ハンマークラヴィーア・メイキングDVD(byヌーブルジェ)を観る
このDVDを観れば、ベートーヴェンのハンマークラヴィーア・ソナタを好きになってしまうことは請け合いです。
6/20のヌーブルジェによる白熱の演奏がまだ記憶に焼き付いているまま、先行販売されたCD&DVDを視聴してみました。
DVDでは録音された音源をミキサー室でチェックするヌーブルジェと、薄暗いスタジオで聴衆を前にピアノを弾きながらハンマークラヴィーアに対する演奏のアプローチを語るヌーブルジェの姿を重ね合わせた、粋な演出です。
ハンマークラヴィーアを語るヌーブルジェはたいへん雄弁です。
英語の字幕を一生懸命追い、該当箇所のピアノを弾いてくれるので、概ねこんなことを言っているのだろうなということは想像がつきました。
第1楽章、冒頭の左手による和音の跳躍が、同じ楽章のみならず、後の楽章にも関係していることを述べていました。
ベートーヴェンの緻密な作曲技法を解き明かしてくれました。
また、冒頭の和音について、チェンバロなどのためでなく、これはまさしくピアノのための音、と述べているのも印象的でした。
第2楽章はたっぷり時間をかけて、そのおもしろさを紹介していました。
第2楽章の演奏は大変楽しいものであったと感じていたので、ヌーブルジェがそう思いながら弾いていたことがわかり、納得しました。
第3楽章の3つのテーマの弾き分けもとても良くわかりました。
第3楽章に関しては、ライブもよかったけれどもDVDの方がよりその情感や音色の美しさを堪能できた気がします。
あれだけしっかり知的に分析していて、深くないわけありませんね。
第4楽章は、CDの録音をチェックするヌーブルジェの姿が印象的でした。
やはりリズムを感じています。自分の演奏を聴いて楽しそうでした。
また、終結部の前のアルペジオがなんとドラマティックなこと!
ヌーブルジェのすばらしい演奏付きの解説を聞いて、難解と言われるハンマークラヴィーアがますます身近に感じらるようになりました。
こういうことをやるピアニストは、もしかしたら、グールド以来かもしれませんね。
ライブも録音も積極的なヌーブルジェのマルチタレントぶりは、ファンとしてこの上ない悦びです。
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