆっくり奏でるな、とかくらいで、ノクターンにいたっては残念ながら全く思い出せず(-_-;)

リストくらいから、ようやく少し冴えてきました。
ただ、あまり親しんでいた曲ではなく、準備もしていかなかったので、詳しい分析はできません。
(とくにラフマニノフはだめです)

言えることは、とにかく技巧的には大したものだ、ということ。
音質は重厚で、地響きのようであり、ドスがきいたものでした。
メフィストワルツは速く弾かずに、重量級の機関銃のよう。
ペトルーシュカはポリーニの圧倒的なデビュー盤で聴いていましたが、重さの違いに唖然でした。
これがロシア(ウクライナ)の音なのでしょうか。
カルメン変奏曲は私にとって懐かしい曲です。
ホロヴィッツの悪のり気味とも言えるトランスクリプションです。
これまたドドドッと弾ききる。

超絶技巧は良くわかったけれど、打楽器系の曲がずっと続いたので、おじさんの耳にはちと辛いものがありました。

だもので、アンコールのモーツァルトのロンドは、たいへん可憐に弾いてくれたので、一種の清涼剤的効果があってホッとしました。

ところが、その後、なんと4曲もまたまた超絶技巧の嵐!
最後のトルコ行進曲にいたっては、この世のものと思えない悪趣味なトランスクリプション。
でもまあ、メロディーはわかるし、とにかく超ド級(※)の派手さであったので、聴衆には大受け。
なんと、1/3くらいスタンディングオベーションになってしまいました。

ここまで技巧をアピールする必要があったのか?
サービス精神なのか?
あそこまでいくと、もはや芸術というより、エンタテイメントです。
だから、楽しかったといえば、楽しかった。
それと、さいたま芸術劇場はたいへん音がよろしかった。
聴衆の拍手もホール中に充満し、ダイレクトに演奏者に伝わるので、それが演奏者との一体感を生んでいるような感じ
がしました。
だから、ガブリリュクは5曲もアンコールを弾き、聴衆はスタンディングしたのだと思います。

ただ、ああいうデリケートなモーツァルトが弾けるのですから、私はもっと洗練された優しい音楽を聴いてみたいです
趣味の問題と言ってしまえばそれまでですが・・・

ヌーブルジェだったら、メフィストワルツやペトルーシュカは全く違う音楽になることでしょう。
響きが聞こえるようです。

※「超ド級」というのは、1906年にイギリス海軍が建造した、当時、他を圧倒する性能をもった大型戦艦「ドレッドノート」の頭文字「ド」をとって、そのような戦艦を日本では「弩級艦」と言ったことに由来します。
転じて、他を圧倒するもの、特にサイズが大きいものを「ド級」「超ド級」と言うようになりました。
ですので、「ド」がカタカナであるのには訳があるのです。
豆知識でした。

2009年6月29日 (月)

記事100本目のごあいさつ

2008年11月にオペラシティホールでヌーブルジェに出会い、その感激を忘れることができず、今年2月11日の建国記念の日に、とうとう一念発起してこのブログを立ち上げました。
(ちなみに建国記念の日としたことには意味はありません)
今まで何度かブログに挑戦したものの、明確なテーマがなく、根気も続かずその都度挫折していました。

今回は、テーマは確かにあるものの、はたして一人のピアニストネタだけで記事が続くのかどうか全く自信がありませんでした。
実際、4月にはいったん集中がとぎれ、ほとんどアップできませんでした。

ラ・フォル・ジュルネから気を取り直し、それ以降なんとか頑張ってこられました。
熱心な読者の方に支えられたおかげもあります。
ありがとうございましたm(_ _)m
大変ながら続けてみて良かったのは、ピアノのレッスンをきちんと受け始めたのと相まって、音楽に対する理解がとて
も深まったことです。

現在、1日のアクセス数は50前後、訪問者数は10人~30人程度に落ち着いてきています。
3日に1度程度は訪れていただける方は12人前後といったところです。

サントリーホールを満杯にできず、東京以外ではリサイタルを開催していないヌーブルジェは、まだまだマイナーな存在です。

しかし、昨年11月以来、ヌーブルジェ以外の何人ものピアニストの、しかも世界的巨匠と言われるピアニストのリサイタルも聴いてきて、ヌーブルジェが決して彼らにひけをとらないどころか、他のピアニストを聴けば聴くほど、ヌーブルジェの素晴らしさを実感してしまうのでした。

いずれ、多くの人がヌーブルジェの素晴らしさに気づき、日本全国でリサイタル行脚できるような存在になることは間違いないと思っています。
コアなファンとしては、嬉しいような寂しいような期待ですが・・・

2009年のイベントは、6/20のリサイタルで終わってしまいました。
次ぎにヌーブルジェを聴けるのはまた来年でしょうか。

それまで待ち遠しく、どうやって時間を埋めるか途方に暮れるようです。
このブログもこれからネタ探しに大変ですが、何とか頑張って続けてみようと思っています。

読者の方で、ヌーブルジェの情報を得るようなことがありましたら、ぜひお教えいただけると嬉しいです。

2009年6月27日 (土)

ヌーブルジェ・リサイタルのアンコール曲顛末

6/2に、今回のリサイタルのアンコール曲を予想しました。
お遊びでしたが、予想したからには結果を検証してみましょう。

【予想1】
ドイツものが続き、しかも難解な大曲の後だし、気分を変えてフランスものの癒し系の曲
2月に弾いたドビュッシーのベルガマスク組曲や、前奏曲
または、ラ・フォル・ジュルネ東京で弾いたフォーレの舟歌や夜想曲

【結果】
大ハズレ

【予想2】
ラ・フォル・ジュルネを受けて、バッハかモーツァルトの癒し系の曲
バッハだったら、コラール前奏曲や組曲のなかの緩徐楽章など
モーツァルトだったら、幻想曲やロンド

【結果】
小当たり。
バッハということだけ当たり。
ただ、イタリア協奏曲の第3楽章だったので、癒し系どころではありませんでした。
誰かが書いていましたが、ハンマークラヴィーアで大汗書いたあとに、イタリア協奏曲の第3楽章を弾いてしまうのですから、若い!、としか言いようがありません。

【予想3】
ハンマークラヴィーアを受けてベートーヴェン
バガテル

【結果】
大ハズレ
この予想の後、CDの発売が発表され、「エリーゼのために」がカップリングされていたので、それもありかな、と思

っていましたが、それもなしでした。

【予想4】
だめ押しで超絶技巧
ショパン、ツェルニー、リストなどのエチュード

【結果】
中当たり。
ショパンエチュードでしたね。
でも、超絶技巧曲というよりしっとり系エチュードでした。

【予想5】
ヌーブルジェオリジナル曲

【結果】
大当たり!!

というわけで
  大当たり1
  中当たり1
  小当たり1

一応、全部はかすりました。

2009年6月26日 (金)

ハンマークラヴィーア・メイキングDVD(byヌーブルジェ)を観る

このDVDを観れば、ベートーヴェンのハンマークラヴィーア・ソナタを好きになってしまうことは請け合いです。

6/20のヌーブルジェによる白熱の演奏がまだ記憶に焼き付いているまま、先行販売されたCD&DVDを視聴してみました。
DVDでは録音された音源をミキサー室でチェックするヌーブルジェと、薄暗いスタジオで聴衆を前にピアノを弾きなが
らハンマークラヴィーアに対する演奏のアプローチを語るヌーブルジェの姿を重ね合わせた、粋な演出です。

ハンマークラヴィーアを語るヌーブルジェはたいへん雄弁です。
英語の字幕を一生懸命追い、該当箇所のピアノを弾いてくれるので、概ねこんなことを言っているのだろうなというこ
とは想像がつきました。

第1楽章、冒頭の左手による和音の跳躍が、同じ楽章のみならず、後の楽章にも関係していることを述べていました。
ベートーヴェンの緻密な作曲技法を解き明かしてくれました。
また、冒頭の和音について、チェンバロなどのためでなく、これはまさしくピアノのための音、と述べているのも印象的でした。

第2楽章はたっぷり時間をかけて、そのおもしろさを紹介していました。
第2楽章の演奏は大変楽しいものであったと感じていたので、ヌーブルジェがそう思いながら弾いていたことがわかり、納
得しました。

第3楽章の3つのテーマの弾き分けもとても良くわかりました。
第3楽章に関しては、ライブもよかったけれどもDVDの方がよりその情感や音色の美しさを堪能できた気がします。
あれだけしっかり知的に分析していて、深くないわけありませんね

第4楽章は、CDの録音をチェックするヌーブルジェの姿が印象的でした。
やはりリズムを感じています。自分の演奏を聴いて楽しそうでした。
また、終結部の前のアルペジオがなんとドラマティックなこと!

ヌーブルジェのすばらしい演奏付きの解説を聞いて、難解と言われるハンマークラヴィーアがますます身近に感じらるようになりました。

こういうことをやるピアニストは、もしかしたら、グールド以来かもしれませんね。

ライブも録音も積極的なヌーブルジェのマルチタレントぶりは、ファンとしてこの上ない悦びです。

2009年6月25日 (木)

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール~ブログの鑑賞記事2

そろそろ打ち止めでしょうか。
1,000人以上が聴いていて、紹介できたのが10。
紹介しなかったのが2~3ありますので、1%というところです。
こんなものなのでしょうか。

・クラッシックな毎日
http://ameblo.jp/takemitsu189/entry-10286400773.html

ブラームスについて「ヌーブルジェのタッチは寸分も乱れることがなく、その上全体の構成感も見事だ」

構成感がちゃんとわかる方もいる(^o^)

・Trans Europe Express
http://angebleu.exblog.jp/

「やはりこの人の魅力は、はじけるような若々しさ、明るさ。ジャズの即興演奏のような、いい意味の軽さがあります

同感、同感。

・Il Nome della Rosa
http://kitanet.easymyweb.jp/member/chobi/default.asp

ハンマークラヴィーアについて「パリ音楽院出だけあって、何事も色彩が豊かにきらめく。いったいどれほどの音色がこの一曲にあっただろうか」

パリ音楽院が関係するのかどうかはわかりませんが、音色については同感。

・La dulceria
http://dulceria.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

「ブラームスの曲が持つドッシリと深いイメージとはちょっと違って、華やかな音で夢見がちで、こんな演奏もアリなんじゃないかなって思いました。」
「ヌーブルジェ君の演奏を聞いていて、ベートーヴェンはロマン派につながっていて、近現代に繋がっている。」

従来の曲のイメージを、両方とも塗り替えたと思います。私も。
(そろそろ、君、と呼ぶのはどうなのでしょう^^;)

