ラ・フォル・ジュルネ金沢2009~No.233ヌーブルジェコンサート
金沢の2日目14:45から金沢市アートホールにて、ヌーブルジェ2回目のコンサートが開催されました。この日のプログラムは
1.ハイドン:ピアノ・ソナタ第47番 ロ短調 Hob.ⅩⅥ-32
2.モーツァルト:ピアノ・ソナタ第5番 ト長調 K.283
3.モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310
アンコール バッハ:イタリア協奏曲第2楽章
でした。
ハイドンのソナタ47番は全くなじみがなく、楽譜も持っていません。第1楽章だけiTunesストアで購入して事前に少し聴いておきました。
曲自体が非常に緊張に満ちており、おそらく、この曲が作曲された頃の「疾風怒濤」の芸術風潮の影響を受けていると思われます。
ヌーブルジェは、前日のソフトタッチからうって変わって、第1楽章の出だしから、深く迷いのないタッチと大きな構成力でハイドンを表現していきます。
あっという間にヌーブルジェの世界に引き込まれてしまいました。
そして、圧巻だったのはそれこそ疾風怒濤の第3楽章でした。荒れ狂う嵐のようなパッセージを、一点の曇りもなく、圧倒的な集中力をもって強靱に弾ききりました。
ほとんど始めて聴く曲だったにもかかわらず、息が止まりそうで、思わず唸ってしなってしまいました。
2曲目はモーツァルトのソナタ5番です。
親しみやすい旋律とわかりやすい構造の初期の名作だと思います。
この曲も、前日よりはソフトペダルの使用が少ないようで、少しヌーブルジェらしい明るさが出ていたと思います。
第3楽章プレストですが、決して慌てず、前日のトルコ行進曲のようにリズムをしっかり保って、優雅に仕上げていました。
3曲目がこの日メインといえる、モーツァルトのソナタ8番です。
この曲は、私自身何とか弾こうと挑戦した経験があるので、すみずみまでよく知った曲です。
第1楽章アレグロマエストーソは、快適なテンポで悲壮感をよく表現していました。
ディヌ・リパッティの告別コンサートの悲痛な演奏まではいかないものの、それに近い線まで迫っていたような気がします。
展開部がフォルテで始まったのにはびっくりしました。
そして中間の聴かせどころは、フォルテシモとピアニシモを見事に弾き分け圧巻でした。この部分はブレンデルの演奏が秀逸と思っていましたが、ヌーブルジェは劣らないです。
第2楽章のアンダンテカンタービレは、まさにその通りで、かなりゆっくりとした歌でした。
ちょうど、サントリーホールライブで弾いたイギリス組曲2番で、プレリュードを怒濤のごとく弾いた後、アルマンドを非常にゆっくり弾いていたのを思い出しました。
第3楽章プレストは、常識的な速度で、レガート奏法で流麗に表現していました。
劇的ではありますが、決して大げさにならない、品の良さを保った演奏だったと思います。
さて、またまたサービスでアンコールを弾いてくれました。
バッハのイタリア協奏曲の第2楽章です。
ついています。(でもなぜイタリア協奏曲だったのかは、東京に行った時判明しました)
ゆったりとしたテンポ。ペダルで響かせたロマンティックな表現です。
音の響きが天に昇っていくような感じで、そう、教会ででも聴いているような気分に陥りました。実に感動的でした。
こうなったら、ぜひ第1楽章も聴いてみたいと思ったものです。
2日間、かなり前の席で聴けたこともあり、ペダリングやタッチの変化が良くわかりました。
音をソフトにしたい部分と、明瞭な音を出したい部分をはっきり弾きわけているのが良くわかりました。
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