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2009年6月15日 (月)

NHK交響楽団第1650回定期公演~ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番【詳細リポート】

ヌーブルジェ・リサイタルまであと5日。

6月12日(金)と13日(土)に行われたNHK交響楽団とヌーブルジェとの協演を、とうとう両方とも聴いてしまいました。
もちろん、たった1日で解釈が変わるはずもなく(グールドならあるかもしれません)、違ったのは座席位置による音
の聞こえ方でした。
ただ「音をどう響かせるか」は解釈の一部でありましょうから、金曜日に聴いたこもりがちの音はヌーブルジェの意図
するところではなかったはずです。

ヌーブルジェは、もう完全にトレードマークとなったやや大きめの黒のジャケット姿です。
シャツは両日とも
濃いピンク。金沢のラ・フォル・ジュルネと同じ出で立ちでした。
いつものように、ぎこちなくおじぎをして、スタンバイ。

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
オケによる長い長い主題の提示が終わり、2度と現れることのないピアノによる導入部です。
ヌーブルジェは、まずここでオケによる勇壮な提示とガラッと雰囲気を変え、テンポも落とし、優しくゆっくり確かめ
るような弾き出しをします。
「さあ皆さん、慌てないで、お静かに。これから楽しい音楽を始めますよ」とでも言っているようです。
何という演出。つかみはばっちりです。

オケのトゥッティに続く分散和音による嵐のような2回の降下。
荒々しい表現を避け、流れるような華麗なタッチです。
この後のスケールや半音階的進行も、あくまで流麗。
モーツァルト的雰囲気を残したベートーヴェンを表現しているように思えます。

その後は、細やかなパッセージの部分と、しっとりと歌わせる部分との対比を常に明確に表現していました。

展開部最後の右手によるオクターブグリッサンドと思われた部分は、残念ながら両手によるユニゾンでした。
もっともあの早さと強さでグリッサンドしたら、指がどうかしてしまうかも。

さて、カデンツァはすでにレポートしたように、ベートーヴェン自身による3つめのものでした。
「傑作の森」の中期に書かれたものと言われており、4分以上にも及ぶ長大なものです。
ベートーヴェンが後年になってもこのコンチェルトのカデンツァを書いたということは、ベートーヴェン自身もこの曲
を結構気に入っていたのではないかと想像できますね。

第1主題をモチーフにした力強い出だしから、熱情ソナタやワルトシュタインソナタによく出てきそうな、絢爛豪華なパッセージの連続。
これをヌーブルジェは、華麗なテクニックを駆使し、いくぶん即興性も織り込みつつ弾いていきます。
めまぐるしく上下するパッセージとその響きに目がくらむようでした。

そして、第1主題による和音の連打。強烈です。
終わったと思わせてから、一転して軽やかなメロディー。
右手の左手の対話は絶妙なタイミング。
ワルトシュタインソナタ第3楽章のようなトリルは厚みをもたせ、華麗なる終止部へ。

スケールで上がりきって、ドミナント、サブドミナント。ここで2拍半の沈黙がヌーブルジェの聴かせどころ。
これ以上長くても、短くてもいけない絶妙の「間」。
そして、ややゆっくりアルペジオを奏で、メルクルと息を合わせて終了です。

まるでリサイタルのような楽しいひとときでした。
このカデンツァを、長すぎるし前後の構築感とミスマッチ、とするむねもあるようですが、独奏者の腕の見せ所という
意味では、これ以上のものはないのではないでしょうか。

土曜日の演奏会では、第1楽章が終わったところのインターバルで、周囲からザワザワといったざわめきが起こりました。
おそらく、カデンツァのものすごい演奏を聴いて、ヌーブルジェを知らずに来た聴衆たちが「あれ、この子ちょっとす
ごいじゃない」とか言っていたのでは、とファンとしては都合良く解釈します(^^;)

第2楽章ラルゴ。
ラルゴとは、イタリア語で「ゆったりして、ぶかぶか」という意味らしいです。
アダージョよりも、レントよりも、ゆったり、幅広く、です。

ヌーブルジェの奏でるラルゴは、早さは本当に遅く、しっとり管楽器と絡みながら進みます。
短い中間部における、同音の連打のなんとも言えぬニュアンス。うまい!

主題が変奏的に再現され、シフ言うところの乾杯の踊りは、何せテンポが遅いままなので、そういう感じには聞こえず
終止部に入ると、いよいよ死んでしまうほどテンポは落とされ、ヌーブルジェはほとんど左を向きっ放しで管楽器と顔
を見合わせながらの対話。徐々に増す緊張感。なんだか感極まってきてしまいました。

テクニカルなヌーブルジェも素晴らしいけれど、緩徐楽章における表現力も最高です。
というより、2回目に聴いたときは、この第2楽章に一番感銘を受けました

第3楽章 ロンド:アレグロ
アレグロは単に速いということではなく、明るく、快活にというニュアンスがあります。
ジャズの即興演奏もしてしまうノリノリのヌーブルジェには、実はピッタリなのですね。
超速いというより、小気味良いテンポで音楽は進み、思わず身体をスイングしたくなります。

中間部のブロードウェイ風のメロディ。キーシンがすっ跳んでいたところですが、ヌーブルジェは慌てず、むしろスフォルツァンドをやや長めに弾きました。極端に書くと「タラタターーラ、タラタターーラ」という感じでしょうか。
もちろん、左手バスの「ズン、タン、タン、タン」も土曜日は良く聞こえました。

終結部。
短かいながら華麗なカデンツァを経て、新たな境地へ。
カノン風のオケとピアノが絡むところは、もしかしたらちょっと危なかったかも。

パパゲーノの笛が案外明るく響く。
告別ソナタの響きからはテンポを落とし、第1楽章のピアノ導入部分が回帰されくるようです。
オーボエが「どうも皆さん、お疲れさま」と奏で、大団円です。
ブッラーボ!。

ちなみに、金曜日はブラボーなし。土曜日は男性と女性1人づつ。私は抑えて黙ってました。
何せ、周囲はご老人ばかりで、あまり乗ってなかったのです(-_-;)
空気読みました。
ヌーブルジェの若々しくも鮮烈な演奏の素晴らしさは、もしかしたらホールを埋め尽くしたおそらく半分以上のご高齢
者たちには、あまりピンとこなかったのかもしれません。
(N響の会員でしょうか、あまりに高齢者が多いのにびっくりしました)

アンコールは両日ともなしでした。

オケのことはよくわかりません。
指揮者の準・メルクルは動作がはっきりしていて、わかりやすい指揮者のように感じました。
ヌーブルジェの若々しさにひけをとっていませんでした。
木管楽器がとても活躍する曲で、下手なオケだとプースカはずしますが、さすが最近のN響の奏者はそういうことはあ
まり見受けられませんでした。

私にとってはおまけになってしまった、プログラム後半のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」(昔学校で習ったときは「真夏の夜の夢」でしたが、訳の間違いということで、最近ではこういうそうです)

語りの中井貴恵さんが主役でしたね。
結婚行進曲の原曲を聴いたのは初めてでした。
序曲を筆頭に、楽しい曲でした。

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