それぞれ、多少の温度差はありますが、皆さん概ね好意的な感想です。
私が感じているヌーブルジェの魅力と、同じ部分に皆さん惹かれているようなので、少し自分の感性に安心しているところです。

2009年6月24日 (水)

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール~ファンとは身勝手(^_^;)

過去の記事をつらつら眺めていて、我ながら随分矛盾しているなあ、ということに気がつきました。

奇しくも、1日おきに、ツィメルマンとヌーブルジェを聴いたわけです。

ツィメルマンの弾いたベートーヴェンの32番ソナタの、特に第1楽章は、どうもベートーヴェンの「後期らしい」寂寥感が乏しいとか書いてしまいました。
おそらく、ツィメルマンは、第1楽章と第2楽章の対比を表現したかったのだと思われます。
そのため、格闘しているような第1楽章の表現、聴いているうちに熱情ソナタのような激情を感じてしまうような表現
になったのでしょう。
このことが「様式的な違和感」として、私は感じてしまった。

ヌーブルジェのハンマークラヴィーアソナタは、明るく壮大な和音と、猛スピード、そして、ノリノリのリズム感で、ベートーヴェンの「情熱」を表現したものでした。
しかし、ハンマークラヴィーアソナタだって、ベートーヴェンの後期のソナタです。
もう少し渋く、内省的な表現が、もしかしたら様式的に正しいのかもしれません。
ところが、ヌーブルジェの若々しくも鮮烈な演奏は私の心をとらえて離さない。

この違いはなんなのだろう?
と、理屈を並べたところで、音楽による感動など所詮、感性の問題に集約されてしまうことでしょう。

なぜかと言えば、私はヌーブルジェのファンだからであって、なぜファンかというと、好きだからファンなのです。

ここで、またあるセリフを思い出してしまいました。
ドラマ「冬のソナタ」で、ミニョンがユジンに言ったセリフです。
「本当に好きな時は、理由なんてないのです」

2009年6月23日 (火)

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール~ブログの鑑賞記事

リサイタルを聴いた人がどんな感想を持ったのか、検索してみました。
人それぞれなものですねえ。
心ない記事は嬉しくないので載せていません。

・東条碩夫のコンサート日記
http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-511.html
「明朗かつ鮮明な音色でドイツ音楽から洗練された感覚を引き出す」

本職の評論家ですね。
概ね好評価です。

・ちゃむのバレエとオペラ観劇日記
http://plaza.rakuten.co.jp/abc0012009/diary/200906200000
(ハンマークラヴィーアについて)「ドイツ的でないという人もいたけど、面白い風合いだった。」

なるほどね、ドイツ的かと言われればそうでないのかも。

・おじさんの日々の徒然
http://blogs.yahoo.co.jp/bultmann1108/2508193.html
「ブラームスのソナタを聴くだけで、わたしはヌーブルジェというひとが好きになりました。」
「打鍵が正確なこと、そして、大音楽を奏でるまえのプレッシャーというのか、異様な気概を感じることなく、あくま
で、ナチュラルに音楽が奏でられること、これは、ほんとうに驚きました」

mixiのマイミクさんです。
人生の大先輩。気に入っていただけて嬉しいです。

・いとまりの自由帳
http://ameblo.jp/itomari-22/entry-10285750616.html
「どれもこれも音が綺麗で洗練されてて感動しました!!ウルウルきてしまった」

そうでしょう、そうでしょう!

・kusyu kusyu
http://kusyukusyu.jugem.jp/?eid=375
「音に溺れてないのです。といって、機械的に弾くというのとも違って、解釈に従って、指先から自然に音が紡がれる
といった感じ。澄んだ音で、若さで一気に弾ききる、といった印象を受けました」
「キラキラしていて、端正で瑞々しい演奏は、聴いていて心が洗われます。」

そうでしょう、そうでしょう、そうでしょう!

・本と音楽のクロスオーバー
http://kkana.exblog.jp/10469383/
(シャコンヌについて)「ピアノの華麗な音色を楽しむような演奏」

低音の響きですね。

一応、批判的な感想も少し書いておきましょう(-_-;)

・ハンマークラヴィーアの第3楽章が、退屈だ、深みがない、緊張感が欠けた

これはですね、もともと第3楽章は退屈なのです。聴く方の集中が試されると思うのです。
ヌーブルジェはこういう抒情的な部分はインテンポで端正にリズムを刻むので、それが退屈に聞こえるのかもしれません。私はその端正さに惹かれるのです。知性でコントロールしているのです。

・ブラームスが良くわからなかった、そもそも曲のできが悪い

もっと勉強してください、としか言いようがありません。
確かにとっつきの悪い曲ですが、きちんと曲を理解して臨んだら大変面白く聴けたし、ヌーブルジェの意図もはっきりわかりました。

・音が濁る、ミスタッチをした

ミスタッチは確かにわかったものだけでも5~6回は散見されました。
しかし、音抜けが主で、傷というほどのものでなく、音楽を損なうものではありませんでした。
音が濁るにいたっては?です。
あのクリアな音のどこが濁っているのでしょうかねえ。

・選曲が独善的

まあ、そう言ってしまったら身も蓋もないです。
でも、選曲でかなり損をしてしまったことはあるかもしれません。

大衆迎合的なのもどうかと思うので、今後バランスの良いプログラムを期待しましょう。

2009年6月22日 (月)

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール【第三報】

昨年のル・ジュルナル・ド・ショパンで初めてヌーブルジェの演奏に触れ、光る才能に気がつきました。
その時感じたヌーブルジェの素晴らしいところが、今回のリサイタルでは余すところ発揮されていました。
「これを待ってたのだよ!」
と思わず叫びたいところでした。

その素晴らしさとは、

明るくキレの良いタッチ。
爽やかで透明な音色。
低音の確信に満ちたタッチ。
にごらない芯のある強音。
ダイナミックレンジの広さ。
音楽に没入する集中力。
見得を切るような大胆な終止。
意表をつく絶妙の「間」
抜群のリズム感。
知性的な音楽の構成力。

などです。

クリアな音色は今回の演奏の全編で展開されました。
特に、アンコールの現代曲風の自作アラベスクでは、さらにとぎすまされた音を奏でていました。
この明るさと透明感が何といっても魅力です。
軽やかなので重量感があるという音ではありません。
なので、ブラームスのあの重苦しい感じのソナタでも、フレッシュに感じます。

にごらない強音は、ブラームスソナタやハンマークラヴィーアの冒頭の和音が典型でした。
たった数小節聴いただけで、あっという間にヌーブルジェの世界に引き込まれました。
強音に関しては、ツィメルマンより魅力的だと思います。

大胆な終止もいたるところで発揮されました。
ワッと終止して、しばしの間。そして次ぎのフレーズが始まる。
うっかりすると、いやらしくなりそうなものですが、センスが良いので、ひたすら格好良いです。
とくに、この表現法がとても効果的だったのが、ハンマークラヴィーアの第2楽章でした。
この楽章を、あんなに楽しく鑑賞できたのは初めてです。

集中力は緩徐的な部分で発揮されます。
ブラームスソナタの第2楽章のテーマや、ハンマークラヴィーアの第3楽章です。
遅いところは、遅めに弾くのがヌーブルジェの流儀のようです。
その抒情は知性でコントロールされ、情に流されて音楽が揺れることがありません。
しかし、その端正に刻まれるゆったりとしたリズムの中に、なぜか機械的ではない、ほのかな詩情がにじみ出てくるの
が心憎いのです。

ブラームスソナタとハンマークラヴィーアは、ソナタとしての構成力も見事でした。
楽譜を見てきっちり準備していったことも幸いし、ヌーブルジェが意図するソナタという構築物をしっかり受け取るこ
とができました。

モダンなリズム感が、実は音楽を「楽しむ」という部分では一番効いていると思います。
今でこそ、音楽はほとんどクラッシック中心に聴いてしますが、それだけというものでもなく、カラオケではサザンも
チューブも歌います。
かつては、アメリカンポップスやフュージョンなども少しは聴きました。
ロックはほとんど聴きませんが、スタンダードな名曲では十分にのれます。
身体には現代の音楽のリズムや”のり”がしみついています。
ヌーブルジェのリズム感は、その”のり”の感覚を刺激します。
今回の演奏では、ハンマークラヴィーアの第4楽章のフーガがそうでした。
聴いているうちに、身体がスウィングしてくるのがわかりました。
指ではリズムを刻まずにはいられない。
不協和音も混じり、似たような音階が何度も出てきても飽きることがなく、あの倍、フーガが続いても大丈夫だったか
もしれません。
あの難解、といわれるフーガが、こんなに楽しいとは!

こういう聴き方が果たして良いのかどうかわかりません。
オーセンティックなクラッシックファンの方には怒られそうです。
でも、楽しいものは楽しい。
もう一度聴きたい、と思わせる。

前にも書きましたが、コミック「ピアノの森」の阿字野のセリフが好きです。
「ピアニストには2種類しかいない。もう一度聴きたいと思うか、思わないかだ」

ヌーブルジェは、同じ曲であっても、もう一度聴きたいと思わせてくれます。
ツィメルマンももちろん、もう一度聴きたいピアニストではあります。
しかし、どちらか一人選べ、と言われたら、今ではヌーブルジェとなりました。

2009年6月21日 (日)

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール【第二報】

しばらく6月20日のリサイタルのことを、いろいろ書いてみたいと思います。
まずは実況レポート風にやや冷静に書いてみます。

約1時間前にホールに着いたので、ホール前の脇屋シェフのトゥーランドットのテラスで軽く食事をしていました。お腹の調子があまりよくないので、中華粥とし、お茶は凍頂ウーロン茶を頼みました。
たまに食べる職場のそばのお店のお粥とはステージが違います。

三々五々、聴衆とおぼしき人たちが集まってきました。
年齢層はさまざまです。若い人も結構います。
スーツにネクタイの男性や、しっかり黒できめた女性などもおり、結構、居住まいを正して聴こうという様子が感じら
れ、ファンとしては良い気分です。
ちなみに、私は一応ブレザーをはおり、ニットのネクタイを締める程度にとどめました。
ヌーブルジェは正装しませんので、そこそこ礼を尽くせば良いかなというところです。

開場してホールに入ると、左側にCD売り場が。
そして、予想通り、7月31日発売予定の、この日の曲目「ハンマークラヴィーアソナタ」などが入ったCDを先行販
していました。
当たり前ですよね。2,000人近くのファンが一挙に集まるこの日に売らずして、いつ売らいでか、ということです。
DVD付きで2,800円ですから、まあまあお買い得でしょう。
白っぽい背景の中に、きりりと締まった顔つきの、眼鏡をはずしたヌーブルジェが印象的です。
彼は、ここ数年で確実に男前をあげています。

