ラ・フォル・ジュルネ東京2009~No.277ヌーブルジェコンサート
いよいよラ・フォル・ジュルネ2009における、ヌーブルジェ最後の演奏会です。
19:15からG409「ドレスデン」にて開演しました。
「ドレスデン」はおそらく会議室をホールにしたてたもので、わずか153席しかありません。
ピアノのまわりにコの字型に椅子が並べてありました。
私の席は真ん中後方でした。
後方といっても、5列目くらいです。
照明が落ちると、たいへん暗く、本当にピアノだけにスポットがあたっていて、何とも秘めやかな雰囲気でした。
プログラムはすべて編曲もので以下のとおり。
1.ブクステフーデ/プロコフィエフ:前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV140
2.J.S. バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
3.J.S. バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ」BWV734
4.J.S. バッハ/ブラームス:「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004」よりシャコンヌ
5.J.S. バッハ/フェインベルク:「トリオ・ソナタ第5番BWV529」よりラルゴ イ短調
6.J.S. バッハ/ヌーブルジェ:「ミサ曲 ロ短調 BWV232」よりキリエ・エレイソン
アンコール J.S.バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
これらはほとんど知りませんでした。
シャコンヌだけは事前にチェックしておきましたが、あとは出たとこ勝負です。
終わってみて、今思い出しながら記事を書いていますが、正直言って、シャコンヌ以外はあまり思い出せません。
一つは、聞き慣れていない曲ばかりだったことと、もう一つはシャコンヌがあまりにも凄まじくて集中して聴いたためか、他の曲の記憶が吹っ飛んでしまったのかもしれません。
しかたなく、ラ・フォル・ジュルネの公式サイトの視聴コーナーで復習しながら、何とか思い出して書いてみます。
ブクステフーデ/プロコフィエフは、そうそうフーガでした。バッハに影響を与えたというのがブクスフーデらしいですね。編曲ものですが、古典的な均整を崩さないフーガだったと思います。
BWV659はゆったりとした寂しいコラール。視聴して記憶が蘇ってきました。ほのかな詩情はヌーブルジェの得意とするところで、またその美音でうっとりでした。
BWV734は昼間のフリーコンサートと同じ曲でしたね。ところが、どうもこの夜の演奏がよく思いだせません。昼間の演奏はよく覚えているのに。やはりこのあとのシャコンヌで跳んでしまったのでしょうか。
そして、いよいよブラームス版のシャコンヌです。6月のリサイタルのプログラムでもあります。一般的にはブゾーニ版が有名で良く弾かれます。ブラームスのものは、左手だけで弾かれます。そもそもが練習曲といういうことで、超絶的な技巧が要求されるようです。
当たり前ですが、右手をだらんとしたまま、厳かにシャコンヌが始まります。
なんだか尋常でない緊張感が漂っています。左手だけのパーフォーマンスということもあって、背伸びして見入ってしまいました。
音楽がすすむにつれ、いつも冷静なヌーブルジェが、どうも興奮してきているような感じがします。緊張の度合いがますます高まり、聴衆も息をひそめて聴き入っています。
音楽はだんだん盛り上がり、もはや左手だけで弾いていることが信じられないような響きが、暗い会場のなかに充満します。
緊張感と陶酔感で、くらくらしそうでした。
これは大変なものを聴いてしまいました。
6月は大きなホールで、また違った感興が得られることでしょう。
J.S. バッハ/フェインベルクのラルゴは、視聴して思い出しました。
何とも寂しげな旋律が印象的でした。
強烈なシャコンヌの後の一服といったところですが、どうしてなかなかこれも緊張感が続いていた気がします。
最後はヌーブルジェ自身がミサ曲ロ短調のメロディーを編曲したものだそうです。
またまた、緊張をはらんだ爆発的な演奏でした。もうシャコンヌで疲れ切ってしまったので、勘弁してください、と言いたいところでした。
例によってアンコールのサービスです。
どうか、またフォーレとか、ドビュッシーあたりをお願いしたいところです。
耳を休ませてください。
弾かれた曲はコラール前奏曲のBWV645だったそうです。初めてでしたので、バッハとはわからず、わからないほど、ほっとした曲でした。
良かった良かった。癒されました。
いやいや、このコンサートでこの日5つめだったこともあり、ヌーブルジェの緊張感あふれる演奏もあって、相当ダメージを受けました。
実は、この後、アンヌ・ケフェレックのコンサートを聴いたのですが、これがまた凄かった。
くたくたの1日となりました。
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まゆまおさま
ようこそいらっしゃいませ(^o^)
コメントありがとうございます。
共感のコメントはブログをやっていて一番嬉しいものです。
>不肖私も金沢含め有料公演には全て行って来ましたが
まさか、私以外に追っかけファンがいるとは思いませんでした(^^;)
世の中広いですね。
ファンクラブ結成でしょうか!(^^)!
私は最近うん十の手習いで、ピアノのレッスンを受けています。
バッハは無理ですが、金沢で聴いたモーツァルトのエレガントな弾き方に触発されて、戻ってから一心不乱に練習しています。
サントリーは本当に待ち遠しいですね。
N響も私は聴いてきますので、もちろん記事を書きます。
今後もどうぞごひいきに!
投稿: まいくま | 2009年5月 9日 (土) 08時51分
はじめまして。
ル・ジュルナル・ド・ショパンでヌーブルジェにハマってしまった
フツーのオバちゃんです。
ピアノをはじめ、クラシックのことは好きだけど全然詳しくないし、
そもそもブログにコメントを残すということが初めてなので
何か失礼があったらご容赦下さい。
それにしてもこちらのブログは以前から拝見させて頂いておりましたが、
いつも詳細なレポートを掲載して頂きありがとうございます。
ラ・フォル・ジョルネの更新も今か今かと楽しみにしておりました。
コンサート後の感動を具体的な言葉にして頂けると
溜飲が下がるというのか、納得するというのか
上手く言えませんけれど・・・救われてます。
不肖私も金沢含め有料公演には全て行って来ましたが、
(無料公演は見逃してしまいとても残念です・・・)
G409の公演は雰囲気といい、もちろん演奏といいスゴかったですね!
5日経った今でもまだ引き摺っていて
社会復帰出来ずにいます・・・。
今からサントリーホールが待ち遠しいです。
残念ながらN響には行けないので、
こちらでお話が聞けたらうれしいです。
今後も伺わせて頂きたく存じます。
どうぞよろしくお願いします。
投稿: まゆまお | 2009年5月 9日 (土) 01時33分