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2009年5月17日 (日)

アンドレイ・コロベイニコフ リサイタル@王子ホール

また一人、気に留めるべき若手のピアニストが増えました。

ラ・フォル・ジュルネでのバッハの演奏にびっくりして、急遽リサイタルを聴いてみることにしたアンドレイ・コロベイニコフです。

5/14、この日のプログラムは以下のとおり。

【前半】
1.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 op.78「テレーゼ」
2.ベートーヴェン:アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57
3.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 op.57「熱情」

【後半】
4.ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 op.34
5.シュスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ op.87より 第24番 ニ短調

【アンコール】
シチェドリン : ロシアの鐘
J.S.バッハ(ケンプ編) : フルート・ソナタ第2番 変ホ長調 BWV1031から シチリアーノ
ベートーヴェン : バガテル op.126-4

バッハのときはグールドばりのノンレガート奏法が新鮮でした。この日真横から見た演奏姿勢は現代のピアニストにしては椅子が低く、肘の位置が鍵盤より下がっていて、こちらもグールドに近いものがあります。そういえば、演奏しながらハミングするところも似ています。

しかし、テレーゼソナタから始まったベートーウ゛ェンの演奏は至極常識的なものでした。
もちろん、今回は左右のペダルを使い分け、音色の変化やディナーミクの変化に心を配っていました。
テレーゼとアンダンテ・ファボリは、きらきらきらめくタッチというより、やや抑え気味でした。といっても、テクニカルな部分では切れよく処理しており、安心して聴いていられました。

この日のメインというべき熱情ソナタは、冒頭の「運命の動機」が、非常にゆっくりとしたテンポで鳴らされたので、どういう展開になるのか緊張しました。その後は、普通のテンポで、奇をてらうことなく、聞こえるべき旋律がきちんと聞こえる真っ当な演奏でした。
ディナーミクの変化も申し分なく、混濁することのない低音部の迫力も相当なもの。コーダに入る前、ためにためて、コーダはも猛烈スピードで盛り上げます。
コロベイニコフは、バッハのパルティータでもそうでしたが、終結部のクライマックスを相当重視しているようです。人によっては、やり過ぎと思う方もいるやもしれません。

第2楽章は、確かめるようなスローなテンポ。変奏が進んでも、細やかなパッセージが現れても決して慌てません。たぶん、第3楽章の爆発に備えた”ため”を十分蓄えたいのでしょう。

第3楽章は2楽章の緊張から解き放たれとはいえ、最初から猛爆するということはなく、やはり常識的に進んでいきます。
びっくりしたのはコーダです。弱音での和音の連打は、今まで聴いたどの演奏よりも早い!
こんなスピードで最後まで弾ききることができるのだろうか?
若干危ない感じはしましたが、何とかぎりぎり最後は駆け抜けました。
やはり、こうやって終わりたい人のようです。

全体として、聴きごたえのあるベートーヴェンを聴けたと思います。

さて、後半のシュスタコーヴィッチは初めて聴く曲で、もともと守備範囲の狭い人間ですので、なかなかこういった、旋律のはっきりしない曲を聴くのは厳しいものがありました。
オッ、やっとメロディーが、と思う間もなく、不協和音に回帰。
やはりショパンの24の前奏曲の方が良いですなあ。

非常に技巧的な曲で、これらをあっさり弾いていたコロベイニコフのテクニックが優れていることはよくわかりました。

終曲の前奏曲とフーガは、多少親しみがもてました。でもフーガの最後はフーガなのだろうか?右手と左手に交互に旋律が現れるだけで、バッハのように多旋律がからんでいるようには思えず。
この曲も最後は盛り上がりで、コロベイニコフらしい終わり方だったのかもしれません。

実は、この日楽しかったのはアンコールでした。
1曲目の「ロシアの鐘」はコロベイニコフが日本語で紹介してくれました。
曲名のとおり、大音量の鐘の音がホール全体に響き渡りました。王子ホールは案外音響はデッドで、小さなホールなのにガンガンピアノが響いてくるという感じではありませんでした。
ところが、この曲に関しては、響きがホールに充満し、ちょっとした陶酔感を味わえました。
やはり、ピアノの鳴らし方によって、こんなにも響き方が違うものなのだと、感心したしだいです。

2曲目の「シチリアーノ」。たぶん、バッハを演るだろうな、と予想していたので当たりです。しかも、よく知っている曲だったので嬉しくなりました。この演奏は少し変わっていて、左手の伴奏をペダルでレガートに響かせないで、ノンレガートというより、スタカート気味にポツポツ弾くのです。ちょっと違和感があったものの、曲が進むにつれ、なんとも憂いがあって、寂しげなこの曲には、案外あのような弾き方があっているのかも、と納得しました。

3曲目の「バガテル」。もちろん最後は盛り上げでしたね。激-緩-激のわかりやすい構造。ベートヴェンというより、ロシアものでも弾いている印象でしたが、非常に楽しい演奏でした。あまり聴いたことがなかったので、これから聴きこんでみようという気になりました。
ライブで感銘を受けて、聴く曲のレパートリーが増えていくというのは、楽しいものです。

というわけで、ヌーブルジェと同い年のこのロシア人の青年も、なかなか将来楽しみな逸材ということがわかりました。
記事は前後しましたが、枯れ行くポリーニらの老巨匠たちに替わって、最近は、このように伸び行く若手のピアニストが輩出し、クラッシクピアノ界もなかなか楽しくなってきました。

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コメント

さぼてんさま
こんにちは。

コロベイニコフ、弾き終わったとたんに飛び出してきますね!
チャイコフスキーは上手だったのではないでしょうか?

ポリーニだいぶくたしてしまいましたが、レベルが高いことは間違いないのです。ただ、期待値が高かっただけに辛口になってしまいました。
でも、あれだけアンコールした上にサイン会とは・・・
ちょっとポリーニが可哀想な気がします。

カジモトは最近随分アーティスト使いが荒いですね。

ヌーブルジェも消耗させられなければ良いのですが・・・


こんにちは!私はコロベイニコフをLFJ4日にPartitaNo5,No6とフリーコンサートで見たあと、急遽母の日の10日にオーチャードホールでの東京フィルとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番をみにいきました!LFJでの小雨降る中のブゾーニ編のシャコンヌなかなかよかったですよねーーー!!彼の元気のいいお辞儀の仕方気に入ってます。(笑) 王子ホールも行きたかったのですがなにせポリーニさまの前日だったので。。。
私はあの公演のあと老体鞭打ってすっごい人数分のサインさせられてるポリー二様を不憫におもいつつつも(カジモト巨匠の手を疲れさせるな!))) ちゃっかりサインをいただき、GRAZIEと叫んだらPREGOと返してくれました。一応家宝(笑)なにかで読んだけど、運動機能反射能力はやはり関係あるからテクニックとしてのやはりピアニストの最絶頂期は20代から30代だと。そりゃそうだ。普通の70歳なんて隠居老人ですもの。でも偉業を成し遂げてきた方のさらに音楽を愛して追求しつづける姿はいつも感動です。私は初めてのポリーニさまのリサイタルなので、過去はCDでしかしらないのですが、巨匠を拝めただけで胸いっぱいでした。
でもやはり若い、これからが未来って素敵(笑) ヌーブルジェのサントリーホール楽しみです!花束ガールズたくさんいるかな?(笑)

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