公演後のサイン会のこともあるし、迷わず購入し、また、この日まで買うのを我慢していたブラームスのソナタ集もとうとう手にしました。

さて、開始時間が迫っても、ホールはなかなか埋まりません。
舞台裏のブロックは全く無人です。
私は8列目中央でしたが、7列目中央など3つ4つ空いています。
とうとうそのまま照明が落ちます。

やはりヌーブルジェはまだまだマイナーなのだということを実感。
しかも、心配したとおり、この日のプログラムが影響しているのでしょう。
いわゆる一般受けするような曲が皆無ですから。
私もすでに書いたように、ブラームスの第2ソナタと格闘し、とうとう楽譜まで購入してCD聴きながらにらめっこし
て、やっと感じがつかめたくらいです。
幸い、もうひとつの難関ハンマークラヴィーアソナタは、昔からかなり聴きこんでいたので、ラッキーでした。

ヌーブルジェは、この日は黒シャツで登場です。
先日のコンチェルトがピンクシャツでしたから、ローテーションですね。

バッハ/ブラームスのシャコンヌ。
当たり前ですが、右手は太ももに置いたまま、姿勢を正して演奏開始です。
ラ・フォル・ジュルネの時は狭くて暗い開場のせいだったためか、異常な緊張感に包まれていました。
この日は開放的なサントリーホールで、歌声で言えば、バリトンのような魅力が響きが宙に舞います。
演奏が終わり、鍵盤から手が離れ、演奏姿勢を徐々に解いていく途中で、フライングの拍手。
オイオイ、まだ終わっとらんよ。
聴衆の反応はイマイチ。
曲が渋すぎるのでしょう。本来バイオリンで華麗に奏でられるこの曲が、ピアノにするとどうしても薄っぺらになって
しまいます。まして、ブラームスの編曲はかなり原曲に忠実なようですから、忠実な分、ピアノでは表現力に限界があるのでしょう。
ブゾーニ編曲版はド派手ですから、かなり聴き応えがありますものね。
カーテンコールはやっとこ2回。

ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番
「ブラームスの情熱を表現したい」と事前に語っていたとおりの、パッションあふれる演奏。
明るいタッチと、かなりのスピードでぐいぐい弾いていきます。
これがブラームスらしいのか、というと、晩年のしぶーい小品のイメージからすると、およそかけ離れた演奏といえま
しょう。
しかし、この曲はブラームスが19歳頃の作品。
しかもおそらく惚れてしまったクララ・シューマンに捧げた曲ですから、実はこの日のヌーブルジェが表現したような
若々しい演奏が本来なのかもしれません。
さて聴衆の反応は、あれだけ立派な終わり方をしても、やはりイマイチ。
たぶん、半分以上の方
は初めて聴く曲だったのではないでしょうか。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」
ベートーヴェンはこの曲以降、3曲しかソナタを書きませんでした。
その3曲はいぶし銀ともいえる、内省的なもの。
「ハンマークラヴィーア」はその直前に、当時のピアノの限界ぎりぎりで作られた壮大な曲。
耳がほぼ聞こえなくなったベートーヴェンが脳内でピアノの響きを考え作曲したものです。
演奏速度がメトロームの数字で指示されています。
しかし、その指示どおり弾くともの凄く速い。
ヌーブルジェは、おそらく、ほぼ指示どおりの速度で弾いたと思われます。
第1楽章は大丈夫か、と思うくらい速いのですが、つんのめることはなく、しっかりとリズムをきざみます。
第2楽章は、普通つなぎ程度で聞き流してしまいがちなところですが、独特の間を多用して、なかなかおもしろい曲で
あることをわからせてもらえました。
長い第3楽章は、逆に遅く、そして、思ったより音を慣らしています。
止まってしまうような終止部が印象的。
第4楽章のフーガは、対位法的な処理を弾きわけるというより、音楽としての推進力を重視したような演奏でした。
フーガなのにスイング感があるという、ユニークな演奏。
さすがに、この曲は前半の曲に比べれば知られているし、内容は圧倒的だったので、聴衆は盛り上がりました。
スタンディング・オベーションしている人あり、高い位置の拍手もあり。
ただ、温度差は当然ありますから、第3楽章で寝ているような人もいました。

アンコール:バッハイタリア協奏曲第3楽章、自作即興演奏、ショパンエチュード作品25-7
イタリア協奏曲はラ・フォル・ジュルネで2回弾いています。
ベートーヴェンの熱狂から一転、端正な演奏。スピード感も常識的です。
自作の現代曲風の即興は、ピアノの性能を極限まで利用したもので、とても硬質な音を響かせていました。
魂が洗われるような音、とでも言いましょうか。
ショパンエチュードは甘く切ない曲ですが、ゆっくりではあるものの、過度にべったりせず。

3曲目はかなり困ったような顔つきだったので、聴衆もそれを感じ取り、これ以上のおねだりはせず。
いいところだったのではないでしょうか。

公演後、今や恒例となったサイン会。
普段はほとんどもらいませんが、この日はミーハーとなってみました。
30~40人程度の列だったでしょうか。
写真撮影あり、会話もあり、握手もあり、とサービスたっぷりでした。
思い切って、初めて話しかけてみました。
「今日はありがとう。あなたの昨年以来の日本でのコンサートは全部聴いてます。金沢でも、東京でも・・・」と一生懸
英作文して話したら、何とか通じたようで、笑ってもらえました。

先日の渋谷タワーレコードで知り合った方や、このブログの読者の方とお会いできて、大いに盛り上がって、気分上々で帰宅しました。

明日はファンらしく、思い入れたっぷり感情的に書いてみようと思います。

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホール【第一報】~参りましたm(_ _)m

別に闘っているわけではないのですが、ヌーブルジェ様、参りました。降参です。脱帽です。

最初から最後まで圧巻、驚愕の演奏。しびれて身体が麻痺しそうでした。今日は(もう日が変わっていますが)ハンマークラヴィーアソナタの怒濤のフーガの余韻に浸って床につきますので、一言感想のみを。

1.バッハ/ブラームス:シャコンヌ

ラ・フォル・ジュルネにおける緊張感だけでなく、ホールの音響が違うため、今回は低音の響きの魅力にうっとり。

2.ブラームス:ソナタ第2番

やっとブラームスとお友達になれました。
CD買わず我慢した甲斐がありました。
リヒテルの渋い演奏を聴いて、鬱屈していたわけですが、カタストロフィーというか、気持ちよくはじけました。

ブラームスだって若い頃はパッションあふれてたことを了解。

3.ベートーヴェン:ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」

希有、壮大、格好良い、衝撃。
圧巻は目眩く、およそクラッシックを聴いていると思えなかったフーガではありましたが、他の楽章も言葉では言い尽くせないような魅力満載でした。

4.アンコール1曲目 バッハ:イタリア協奏曲第3楽章

私、金沢ラ・フォル・ジュルネ、東京ラ・フォル・ジュルネに続いて3回目。さすがに今日は音響が良いので、もっとも感銘を受けました。

5.アンコール2曲目 ヌーブルジェ自作即興演奏

渋谷タワーレコードの演奏とはまたひと味違う演奏。
異次元の響き。現代音楽をも好きになってしまいそう。

6.アンコール3曲目 ショパン:エチュード作品25-7

さすがエチュードは自家薬籠中の曲。
最後まで集中を切らさず、すばらしい叙情。

ありがとう!ヌーブルジェ。

※先日に続きY.Uさん、そして面が割れてしまったさぼてんさん、楽しいひとときをありがとうございました。

2009年6月20日 (土)

いよいよサントリーホールへ

ヌーブルジェ・リサイタル@サントリーホールまであと7時間弱に迫ってきました。

こんなに準備してリサイタルに臨んだのは後にも先にも初めてです。
なんだかすでにチケット代の元をとってしまったみたいな気分です。
あとは理屈を抜きにして、感性で楽しみたいと思います。

あのプロモーション動画のほんのさわりだけで衝撃を受けてしまったので、期待に違わぬ演奏を堪能できることは間違いないでしょう。

今日は休日だけに普通だったらラフな格好で聴きにいきますが、多少居住まいを正して、上着くらいは羽織って行こうかなどと思っています。

もっとも、ヌーブルジェはきっといつものスタイルで(今日は黒シャツ?)、およそ燕尾服など着ないでしょうから、必要以上にこちらもめかしこむこともないかもしれませんね(^_^;)

ではサントリーホールにて(^^)/~~~

2009年6月19日 (金)

ベートーヴェン:ハンマークラヴィーアソナタ

いよいよ明日はヌーブルジェ・リサイタル。

よく考えてみると、明日のプログラムは全くミーハーでなく、ピアノが好きな人でも全曲とも聴いたことがない、という可能性も十分あると思います。
果たしてサントリーホールが十分埋まるのか、少し不安を覚えないわけでもありません。

プログラム後半はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」です。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタでは最大、古今のソナタの中でも最大級で演奏時間は40分あまりもかかります。
大変な難曲とされており、ベートーヴェン自身が「あと50年もすれば弾かれるだろう」と語ったという話は有名です。

どこが難曲かということについて、園田高広さんらのサイトを参考にまとめてみると。
1.とにかく長いこと(特に第3楽章のアダージョが20分もあり、緊張を持続するのが困難)
2.技術的に克服することが難しいこと(特に第4楽章のフーガなど)
3.作品が理解しがたいこと(特異な表現、複雑な構造など)

ただ、アルフレッド・ブレンデルは、ただ長いだけであって、第4楽章は3声のフーガにすぎないなどと語ったことがあるようです。

私は若い頃かなりこの曲は聴きこんだので、もうそれほど理解するのが困難とは思わなくなりました。
近現代の構造のわかりにくい曲や、旋律のない曲に比べれば、およそわかりやすいです。

第1楽章はがっちりしたソナタ形式。
明るく雄大な主題は大変わかりやすいです。
出だしが左手の跳躍で始まります。結構左手で跳ぶのは大変です。
ここを、左手と右手で弾きわけることは可能です。
ですが、そうしてしまうとベートーヴェンの意図に反する。
そんな文章をどこかで読んだことがあります。
ヌーブルジェはもちろん、左手で跳ぶことでしょう。

