楽しみな聴き比べ~ヌーブルジェとポリーニ、ツィメルマン
5月15日(金)にマウリツィオ・ポリーニを、そして6月18日(木)にクリスチャン・ツィメルマンのリサイタルを聴きます。
ポリーニはいわずと知れた、戦後のコンクール世代の第一人者です。1970年代に出したレコードは、ひっくり返るほどびっくりするテクニックで弾かれていたものです。
ライブでは一度しか聴いたことがありませんが、レコードとはまたひと味違い、情熱溢れる演奏を聴かせてくれました。
たっぷり本演奏した後アンコールでショパンスケルツォの3番と舟歌を弾いてしまうようなサービス精神も持ち合わせていました。
しかし、1990年代以降そのテクニックにやや陰りが見え始め、往年の切れ味がなくなってしまいました。テクニックの凄さと表現が一体であることがポリーニの特徴であっただけに、最近のポリーニは円熟などと言われていますが、私にとってはポリーニらしくない、と感じてしまいます。
今度のリサイタルは、ポリーニをもう一度ライブで確かめてみるために行ってきます。
そこで、ショパンバラード2番と、英雄ポロネーズを弾きます。
(まさか70歳近いポリーニの英雄が聴けるとは思いませんでした)
わがヌーブルジェの演奏では、バラード2番を2007年のサントリーホールライブのCDで聴き、英雄ポロネーズは2008年のル・ジュルナル・ド・ショパンでライブで聴きました。
どちらの演奏も非常に素晴らしく、克明に覚えています。
ポリーニと聴き比べるのが今から楽しみです。
ツィメルマンは、ヌーブルジェと出会う前まで、私の中では現役最高のピアニストです。もちろん、今でもまだヌーブルジェに取って替わられたとは思っていません。
今回のリサイタルでは、嬉しいことに、私の大好きなバッハのパルティータ2番、ベートーヴェンの32番ソナタ、ブラームスの作品119の小品集を弾いてくれます。
そしてブラームスの作品119の小品集は、前の記事で書いたとおり、ヌーブルジェのライブCDになっています。
ヌーブルジェの演奏は若々しく新鮮なものでした。
今や脂の乗り切ったツィメルマンは、ブラームス晩年の、非常に倒錯的なこの作品をどう表現するのか、これまた大変楽しみです。
ツィメルマンのライブは過去2回聴きましたが、いつも良い意味で裏切られます。
想像以上のパーフォーマンスを発揮してくれるのです。
今回も、きっと予想せざるパルティータ、32番ソナタ、そしてブラームス119が聴けることでしょう。
そして、ヌーブルジェとの距離がはっきりわかると思います。
ヌーブルジェには、ぜひツィメルマンのように、じっくりと王道を歩んでもらいたいです。
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