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2009年2月24日 (火)

大阪フィル定期公演のヌーブルジェ 追記2

ヌーブルジェの演奏に関する批評が少ない中、とても文学的美文にあふれた長文で、先日の彼の演奏を好意的に批評しているサイトを見つけました。

「ザ・クラッシック評論」 by 小川榮太郎氏

なんだか、自分のことをほめられているようで、嬉しくなってしまったので、引用させていただきながら、私も感想を乗せてみたいと思います。
(ちなみに、歴史的仮名遣いを使用されている方なので、少々読みづらいかもしれません)

《ジュノム》は、おづおづと始まる。

いきなり掛け合いから始まる珍しい曲ですから、出だしは難しいでしょうね。
まず予断を持っていて、ピアノは絶対
「タ、ラッタン、タン、タラリラ、タン!タン!」とはっきり始まると思っていたのに、「ラ、リーラーラーン、ティリリララン、ラン」てな感じで始まったので、そこでもう「あれれ?」と思ったものでした。

テクニックが竝外れてゐるといふのは、このモーツァルトでは判別し難い。

確かに、モーツァルトをこのくらい弾けるピアニストはいくらでもいるでしょうね。
この曲からヌーブルジェの圧倒的なテクニックはなかなか見えてこないかもしれません。

トゥリルの納め方など、不器用だし、ピアノの音像もやゝ不安定な1樂章である。

どの辺が不器用だったのかは不明です。私はピアノの技術を聴き取ることに関しては、まあまあわかる方だと思っていますが、トリルに関してはわかりませんでした。
別の部分で、少し音が濁る場面は散見されましたが、致命的なものではなく、ライブにはこの程度はつきものだと思います。
ピアノの音像が不安定という感じはよくわかります。
弦とハンマーの間に一枚薄皮を挟んだような音だったと思います。

たゞ、何とも懷かしい、心の澄んだ歌聲のやうな高音を持つてゐる
單にリリックで清潔といふだけなら、さうしたピアニストは澤山ゐるだらう。ヌーブルジェの場合、音そのものが
情感の搖らぎを持つ本物の歌の氣配がする

いやー、良いことを素晴らしい表現で書いて下さいます。
彼の高音は大変澄み切って美しく、それでいて、明るさや寂しさ、いろいろなニュアンスを醸し出すことができます。

たどたどしくて、そして優しい、有愁のモーツァルト。巧いといふより、センシティブで、心に直かに響くピアノである。

今振り返ると、これが今回の演奏における、ヌーブルジェの狙いだったのでしょうね。
私はもっと直球型の、あっかるいモーツァルトになるのではないか、と大いなる予断を持っていたわけです。
それで、少しとまどっている部分がありました。
もっと早く、素直にヌーブルジェの音楽に耳を澄ませれば良かったと、反省しています。

どんなに歌ひ込んでも、感傷に澱まぬ響きの高さがある。音が宙に舞ひ、歎きは、やがて微笑と區別の付かぬ優しさに融けてゆきさうである。

これは第2楽章のことです。
カデンツァにおいて、ヌーブルジェはゆっくりと歌い上げるのですが、単に甘いだけでなく、幾分の緊張をはらんだ、極上の響きを表出しました。

3樂章に這入ると、ヌーブルジェのピアノは益々本領を發揮し始める。快調なピアニズムに向かふのではなく、寧ろ、音樂に内向するといふ意味での、本領である。

この批評には感服いたしました。
第3楽章で解放されるかと思っていた私の予断は、またまた崩れ去ったのでした。
もう、気がつけよ、ってとこだったのですね。

出だしの、沸騰する感じにさへ、手放しの明るさはない。リズムも音も、素晴しくデリケートで、しかし、神經質ではない。リズムで遊ぶ、その遊びの無心は、何と悲しいのだらう。駈出してみては、ふと、立ち止まる。一體、この音樂は何を思つて立ち止まるのか。それに、愉しいといふ事と愁ひとはそんなに違ふことなのだらうか。

いや、私もこんな感じを受けていたのだと思いますが、このような文学的な文章を書く能力がありません。
リズム感、そして間。
まさにこれがヌーブルジェの一つの特徴です。

今日のヌーブルジェのモーツァルトの、邪心のない自由

ヌーブルジェは、作曲家が若い時の作品を、自分が若いうちに若い感性で一度演奏しておこうという、計画でもあるのではないかと思われるような節があります。まったくの憶測ではありますが。
「邪心のない自由な演奏」というより「若い感性で考えぬいた演奏」という気がします。

それにしても、自分の文才のなさが情けないです。
小川氏のような文章が書けるよう、研鑽を積みたいものです。


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