提示部はきっちり2回繰り返されます。
展開部では主題が単旋律になって、右手と左手とで対位法的に扱われます。

再現部、また最初の雄大な主題が同じ旋律で復活するので、迷うことはありません。

終結部、主題が思い出のように断片的に現れて徐々に音量が落ちてくるので、いかにも終わりますという流れです。

第2楽章は三部形式のスケルツォ。
歯切れのよい主部に対して、流れるような中間部。当時のピアノの全音域を駆け上がるスケールを経て、再び主部へ。

第3楽章が、長い長い緊張感あふれるアダージョ。
これを眠くならないように弾けるかがピアニストの腕の見せ所ですね。
ソフトペダルを踏む指示がしてあります。
形式ははっきりしないようですが大きな2部形式といえるようです。幻想的な趣です。

寂しく悲しげな第1の主題。
シンコペーションのリズムを伴う胸をしめつけるような第2の主題。
そして、長調によるほっとする第3の主題。

これが2回目には、第1主題はバスの和声進行のみに残され、右手は華やかに装飾されています。
第2主題は一転長調で現れる。
第3主題は比較的同じ感じで現れます。

終結部では3つの主題が回想的に現れ静かに閉じます。

この楽章がヌーブルジェとしては「泣かせどころ」であることでしょう。

第4楽章 序奏のラルゴに続いて、演奏困難と言われるフーガが始まります。
フーガを分析するほどの力は私にはありません。
楽譜を眺めると、とにかく転調の嵐であるのにびっくりします。
確かに、非常に複雑な様相を呈していますが、フーガの主題はスケールによる上り下り、スタッカートによる跳躍、そして幾分不協和のトリルという要素が、上下が逆さまになったり、様々に絡み合ってぐいぐい進むので、統一感があり、結構楽しく聴けます。

これ以上くどくど書いたところでしかたがないので、少し曲の特徴を頭に入れたうえで、明日のリサイタルには万全の集中をもって臨みたいと思います。

(楽曲の分析についてはPITINAのサイトなどを参考にしました)

ツィメルマン(ツィマーマン)リサイタル@横浜みなとみらいホール

ツィメルマンはヌーブルジェに出会うまで、私の中では現役最高のピアニスト。
それは、ヌーブルジェに出会っても、まだ変わらない、と以前書きました。

今日(6/18)、ツィメルマンのリサイタルを聴いて、もしかすると、明後日のヌーブルジェのリサイタルによっては、その順位が入れ替わるかもしれないと思いました。

クリスチャン・ツィメルマンの2009年日本公演もあと2回。今日は横浜みなとみらいホールでした。

プログラムは
【前半】
1.J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
2.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111
【後半】
3.ブラームス:4つの小品 Op.119
4.シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲

アンコールはありませんでした。

ツィメルマンの今日の素晴らしさは、力を抜いた弱音の天国的な美しさでした。
その美音は、私の知らない演奏家を含めても、間違いなく世界一であることでしょう。
残念ながら、ヌーブルジェもまだ及ばないでしょう。
特にそれが最もよく現れていたのが、バッハ:パルティータと、ベートーヴェンの32番ソナタの第2楽章終結部です

パルティータ第2番は、CDでもライブでも、今までに聴いたことのない、ユニークなものでした。
しかし、実は今日の演奏の伏線はあったのです。
ツィメルマンの3年前のリサイタルを聴いたとき、アンコールでバッハの小品(曲目は忘れました)を演奏したのです
が、その時の音が、恐るべき美しさであったことを思い出しました。
その時の美音が、今日のパルティータで蘇ったのでした。

シンフォニアの序奏は意外とインパクトがなく始まります。
中間部に入ってからです。美音があふれ出してきました。
フーガは快速ですが、とにかく響き重視です。今まで体験したことのないパルティータが鳴っています。

ペダルは非常に細かく踏み換えています。しかし、踏みっぱなしということはなく、響きを作り出しているのはペダリングではなく、あくまで指先のタッチであることがわかります。
上体はほとんど動かず、腕には全く余計な力が入っておらず、恐るべき軽やかさです。

アルマンドがゆっくり始まります。美しい響きはさらに高まり、リピートされると、さらにデリカシーを増します。
あまりの美しさに、ここで早、感極まってしまいました。
もしかしたら、サラバンドでまた泣かされるかもと思いきや、これはこざっぱりした演奏。
ロンドーがなんとも言えぬリズム感で、またチャーミングで素晴らしい。一度目は右手の旋律を、リピートでは左手を強調するところなど、印象的。
カプリッチョは快速。これも響き渡ります。

先日のルイサダのフランス組曲はショパン風でした。それは、アゴーギクを使用しての表現でした。
今日のツィメルマンは、音の響きによる新しいバッハの表現でした。
この演奏には賛否両論あろうかと思います。
私は、今日のリサイタルで一番このパルティータに感銘を受けました。

2曲目のベートーヴェンピアノソナタ第32番
第1楽章、緊張感あふれる序奏と、超快速の第1主題。そして叙情的な第2主題。
第1主題の早さは、私の知る限り、グールドに次ぎます。
ディナーミクの変化が大きく、立派な演奏です。
がしかし・・・
なんだか中期のダイナミックなソナタを聴いているような感覚にとらわれてしまいました。
バックハウスやリヒテルが表現するような、やや不器用であって、時折漠とした寂しさが表出するような、後期ソナタらしい味
わい深さが、やや不足しているのではないか・・・
贅沢な注文ではあります。
第2楽章のアリエッタ
主題、第1変奏、第2変奏まではしっとりと進みます。
問題は第3変奏。ちょっと速すぎないでしょうか。いくら何でもあれだけ速いと、味もそっけもなくなってしまいます

第4変奏、第5変奏は、いよいよ天国的な境地です。高音部のパッセージや、そのトリルの美しさといったら、この世
のものとは思えない美しさ。昇天しそうです。
そして、コーダのトリルの切り替えで、無事昇天しました。
浮いたり沈んだり、いろいろ考えさせられた演奏でした。

休憩後のブラームス
ベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタに続いて、ブラームス最後のピアノ曲です。
これまた、ブラームスの晩年の境地を表現してほしい曲であります。
がしかし、私の中に持っているこの曲のイメージと、今日のツィメルマンの演奏はどうもマッチしませんでした。
まず、全体にテンポが速すぎて、語るような感じがなく、また、和音の連打もノリが良すぎて、屈折感がありません。
4曲目ラプソディの終結部の和音連打は、ツィメルマンには珍しく、音がやや濁ってしまっていました。

ツィメルマンの弱音は超一流でステージが違うと思いますが、残念ながら強音は普通の一流かもしれません。
全体を通じて、大きな音になると、やや音楽が雑になるような気がしました。

シマノフスキの変奏曲
初めて聴きました。
ピアノの性能を生かすような曲。
ピアニスティックな美しいパッセージと、打楽器的な大音量を織り交ぜています。
かといって、現代曲にありがちな難解な感じはせず、民謡が題材だけに、ある程度旋律を感じながら聴けました。
もちろん、ツィメルマンは見事に弾ききりました。
演奏効果は確かに抜群。ただ、音楽としてどうかというと、どうも私には技巧的な部分しか迫ってこず、またその技巧
がかなり仰々しい。
果たして、ツィメルマンが、演奏後ふらふらになるほど魂を入れ込んでまで、紹介すべき曲なのかどうかは?です。
もっとも、私には近現代の曲を四の五の言うだけの力はないので、素人の戯言ではあります。
確実なのは、おそらくこの曲を今後、CDでもライブでも聴くことはないだろうな、ということです。

さて、以上のように大好きなツィメルマンではありますが、納得いく演奏と、そうでない演奏があって、今日のリサイタルは必ずしも大満足というものではありませんでした。
ですので、明後日、ヌーブルジェが3曲とも大満足させてくれると、私の中では逆転が起こる可能性が出てきたわけで
す。
選曲はたぶん、ヌーブルジェの方が合っていると思います。

今ツィメルマンで聴きたいとしたら、世界一の弱音の美音を生かせるような曲です。
例えば、バッハのフランス組曲、ショパンの夜想曲、シューベルトの即興曲、ドビュッシーなどになるでしょうか。

2009年6月18日 (木)

バッハ/ブラームス:シャコンヌ原曲との比較

ヌーブルジェ・リサイタルまであと2日。

今日はツィメルマンのリサイタルに行ってきます。
なので、長い記事は書く時間がありません。

シャコンヌは、元のバイオリンの曲があまりにも有名です。
ピアノ以外をほとんど聴かない私でもさすがに知っています。
ただ、じっくり全曲を聴いたことはなかったので、この機に定番のシェリング版を聴いてみました。

やはり原曲はすばらしいですね!
あのバイオリンによる尋常ならざる緊張感を、果たしてピアノで再現しうるのかどうか。
ラ・フォル・ジュルネでのヌーブルジェの演奏は、かなり原曲の雰囲気に迫っていたと思いますが、いかがでしょうか

今度は、大きなサントリーホールでどういう響きが聴けるのか楽しみです。

なお楽曲解説について、トランスクリプションばかりを集めて解説しているマニアックなサイトがあります。
そこにシャコンヌについても、楽譜による対比つきで、かなり詳細に解説してありました。

リンク先はこちら↓

http://www.ne.jp/asahi/piano/natsui/B_Brahms.htm

2009年6月17日 (水)

ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番に挑む

ヌーブルジェ・リサイタルまであと3日。

挑むと言っても弾いてみるわけではありません。
リヒテル盤を聴いてもなかなか仲良くなれないので、とうとう楽譜を手に入れて譜面を見ながら聴いてみることにしました。

この曲はブラームスがまだ19歳という若さの時に作曲した曲。改訂をしたため2番目のソナタとなったのであるけれども、実質は一番最初のソナタといえます。
改訂後は、クララ・シューマンに献呈されているとのこと。
(この頃から人妻クララに恋してたのですかね。)

19歳の若者が創ったにしては、なんとまあ、重々しく、屈折しているのだろう、というのがリヒテル盤を聴いての印象です。
あまりブラームスとはお友達になりたくないな、というのが正直なところです。

そして、ヌーブルジェのプロモーション動画を見てしまったことで、ヌーブルジェのアプローチがわかってしまいました。
ブラームス、若いじゃない!大いに情熱的でもある。
というところですね。
以前、インタビュー記事で語っていたとおりです。

さてさて、では楽譜をなぞってみます。

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ・マ・エネルジコ
4分の3拍子のソナタ形式。
まず、音だけ聴いていると、3拍子であることがよくわかりませんでした。
「ダン、ダダダダダダッ:ダン、ダダダダダダッ」
ですからね。
これ、楽譜見ると
「ダン ダ、ダダダダ、ダー:ダン ダ、ダダダダ、ダー」
って、ちゃんと3拍子になってます。当たり前ですけど。
とにかく、第1主題はスタッカティシモの和音の連打です。

第2主題は左手の三連符に乗せて、右手が下降のメロディーを柔らかに奏でるはずです。
「ティーラリーラ、ラーーー、ティーラリーララーーー」
このあたりは、3拍子であることが良くわかるところです。

リピートなしで展開部に。
右手スタッカートの単旋律であわただしく第1主題の短い展開。第2主題、第1主題、第2主題とめまぐるしく展開が続いて、あっという間に再現部。

第1主題がカノン風に再現。続いて第2主題再現。
そしてピウ・モッソのコーダ。最後はピアノで終了。

あれ、案外シンプルな構造しているのがわかりました。
経過部分がド派手なだけに、構造をわかりにくくしているのですね。きちんと主題を押さえるとわかります。

第2楽章 アンダンテ・コン・エスプレッシオーネ
なんでも、ドイツの古い民謡「私は辛い」を主題とするそうです。ブラームスよ、そんなに辛かったのか。
この楽章は変奏形式なので比較的わかりやすいでしょうか。

主題と3つの変奏。
変奏が進むにつれて、だんだん楽譜がにぎやかに、つまり、和音だらけになります。
主題と第1変奏は短め。第2変奏は最初のうち楽譜が3段で低音から高音までレンジが広い。
和音が増えてきて、深刻に。
第3変奏は、苦悩から回復したような明るさがある。最後は右手がアルペジオで降下して唐突な終わり方。

第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
第2楽章と主題が同じなので、楽章が変わったとは始めわかりませんでした。
「ティー、ラー、ラー、ラー」「タラタタッ」になっただけです。
三部形式。
主部はAAA’
トリオはBBB’終止部
主部にもどり、右手華麗なトリル。最後ピウ・モデラートでトリルに乗せてトリオ主題が現れ、テンポⅠでオクターブ連打で終止。
これも意外とわかりやすいですね。

第4楽章 フィナーレ(ソステヌート‐アレグロ・ノン・トロッポ・エ・ルバート)
序奏付きのソナタ形式。
序奏、どこかで聴いたことがある。
そう「もののけ姫」のテーマです。

「もののけ」を使った第1主題。
ルバートして弾くらしい。
和音の連打を経て、旋律的な第2主題。スタッカートで駆け上がって、特徴的なオクターブの連打。
この「ディダダダダー、ディダダダダー」がやけに特徴的なので、経過部分にもかかわらず目立ってしまって、構造がよくわからなかったようです。
ここでリピート。
展開部はまず、提示部最後の特徴的な連打から始まり、ゆったりとしたアルペジオ。
アニマートで和音が連打されたあと、第1主題が厚みをもって展開、続いて第2主題がまあブラームスにしてはコミカルに展開。

ここで序奏が短く再現したのち、再現部。第1主題が再現しそして、ちょっとブロードウェイ風に第2主題が再現。
特徴的なオクターブ連打「ディダダダダー」が再現し、終結へ。
コーダでは、モルト・ソステヌートとテンポを落とし、幻想的な雰囲気のトリルとスケール、半音階的上昇などがありアルペジオで終止。

これも、ソナタ形式としてごくオーソドックスな作りだったのですね。

いやいや、やはり楽譜を見ると、すっごく良く曲がわかります。
すこーし、ブラームスと近づけたかもしれません。

「タララ」とか「ディダダ」とかわけのわからん擬音語ばかりになってしまいました(^^;)楽譜を載せられれば良くわかるところ、そこまで暇がありません。

2009年6月16日 (火)

N響定期公演のカジモト担当マネージャーのリポート

6/12(金)6/13(土)に行われた、N響とヌーブルジェとの協演について、カジモトのサイトに、担当マネージャーのリポートがアップされています。

ピンクのシャツで練習するヌーブルジェの写真付きです。

http://www.kajimotomusic.com/news/2009/06/15/n.php

6/20ヌーブルジェ・リサイタルのプロモーション動画

ヌーブルジェ・リサイタルまであと4日。

リサイタルを直前に控え、カジモトのサイトにヌーブルジェ本人による解説つきで、当日の演奏曲を紹介する動画がアップされています。

シャコンヌ、ブラームス・ソナタ、ハンマークラヴィーアのさわりを、ヌーブルジェが実際に演奏しています。

ある意味ネタバレなので、リサイタル当日に新鮮な出会いをしたい方は、見ない方が良いかもしれません。

それこそ新鮮な出会いのためにブラームスのCDを買い控えていた管理人は、誘惑に負けて見てしまいました(-_-;)

サイトのリンクは↓です。

http://www.kajimotomusic.com/news/2009/06/11/post-95.php

なお、同じサイトのページに、2月に行われた大阪フィルとのモーツァルト・ジュノムコンチェルトの動画も掲載されています。

2009年6月15日 (月)

NHK交響楽団第1650回定期公演~ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番【詳細リポート】

ヌーブルジェ・リサイタルまであと5日。

6月12日(金)と13日(土)に行われたNHK交響楽団とヌーブルジェとの協演を、とうとう両方とも聴いてしまいました。
もちろん、たった1日で解釈が変わるはずもなく(グールドならあるかもしれません)、違ったのは座席位置による音
の聞こえ方でした。
ただ「音をどう響かせるか」は解釈の一部でありましょうから、金曜日に聴いたこもりがちの音はヌーブルジェの意図
するところではなかったはずです。

ヌーブルジェは、もう完全にトレードマークとなったやや大きめの黒のジャケット姿です。
シャツは両日とも
濃いピンク。金沢のラ・フォル・ジュルネと同じ出で立ちでした。
いつものように、ぎこちなくおじぎをして、スタンバイ。

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
オケによる長い長い主題の提示が終わり、2度と現れることのないピアノによる導入部です。
ヌーブルジェは、まずここでオケによる勇壮な提示とガラッと雰囲気を変え、テンポも落とし、優しくゆっくり確かめ
るような弾き出しをします。
「さあ皆さん、慌てないで、お静かに。これから楽しい音楽を始めますよ」とでも言っているようです。
何という演出。つかみはばっちりです。

オケのトゥッティに続く分散和音による嵐のような2回の降下。
荒々しい表現を避け、流れるような華麗なタッチです。
この後のスケールや半音階的進行も、あくまで流麗。
モーツァルト的雰囲気を残したベートーヴェンを表現しているように思えます。

その後は、細やかなパッセージの部分と、しっとりと歌わせる部分との対比を常に明確に表現していました。

展開部最後の右手によるオクターブグリッサンドと思われた部分は、残念ながら両手によるユニゾンでした。
もっともあの早さと強さでグリッサンドしたら、指がどうかしてしまうかも。

さて、カデンツァはすでにレポートしたように、ベートーヴェン自身による3つめのものでした。
「傑作の森」の中期に書かれたものと言われており、4分以上にも及ぶ長大なものです。
ベートーヴェンが後年になってもこのコンチェルトのカデンツァを書いたということは、ベートーヴェン自身もこの曲
を結構気に入っていたのではないかと想像できますね。

第1主題をモチーフにした力強い出だしから、熱情ソナタやワルトシュタインソナタによく出てきそうな、絢爛豪華なパッセージの連続。
これをヌーブルジェは、華麗なテクニックを駆使し、いくぶん即興性も織り込みつつ弾いていきます。
めまぐるしく上下するパッセージとその響きに目がくらむようでした。

そして、第1主題による和音の連打。強烈です。
終わったと思わせてから、一転して軽やかなメロディー。
右手の左手の対話は絶妙なタイミング。
ワルトシュタインソナタ第3楽章のようなトリルは厚みをもたせ、華麗なる終止部へ。

スケールで上がりきって、ドミナント、サブドミナント。ここで2拍半の沈黙がヌーブルジェの聴かせどころ。
これ以上長くても、短くてもいけない絶妙の「間」。
そして、ややゆっくりアルペジオを奏で、メルクルと息を合わせて終了です。

まるでリサイタルのような楽しいひとときでした。
このカデンツァを、長すぎるし前後の構築感とミスマッチ、とするむねもあるようですが、独奏者の腕の見せ所という
意味では、これ以上のものはないのではないでしょうか。

土曜日の演奏会では、第1楽章が終わったところのインターバルで、周囲からザワザワといったざわめきが起こりました。
おそらく、カデンツァのものすごい演奏を聴いて、ヌーブルジェを知らずに来た聴衆たちが「あれ、この子ちょっとす
ごいじゃない」とか言っていたのでは、とファンとしては都合良く解釈します(^^;)

第2楽章ラルゴ。
ラルゴとは、イタリア語で「ゆったりして、ぶかぶか」という意味らしいです。
アダージョよりも、レントよりも、ゆったり、幅広く、です。

ヌーブルジェの奏でるラルゴは、早さは本当に遅く、しっとり管楽器と絡みながら進みます。
短い中間部における、同音の連打のなんとも言えぬニュアンス。うまい!

主題が変奏的に再現され、シフ言うところの乾杯の踊りは、何せテンポが遅いままなので、そういう感じには聞こえず
終止部に入ると、いよいよ死んでしまうほどテンポは落とされ、ヌーブルジェはほとんど左を向きっ放しで管楽器と顔
を見合わせながらの対話。徐々に増す緊張感。なんだか感極まってきてしまいました。

テクニカルなヌーブルジェも素晴らしいけれど、緩徐楽章における表現力も最高です。
というより、2回目に聴いたときは、この第2楽章に一番感銘を受けました

第3楽章 ロンド:アレグロ
アレグロは単に速いということではなく、明るく、快活にというニュアンスがあります。
ジャズの即興演奏もしてしまうノリノリのヌーブルジェには、実はピッタリなのですね。
超速いというより、小気味良いテンポで音楽は進み、思わず身体をスイングしたくなります。

中間部のブロードウェイ風のメロディ。キーシンがすっ跳んでいたところですが、ヌーブルジェは慌てず、むしろスフォルツァンドをやや長めに弾きました。極端に書くと「タラタターーラ、タラタターーラ」という感じでしょうか。
もちろん、左手バスの「ズン、タン、タン、タン」も土曜日は良く聞こえました。

終結部。
短かいながら華麗なカデンツァを経て、新たな境地へ。
カノン風のオケとピアノが絡むところは、もしかしたらちょっと危なかったかも。

パパゲーノの笛が案外明るく響く。
告別ソナタの響きからはテンポを落とし、第1楽章のピアノ導入部分が回帰されくるようです。
オーボエが「どうも皆さん、お疲れさま」と奏で、大団円です。
ブッラーボ!。

ちなみに、金曜日はブラボーなし。土曜日は男性と女性1人づつ。私は抑えて黙ってました。
何せ、周囲はご老人ばかりで、あまり乗ってなかったのです(-_-;)
空気読みました。
ヌーブルジェの若々しくも鮮烈な演奏の素晴らしさは、もしかしたらホールを埋め尽くしたおそらく半分以上のご高齢
者たちには、あまりピンとこなかったのかもしれません。
(N響の会員でしょうか、あまりに高齢者が多いのにびっくりしました)

アンコールは両日ともなしでした。

オケのことはよくわかりません。
指揮者の準・メルクルは動作がはっきりしていて、わかりやすい指揮者のように感じました。
ヌーブルジェの若々しさにひけをとっていませんでした。
木管楽器がとても活躍する曲で、下手なオケだとプースカはずしますが、さすが最近のN響の奏者はそういうことはあ
まり見受けられませんでした。

私にとってはおまけになってしまった、プログラム後半のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」(昔学校で習ったときは「真夏の夜の夢」でしたが、訳の間違いということで、最近ではこういうそうです)

語りの中井貴恵さんが主役でしたね。
結婚行進曲の原曲を聴いたのは初めてでした。
序曲を筆頭に、楽しい曲でした。

2009年6月14日 (日)

ヌーブルジェ・ミニライブ@タワーレコード渋谷店~美味しすぎです!

一昨日、昨日、そして今日と、滅多に渋谷などに行かない者が、3日も連続で若者であふれかえる不況知らずの街に足を運んでしまいました。

さて、3時開始ということで、余裕を見て40分ほど前にタワーレコード渋谷店に到着しました。
6階クラッシックCD売り場に上がっていくと、角の方のスペースに、ヤマハのピアノが用意され、その前に、30席
程度の椅子が並べてありました。
数名がすでに腰かけていて、あと、席取りのために物をおいてある椅子もいくつかありました。

早めに行って正解でした。
私は前から2列目のほぼ演奏者の真横に陣取ることができました。
ピアノとの距離は、ほんの1.5メートルほどです。
ここまで間近で聴くのはもちろん初めてです。

しばらくすると、時間前だというのにヌーブルジェがするすると現れ、ちょっとこちらを見て軽く会釈をすると(もしや私も覚えられたかなあ、もう何度も近くで会ってますから)、やにわに、バッハ:イギリス組曲第2番のプレリュードを弾きだしたではありませんか!
うぉ、感激です。
そして、しばらく弾いた後、今度はショパン:ノクーターンのop.15-1を弾きだし、その途中から即興的な軽やかなパ
ッセージをサラッと弾いてのけ、またするすると立ち去っていきました。

軽い指らしと、ピアノの感触を確かめにきたようでした。

さて、3時になり、司会はキングレコードの女性、通訳はカジモトの女性でミニライブ&インタビューが始まりました

まずは、挨拶がわりに先ほど指ならしした、バッハ:イギリス組曲第2番プレリュードの演奏です。
CDになっているサントリーホールの炎のような演奏とはひと味違い、ナントのラ・フォル・ジュルネのプロモーション
動画のように、少しスピードを落とした端正でしっとりした演奏でした。
ダンパーペダルには足はかけていましたが、使用する場面は少なく、様式感を重視したような演奏です。
やはり、ここ2年でバッハに対するアプローチも変化してきているようです。

ここで、インタビューとなり、来週のリサイタルの曲目についてだとか、作曲や編曲を手がけていることについての質問がされました。
ヌーブルジェは、まず「コンニチハ」と日本語で挨拶したあと、やや訛りのありそうな英語で答えました。
ネイティブの英語でないだけに、英語が苦手な私でも、少し聞き取れました。

来週のリサイタルは、前回と趣向を変えて、あえて、ドイツ物中心にしたとのことです。
ベートーヴェンのソナタを日本のリサイタルで演奏するのは初めてなので楽しみにしているそうです。
作曲した曲の数はきちっと作ったものとなると、よくわからないらしく、編曲は少ないながらもベートーヴェンやフォ
ーレのミサ曲などを行ったとのこと。
作曲をすることは、演奏する際に、作品を理解するというより、作曲者の「感情」を理解するうえで、大変役に立って
いるそうです。「useful」という単語がはっきり聞き取れました。

インタビューが終わり、2曲目は、やはり指ならししていた、ショパン:ノクターン第4番 ヘ長調 op.15-1でした。
サントリーホールライブにバラード2番といっしょに弾かれた曲。
あの演奏で、私はいっぺんにこの曲のファンになってしまいました。
それを、こんな間近で聴けるとは、本当にラッキーです。

CDでのライブ感あふれる鮮烈な音とはまた違って、ピアノのダイレクトな音を堪能できました。そして、中間の嵐の部分の、超人的なテクニックといったら!
ヌーブルジェは、演奏に入ったとたん、さっと顔つきが変わり、音楽だけの世界に没頭ができるようです。
それが、あの集中力と緊張感に満ちた演奏につながるのですね。

予定は2曲だったようですが、司会の方のアンコール要請に応えて、聴いたことのない、現代曲のような演奏が始まりました。
ピアノを打楽器のように、そしてリズミックに扱い、幻想的な音を綴っていく。弱音から強音までの凄まじいダイナミックレンジの広さ。低
音部の大音量は地響きのように鳴り響きました。
現代曲など、およそ好んで聴く者ではないのですが、間近で現代ピアノの特性を最大限生かすこのような演奏が繰り広
げられると、思わず息を飲んで聴き入ってしまいました。

司会者がおそるおそる「あの、今の曲は何でしょうか・・・」と尋ねると、なんと、ヌーブルジェの即興的なオリジナル曲だったとのことです。

これでライブはお開きとなり、この後サイン会が行われた模様です。

今日は、お隣に(一応)ドイツからの追っかけファンの方がいらして、追っかけどうし、おおいに盛り上がってしまい、楽しみも倍でした。

NHK交響楽団第1650回定期公演~ヌーブルジェのベートーヴェンピアノ協奏曲第1番(追記1)

前の記事でNHKホールを貶(おとし)めすぎてしまいました。もう一度確認したかったので、急遽、土曜日のコンサートも当日券で聴いてきました。

場所が、金曜日は1階の左のほうで、ヌーブルジェを後ろからみるような席、土曜日は2階のほぼ中央の一番奥でした。

距離的には金曜日の方が近く、土曜はかなり遠かったですが、ピアノと正対した位置でした。

結果は、びっくりです。
音の聞こえ方が全く違います。

土曜日の方が、タッチの粒立ちがはっきり聞こえ、音色もヌーブルジェらしいブリリアントな明るさが良く出ています。金曜日にはっきりしなかったバスの音も、土曜日は良く聞こえます。

なんとか聞けるレベルの音でした。

たまたま同じ料金の席でしたが、こうも音が違うとなると考えざるを得ません。

2階の奥でまあまあでしたから、今回、1階席、2階席の中央近辺で聞けた方は、そこそこ美しい音色を堪能できたのではないかと思います。

まずは土曜日の速報でした。

2009年6月13日 (土)

NHK交響楽団第1650回定期公演~ヌーブルジェのベートーヴェンピアノ協奏曲第1番(速報)

NHKホールはピアニストの力を3割は削いでしまう困ったホールです。
ヌーブルジェの演奏は抜群に素晴らしかったものの、本当はもっと響くのに、という苛立ちは抑えるこ
とができません。
できれば、もうNHKホールでピアノは聴きたくないです。

帰宅が12時過ぎだったので、もうくたくた。全体的な印象を。

今回のヌーブルジェは、初めから左足は完全にソフトペダルから離し、エンジン全開です。
しかし、ブリリアントというよりは、流れるような華麗なタッチ。
全く傷のない、完璧なテクニック。
もはや、ほとんどリサイタル状態で、即興性に溢れた目眩くような第1楽章カデンツァ。(やった、ベートーヴェンの3番です!)

カデンツァ終止部のアルペジオの手前に、出ましたお得意の「間」の妙技。

第2楽章の洗練された抒情と、終止に向けて高まる緊張感。
時折踏むソフトベダルで、ハッとするような音色の変化。

精神の解放されたような第3楽章。快速でモダンな躍動感とユーモア。実に楽しい。身体がスウィングする。
最後、パパゲーノの笛の音から、告別の響きがなり、ああー、もう終わりなんだ。
もっと聴いていたい。

準・メルクルとの息はピッタリ、ではありましたが、相当オーケストラの方を向いて、合わせようとしていたように見えました。

ベートーヴェンのピアノコンチェルトと言えば、3番~5番がメジャーです。
しかし
、今回若き日のベートーヴェンのまだそれほど深刻でなく、モーツァルトのような雰囲気も残した華麗な1番のコンチェルトを、これまた若く才気あふれるヌーブルジェが新鮮に奏で、実に素晴らしい曲なのだということを再認識しました。

そして、ホールの問題はあったものの、聴きたかったカデンツァ3番が、予想以上の楽しさで聴けたので、満足ではありました。

2009年6月12日 (金)

【緊急告知】次のヌーブルジェアルバム発売決定!!

いよいよヌーブルジェの次のCDアルバムの発売が発表されました。
発売予定日は7/31です。

曲目は既報のとおり、ベートーヴェンで今回の東京リサイタルで弾くハンマークラヴィーアソナタがメインとなっています。
カップリングが、なんとソナチネアルバムにも載っている小曲、ソナタの19番と20番、そして「エリーゼのため
に」です。
なんという組み合わせ!
ヌーブルジェらしい。
私の予想はある程度当たりましたね。

さらに、おまけでハンマークラヴィーアをマスターする過程を記録したDVDもついているとのこと。
しかし、これがなんと字幕なしの英語とフランス語(;_;)
これじゃおまけになりません。

CD
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
・第29番変ロ長調作品106『ハンマークラヴィーア』
・第19番ト短調Op.49-1
・第20番ト長調Op.49-2
・エリーゼのために イ短調 WoO59
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)

DVD
・ハンマークラヴィーアの真髄へ迫る旅(ルネ・マルタン出演)
 収録時間:52分
 言語:英語、フランス語
 字幕:無し

2009年6月11日 (木)

話題の辻井伸行を聴いてみる

ヌーブルジェコンサートカウントダウン
NHK交響楽団定期公演まで、あと1日!
サントリーホールリサイタルまで、あと9日。

いよいよ明日はベートーヴェンのコンチェルトが聴けます。
随分待ちに待ったような気がします。

今日はコーヒーブレイクということで、先日ヴァン・クライバーンコンクールで優勝して、今話題沸騰中の辻井伸行を聴いてみました。
2007年のデビュー版をと思ったのですが、地元のタワーレコードではなんと売り切れ。
ラフマニノフの2番のコンチェルトと、2005年のショパンコンクールライブがあったので、まずはソロ
からと思い、ショパンコンクールライブを求めてみました。

ちょうど、ヌーブルジェも弾いている「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ」があったので、これは好都合です。
ヌーブルジェのこの曲の演奏は、
ヌーブルジェの優れた点を余すところなく堪能できる最高のものだと思っています。
もう何十回聴いたことでしょうか。

さて、当時16歳くらいと思われる辻井伸行はここで、次のような曲を弾いています。
1.ノクターン op.62-1
2.ワルツ op.34-3
3.舟歌
4.スケルツォ 第2番
5.アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ
6.4つのマズルカ op.24
7.ソナタ 第3番

意外と骨太なタッチ。
しかし、曇りのない明るい音質。
こういう音色は、私は好きです。

音楽の作りは、素直で常識的です。奇をてらうようなところはありません。
盲目というハンデを感じさせない安定した技術もあります。
なかなか悪くないと思います。

ただ、やはりこの時はまだ16歳くらい。
コンクールだけに、そつなく、ミスなく弾こうとしているのか、伸びやかさとか爆発的なエネルギーが
今ひとつもの足りません。
スケルツォとかソナタのような曲では、もっと若い感情をぶつけても良かったような気がします。

さて、アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズです。

まず、アンダンテ・スピアナートの部分は、若干、左手のアルペジオが大きく響きすぎるきらいがあります。右手のメロディーがデリケートだけに、左手はもう少し抑えてほしいところです。
右手の音の出し方は、硬質で明るく、ヌーブルジェに通じるものがあります。
ただ、ほのかな詩情という部分でヌーブルジェにはかないません。
それと、細やかなパッセージのリズム感と軽やかさというのがヌーブルジェは優れているのがわかりま
す。

ポロネーズの部分は、まず最初のトゥッティの迫力がヌーブルジェより弱い。
独奏部に入ってからは、やや落ち着いたテンポで丁寧に聴かせます。
しかし、ここはやはりヌーブルジェのような華やかさと流麗さが欲しい。
それと、推進力。もちろん迫力も。
ハデハデしさがこの曲の特徴で、派手でありながらも、洗練されていて、飽きさせない展開がヌーブル
ジェはとても上手です。
良くも悪くも、辻井伸行の演奏は優等生的です。

もっとも、この曲におけるヌーブルジェは最高のパーフォーマンスだと思うので、それと比べてしまうのは酷かもしれませんね。

今、辻井伸行はショパンコンクールから4年経って20歳。
16歳から20歳の時期というのは、精神的に大きく成熟する時期です。
音色的には素晴らしいものをもっているし、今ならおそらくショパンコンクールの時以上の素晴らしい
演奏が期待できそうです。

私は彼のことを随分前から知っていましたが、あくまで「盲目の」ピアニストとしかとらえていなかったので、これからはきちんと普通のピアニストとして、予断をなくして聴こうと思います。

2009年6月10日 (水)

NHK交響楽団定期公演の地上波テレビ放送

ヌーブルジェコンサートカウントダウン
NHK交響楽団定期公演まで、あと2日。
サントリーホールリサイタルまで、あと10日。

NHK交響楽団1650回定期公演の模様が、地上波(N響アワー)でも放送されるとの、未公開情報をいただきました。
ヌーブルジェのインタビューもあるようです。

放送予定は9/6頃だとのことです。

ただ、N響アワーだと全部放送されないかもしれないので、やはり7月のBSかハイビジョンは逃せないでしょう。

正式な案内が出たらまたアップしたいと思います。


(情報提供:まゆまおさん)

2009年6月 9日 (火)

再びベートーヴェンピアノ協奏曲第1番

ヌーブルジェコンサート・カウントダウン
NHK交響楽団定期公演まで、あと3日。
サントリーホールリサイタルまで、あと11日。

アンドラーシュ・シフが昨年の12月から今年の3月にかけて、スーパー・ピアノレッスンの講師を務め、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を若いプロ演奏家たちに教えました。

始めの3回はうっかり見そびれ、4回目からはしっかりビデオに撮ってあります。

その4回目が、ピアノ協奏曲第1番の第2楽章と第3楽章だったので、見返してみました。
シフの教え方はまことに明確で、たとえがわかりやすく、古今の芸術を深く身につけた上での指導であ
ることがわかります。

第2楽章は、出だしの主題の音の出し方を上から叩かない、とか、装飾は手首をあげて軽く弾くとか、拍を感じてとか、たった4小節の中に課題が盛りだくさんです。

印象的だったのは、後半、主題がバスのズンチャッチャッのリズムに乗って戻ってくるところは、天井から地上に戻ってきたところなので、ワイングラスを持って踊るように弾きなさいと、のりのりだったところです。
ヌーブルジェはどんな風に弾くでしょうか?

第3楽章は、92小節目からのソプラノとバスのメロディーをローレルとハーディーのように滑稽に弾き分けよと。ソプラノが八分音符、バスが四分音符で書いてあります。

ブロードウェイ風と評したメロディーは、左手がトルコマーチ風。
その後はバッハ風に。

最後のほうのドレミファソラシドを、モーツァルトのオペラ魔笛に登場するパパゲーノが吹く笛のようにと。なるほど、そう聞こえます。
終結の手前の”ため”のところは、告別ソナタのように。おー、確かにそうです。

残念ながら第1楽章は見られませんでしたが、こちらはテキストにコメント入りの楽譜が載っていたので、楽譜を見ながらCDを聴いてみました。
いやいや、かなり難しいのですね。

長いオケの主題提示のあと、ピアノが新しい主題で登場しますが、そのあと、突然フォルテシモで雪崩のように高音部から低音部に落ちていく、激しいパッセージがおかれています。
まず、ここが聴きどころですね。

第2主題はドルチェでがらっと雰囲気が変わりますが、その弾き分けも注目です。
提示部最後の方の、半音階的な進行の部分もおもしろいです。

展開部にはいっての分散和音にのった柔らかいメロディー。それに続く、階段の上り下りをレガートで弾かなければならない。

そして、展開部の最後に、なんとオクターブグリッサンドが!
これは、しっかり見なければ。

カデンツァはテキストには第3番というのが載っています。
なんと、これが私が聴いているグルダやツィメルマンが弾いているカデンツァでした。

シフのコメントによると
「このカデンツァは協奏曲本体よりずっと後に書かれたもので、ベートーヴェン中期の和声や様式が見
いだされます。才気を感じさせる音楽であるのに演奏される機会が少ないのは残念なことです。このカデンツァでベートーヴェンがどのように即興演奏していたのか、想像することができます。」
だそうです。

楽譜を眺めると、一見シンプルに音符が並んでいるように見えるのですが、非常に即興的な展開で、華麗です。これを弾きこなすのはなかなか難しそうです。
スケールで駆けめぐるところもあれば、和音で爆発するところもある。
ワルトシュタインソナタのようにトリルを維持したまま、メロディーをのせる部分もあったり。

カデンツァの終止のフォルテシモの和音の前にピアノの和音があり、ここの右手にはなぜかアルペジオの装飾がしてあります。
シフによると、これはジョークだそうです。
実に聴き応えのあるカデンツァです。

ヌーブルジェには、是非、この3番のカデンツァを弾いてもらいたいものだと、意を強くしました。

それにしても、楽譜を見ながら聴くのも、なかなかおもしろいものです。
プロの技と表現力がよくわかります。
でも、ライブでそれやったらひんしゅくものでしょうから、おとなしく普通に聴きます。

今日はちょっとマニアックでした。

2009年6月 8日 (月)

NHK交響楽団定期公演(ヌーブルジェ出演)のテレビ放送

ヌーブルジェコンサートカウントダウン
NHK交響楽団定期公演まで、あと4日。
サントリーホールリサイタルまで、あと12日。

ヌーブルジェがソリストとして出演する、NHK交響楽団1650回定期公演の模様が、NHKでテレビ放送されます。
ただし、地上波ではありません。

7/12(日)06:00~
NHK ハイビジョン「N響演奏会」

7/17(金)10:00~
NHK BS2「N響演奏会」

詳しくは↓こちら
http://www.nhkso.or.jp/calendar/search_bd.php

(情報提供:まゆまおさん)

2009年6月 7日 (日)

ヌーブルジェ・ミニライブ@タワーレコード渋谷店(2009/6/14)【情報】

なんと、タワーレコード渋谷店において、ヌーブルジェのミニライブ&サイン会が催されるとのことです。

ミニライブの演奏曲目は不明です。

開催日 : 2009年6月14日(日)
時 間  : 15:00~
場 所  : タワーレコード渋谷店 6F

サイン会に参加するためには、ツェルニーかサントリーホールライブのCDを購入する必要があるようです。

案内サイトは↓こちら

http://www.towerrecords.jp/store/event/670.html

(情報提供:まゆまおさん、ありがとうございました)

NHK芸術劇場にヌーブルジェ登場!

6/5(金)に放送されたNHK教育テレビの「芸術劇場」で、今年のラ・フォル・ジュルネの模様が紹介されました。
放送された演目に残念ながらヌーブルジェのコンサートは含まれていませんでしたが、取材の中でしっ
かりと映っていました。

映ったのは2回でした。
まずはオープニングで、音なしであったものの、ミュージックキオスクにおいて小曽根真と即興演奏
ている姿が映りました。

2回目は、やはりミュージックキオスクにおいて、バッハ/ブゾーニのコラール前奏曲「今ぞ喜べ、愛するキリストの信者たちよ」BWV734を弾いている模様が、こちらはきちんと音声もありで、数十秒紹介されました。
(私の姿も、もしかすると映っていたかも)

当日の状況がよみがえってきて、とても嬉しかったです。

なんとか動画にアップしてみたいですが、やったことがないのでこれから研究してみます。
(どなたか教えていただけると嬉しいのですが・・・)

ジャン=マルク・ルイサダ リサイタル@紀尾井ホール

昨年秋のル・ジュルナル・ド・ショパンや、当然その前に発売されている2種類のライブ録音においての、ヌーブルジェの、明るくそしてシャープなショパンの演奏が、私の耳に強烈に残響を残しています

困ったことに、それが基準になってしまい、一流であるはずの演奏家のショパン演奏を聴いても、なかなか満足できなくなってしまいました。

今日は、フランス人の名手、ジャン=マルク・ルイサダのリサイタルを東京四谷の紀尾井ホールにて聴いてきました。
曲目は以下のとおり。

【前半】
ショパン:3つのノクターン op.9
      2つのノクターン op.27
      ノクターン第17番 ロ短調 op.62-1
     ノクターン第13番 ハ短調 op.48-1
J.S.バッハ:フランス組曲 第5番 BWV816

【後半】
シューマン:子供の情景 op.15
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調「熱情」op.57

【アンコール】
ドビュッシー:沈める寺
シューマン:アラベスク
         楽しき農夫

ショパンのノクターンは、たぶん、センスの良い演奏だと思います。
と、自信なさげなのは、私の大好きな27-1と48-1がやや物足りなかったのです。
こう、もっと緊張感があって、爆発するところは大爆発して欲しい。
ルイサダは、この間聴いたオレイニチャクと同様、過度な音量を控えて、ノーブルな感じに弾くので、
大暴れはしないのです。

CDで聴くワルツは、結構遊んでいるのですが、今日のノクターンはおとなしめの感じがしました。(もっとも、9-2ではショパンの弟子の楽譜などに残っている華麗な装飾をいれたりしてはいました)

バッハのフランス組曲は、最初のアルマンドが非常にゆっくりしたテンポで始まります。
そして、ショパンを弾くような優しい音楽の作り。リピートで折り返すところなど、それはそれは慈し
むような再現のしかたをします。
その後も、ショパン風のゆったりした流れが続き、最後のジーグはスピード感は増したものの
、リズミカルというよりは、流麗で、やはりロマン的な演奏でした。

何でもありのバッハですから、こういう演奏もありでしょう。
でも、ちょっと好き嫌いがあるかもしれません。
ルイサダの特徴が、今回一番よくわかった演奏でした。

後半開始のシューマン子供の情景は、ルイサダには一番お似合いだと思いました。
ツェルニー30番練習中の私でも、何曲かは(一応)弾けるやさしい曲で、やさしいだけにこれを鑑賞に
堪えるように弾くのは、逆に難しいものです。
ルイサダは、ニュアンスたっぷりに、同じメロディーでも同じには弾かず、そして、洒落たルバートを
用いて、飽きさせずに聴かせてくれました。

さて、トリの熱情ソナタです。
先日、王子ホールでコロベイニコフを聴いたばかり。
嫌でも比較してしまいます。

ルイサダは、バッハを聴いての予想どおりというか、歌うべきフレーズを、歌いすぎてしまうきらいがあります。ベートーヴェンは、そんなに音をのび縮みさせなくても良いのに、という感じです。
もっとシンプルであってほしかった。
あと、決めどころの高音部のフォルテシモが、結構濁っていたりしていました。
「らしさ」の点ではコロベイニコフの方がしっくりくるし技術的にも安定していたと思います。
やはりルイサダはロマン派があっているのではないでしょうか。

今日のピアノは、はっきり確認しませんでしたが、ヤマハだったと思われます。
そのせいなのか、どうなのか、全体を通じて、高音の張りというか艶やかさが不足気味だった感じです。

アンコールではまず、フランスものでドビュッシー。お手のものなのでしょう。(私は論評できるほど知りません)
シューマンアラベスクでは、曲が始まった瞬間、会場にため息があふれました。「お、知ってる」とい
うことですね。やはりシューマンは良い感じです。のびのび弾いています。
(途中、調子に乗りすぎて、間違えて弾き直したのにはびっくりしましたが)
最後は、「楽しき農夫」をちょちょいと弾いて、会場の笑いを誘い、終演でした。

「もっと輝きとリズムを!」
ヌーブルジェファンの私としては、これが今回の感想です。

2009年6月 5日 (金)

ブラームスはお好き?(ピアノソナタ第2番)

ヌーブルジェの演奏会カウントダウン。
NHK交響楽団定期公演まで、あと7日。
サントリーホールリサイタルまで、あと15日。

リサイタルの曲目のひとつが、ブラームスのピアノソナタ第2番。
2番とされているけれども、本当は1番最初に完成しているそうです。
ブラームスの若いときの作品。

前にも書いたように、知らなかったのでリヒテルで今一生懸命聴いています。
(ヌーブルジェがCDを出していますが、ライブで聴くことになるので、まだ購入していないのです)

しかし、なかなか好きになれない・・・
素材がバラバラと散らばっているばかりで、まとまりがなく、メロディーも親しみがわかず、美しいと
も思えない。
はじめとっつきが悪い曲でも、聴きこんでいくうちに良さがわかってくるということが、クラッシック
の場合、案外多いものです。
ですが、この曲はなかなか入ってきません。

曲の解説を読んだりして、第2楽章が変奏曲で、そのテーマを第3楽章のスケルツォでも使っている、などというのがわかって、少し構造が見えてきましたが、まだまだいけません。

ヌーブルジェはインタービューで「小難しい」と言ったらしいですが、この小難しく、仰々しく、かわいくない曲を、いったいどう聴かせてくれるでしょうか。
比較的よく弾かれている3番ではなく、ベートーヴェンのハンマークラヴィーアに似ている1番でもなく、一番わかりにくそうな2番を選んだことに、きっと何か意図がある
のだとは思いますが。

とういのは、まだ翻訳できていない、オーベル・シュル・オワーズ音楽祭のCDのインタビューで、ショパンのあまり有名でない初期の作品を演奏したことについて、それらの作品の中には、後年のショパンの名作群につながるエッセンスがちりばめられているのですよ、といったニュアンスのことを話しています。

おそらく、今回のブラームスの選曲にも、そんな意図があるのかなあ、と想像しています。

2009年6月 4日 (木)

ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番の聴かせどころ

ヌーブルジェの演奏会カウントダウン。
NHK交響楽団定期公演まで、あと8日。
サントリーホールリサイタルまで、あと16日。

N響と協演する、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番はベートーヴェン初期の名作で、聴かせどころはたくさんあろうかと思います。
第1楽章のガデンツァもそのひとつです。

今日、ipodでアシュケナージ、ツィメルマン、グルダを聴いていて気がつきましたが、第1楽章のカデンツァが違うのですね。
調べてみると、ベートーヴェン自身の作が3曲残されていて、うち1曲は未完だということですから、実質2
曲あるわけです。
アシュケナージ(メータ、ウィーンフィル)は短くてやさしい方を弾いています。
ツィメルマンとグルダは長くてド派手な方を弾いています。4分以上はあります。

ヌーブルジェはさて、どちらを弾くのでしょうか?
せっかくですから、ド派手な超絶技巧の方をお願いしたいものですが・・・

第2楽章の天国的なメロディーも聴き逃せないです。
ぜひ昇天させていただきたい。

第3楽章からは、スーパーピアノレッスンのシフをして「ブロードウェイ風」と言わしめたメロディーでしょうか。
過日、ラフォルジュルネの会場でここを弾いているキーシンのビデオが流れておりまして、そのすっ飛んだ演
奏にびっくりしたばかりです。リストはこんな風に弾いたのではなかろうか、というような仰天パーフォーマンスでした。
ヌーブルジェはそういうタイプでないですから、もう少し常識的な演奏を聴かせてくれるでしょう。

日々楽しみは増すばかりです。

2009年6月 3日 (水)

コンサートホールのキャパ

ヌーブルジェの演奏会カウントダウン。
NHK交響楽団定期公演まで、あと9日。
サントリーホールリサイタルまで、あと17日。

N響との協演では、ベートーヴェンのピアノコンチェルト第1番を弾くヌーブルジェ。
会場はNHKホールです。

久々に訪れます。
ここのところ、音楽専用ホールばかりでしたので、音響のお粗末なばかでかいNHKホールでの演奏には、一
抹の不安があります。
せっかくのヌーブルジェの美音も、うまく響かないのではないか?などと。

ちなみに、どのくらいばかでかいか、クラッシックのコンサートが行われる東京近辺の主なホールの座席数をリサーチしてみました。

NHKホール                     3,677
東京文化会館 大ホール         2,303
オーチャードホール               2,150
横浜みなとみらいホール 大ホール 2,020
サントリーホール                 2,006
東京芸術劇場                  1,999
ミューザ川崎シンフォニーホール    1,997
すみだトリフォニーホール           1,801
東京オペラシティコンサートホール   1,632
神奈川県立音楽堂              1,106
紀尾井ホール                    800
彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール   776
東京文化会館 小ホール           649
浜離宮朝日コンサートホール        552
横浜みなとみらいホール小ホール    440
王子ホール                       315

NHKホールが図抜けて大きいのがよくわかります。

意外だったのが、横浜みなとみらいホールがサントリーホールより大きかったこと。

よくわからないのが、東京芸術劇場は、なぜ2,000席にしなかったのか?
紀尾井ホールはすっきりしてます。

ピアノのリサイタルの場合、本当だったら、1,000席以下の、紀尾井ホール、浜離宮朝日ホール、王子ホールなどが良いのでしょうね。
ただ、メジャーな演奏家ではそうはいかないのは、しかたのないところです。

2009年6月 2日 (火)

リサイタルアンコール曲予想

ヌーブルジェの演奏会カウントダウン。
NHK交響楽団定期公演まで、あと10日。
サントリーホールリサイタルまで、あと18日。

今年のラ・フォル・ジュルネでは、全4公演すべてで、アンコールを披露してくれたヌーブルジェ。
2月の大阪フィルとのコンチェルトでも、アンコールに応えてくれました。

ラ・フォル・ジュルネは公演時間が限られているので、アンコールを奏してくれる演奏家はそういなかったはず。
ヌーブルジェはなかなかサービス精神があるようですね。
インタビュー記事でも、観客の前で演奏することが好きだと言っていたと思います。

さて、今度のリサイタルでは、何を弾いてくれるでしょうか。
何せ、ハンマークラヴィーア・ソナタという大汗をかく曲の後です。
今からあれこれ考えたところで意味はありませんが、お遊びで予想してみます。

1.ドイツものが続き、しかも難解な大曲の後だし、気分を変えてフランスものの癒し系の曲
  2月に弾いたドビュッシーのベルガマスク組曲や、前奏曲
  または、ラ・フォル・ジュルネ東京で弾いたフォーレの舟歌や夜想曲

2.ラ・フォル・ジュルネを受けて、バッハかモーツァルトの癒し系の曲
  バッハだったら、コラール前奏曲や組曲のなかの緩徐楽章など
  モーツァルトだったら、幻想曲やロンド

3.ハンマークラヴィーアを受けてベートーヴェン
  バガテル

4.だめ押しで超絶技巧
  ショパン、ツェルニー、リストなどのエチュード

5.ヌーブルジェオリジナル曲

果たして当たるや否や?

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